はじめる

#コラボ小説

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全85作品・








【咲き枯れろ。】


Raimuさんとコラボ__






咲き散る桜に爽やかな風。



ついに待ちに待った華の高校生活。






だが、彼女は違う。








「日菜ー。ドーナツ買ってきたよ。」





『まじ?蓮くんナイス!』




「気分悪くない?」




『全然!』




「良かった。」





一人用の広い病室にいつも居る

俺の彼女の名前は工藤日菜。



二年半の付き合いだ。






『ん!おいしい!!』



「なんかそれ、新しいヤツなんだってさ。」




『そうなんだ!いやぁ、

やっぱドーナツはおいしいなぁ』





彼女の病は血液の癌「白血病」だ。


「よし。日菜。

先生の許可が降りたから

散歩に行こうか。」




『うん!』





俺は日菜を車椅子に乗せて

病院の庭を散歩した。




後ろから見る日菜の髪は

風で揺れて景色に喜ぶ笑顔は

花屋に並ぶ立派な花より

綺麗だった。






「じゃあな。日菜。

無理すんなよ。また来るから。」





『うん。ありがとう。

来なかったらドーナツ増加で!』




「へいへい。気ぃつけろよ」





ガチャン。








「いらっしゃいませ。」





「えーと。これとこれ。

一つずつお願いします。」






新作というシールが貼ってある

ドーナツを二つ選ぶ。





『うわっ!また新しいヤツ!?』

と、喜ぶ彼女の顔が目に浮かぶ。








電車に乗り、駅を四つ越す。

田んぼや畑ばかりだった

見慣れた景色は

高いビルばかりの

景色に変わる。




電車から降り、改札を通り。

慣れた手つきで病院に向かう。





「203号室。工藤日菜。」

と、かかれた病室を探す。





病室をみつけ、ドアノブに

手を伸ばしたその時。





「蓮くん!」



俺を呼ぶ声。日菜ではない。

振り向くとそこには

日菜の母親が立っていた。





「あぁ。おばさん。こんにちは。

いつも世話になってます。

どうしたんですか?」




「急にごめんね。

今日はちょっと話があって。」







嫌な予感がした。

そんな気持ちを抱えたまま

俺とおばさんは病院から近い

ファミレスに入る。








「蓮くん。実はね。」




「はい?何ですか?」




「______。」





「は?」





言葉が出ないとは

こういうことなのか。



喋ろうと思った時にはもう

涙が出ていた。





「大丈夫よ。


私もお父さんも聞いた時は

ずっと泣いていたもの。

まさかとても元気なあの子が




あと一年で死んでしまうなんて。」







その言葉を言い切った後、

おばさんも泣いた。






「すいません。


今日はもうちゃんと

話していられそうにないので

ここで失礼します。」






「うん。ごめんね。

気をつけて帰ってね。」










どうして?何がダメだった?

散歩?ドーナツ?



分かんねぇ。







もうどうしていいかも分からない。






「余命のことは

日菜には絶対に言わないで。」





その一言が頭に浮かぶ。

何も知らずに死んでいくのか。



「良くなってきている。」と

嘘をついて。



嬉しい気分のまま

死んでいくのか。








潰れてぐちゃぐちゃになったドーナツ。


涙でびしょびしょになった服の袖。






生きてる理由を無くした気分だ。







「兄ちゃん!」




この声は弟だ。





「どうした。瑛。」



赤く腫れた目を見られないように

弟の瑛の元へ行った。





「見て!朝顔の種!

花びらは紫色ですっごく綺麗なんだぁ。」




「そうかそうか。良かったな。」




「兄ちゃんに半分やる!」




「いいのか?ありがとうな。」





高校生にもなったこんな俺が

一人で楽しく朝顔なんか

育てるかよ。




次の日。俺は早朝から病院に向かう。



あ。やべ。

ドーナツ買ってねぇ。






そう気づいたのは病院の

入口に立ってからだ。







「日菜?」




『蓮くん。』




「元気?」




『うん。』




「良かった。

ごめん。今日はドーナツ買い忘れた。」




『大丈夫だよ。

丁度、今日、食欲無いから。』




「うん。」






『ねぇ、蓮くん?』




「ん?どうした?」




『私って死ぬの?』







は。どうしてだ。


なんで知ってんだ。

誰か言ったのか?





「何言ってんだよ笑」




俺が笑って誤魔化すと

日菜は寂しそうな顔をした。





あぁ。多分、日菜は


気づいているんだろうな。


自分が後、どれくらい

生きれるか。






『あ、蓮くん。何か落ちたよ。』




「え?」




『あ!朝顔の種だ!懐かしいなぁ。』




「あぁ。弟が

あげるって言って寄越してきて。」




『へぇ。いいなぁ。

ねぇ!ここで育ててもいい?』




「いいよ。」







何をそんなに嬉しがっているんだ。





『私、お花大好きなんだぁ。』




「そりゃ良かった。」





その日から日菜は病室で

朝顔を育てることになった。





病院に来る度に看護師さんから

楽しそうに水をあげる日菜の様子を聞く。








九月二十六日。



ついに朝顔が咲いた。








その時にはもう

抗がん剤治療で日菜の髪の毛は

全部抜けていた。




それに春より白く細くなった気がする。






『やったー!咲いたね!蓮くん!』




「うん。」








次の日。


日菜の一時退院。外泊が決まった。





「日菜。症状が大分

落ち着いたから

一時退院だって。」





と、言うのは嘘だ。

症状が落ち着いてなんかない。


これ以上入院して

永く生きれる訳でもないから

少しの間。家に帰っていいそうだ。







『普通の退院じゃなくて?』




「退院は様子見って言ってたよ。」




『そっか!わかった!』







これでいいのだろうか。


今まで簡単に嘘をついてきたが

この嘘はなんだか痛いや。苦しい。





こうして日菜の外泊生活が続いた。


一緒にご飯を食べたり、

出掛けたり。




日菜にとっても

久しぶりの幸せだったと思う。













プルルル。プルル。



十二月の朝。

電話の音で目が覚める。





「はい。もしもし。」




「蓮くん!日菜が

救急搬送されたの!

今すぐ病院に来て!」





おばさんの声だった。


急がなきゃと、思う頃にはもう

家を飛び出していた。






「日菜!?」





息切れ。目眩もした。

とにかく急いだから。







『蓮くん。』





「日菜。日菜。大丈夫?」





『ううん。辛いや。』





笑いながら言うその一言は

心に深く刺さった。





『蓮くん。私、もう死んでいいかな。』





「や、何言ってんだよ。

生きろよ。なぁ。生きてよ。」





『最近ね。夢を見るんだ。


心臓が「もう休んでいい?」って


「もう疲れた」って泣いてるの。




私は「もうちょっと頑張って」って


泣きながら言うの。



私の心臓が苦しんでる夢。


だから、もう。生きたくないよ。





私ね。朝顔。育てられて嬉しかった。


短い間で、誰かの一生を

見てるみたいで。




朝顔ね。蓮くんがいない時に

何本か、枯れちゃったの。




そうやって、人生って

できてるんだなって思ったんだ。







咲いてる時は思いっきり輝いて

朽ちてくんだ。



蓮くん。私は蓮くんのお陰で咲けたよ。








ありがとう。』












「やだ。日菜。


なぁ、ドーナツ買ってくるから。

なぁ、幸せにするから。


日菜。日菜。」











日菜。お疲れ様。












「蓮先生。」




『どうした?』




「私って。死ぬんですか?」




何度も色んな子達に

この質問をされるよ。



そしたら俺は優しく微笑んで


「死なないよ。

よし。莉奈ちゃん。


朝顔を育ててみようか。」






「朝顔?」





「うん。きっと楽しくなるよ。」








どうか。どうか。



この子の命が枯れる前に


花が咲きますように。







そう願いながら


俺は人の命を救う職についている__。









「咲いてる時は思いっきり輝いて

朽ちていくんだ。」





その言葉を胸に。

・2020-08-22
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【咲き枯れろ。】


瀬在様様とのコラボ小説_







窓から爽やかな風が吹く


蓮くんは、華の高校生か。









いいな、羨ましいな。







そんな事を思いながら

散る桜を窓から見るのは


ほんの少し、辛かった







『日菜ー。ドーナツ買ってきたよ。』




「まじ!蓮くんナイス!」




『気分悪くない?』




「全然!」




『良かった。』







遠いこの病院までいっつも来てくれる

優しい彼氏の名前は北乃 蓮。





二年半のお付き合いをしてる。




「ん!おいしい!」



『なんかそれ、新しいヤツなんだってさ。』








「そうなんだ!いやぁ、

やっぱりドーナツはおいしいなぁ」





よく、病気になんて見えないって

言われるけど、残念ながら病気。




"白血病"って言う、血の癌なんだ。




『よし。日菜。

先生の許可が降りたから

散歩に行こうか』





「うん!」




本当は自分の足で歩きたいけど

悪い子だから、言う事聞かないの。






車椅子に座って

それを、蓮くんが押してくれる。







久しぶりの病院の庭だ。






時折私を見る蓮くんの優しい瞳は

何千万もする宝石なんかより

ずっとずっと綺麗だった。







『じゃあな。日菜。


無理すんなよ。また来るから。』




「うん。ありがとう。


来なかったらドーナツ増加で!」





『へいへい。気ぃつけろよ。』







ガチャン。






この音が聞こえる度

どうしようもなく、泣きたくなる。














蓮くんは年頃の男の子。


遊びたいはずなのに









私のせいで。












私、性格可愛くないから







「来なくていいよ」





なんて言えないよ。








こんな退屈な病院生活の中


唯一、楽しみな事がある





それは、蓮くんを待つ時間。








あ、この足音、蓮くんだ!



やったやった、来てくれた!






…あ、れ?





『…ん!』





『あ……さ。


…ですか?』











お母さんと、蓮くんだ。



何だか、嫌な予感がした。





弱っちぃ足を必死に動かして


ドアの方まで歩く。





「動…いて…っ」






必死の思いで


扉のところまで歩いて


扉に耳を寄せた。











『急にごめんね。


今日はちょっと話があって。』






お母さんがそう言ってから


二人の足音が遠ざかってった。






そこで何となく分かっちゃった。





"私、もう長くはないんだ"って









結局その日、


蓮くんは、来なくって。









急に怖くなって、一人で泣いた。









"どうか、朝が来ますように"








そう願いながら眠るなんて


おかしいや。









コンコン。






願い通り朝が来て



お母さんが部屋に入って来た。









『日菜ー。これ



この前の漫画の…!』





「お母さん、私って



もう長くないの?」






ボトリ。




どうしても聞きたくて



聞いてしまった。














せっかく持って来てくれた漫画。




地面に落ちちゃった。




『日奈…ぁ』







それからはよく覚えてないや。



残り、一年って、言われて。













それで、それで。



お母さんが泣きながら帰って。







ずっと、苦しくて寂しかったの。











コンコン。






苦しみの果てに居る時だった。



蓮くんが来た。





『日菜?』




「蓮くん。」




『元気?』




「うん。」




『良かった。

ごめん。今日はドーナツ買い忘れた。』




「大丈夫だよ。

丁度、今日、食欲無いから。」






『うん。』







「ねぇ、蓮くん?」





『ん?どうした?』





「私って、死ぬの?」








蓮くん、そんな顔しないで。

蓮くん、無理しないで。






蓮くんのその顔は



嘘つきの悪い子の顔してるよ。





『何言ってんだよ笑』





へへへ、悲しいな。





嘘つくの下手っぴだね、本当。





コロコロ。




何かが転がるのが見えた。








「あ。蓮くん。何か落ちたよ。」




『え?』





「あ!朝顔の種だ!懐かしいなぁ。」





『あぁ。弟が


あげるって言って寄越してきて。』





「へぇ。いいなぁ。


ねぇ!ここで育ててもいい?」




『いいよ。』




これでまた一つ


生きる希望が出来たよ。




ありがとう、蓮くん。






「私、お花大好きなんだぁ。」




『そりゃ良かった。』








その日から私は、


朝顔を育て始めた。







お水をあげてる私を



看護師さんが嬉しそうに見てきた。





芽が出た。




少しづつ


成長していく。





『抗がん剤投与しますよー』






朝顔は、成長していくけど





私の命は、消えていく。








辛い辛い抗がん剤治療。



髪の毛、全部抜けちゃった。





おハゲさんでも、



蓮くん、好きでいてくれるのかなあ。






ふと涙が出てきて



それを拭う時に見た腕は



簡単に折れそうなほど細かった。











何で私がって


思う時あるけど、






蓮くんじゃなくて良かった。






私が病気で良かった。










心からそう思う。









そしてついに、



九月二十六日。





「やったー!咲いたね!蓮くん!」




『うん。』




咲いた、咲いたんだよ。




朝顔が、咲いたの!




ずっと、ずっと、待ってた分








嬉しい気持ちが強かった。




嬉しい事は、更に続いた。






次の日、知らせが届いた。






『日菜。症状が少し


落ち着いたから


一時退院だって』




そう、一時退院だ。




「普通の退院じゃなくて?」




『退院は様子見って言ってたよ。』




「そっか!分かった!」





多分、てか絶対



これが最後なんだろうなぁ。




辛そうな蓮くんの目で



大体察しちゃったや。







だから、最後だから。




思い切り楽しんでやると決めた。








朝顔を家に持ち帰った。




二人の大切な思い出だから、



大切に、大切に育てた。










蓮くんとお出かけをした。





おハゲさんな私を見て







同情の目や、引き気味の目。






色んな目で見られたけど、






『人を見た目で判断する奴は


日菜の良さを分かれない可哀想な奴だ』








蓮くんがそう言ってくれて



気にしないで居れた。









幸せ、世界一幸せ。











おハゲさんでも



幸せだよ、蓮くん。










ある日、家に帰った。










朝顔が、何本か枯れていた。




友達が亡くなった気分で、



泣いちゃった。





その日の夢は


残酷だったよ。














『…ねぇ、休んでいい?



もう疲れたよ、限界だよ。』






誰かの声がする。






「…貴方は、誰なの?」





『君の心臓だよ。弱っちぃ。



弱っちぃ心臓だよ。』






暗闇の中、姿は見えないけど。




私の心臓さんが、泣いていた。




「…もう、ちょっと。



もうちょっと、頑張って。」




私が泣きながら言うと




『…分かった』





そう言ってくれた。




「ありがとう。」





その言葉で目が覚めた。



心臓さんの声はしなかった。











沢山の涙が溢れて来た。






次の日、同じ夢を見た。




『今日も頑張った。



もうボロボロだよ



休んでもいい?』




やっぱり心臓さんは



泣いていた。





「ごめん、ごめんね。心臓さん。



本当に…本当に、少しだけ



頑張って…頑張って、下さい」






やっぱり私も泣いていた。





『…分かった。君も頑張れ』







「…うん、ありがとう。頑張る。」







やっぱり起きた時



泣いていた。









次の日も、次の日も。



心臓さんが夢に出てきた。









私も疲れた。疲れたよ。



大分前から疲れてた。でも。










蓮くんと、あと少し



少しでいいから、一緒に居させて。







夢を見る度。



痛む度。






ずっとずっと願ってた。







でもそんな私の願いは



一瞬で壊れてしまった。









「…おか…さ。



心臓が…ね、休みた…いって」




『…日菜。日菜!!』










待って。待って心臓さん。




まだ、まだ。





『蓮くん!日菜が

救急搬送されたの!

今すぐ病院に来て!』









気が付いた時には


あの、見慣れた部屋に居た。





お母さんが



蓮くんに電話する声で



目が覚めた。









どうやら、長くないらしい。





私の心臓が



私の身体が。






もう無理だよって泣いている。





あ。





「日菜!?」




『蓮くん。』





『日菜。日菜。大丈夫?』





「ううん。辛いや」





笑いながら言ったら



笑ってくれるかと思ったけど





余計、辛くさせちゃった。





「蓮くん。私、もう死んでいいかな。」







『や、何言ってんだよ。


生きろよ。なぁ。生きてよ。』







「最近ね。夢を見るんだ。


心臓が「もう休んでいい?」って


「もう疲れた」って泣いてるの。





私は「もうちょっと頑張って」って


泣きながら言うの。




私の心臓が苦しむ夢。

だから、もう。生きたくないよ。





私ね。朝顔。育てられて嬉しかった。


短い間で、誰かの一生を

見てるみたいで。





朝顔ね。蓮くんが居ない時に

何本か、枯れちゃったの。



そうやって、人生って

できてるんだなって思ったんだ。







咲いてる時は思いっきり輝いて

朽ちてくんだ。



蓮くん。私は蓮くんのお陰で咲けたよ。






ありがとう。」










『やだ、日菜。



なぁ、ドーナツ買ってくるから。

なぁ、幸せにするから。


日菜。日菜。』






蓮くん。


私、ただ散ったんじゃないよ。













蓮くん。


私、また種に戻るんだ。








そして、また来世で


蓮くんに、咲かせてもらうの。









今来世に行っても


蓮くんは居ないから。









だから、だからね私。







”蓮くんがおじいちゃんになるまで



ずっとずっと待ってるよ”
















私が居なくなった世界で蓮くんは



お医者さんになっていた。







『蓮先生。』





「どうした?」





『私って。死ぬんですか?』








蓮先生。




すっかり先生の顔になった蓮くんは



女の子からの質問に、




あの頃の



嘘つきの悪い子蓮くんの顔、



じゃなくて、優しい顔で答えた。





「死なないよ。

よし、莉奈ちゃん。


朝顔を育ててみようか。」






『朝顔?』






「うん。きっと楽しくなるよ。」






そう言って蓮くんは、



あの種を渡した。








私が育てた朝顔の


種から育てた朝顔の


そのまた種の、その種の。





私から繋がった



命の種を。






どうか、どうか咲きますように。





この子の、命尽きるまでの、



生きる希望に、なるように。











咲け。咲け。


















【咲き乱れろ。】__。

Raimu 無浮上・2020-08-25
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『君へ飛ばす紙飛行機』


コラボ__瀬音 蓮叶様様








好きな人に忘れられるのって


死ぬ事よりも、怖かった。




















「うわ、碓氷」


「もうオーラが怖い」


「何もされませんように」







ボソボソと言う誰かの声


全部、あの人に向けてだろう













直接言えばいいのに














『ヤンキー君』


そう、笑いかけてみた








同時に、二度目の私達の物語が


また、進み出した











今のとおるからしたら初対面な私が


意味不明な感じで話しかけてきたんだ


は?でしかないだろう













「は?」


『変な顔 』





思った通りの反応


それに、この、マヌケ顔








ふふふ、笑っちゃった









少し訝しげな顔をして


ヤンキー君は言った








「お前、俺が怖くねえの?」



『ヤンキー君は私の事覚えてない?』





不思議そうな顔


やっぱり覚えてないか






「どっかで会ったことあるっけ?」


『覚えてないなんてひどいなぁ』





更に訝しげな顔になったヤンキー君



そしてまた、質問してきた




「お前、どこで俺と会った?」



『さっきからお前お前って

私の名前は林 穂乃香!』





「林 穂乃香、どこで俺と会った?」





まさかのフルネームで呼ばれて


私は吹き出してしまった




「さっきと全く同じセリフを

フルネームしかも呼び捨てを代入して

言うとか笑わせに来てる??」





うるさそうに眉を潜めたけど


どこか不思議そうな顔のヤンキー君





このおもしろさが味わえるなら


初対面ってことでいいかもな








「代入って表現はだせぇ」




ぶっきらぼうなその言葉に




そっと笑いかけると




ヤンキー君も笑ってくれた






普通よりか少し大きい


自分の家に帰る前に






一つ、必ずすることがある






『あ、来た来た』






ヤンキー君の、紙飛行機を受け取ること








おバカさんなのかな


おバカさんなんだろうな











私の帰路の途中で待つと

ヤンキー君が飛ばした紙飛行機





と言う名の、公開日記が飛んでくる





それを拾って


こっそり読むのが私の日課








【変な女と出会った


久しぶりに楽しいと思えた

俺もまだ笑えるってわかった】






笑ってくれたんだ


そう思うと喜びの涙












忘れられてるのか


そう思うと悲しみの涙








ヤンキー君の公開日記を読むと


どうしようもなく涙が出てくる







多分、ヤンキー君もそうだろう







そっと広げた公開日記をカバンに入れ


私は真っ直ぐ家に帰った







紙飛行機が飛んできた






【昨日の女とまた話した

やっぱり変なやつだけど

嫌いにならないのは不思議だ】





嬉しくで涙が出た


ホッとして涙が出た







紙飛行機が飛んできた






【例の女と昼飯を食った

誰かと飯を食うのは何年ぶりか

と、思うほど久しぶりだった】




何の涙かわからない涙が出た





紙飛行機を受け取って


泣いて


カバンに入れ

















そんなことを繰り返してくうちに


公開日記が明るくなってく度に













ヤンキー君は

クラスメイトに馴染んでいった








「碓氷くん、また明日!」


「碓氷、またな!!」





ヤンキー君が、受け入れられてく




「おう!!またな!!」




ヤンキー君が、強くなってく




その度、少しだけ寂しくなる私が居る





『あーあ、ヤンキー君


もう、ヤンキー君って呼べないや』







「いや、呼ぶなよ

もうあだ名みたいになってんの

なんなんだよ」




二人揃って共に笑う






『クラスメイト変わったね 』



「いや、俺が変わったからだろ」







『君は、なにも変わってないよ


ずっと、ずっと、そのまんま』





変わってない


あの頃の、ヤンキー君






いや、とおるくんのままだ









「なあ」



私に伸びてきた


寂しそうな手に答えるよう


私は言う








『ヤンキー君、私もう強くなったよ』






意味がわからないと言うように


目をぱちくりさせ


呆然と立ち尽くすヤンキー君





『ヤンキー君、バイバイ』





逃げられると思った


でも、無理だった







痛いほど強く、手首を掴まれた






出来ることなら



もっと一緒に居たかった__






「林、泣いてる」





手の力が緩まった隙に


全力で手を振りほどいて走って逃げた












行く宛てなんてない


ただとおるくんから逃げたかった








私の身体がもっともっと強かったら


こんなに苦しまずに済んだのに






コツン






私の頭に何かが当たった








「あ、」






飛んできたそれは


あの、紙飛行機だった








中身はもちろん、公開日記__





【大好きな人の様子がいつもと違った

いつも笑顔なのに泣いていた


何も分からない自分に腹が立つ


明日、また名前を呼んで笑ってよ】







大好きな人



今一番


言われたくて、言われたくない言葉






今日の涙には


嬉しいの欠片もないや




ただ、苦しいよ





その日、夢を見た


あの頃の、残酷な夢を







生まれつき私は心臓が弱くて


よく入退院を繰り返していた







退院出来たとしても


月一度、検診に行かなくちゃならなかった






小一の頃、その悪夢が終わった


症状が落ち着いたから


検診も、三ヶ月に一度で良くなった










小二になって、とおるくんと言う


優しい男の子と仲良くなった








その子といる事でいじめられたり


悪口言われたりしたけど


それでも私は、一緒にいたかった









ある日、大切な話があると


お母さんに言われた





お椅子に座って


じっと待ってた







お母さんは優しく頭を撫でてくれて


それから、ゆっくりこう言った







「…悪化、してるんだ、ってさ」












その日から私は、笑えなくなった


とおるくんといる時も


誰といる時も










入院が決まった


点滴が地獄で地獄で






お医者さんの目を盗んで


外に逃げ出してしまった







走り疲れて、心臓が痛くて


静かに泣いていた時






コツン







『…いてっ』






何かが頭に当たった


紙飛行機だった







中を開くと、文字が書いてあった







【ほのかちゃん

ぼくのせいでほのかちゃんが

ないちゃうのはいやだから

ぼくつよくなるよ。

ほのかちゃんをまもるよ】





大小様々で

少し個性的な文字






とおるくんのだって分かった


私は嬉しくて嬉しくて


その紙飛行機を持って、病院に戻った









沢山沢山怒られたけど


よかったって泣かせたけど






私はそれより

とおるくんに会いたいって


その気持ちが強かった









みんな、ごめんなさい


明日、とおるくんに会いに行く!










そして、あの日になった


朝早くから病院を抜け出して









とおるくんの元へと走った


少し探して、でもいなくて









諦めかけてたその時


道路の向こう側にとおるくんを見つけた












『とおるくん!』























見つけたのと、ほぼ同時



とおるくんが視界から消えた














「キャーーーッ」











とおるくんは、私の目の前で轢かれた


頭を強く打ったせいで、記憶喪失になり
















『ヤンキー君』










そう話しかけた私のことを


覚えてるわけなかった








とおるくんは、私のせいでグレた


でもそのおかげで



話しかけるきっかけが出来た







仲良くなれて


この時がずっと続くと思ってた矢先












また、入院が決まった




多分、このまま死ぬんだ










『ヤンキー君、バイバイ』








その意味に気付いた時


とおるくん、なんて言うのかな






そこで、夢が覚めた


枕はぐっしゃり、涙で濡れていた






急いで、手紙を書いた



【これを読んでいるということは】





念願の言葉を使った


とおるくんへの、愛の手紙












会いに行こう



今日で、今日で多分



会えるのは最後だから



















あの日のように、私は病院を抜け出して


精一杯で走った










ばかだな、私


ばかだな、ばかだよ







『と…おるく…』









泣いてちゃ、ダメだ


とおるくんの顔が見えなくなっちゃう










心臓が痛いのなんて


心の痛みに比べりゃ、全然だから






走って、走って、走りまくって










とおるくんを、見つけた



とおるくんの目は必死で




点滅してる信号も、写ってなかった









ブーーーーーーーッ







「轢かれる、轢かれるぞ!!」







誰かの声が聞こえた時には


私は、走り出していた








叫び声

痛み

大きな音










守れた、のかな
























ピッピッピッピッ


という音が、どこか遠くに聞こえる





「ほのか、ほのか…!?」




「よかった…よかった…!」






ままと、ぱぱの声だ





私、守れたのかな



ちゃんと、ちゃんと






『私、もう充分生きたから


私、もう長くないから


だから、守っちゃった、や』








「ほのか…」




「碓氷透さんが目を覚ましました!」





そんな声が、遠くで聞こえた


そっか、よかった、よかったよ





少しして、いきなりドアが開いた







ガラガラガラ









誰かと思うと、とおるくんだった








「ほのかちゃん!!!」




『思い出したの?』






私を思い出した、とおるくんが


そこにはいた








もうすぐ死ぬってのに


ずるいな、とおるくん






「うん、全て思い出したよ


俺がグレてたのはお前のせいだったってな」






変わらないとおるくんに


笑いたいのに、涙が出てきた







「ずっと辛い思いさせてごめん」





そう言って、微笑みかけてくれた






『とおるくん』





そう言って、私も笑い返す









ピピピピピピピピ






「ほのかっ!!」



『とおる、ごめんね』





最後の顔が、とおるの泣き顔


最後の言葉が、初めての呼び捨て









幸せなような、不幸のような





そんな、お別れだった














あの手紙、読んでくれますように









【とおるへ


これを読んでいるということは

私はもう、この世に居ないのかな?



っていうフレーズ書いてみたかったから


念願のフレーズ書いてみました




とおるくんは馬鹿って笑ってくれるかな



まあ、私のこと大好きだから

寂しいって泣いてるんだろうね



私、病気で死ぬんだ


ってとおるくんに伝えれてた?



まあ、よわーい私だから

たぶんまた逃げたかな



小さい時もそうだったんだよ


まあ、とおるくんは忘れてると

思うけど笑





そういえばあの


毎日飛ばしてる紙飛行機の手紙


受け取ってるの私だからね笑





君が私の事語ってるの見てたよ







言いたいことは沢山あるんだけど

全部まとめると





ごめんね、ありがとう、大好きだよ








林 穂乃香より】
















とおるくんに届いたのを確認して


私は空へ飛びだった






お花畑ってね、本当にあって


そこでくつろいでいた時









コツン







あの、あの感覚がした





『紙飛行機だ』







まさか、と思って


中を開いた







【林 穂乃香へ


手紙受け取った

あんなんふざけてるだろ笑



泣いてるって分かるなら

穂乃香が笑わせろよ



これから俺は穂乃香を忘れないし

ずっと大好きなままだから




まあ、俺がじいさんになるまで

そこで待ってろよ笑




ていうか、俺全て思い出したからな




またじじいとばばあになって

顔を見合わせた時



思い出話でもしようか






俺も文句沢山あるけど1つ


今までもこれからもずっと好きだよ





碓氷透より】






何度も何度も読み返して


何度も何度も泣いて笑って




最後の紙飛行機は



公開日記でもただの手紙でもなくて




ふっつーにラブレターじゃん





私に届くまで




必死に必死に飛び続けた紙飛行機










いつか、おばーさんとおじーさんになって


この手紙の話を花畑の中でしよう






そう、心の底から思った__。

Raimu 無浮上・2020-09-05
小説
コラボ小説
あなたのそばに
下手?知ってる
涙の意味
好きな人
ポエム
辛い
病気
死別
紙飛行機の意味
君へ飛ばす紙飛行機
感想欲しい

これらの作品は
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【さようならが苦手僕らの別れ方】


コラボ小説__榊 夜綴










「皐月先輩おはようございます!」


「今日もかっこいいですね!」


「これクッキー作ってきたんですけど」




『おはよう、ありがとう

手作り?美味しそう有難く貰うね』




得意の完璧な笑顔で手を振り

その場を今日もやりきる






俺は皐月 吏乙翔(さつき りおと)

高二だ











「この問題解ける人」


「皐月君が解けると思います」



誰も手をあげないといつもこれだ



「おお、そうだな

んじゃ皐月、ここ解いて」



黒板に字を書くのは正直苦手









「さすが、皐月合ってるぞ」




『ありがとうございます』
















「今日は体力測定するぞ」


「ええー」


「うるさいぞ、まずば男子50メートル走」


「はーい」






「よーい、どん」











「さすが、皐月!!!

お前やっぱはやいなあ!!!」














『あ、ハンカチ落としたよ』


「え、あ!ありがとうございます」


『いえいえ』






「やっぱり皐月先輩優しい〜」








「勉強も運動もできて

しかも優しいしかっこいいし」




【完璧だよね、高嶺の花】







この言葉が俺は大嫌いだ




何が完璧だ


何が高嶺の花だ




誰が勝手に人を定義しているのだろうか





時々、笑顔を作るのがきつくなった時

俺は屋上へ駆け込む



僕の世界はいつも綺麗に黒に染まっている


特定の誰かの顔を覚えなくていい

特定の誰かと毎日話さなくていい



そんな僕だから

色のある景色なんてもう忘れた



屋上から見える景色は

さほど綺麗でもない



けど、どこか心地良い場所だった











朝は早く登校をする


で、無いと教室へ上がることも

ままならない




いくら早く行けども

必ず誰かしらに絡まれる



だから憩いの場として

朝学校に着くと大抵1人で屋上にいる




教室にいても話す友達なんて居ない

ただ、人にすごい眼差しで見られるだけ




別に1人が寂しいわけじゃない

1人の方が気を使わなくて楽だから






「きゃーーー」


「高牟礼先輩!!!」


「なにか持ちましょうか!!??」




屋上まで聞こえる声


気まずそうに笑顔を作る女





何となく他人事として捉えられない



そんな彼女の名前は


高牟礼 紗理(たかむれ さり)

隣の隣のクラスの高嶺の花と呼ばれる

まあ、みんなの言う″完璧”な女だ





「今日も大変そうだな」


そっと呟く





彼女の周りだけは

なんだか光って見えた












その日の昼休み

いつものように屋上へ駆け込む






するとそこには先客がいた




「あ、皐月くん」



『俺の名前知ってるんだ

話したことあるっけ?』



「いや、無いけど

皐月君のこと知らない人

この学校にはいないでしょ笑」



『ああ』


微妙な顔をしてみせる



「あ、ごめんね私は…」



俺の微妙な顔を捉え間違えたのか

彼女は自己紹介をしようとした



から、俺はそれをさえぎった




『高牟礼紗理だろ?

それこそ学校で知らない奴いないから』



そういうと彼女は笑った



「皐月くん負けず嫌いなんだね」



『まあな』



「私もだけど」


いたずらっ子のように

これ誰にも言ってないから秘密だよ

なんて笑う彼女に

つられて俺も笑った



数ヶ月ぶりに笑った













その日から昼休み彼女は毎日


屋上へ来た







「ねえ、皐月くん今日ね__」















「ねえ、皐月今日ね___」














「ねえ、吏乙翔今日ね___」






いつの間にか紗理は

俺にとって必要不可欠な存在に

なっていた











「きゃーーーー」


「高牟礼先輩が来たわよ!!」


「高牟礼ちゃんのお出ましか!!」



屋上でいつもこの声を聞くと

何となく安心する





時間が経つのは早くて

もう僕らは3年生になっていた









『紗理!!!!』


屋上から大きな声で叫ぶ



すると彼女はこっちを見て


向日葵が花咲かせるような


綺麗な笑顔を見せる






「吏乙翔!!!おはよう!」












「高嶺の花カップル遂に成立したね」



「悔しいけどお似合い」



「仲良しだもんね」




こっちに手を振る彼女は


僕の大切な恋人になっていた












「吏乙翔もう進路決まった?」


『うん、まあな。紗理は?』


「決めたよ〜!

もう決めなきゃ先生に怒られるしね」


『そうだなあ、どこ行くの?』


「吏乙翔はどこ行くの?」


『俺は東京行くよ』


「そっかあ、吏乙翔はどこでも

行けるし大丈夫だね」



紗理は進路の話になると


いつも自分のことは隠す





まだ決めてないのだろう

なんてあまり考えてなかったが




冬の終わりになっても

紗理は教えてくれなかった





『紗理、進路どうなってんの?』



「私ね、北海道行くんだよね

先生たちがゴリ押しで」




ただ静かに泣いていた


俺だけじゃない紗理も



2人でただ、声を上げるわけでもなく

静かに涙を流していた





完璧と言われた僕らの欠けてる部分が

あるとすれば






俺は感情表現が下手くそすぎるとこ


彼女は優しすぎるとこ






もっと俺が感情表現が上手ければ

彼女をこんなに悩ませなかっただろう

彼女を不安にさせなかっただろう





もっと彼女がものを言える人だったら

先生のゴリ押しも断れただろう

俺にもっと早く進路を伝えられただろう







なんてただの傲慢だ






















季節はすぎ春になり


僕らは学校を卒業した



















大学に入って沢山気づいた事がある




友人とはとても素敵なものであること


そりゃ、喧嘩もするけど

それ以上に仲直りをして


涙流してでも笑って



こんな事を当たり前だと言える

人達こそ完璧な高嶺の花だなんて



俺は思った












「皐月、夏休み彼女と遊ぶんだろ?」



『おう、やっと会えるからな』



「この前写真見せて貰ったけど

こいつの彼女ばか可愛いぞ!!」



「は?俺にも見せろよ!」



「俺にも!!」




『お前がいらん事言うから

野郎共が寄ってきたじゃねえか』






なんて言いながら大笑いする









俺の中で1番変わったのは


世界に色が現れたことだった



まだ薄い汚い色だけど


俺にとっては大きな変化だった












ふと、1人になって


春を思い出す





卒業式のあの日




別れが苦手な君は

「さようなら」が苦手な俺は





【またね】と手を振った






お互い涙を流さなかった





まあ、訂正すれば



彼女に背を向けた後俺は泣いた


彼女が泣いていたかは知らない







ただ、彼女の存在が無くなることが

怖かった




















【もう、待ち合わせ場所着いたよ】



そうメッセージを送る


人が多くて誰が誰だか分からない






そんな状況でも

彼女は一目見てわかった









彼女はまだ俺に気づいてなくて

キョロキョロしている





一歩、また一歩近づく




もし、彼女が俺の顔を忘れていたら?

もし、彼女が俺の事嫌いになっていたら?




嫌な妄想が膨らんでいく




頭を冷やそうと後ろを振り返った












ガバッ








後ろから誰かの温もりを感じた









「久しぶり」


そういう彼女はあの時と何も変わらない

向日葵のような笑顔で

僕に笑いかけていた



『久しぶり』



「何泣いてんの」


そう笑う彼女に手を伸ばす



『お前も泣いてんぞ』





感情表現が苦手なのは俺だけじゃなく

彼女もで




俺達に欠けているところなんて


いくらでもあって


ただ強がりな俺たちは

自分の強さをアピールして生きている




別にいいじゃないか

かっこ悪いところがあっても



別にいいじゃないか

かっこ悪い所も愛してくれる人がいて



別にいいじゃないか

僕ら人を定義しなくても



別にいいじゃないか

自分を定義しても





俺はきっと弱虫だと思う




ほら、もう夜の暗い時間


彼女との別れは何度やっても


悲しいし、寂しいし、辛い








「吏乙翔、またね」



たった一言

それだけ言って

彼女は笑顔を見せる



その笑顔は僕を騙す最高の武器だ







もう明日に君はいないのに

また明日もそばにいる気がする











『ああ、またな、紗理』





いいさ、何度だって騙されてやろう


バカな俺になってやろう












俺達には弱点しかない

でも、その弱点は役に立つ事だってある







彼女にまた会って帰る時

彼女はまた俺に【またね】って言うだろう










それはきっと彼女の弱点の優しさで


でも、その弱点に俺はまた救われるだろう









君に背を向け見上げた空の星は

色とりどりに輝いていた

瀬音 蓮叶_・2020-09-07
小説
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コラボ小説
涙の意味
片想い
片想い
片思い
辛い
たった一言
君がいれば僕は
想うはあなた一人
大切なあの人に
作り物の私
ひとりだけの時間
夜を灯す星








コラボ小説

『誰も知らない僕の世界』












『元柳くんいつも忙しそう』


『クラスで皆に頼りにされてるもん』


『先生にも信頼されてるっぽいよ』












『おいー!!またお前女の子達に

噂されてんぞ!!』




「そうなんだ」




『ほら、また!!お前ったら!

あーあ、俺もお前に勝てるもん1つ

くらいあればなあー』





なんて遠くを見て笑う幼馴染の

蔵元 楓夏は俺よりずっと凄い人だと思う






『蔵元おはよう!昨日のあれみた?』


『おー、おはよう!見た見た!』


『あれ面白かったよなあ』





足早にその場を去った




俺、元柳 遙稀は

人と話す事が苦手だった







『あ!元柳くん!おはよう』


「おはよう」


『今日1人なんだね!珍しい』


「そうなんだ

楓夏は今友達と話してるからさ」


『じゃあ一緒に教室行こっ!』


「ごめん、今から用事あって

遅くなるから先行ってて


ほんとごめんね」



『そっか!わかった!全然大丈夫だよ』





特に用事なんてない

ただ無駄に笑う事には慣れてる

けど、それはすごく疲れる



だから、人と話すのは苦手だ





そんな俺とは正反対の幼馴染、楓夏は


誰とでも沢山話せて、皆に好かれてる





逆に、そんな楓夏のどこが

俺に劣っているというのか



俺には全く分からない







『おいー!!遙稀!

また俺置いていっただろ!!』




「いや、邪魔かなって思ってさ」



『いや、お前ったらまた…』


『まあ、いいや』



途中まで言いかけて楓夏はやめた




『それより、今日も行くだろ?』



「もちろん」



『よっしゃ!!!』



ぎぃぃぃぃ



古い校舎その屋上は

誰もいない俺たちだけの世界だった




その世界は俺たちの憩いの場所だった






2人して寝転がって空を見上げる





『遙稀、進路決めた?』


「まだ」


『まあ、お前は何にだってなれるよ』


「そうかな」


『おう、なんせ俺の幼馴染だからな』



そう笑う楓夏の顔は

幼少期からなにも変わってなかった



ただ真っ直ぐ

俺にはちょっとキツイくらいだった





ぎぃぃぃぃ



驚いて起き上がった時には

もう、俺たちに驚いていた2人組が

目に入った







『元柳くんと蔵元くん!!

ここで何してるの?』



『おお!柳田さんと阪藤さん!

ちょっと寝転がって暇つぶししてた!』



同じクラスの柳田 瞳花と阪藤 心莉だった




『そうなんだ!

私達も一緒にいてもいい?』



『いいよ!なあ?遙稀』



「うん、いいよ」



『ありがとう』












『出席番号前後だけど話すの

初めてじゃない??』



柳田瞳花は俺の後ろの出席番号だった



「確かに良く考えたらそうだね」



『皆元柳君と話したがってたから

なんかちょっと鼻が高い』



「なんやそら」



声を合わせて笑った


こんなにも自然に笑ったのは久しぶりで


懐かしく思えた





不思議な人だと思った



『あ、目見なくてもいいよ』


俺が目を見て話す事が苦手なことに

気づかれたのは初めてだった


『無理して笑わなくていいから』


無理していることに気づかれたのも

初めてだった








どうしてこんなにも

人と関わることが苦手なのか




原因はわかっている


幼少期の頃だ



俺にもそこそこ友達と呼べる人がいた


今となっては楓夏1人だけど


その頃はまだ沢山いた





まあ、誰とでも仲良くなれる楓夏と

いつも一緒にいたのだから





『遙稀、楓夏!サッカーしようぜ!』


「しよう!」『しよう!』





『遙稀君ってなんでも出来るよね〜』


『遙稀くん、サッカー上手い!!』









「なあ!皆で今日野球やろう!」


誰もこっちを見なかった






伸ばした手を握ってくれたのは


たった1人楓夏だけだった





何でなのかなんて知らない


いつの間にか皆俺から離れていった





だから、人と関わるのが少し怖い








『進路決まったー?』


「まだ決まってないよ」


また、いつもみたいに

もったいないなんて言われると思った



『ええ、それなら医者とか向いてるよ

優しいし!それで私が看護師になって…』



言ってる最中彼女は

俺を見て驚いたように慌てていた



『え、どうかした?なんで泣いてるの』



自分でも気付いていなかった

自分の頬が冷たく感じて意味がわかった




「いや、そんな将来安泰だなって」


そう笑ってみせると


『教室で見せる笑顔よりぐちゃぐちゃ

だけど今の笑顔の方がよっぽど

綺麗だよ』



なんて眩しい笑顔で返してくれた











『おいー、遙稀

めちゃくちゃ柳田さんといい感じ

だったじゃん!どうだった!?』



「なんだよ、その質問

別に不思議な人だった」



『その返答こそなんだよ』



「うっせえ、俺の事は良いんだよ

それより、楓夏も阪藤さんと

いい感じだったじゃん」



『それがさ、ちょっと聞いてよ』



「嫌だ、なんかうざい」



『は!それはひでーだろ』




大きな声で笑った


わざとらしく大きくはっきり




「なあ、俺医者になるよ」


『へえ、いいじゃん、頑張れよ』




ああ、彼らしい返答だななんて

また笑えてきた

















『はい、今日の授業は

将来の自分へ手紙を書くことです』







『遙稀、もうかけた?』


「いや、まだ

楓夏はもう書いてる?」


『まだ1行もかけてない』


「1行くらいかけてろよ」


『あ、遙稀

俺の事書いてくれてもいいからな』


「はいはい」
































【拝啓 未来の俺へ


お元気ですか?


今何をしていますか?


医者になっていますか?


瞳花はまだ隣で笑っていますか?


遙稀はまだバカみたいな事してますか?






今の俺が未来の俺に叶えていて

欲しいことがひとつあります




瞳花との約束をずっと守っていて




手紙なんて苦手なのでここら辺で

やめときます



それではお元気で】




















『何見てるのー?』


「瞳花か、急に出てくるなよ」


『高校の時の授業で書いたやつじゃん』


「見るなよ」


『この時付き合ったばっかりの頃かな?

懐かしいー!!

ねえ、私たち約束とかしたっけー?』



「だから、勝手に見るなよ

覚えてないとかひでえなあ」



『ええ、なんだっけ!教えて』



「やだ」




『けち〜』




「ケチで結構」




2人で顔を見合わせて笑う



大丈夫___

高校生の頃の自分とはもう違う





大丈夫___

しっかり笑える





大丈夫___



ドンッと衝撃がはしる


と同時に温もりを感じる





「急にどうした?」


抱きついてきた彼女の頭を撫でる



『無理しないで』


「やっぱり君には適わないなあ」


頬を冷たい雫が濡らす

溢れて止まらなかった


『遙稀、なんでも出来るくせに

感情表現下手くそすぎ』



「そういう君だって一緒だよ」



撫でていた君の頭は小刻みに揺れていた


ヒックヒックなる頭をただ優しく

何度も何度も撫でた




「君の病気なんて俺が治すから」



ピンポーン



『こんな時間に誰だろう』


急いで涙を拭き玄関へ向かう瞳花





急に玄関先が賑やかになった



「誰が来たの?」



『お!おっす!久しぶり』


『久しぶり、遙稀くん』



「楓夏に、心莉さんかあ

こんな時間にどうしたの」



『2人して辛気臭い顔してるだろうな

って思って』


『こんな時こそ友達の出番!』







懐かしい雰囲気だった


高校時代に戻ったようだった







いや、俺たちきっと本当は

何も変わっていなくて



ただ、大人になったと自分に言い聞かせて

いただけの子供だった





『遙稀、もっと頼れよ』


小さな声で呟くように彼は言う












『ねえ遙稀、私約束思い出した』



「そっか」




きっと誰も知らない自分の世界が

それぞれ皆にあって


だけどそれを共有し合うことだって

皆必要で


その必要さに気づけてなかった俺たちは

まだまだ大人と偽る子供であって





気づけた時俺たちはただ真っ当と

大人として歩んで行くだろう



外の桜は満開に、花開いていた




_約束_

【お互い助け合う為に溜め込まない】

















『遙稀』


「ん?」


『病気治してくれてありがとう』


「どういたしまして」


『よーし、これで私も仕事復帰と

しますか!!』


「どーぞ、俺のサポート

よろしくお願いしますね」



『任せてくださいな』








笑い合う大人2人の足元は

どこまでも桃色が続いていて

見上げた空もどこまでも続いていて




今日も1歩ずつゆっくりと歩いていく

瀬音 蓮叶_・2020-10-11
間違えて消してしまったから
もう一度
ポエム
独り言
小説
コラボ小説
好きな人
辛い
恋の余韻
誰も知らない僕の世界

ーコラボ小説ー
《好き。》

「お前さぁ、もうちょっと笑えって」

笑った顔、

すんげぇ可愛いの知ってるよ。

初めては笑った顔見た時、

こんなに優しく笑えんだって

多分それがきっかけだった。


「お前、優しいやつだよ」

冷めてるように見えて、

困ってる人がいたら無言で助けるし、

道に迷ったばあちゃん助けてたの

ちゃんと知ってる。


「どした?元気なくない?」

時々、いつもより顔色が悪いと

無性に心配になる。

ちゃんと食べてんのか、

ちゃんと寝てんのか、

ふらっと消えそうで儚い。

俺が、お前を繋ぎ止める存在に

なれたらどれほどいいだろう。

…そんなの、無理か。


「あー、もうバカだな、貸してみ?」

俺の幼馴染はあいつと違って

典型的な女子で、友達が可愛いとか

守りたくなるとか

しょっちゅう騒いでるけど

それらの言葉は

あいつの方が合ってると思う。

自分では気づいてないんだろうけど。

あいつが、誰よりも好きだ。


「今日焼肉だってー、家来るよな?」

16年と半年。

あいつと幼馴染だったら、

こんな風に誘えてたのかな。

もっと仲良くなれてたのかな。


なんでだ?

あいつを見ると

初めての感情に揺り動かされて

俺が俺じゃないみたい。

ホントは好きなのに。

全然距離縮まってるように思えないし

どう思ってるかも全然分かんねぇ。

どうしたらいいんだよ。


“あいつが幸せならそれでいいんだ“

そんなこと、言ってらんねーよ。

そんなに優しくも心が広くもない。

自分のことでいっぱいいっぱいで

余裕なんてないんだ。

あいつを幸せにするのは俺がいい。

でも俺じゃあいつは

幸せになれないんだ。

あいつが好きだからさ、

あいつの気持ちが俺にないことくらい

簡単に分かっちゃうんだよ。


何度嫌いになろうとしたと思う?

何度、離れようとしたと思う?

認められないだけ。

俺が、俺の心が弱いだけ。

ホントは分かってる。

ありえない。

あいつが俺のことを好きになるなんて

絶対にないんだ。


所詮、クラスメイトだし。

来年クラス替えしてクラス離れたら

もう話すとこはおろか、

会うことすら出来なくなんのかな?


なぁ、大好きだよ。

めちゃくちゃ好きだよ。

苦しくて苦しくてしょうがないけど

この気持ちは止まりそうにないや。

知らないだろ?

考えたこともないだろ?

俺に好きな人がいてさ、

それもお前だなんて。


好きって言ったら気まずくなるかな?

もう話せなくなるのかな?

あ、そもそも信じてくれないか。

そしたら俺も

冗談だって笑い飛ばすよ、きっと。

そしたらお前は、

まったく、って笑ってくれる?


ホントは何度も好きって言いそうで

気を抜けば口から溢れ落ちそうで

必死に言葉、飲み込んできたんだ。

あいつが俺なんか見てない気づいた時、

誰と話してても同じ表情をしてること、

彼女でもなんでもないのに

勝手に嫉妬して

やきもち焼いてる自分がいた。

そんな自分が嫌で嫌で嫌で。

俺のこと

好きになってくれたらいいのに。

そうやって心の底で思ってる。

悪い子だよな。

そんなん、はるか昔から知ってるよ。

なぁ、好き。

ホントのホントは好き。

なぁ、気づけよ、バカ。


もう、いいや。

どうでもいいや。

どうせ他の知らないやつと

うまく行くんだから、

そしたら俺のことなんて

すぐに忘れるんだから。

だったらちょっとくらい、

爪痕残してもいいよな?

好きって言うくらい、いいよな?

今からお前に会いに行くよ。

これでもう終わりにするからさ、

最初で最後の、精一杯の好き、

伝えさせてくれる?

「なぁ、」


『好き。』


ーーーーーーーーーーーーー
あとがき

こんにちは、蒼葉 伊織です。
初めての小説、初めてのコラボ。
語彙力のなさを痛感した。
まぁ頑張ったんで
良かったら感想((殴

それから涙、コラボ有難う。
俺も下手で申し訳ない、
でも楽しかった。
涙のも是非読んで!

蒼葉 伊織・2020-07-19
伊織コラボ小説
伊織同盟
コラボ小説
小説
片想い
好きな人
夏恋
独り言
ポエム
感想ほしいなぁって

[見上げた空は綺麗だった]

コラボ小説 エンゼルランプ































いつの間にか




吹き付ける風が冷たくなっていた。




日が落ちるのが早くなっていた。




クリスマスに向けたイルミネーションが




夜の街に輝いていた。




クリスマスツリーが夜空を見上げていた。





「ロマンチックだよねぇ、




クリスマスシーズン」





私はイルミネーションを見ながら言う。





「クリスマス何が欲しい?」





隣にいる佐高が聞いてきた。




私は、繋いだ手を強く握る。





「いらないよ。




生きてる予定ないから」
























私はもうすぐ死ぬのだ。




ずっと、死にたかった。




なぜかは分からなかった。




そういう人間もいるのだ。




どうか理解して欲しい。

























のんびりと、色鮮やかに彩られた




冬の街を二人で歩く。




雰囲気に似合わない会話をしながら。





「なんで死にたいのさ?」





佐高のこういうところが好きだった。




無駄に否定しないところが。





「死ぬことに恋してる」





「ロマンチックな回答で」





「佐高は、私が死んだら泣いちゃう?」





「何で泣くの」





私は笑った。





「佐高のそういうところ、私好きだ」





「知ってる」





佐高は人が死ぬことに慣れていた。




姉が自殺したから。




続けて友人も自殺したから。




けれども佐高は泣かなかった。




私は、心がないんじゃないかと思った。




でも違った。




佐高は優しかった。




その優しさが正しいかは分からないけど、




佐高はその人の選んだ道を否定しなかった。




楽になりたいと願った二人を否定しなかった。




だから私は佐高と一緒にいた。




私はもうすぐ死ぬけれど、




生涯ひとりぼっちは嫌だった。





「クリスマスまでには死にたい」





「へぇ」





「今日死のうかな」





佐高は何も言わなかった。




私は佐高が好きだ。




大好きで、愛してる。




風がビュッと吹いた。




寒かった。





「寒いね」





「そろそろ帰る?」





「そうだね」





「送るよ」





ありがとう、と言いかけて、




やっぱり今日死のうかな、と思った。




私は、きっとどうかしている。




理由もなく死にたかった。




そんな毎日を送っていた。




神様はきっと私を失敗したんだ。




私は神様が大嫌いだった。





「ううん、今日死ぬからいいや。




じゃあね、佐高」





佐高は黙った。




そして微笑んだ。





「お幸せに」





まるで死神みたいだった。




佐高は背中を向ける。




私も反対側に歩き出す。




暴走族が走る道路に歩き出す。




どこか寂しくて、




これまた理由もなく寂しくて、




私は振り返ってみた。




見えたのは、猫背の君の背中だった。





















君の心が知りたかった。




無駄に自分を語らない人だった。




常に誰かが一番で




常に誰かの幸せを願っていた。




彼にとっての幸せはなんだろう。




彼は今、幸せなんだろうか。






















私は死にたかった。




理由もなく死にたかった。




これ以上生きたって、




辛いことばかりだろう。




けれども、私は彼の背中に向かって走り出した。




彼が好きだった。




彼を愛していた。




彼も私を愛していた。




だから、彼は私を否定しなかった。




彼は、どんな気持ちだろう。




生きて欲しいと、願っているのだろうか。




















これから先の人生で




死にたいを抱えながら生きていく。




きっと私は傷つくだろう。




辛いだろう。




それでも私は気づいてしまった。




彼の方が、実は何百倍も辛かったんじゃないか。




君は優しすぎる。




生きて欲しいと、言ってよ。




彼のコートの袖口を




そっと引いた。





「佐高は、幸せですか」





君がいるなら、生きてもいいと思えたんだ。















next エンゼルランプ

灰夜 #小説・2020-12-07
コラボ小説
小説
1229.
見上げた空は綺麗だった

〈コラボ小説〉

Sena×沙織


『恋の始まりは』



「じゃあ、端から自己紹介でもしようか」


目の前に座る金髪ピアスのちゃらついた男が、Yeahとでもラップを始めそうなテンションで場を仕切る。


合コンてこんな感じなのね!?


あああ姉ちゃんのばか!


今すぐ帰りたいんですけど!!



事件は1週間前


「はあ?」


家族との団らん


机に並べられたシチューやらサラダやらを囲んで優雅な夕食の最中に起こった。


箸にとった好物のトマトがぽとりと机に落ちる


「だから!合コンについてきて欲しいの!…ね?お願い!」


顔の前で拝むように両手を合わせ、絵に書いたように目をくの字に曲げる姉。



「い!や!だ!」



私の気持ちと同じようにトマトも箸から逃げていく。


結局必死の抵抗も虚しく、気づけば今に至る。おかしい。こんなはずではなかった。


姉の友達が1人ドタキャンした都合埋めに使われた私。


20歳にして合コンなんて、早すぎませんかね?え?


そもそも!彼氏とか必要に感じていないのに、姉の強引さに腹が立つ。


4対4の対面


前に座る男性4人どれも個性的でどれもタイプではなかった。


第一印象は右から


チャラい

絶対ナルシスト

強面ヤンキー

メガネのおっさん


「ねぇ、帰っていい?」


左の姉に耳打ちすれば、ばか!とデコピンが返ってきて渋々黙る。


私が嫌だ嫌だと唸っているうちに自己紹介が女性陣に回っていた。


「柏 春香です。この子の姉です。よろしくお願いします」


左の姉が私への対応とは天と地の差、ふわふわと男ウケを狙った笑みを浮かべていた。

キィとあざとい姉を少しにらみつける。


「か、柏 秋穂です…付き添いでふごっ」


私の自己紹介は姉に口を仕留められ最後まで喋ることを阻止される。


ちくしょう。なぜ名乗らなければならないんだ


私は合コンなんて、興味無いのに!


「秋穂ちゃん?可愛いね」


さぞ自分に酔いしれている右から二番目のナルシストが私に声をかけてきて背筋が伸びた。


「あ、いえ。」


「お。クールな感じ?俺結構好みだよ」


「…」


どうしよう気持ち悪い!なんだこいつ!


眉間にシワが寄らないように注意しながら無理やり口角を上げる。


左に助けを求めれば、姉は私の正面のチャラ男と楽しそうに話をしていた。


くっそ姉貴!!


「すみません。御手洗」


開始5分も経っていないのにいきなり御手洗へ避難を試みた。


体感30分


居心地の悪さがすごい。


20歳OL


社会人2年目


まだまだ合コンだとか彼氏だとか考える余裕はなかった。


もちろん彼氏が欲しくない訳では無いが


こういう所で出会うより、もっとこう、偶然出会いたいなあなんて夢見てしまう。


鏡に映る自分がなんだか寂しそうで不安そうで
少し心が痛む。


そのうち結婚とか、考えなきゃいけなくなるのかな。


小さくため息をついて、御手洗を後にする


「わ」


「大丈夫、すか?」


御手洗を出た先に、1番左に座っていたメガネのおっさんが待ち構えていた。


「あ、はい」


他の3人より年が上そうで、そうだな、30代くらいだろうか。


黒縁のメガネが知的な印象を抱かせ、合コンなんて場にはふさわしくないように見える。


しかし少し目が細く、怖いオーラも持ち合わせている。「漢」という言葉が合うような不思議な。


他の3人とも釣り合っていない。


「付き添いで来たんですか」


「あ、はい」


私の方が遥かに年下だろうに、ご丁寧に敬語を使ってくれるところは印象が良い。


「俺もなんですよね」


「は、はあ」


「だから心配で」


どうやら私がこの場に居づらいことに気づいてくれたらしい。


同じ立場ということもあって、親近感を覚える。


「あの、お幾つなんですか」


失礼ながら とつけ足すと、手で眼鏡を押し上げながら優しく微笑まれる


「30です」


ちょうど10歳差


でもなんかそんなに差があるように感じなかった。


今どき年の差なんて気にする類のものでもない。


何よりちっぽけな私に優しく話しかけてくれたことが嬉しかった。


「帰りたかったんですけど、あなたと話せて良かったかもしれません」


「なら、話しかけてよかった」


にこりと微笑んだ顔がなんだか素敵で


メガネの奥の瞳に不覚にも胸がときめいてしまった。


30歳メガネさんはポケットから小さな紙を取りだし、差し出してきた。


「俺、カフェをやってるんだ」


「カフェ」


なんだかバーとかの経営でもしてそうだななんて勝手に思っていたので意外であった。


手渡された紙を見れば、貴島 健という名前の上に、「ひよっこ」と書かれていた。


「ひよっこ…」


「それがカフェの名前なんだ。ぜひ今度来てください」


似合わない…


名刺と目の前の30歳を交互に見つめる。


これをギャップと言うのだろう。


でも微笑ましくて笑ってしまった。


「ぜひ、お邪魔しますね」


私たちの間を柔らかな風が吹いた気がした。


「喉が渇いたな。戻りますね」


貴島さんはそう言い、先に席へ戻っていった。


一緒に戻ろうとしないところ、なんだか惹かれる。


名刺を眺め、1人口角を上げていると
左から二番目のヤンキーがこちらへやって来た。


御手洗にでも行くのだろう。


会釈して私も席へ戻ろうと足を踏み出すと、ヤンキーはちらりと私の手元を見て


「あいつ、元ヤンだよ」


とニコニコ告げてきたのだった。


元ヤン…


ばっと彼の姿を目で追えば、優しそうな笑顔に強盗やら闇金やらリーゼントやら堅苦しいヤンキーの像を浮かべてみた。


「嘘だ…」


頭をブンブンと振り、貴島さんの背中を追う。


百聞は一見に如かず。


「貴島さん、元ヤンなんですか」


単刀直入すぎただろうか、細めの目が驚いたように開かれる。


「あ、はい」


「あはは」


カラカラと乾いた笑いが喉を抜ける。


別に、怖くなんてないんだからね。うん。

少し驚いただけ。


「昔の話ですけどね。あの頃はやんちゃしてました。盗んだバイクで走ったりして」


あははと笑ってみせられたので反応に困る。


怖く、ない。


「警察にブチって喧嘩したこともありました」


あははと笑ってみせられたので反応に困る。


こわ、くない。こわい。


「カフェ、お伺いしますね」


カラカラと乾いた笑いを見せ、私は1人店を後にした。


「ちょっと秋穂?」


姉の声は私には届かなかった。ことにする。


・・・


元ヤン

あくまで元であり、今は違う。


貴島さんの優しい人柄や笑顔を思い出し、過去なんて考えるべきではない


でもそこには、10年の差と歴史の壁を感じて
不思議な気持ちになる。


そもそも、貴島さんのことを考えている時点で私はおかしい。


さっき出会ったばかりなのに。


頭の中を振り切るように、帰路への足を早めた。


・・・


それから約1週間


仕事中も頭の中には何故か貴島さんがいた。


何がそんなに私の中に引っかかったのか分からないけれど。それがなんだか腹立たしい。


よし。カフェに行こう。


平日最後の仕事を終え、その足で貴島さんのカフェひよっこへと向かう。


名刺に書かれた住所に着けば、それはなんとも「ひよっこ」らしい黄色くてこじんまりした可愛らしい外観であった。


貴島さん(元ヤン)が営んでいるとは到底思えない。


少し息を吐いて重たいドアを開けると、ぴよぴよと鳥の鳴き声のような音が鳴る。


「いらっしゃいませ」


カウンターの中には黄色のエプロンを身につけた貴島さんが立っていた。


胸元にはひよこのワッペンがついている。可愛い。


私はドスドスとカウンター席に着き、真っ直ぐに貴島さんを見つめた。


「この一週間、貴方のことを考えていました。どうしてですか?」


「え?」


周りから見ればおかしな質問だろう。けれど私の中で新しい経験すぎて、モヤモヤが晴れないのであった。


「私もですよ」


貴島さんはニコリと優しく笑った。


どき、と小さく心臓が跳ねた。


「私たちの始まりに、ミルクティーはいかがですか?」


「…はい」


なんだか顔が熱い気がするのは


店内の空調のせいか


それとも…




思いもしない出会いから


思いもしない感情が生まれること


なんだか新しい自分を見つけてしまったようで。



「…いただきます」



しゃくだけれど姉に感謝をしなければならないようだ。









あとがき


大変申し訳ございません!
こんなに納得の行かないお話はありません!

言い訳をさせてください!
レポートに追われていて
とにかく忙しくて

いや私に力がないのが悪いんですけど!!

今回ばかりは感想もいただけない出来栄えでございます。

反省しております。

沙織さんにバトンを渡します。
きっともっと良いお話にしてくださることでしょう…


私は静かにドロンします。

Sena❁・2020-08-01
小説
Sena×沙織❁コラボ小説
コラボ小説
ありがとうございます
違うんです
反省してます
めちゃくちゃ難しかった
過去一納得してない
沙織さんバトンタッチします
良くしてください…
謝罪
恋の始まりは
恋愛小説
senaの小説
senaの短編








【さよなら日記】


瀬在さんとコラボ_













《一日目。


今日から、日記を始めます。


君との、さよなら日記です。》









肺に、穴が開いている


その穴は、段々と大きくなり




時期に、死ぬ





私の歳じゃ、まともな治療が出来ない


延命治療も、ままならない






医者が言ってるのは


そんな事だった






咳き込む日が増えて


息もままならない日が増えて



流石におかしいと感ずいた私は


一人で病院に行った






そして、こう言われた


余命 一年






マンガやドラマである


余命宣告というものだった





私は、死ぬのは怖くない



ただ、君


惺呀を残してしまうのが




凄く、物凄く


苦しいんだ





「ちょ、そこでアイテムあり!?」


「今までのおかえしや!!」






日が暮れ始める頃


約四時間続いた



カーゲーム対決にも


決着が着いた





最終戦で勝った方が勝ち


という、謎ルールを作り



今までの対決結果を白紙に戻し


私達は本気で戦った





ゴール直前


これは勝ったと確信していた私に




惺呀がアイテムを投げつけ





結果、惺呀の勝ち


私は納得がいかなくて




少し、拗ねている



そんな私の

ご機嫌の取り方を



惺呀は完璧把握している




「慰めてやるから、おいで?」






少し上からな言葉と共に

大きく手を広げて




私の方を見る惺呀に



私は思い切り飛びついた





「よしよし。悔しかったね?」



「誰のせいじゃあほ。」




わざと可愛くない言い方をすると


俺のせい?と



可愛げのある声で返ってきた






どこまでもずるい人だな


と、改めて思った





「未来ちゃん!また来てね!」



「お母さんありがとう!


お母さんに会いに来るね!」



「え、俺じゃないの?」





少し拗ね気味な惺呀の声に


私もお母さんも



大爆笑した





「ついでに会いに行ってあげる!」





またまた可愛くない私の言葉に




「俺に会いに来る癖に?」と


少し意地悪な言葉を返された




私は、ばーか、と返して


逃げるように走って帰った




家に着いて


今日も安売りの弁当を食べる




食べれるだけで、幸せだ

そう自分に言い聞かせた




高校一年生 春


お母さんもお父さんも




交通事故で失って


私は、感情が無くなった





無免許運転の車だった




私は今でも車を見ると


怖くて、たまらないから





都会だった家から


田舎のおばあちゃんの家に引っ越した





運命が偶然か


転校先の高校で、惺呀と出会った





LINEを交換して直ぐに


意気投合して





付き合うまではそう長くなかった





幸せだった





そんなある日、おばあちゃんの


認知症が悪化した




そして、老人ホームに入れられた






おじいちゃんは、もう居なくて


私は、一人になった




親戚のおばさんが


学費を払ってくれていて



家にもたまに手伝いに来てくれるけど






流石にご飯代も病院代も


出してもらうのは申し訳なくて




私はアルバイトを始めた





惺呀に言うと


「俺もそこに行く!」と



同じバイトにしてくれたから


別に苦ではない





ただ、ただ少し


一人で食べるご飯が寂しいだけだ





私はご飯を食べ終え


簡単にシャワーを浴び




扇風機の前で寝転がった




小さいノートを開き


シャーペンで、文字を書いていく






《二日目。


幸せだった。幸せ過ぎた。


別れるのが嫌、になった。》







「…ふぅ。」




一行にも満たない


簡単な日記





この小さなノートを埋め尽くす程


生きる事が出来るだろうか




そんな馬鹿らしい事を考えながら


目を瞑る




私が死んだ世界、か







ずーっと考えていると


いつの間にか眠っていた




気付けば、朝だった





「…喉痛いな。」




これが、扇風機のせいなのか


病気のせいなのか




そんな二択を考えて


いやいやいやいや、と




どちらの二択も消した




夏休み真っ只中


朝起きてする事は勿論




”スマホ”



”ポテチ”



”ゲーム”




課題なんぞ知らん


私は、この子達が居れば



幸せだ




《未来ー。明日浴衣着る?》




何となくスマホを弄っていた時


惺呀から連絡があった




明日、明日、明日??




《ん???明日??》





私は思わず


思った事をそのまま送ってしまった




既読がついてから考えた




”夏祭りじゃん”




そして、この答えが出てきた



《夏祭り。どーする?


俺、未来に合わせようと思う。》




そんな、まさに神返答に




《着ない。着付けする人居ないw》





と、適当に返した自分を


脳内で何億発か殴った




数分後




《浴衣ある?》



そう返ってきた



《多分無い。》



そう答えると


まさかの返答が来た




《分かった。今から買い行こ!》





準備して待ってろ、との事だった


私はお小遣いをかき集めて



少しオシャレをして

惺呀を待った




「お待たせ!よし、行こ!」


「んー、うん!」




私と惺呀は


当たり前のように手を繋いで



近くのショッピングモールに来た




「これいい!安いし!」


「却下。露出度高い。」




「んじゃ、これ!」


「却下。お前にゃ似合わん。」



「なんじゃそら!!」







「んじゃぁ…これ!!」


「却下!!ブカブカすぎる!!」





私はなるべく安くしか考えてなくて


柄などは何も見てなかった



そのせいか、聞く度全て


却下と言われた




「惺呀選んでよ。」




私は等々折れて、そう言った




数分後、青薔薇の描かれた


綺麗な浴衣を持って来た




「これ、着て欲しいかな。」



惺呀は、めちゃんこ真面目な顔


だけど、私は脳内パニックだった




は、はっせ!?!


8500…!?




「ち、ちょっと…高すぎる…かなぁ。」




ははは、なんて笑って言うと



「いいじゃん。俺が出すんだし。」




と、笑って惺呀は言った


俺が出す…俺が出す!?!



「え、え、え、え、??


いいよいいよ。私出すから!」




「ん?いいよ。俺が出したい。


しかも、俺が着てって頼んだんだし!」




その後も、何回か聞いた


本当に??本当にいいの??と



その度惺呀は答えた


「気にすんな!」と




税込 9000を超えたそれを


私はめちゃんこ大切に持った



ハエ一匹、蚊一匹

触れさせてたまるかと



鉄壁のガードで守った



着付けの心配をしていると


着付けはお母さんがしてくれる



と、惺呀は言った




何て、優しい人達だろう


私は改めてそう思えた




家に帰って、浴衣を羽織ってみた


少し大人な柄だけど



やっぱり、可愛かった




相変わらずな弁当を食べ


特等席の扇風機前で



さよなら日記を書いた




《三日目。


じゃがじゃん。三日坊主の私が


何と三日目を迎えました。


相変わらず幸せです。それと


9000は高過ぎました。大好きです。》






もう時期死ぬなんて


そんな事、思えない程



元気で、幸せで、笑えてる



明日も、その先もずっと


このままならいいのに




私は、柄にもなく


声を上げて泣いた




泣いて、泣き疲れて


朝起きた時、さよなら日記は



びちゃびちゃだった




《未来!もう少しで来る?》


《あと少しで行く!》





最後の夏祭り


私は、楽しみたくて



自分なりの化粧品や

オシャレな髪飾りを



片っ端から詰めて

9000の浴衣を



めちゃ大切に持って家を出た




惺呀の家の前で

少し息をつき



チャイムを鳴らす




「お待たせっ!」


「未来!めちゃ可愛いやん!」




ドア開けて三秒

後ろにお母さんが居るにも関わらず



惺呀とハグをした




「ちょっとー、イチャイチャするのは


夏祭り行ってからにしなよねー?」



少しからかい口調な

お母さんの声に


私達は笑った



「さっ!着付けするぞー!」



お母さんは張り切って

腕まくりなんかしちゃって



本当、可愛いお母さんだと

改めて思った




着付け中、キツくない?とか

ブカブカかなぁ、とか



とにかくお母さんは

気遣ってくれた



「やー!!可愛い!!


写真!!写真撮らなきゃ!!」





着付け終了後


部屋に入って来た惺呀とお母さんの



私撮影会が始まった




連写の音が鳴り止んだのは


少し経ってからだった



何とか、お祭り会場について

初めに焼きそばを食べた



「んー。」


一人もぐもぐ食べていると

惺呀が横から口を開けて来たので




「ほいっ。」と

惺呀の嫌いなピーマンを投げてやった



すると、避けていた人参を手で取り

私の口に投げて来た



まさに子供だと思った



金魚すくいで、私はゼロ匹なのに

惺呀は19匹も救った



「19匹分名前考えなきゃな!」



なんて言っていたら


「この中から五匹選んでね。」




と、屋台のおばさんの

意地悪そうな声が聞こえて



一番元気なの五匹を選んだ




いいなぁ、なんて言っていたら


惺呀が、やる!とくれた



やっぱ、好きだな



と、改めて思った




何やかんやで


もう花火が始まる時間になった



「あっこ!あっこ行こ!」


「ちょ、走んないでよー!」



子供のようにはしゃぐ惺呀に

私は振り回されてばっかだけど



やっぱり、楽しい



「ねぇ、そのお面いつ買ったん!」


「これ?可愛いだろ!」



最新のお姫様アニメの仮面を


自慢そうにつけている惺呀に



私は笑いが止まんなかった




途中で咳き込んだ私に


惺呀は大丈夫??と






心配そうな顔をされたけど



何とか、バレずに済んだ




「あ!花火!花火上がった!!」



「うわ、うるっっさ!」



「でも綺麗じゃん!」



「未来が??」



「え??」





「ん??あ。」








あまりにも自然に出てきた言葉は



どうやら、無意識に出ていたようで






惺呀も私も、トマトのように赤くなった







「ね、チューしちゃう?」


「しちゃうって何や!」





花火後半

突然の惺呀の言葉に





プッと吹き出してしまった


でも、惺呀は真面目な顔で




「したいって事。」



と、それだけ言ってそっぽを向いた




「いいよ。」






その私の言葉に


え?と返した惺呀の唇に






甘い、口付けをした






「不意打ちずっっる。」


「へへっん。勝ったね!」




「へへっん。負けたわ。」








少し、てかかなり恥ずかしかった


でも、かなり甘かった




夏祭りからの帰り道、少し離れて歩いた


不思議とその間も苦じゃなかった





着付けの時使った物は


後日返す事にして



私は家に帰った



もちろん、惺呀は送ってくれた




別れる時にもキスをして


幸せメーターは最高潮になった




帯を緩めて




浴衣をそっと脱いで

髪飾り等を外した







ラフなTシャツ姿になって


扇風機前で寝転がる





さよなら日記を開いた


涙に濡れ、カチカチだ








《四日目。


夏祭り、楽し過ぎた。


少し死ぬの怖くなったかも。》





簡単で


でも、本音の



日記を書いた



もっと詳しく書いて思い出すと


泣いてしまいそうで



それ以上書けなかった





貰った五匹の金魚は


元気そうに水槽を泳いでいる





どうか、この子達が


私が居ない未来でも




生きて、居てくれますように




ふぅ、と息を吐きながら


その日は眠りについた





次の日、お母さんにお礼と

飾り物等を返した



その時にまた、カーゲームをした



幸せだった





そして、またさよなら日記を書き

寝て





書き、寝て

書き、寝てを繰り返した








金魚が、みんな亡くなった


名前もつけてやる事が出来ないまま






私が行く先に


行ってしまった








無性に悲しくなった


また、泣いた











ある日、咳が止まらなくなった


雪が降り出す頃だった





最悪にも、学校でそうなり


私は緊急搬送された




「未来さん。肺の穴が


2cm、広がっています。



入院も視野に、考えておいて下さい。」





等々、終わるんだ



そう、思った




その日の日記はこうだ



《157日目。


もう無理らしい。


惺呀にさよなら言わなきゃ。


ごめんね、惺呀。大好き。》





すっかり色褪せた


ノート帳





今思った


このノート、誰が渡すんだ




私、馬鹿じゃん



燃やすのもな、と考えた私は


思い切って、お母さんに打ち明けた





《分かったよ。未来ちゃん。


惺呀に渡す。ごめんね気付けなくて。


本当に悲しいよ。何で未来ちゃんが、》





お母さんは、本当に優しかった


そんなお母さんの優しさに



思わず、押さえ込んでた涙が


ぽろり、ぽろりと溢れた





私は、惺呀のLINE返信速度を


かなり遅らせた




学校でも無視した日もあった


とにかく、最低な事をした




その度、さよなら日記には




”死にたい”の文字が増えた






ある日、惺呀から


”別れよう”と言われた




嫌だ、行かないで





何て言えなくて


うん。と、それだけ返した





《200日目。


今日から入院。


思ったより長く生きてられた。


でももう、本当に終わりだ。


死にたい私、良かったね。》






入院する前の


最後の日記だ






震える手を何とか抑えて書いたから


文字が、汚かった





人工呼吸器がついた


それでも、息がしずらい





点滴が刺された


思ったより、痛くない





ただ、さよなら日記が書きにくい






《218日目。


もうすぐ終わる。


その前に、ラブレター書くから


惺呀、ちゃんと読むんだよ。》






最後は、最後だけは


ちゃんと、普通の私が書くの




だから、だから


人工呼吸器なんて、要らない





点滴なんて、要らない





病気なんて、要らない





息が苦しくたっていい


それでもいいから



惺呀に、分かって欲しい





本当に好きなんだよって



世界一好きなんだよって





分かって






分かってよ、









《惺呀へ。



お母さんから聞いたかな。


お母さんには本当に悪い事したな。



本当に、ごめんなさい。



私は、もう時期死んじゃいます。


チューも無理です。ギューも無理です。



ずっと別れなきゃって思ってたから

振ってくれた時は嬉しかった。



ありがとう。そして、ごめんね。



新しい人と上手くいく為に


治さなきゃな所、書くね。



って、無かったw



私は全てに惚れたから


あるはず無かった。



ダメだ。息が、苦しいよ。


最後の最後に、弱音書かせて。




会いたい、惺呀。会いたい。


めちゃんこ会いたい。



ギューして欲しかった。


本当は、振って欲しくなかった。



最後までこんな事ごめんね。



大好き。幸せになってね。》




矛盾しまくった手紙を書いた




ふにゃふにゃで


涙でビシャビシャの文字だ






書き終わった時



もう、私に体力は無かった


ただ死が来るのを待つだけだ






「…未来!!!!」






ほら、幻聴が聞こえる


何なら、幻覚まで見える




って、あれ、


本当に、居る











惺呀??惺呀なの??




「ごめ…本当…に…っ。


母さん…から聞いた…。



ねぇ、何で…言わなかったの、?



俺、俺…っ、頼りない??


だよな…頼りない…よな。



言えない…よな。」




「…そんな事、言わ…で。」





惺呀、惺呀


惺呀、惺呀



君は、私が愛したんだもん


誰よりも、最高なのに





「大好き…っ、別れたくなかった。


別れたくなかったよ、俺…。



でも…っ、未来の、みら…の、


幸せをとか…言って…っ!!」





惺呀は、崩れた


いつの間にか居たお母さんも



先生も




みんな、泣いていた





そっか、嫌われて、なかった、




「泣かな…で。


大好き、もっと…言って…?」





「無理だよ…俺に、言う資格…っ。」







お願い






「惺呀…、最後の、お願い…っ。」






もう少し






「…む…りだ…よ…!」






あと、少しだけ





「…おね、が…。」





生きて、いさせて





「…大好き、だ…!」




「…わた…も。」








惺呀の優しい匂いに包まれて


私は、眠りについた







惺呀が、あの日記を読んだのか


それは分からないけど




今は、これだけ言いたい









惺呀


またね






私は、遠い未来を目指して


また、歩き出した





end

Raimu コラボ小説完成・6時間前
小説
互いを照らせ
感想下せぇ
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病気
その一言だけで
さよなら日記
カップル
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日記
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死にたい

[逃避行.]

後編

コラボ_紫翠玲 灰夜















虐待。




最近聞きなれた言葉だと思う。




例のそれを父から受けていた俺は




祖母の家に逃げ込む。




ちなみに祖母は亡くなっている。




ついでに家の鍵は壊れている。




その家で、岬と出会う。




同族の目をした彼女は




虐待を受けた傷がよく目立っていた。




「どうしてここにいる?」




俺は聞いた。




「救われる気がしたの」




岬は答えた。




「あなたの傷もすごいのね。

全身赤色よ。

誰から?

私は義理の父よ」




「本当の父親だよ、俺は」




彼女は笑った。




「可愛そうね」




どうしようもない人間の




狂ったような笑い。




泣きそうに発した「可愛そうね」。




俺も笑ってやった。




「家は近くなのか?」




「うん。

ばれるのも時間の問題かな。

でも、しばらくは大丈夫そう。

ねぇ、柴崎君、ここにいてもいい?」




「別にいいよ」




岬は微笑んだ。




安心したのか、




後で静かに泣いていた。



























俺には先輩がいる。




優しい女性の先輩。




雪の日、血だらけで、




先輩に会いに行った。




先輩は眉を下げて言った。




「柴崎君、怖いよ……」




世界一綺麗な先輩は




世界一綺麗な涙を流してそう言った。




「私に何ができる?」




「何もできません」




先輩は俺を抱き締めた。




「柴崎君、好きだよ。

大好きだよ。

ごめんね。

守れなくて、ごめんね」




俺も好きです、先輩。




でも、俺は、生きたいから。




ここにいるわけには行かない。




逃げなきゃならない。




父から、逃げなければ。























そして今に至る。




岬は寝た。




隣でスマホを弄んでいると




LINEが届いた。




先輩からだ。




》大丈夫ですか。




それだけだった。




俺は、泣いた。




会いたい。




なんで、愛する人と、




一緒にいることすら出来ないのだろう。




殴るなら生むな。




蹴るなら育てるな。




小さいときに死なせてくれれば良かった。




幼いときに消してくれれば良かった。




どうして自由はないのだろう。




「自由になりたいよ」




ふと、隣から声が聞こえた。




「岬」




いつの間にか起きて、




俺の肩にもたれていた。




「生まれてこなきゃ良かったね。

死んどけば良かったね。

こうなることがわかっていれば

私は生まれてこなかった。

自由がほしい。

どうしようもないんだね。

ははは、

どうしようもねえ世界」




彼女は俺より弱く見えた。




「独りぼっちだ」




彼女は、




自分に向けてその一言を放った。




俺は彼女にキスをした。




「ごめん。深夜テンション」




「それだけでファーストキスを

奪わないでよ」




「ごめん」




二人で抱き締めあった。




独りじゃないと、




確認したかったのかもしれない。



















朝日が昇った。




「独りにしないで」




俺は無視して家を出た。




「バス停で待ってるからっ」




岬は叫んでいた。




「また、明日ね__」




岬の声が消えた。




》会いたいっていったら、怒りますか




先輩からのLINEだった。




「会いたい人がいるんだ」




俺は先輩のもとへ戻ることにした。


















「先輩」




「柴崎君」




先輩は泣いていた。




「独りには慣れていたはずなのにね」




先輩は片親で




家には独りらしい。




本当にどうしようもない世界だ。




「私より辛い人がいるのに。

あなたみたいにね。

でも、私、弱いみたい。

会いたくてたまらなかった。

柴崎君、私と逃げよう。

一緒にいよう。

もう行かないで。

置いていかないで」




はい。




そう言いかけた。




重なった。




岬がいた。




実際にはいない。




そこには先輩がいる。




岬は今、泣いてるだろうか。




俺は知っている。




岬の苦しさを知っている。




先輩の寂しさを知っている。




「先輩の親は、あなたを愛してると思いますよ」




「知ってるよ」




「帰ってあげてください」




「柴崎君がいいよ」




俺は微笑んだ。




「好きでした、先輩」




頭のいい先輩は察したようだ。




「誰がいたの?」




「岬という、女の子がいました」




「守ってあげてね」




「はい」




「帰ってきてね」




「はい」




「生きててね」




先輩は僕の背中を強く叩いた。




大好きだよ。




先輩はそう叫んでいた。




ごめんなさい。




守りたい人が、できました。




























雪が降る。




まだ完治していない傷が痛い。




バスに乗る。




目的のバス停まで、




速く、速くっ__。



















「柴崎、君?」




岬が待っていた。




焦った。




知らない男の人が、隣に立っていたから。




岬の髪をわしずかみにし、




岬は座り込んでいた。




「岬っ!」




慌てて降りて、




男を殴る。




弱い僕じゃ男の手が岬から離れるくらいだった。




岬の手をつかんで、走り出す。




「一緒に逃げよう」




後ろから男は追いかけてくる。




だんだんと距離は縮まる。




「逃げきれないよ」




岬は諦めたように笑った。




「逃げ切るんだよ」




丁度来たバスに飛び乗った。


















「これからどこにいく?」




椅子に座ると、安心感に包まれた。




「どこでもいいよ」




「警察?」




「それはまだ先がいいかな。

柴崎君と、自由に生きたい。

まだしばらくはね」




やっと。




やっと自由だ。




逃避行の始まりだ。







END

灰夜 #小説・2021-01-02
小説
逃避行.
コラボ小説
1229.
虐待

[ヒロインを夢見た話]

前編

コラボ小説 沙織様





















老けたな、と思った。




四十になったこの歳、




僕は年に似合わない恋をした。

































サラリーマン。




副業として、映画を作っていた。




映画部。




お金なんて全然稼げない。




そもそも、ここにいる映画部全員




売れるか売れないかなんてどうでもよかった。




純粋に映画が好きだった。




だから、毎日毎日古い家に集まっては




パソコンと向き合って映画を作った。




アニメーション映画。




「珠川さん、次の映画の案です」




「ありがとう、冨永さん」




「あ、珠川さん、今日飲み行きません?」




「おお、いいね」




「ありがとうございます」




頭を下げて過ぎていく。




冨永優子さん。











































おばさんになったな、と思った。




二十九の歳、




絶対にしてはならない恋をした。





















「ねぇ、珠川さん」




「なに?」




「私、映画が好きです」




「知ってる」




飲みに来ていた。




誘った理由なんて一つ。




珠川さんが好きだから。




だらだらとお酒を飲みながら




適当に会話を繋ぐ。





























酔いすぎて、




家に帰るとすぐに眠った。




夢の中で、いつかの医者の声が聞こえた。




「残り、もって一年弱です。




そろそろ入院になります」




「分かってます」




これが、私の運命なんだ。












































冨永さんはよく聞いた。




「ねぇ、珠川さん」




「なに?」




「映画は好きですか?」




「もちろん」




僕は決まってそう答えた。




今日は続きが紡がれた。




「私も映画が好きです」




「知ってるよ」




「私、ヒロインになりたかったんです」




その後も、




彼女は意味を教えてくれなかった。






















十二月の半ば、




「富永さん、冨永さん?!」




富永さんが倒れた。




















「一年なんです。




もうすぐ死ぬんです」




富永さんはそういった。




映画部の仲間たちは皆泣いた。




僕も泣いた。




富永さんは言った。




「珠川さん。




早死する女の子も、ヒロインを夢見るんです」






















僕は、君の映画を作るよ。










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灰夜 #小説・2020-12-11
コラボ小説
ヒロインを夢見た話
小説
1229.

[雪の記念日。]

後編


コラボ小説 宮古 ふゆ


※大人要素あり。

 苦手な方は御遠慮ください。



















広大に連れられ




私たちはホテルに入った。




ドキドキした。




ありえないくらい心臓がうるさかった。




広大が好き。




でもね。




私は、普通じゃ嫌なんだよ。

























ドキドキしたまんま、




交代でお風呂に入った。




冬は日が落ちるのが早い。




ベッドに並ぶ頃には




空は真っ暗、




夜景が眩しかった。




「杏」




広大がキスをする。




大好きだ、なんて思う。




「杏、大好きだよ」




「私も、広大が大好きだよ」




広大の手が、ゆっくりと、




優しく私を包んでいく。




「ねえ、広大」




「ん?」




「私、広大が好きだよ。




大好きだよ」




「うん。俺も杏が好きだよ」




「でも、私それだけじゃ嫌」




広大は不思議そうな顔をした。




寒くなって、




目の前の広大を抱きしめる。




「私、欲張りだ。




いつか、三十を超えて、




五十も超えて、




例えば七十歳になった時も




私はちゃんと愛して欲しいの。




今だけの、期間限定の愛は嫌なの。




ねぇ、広大。




広大は、もし結婚しても、子供が出来ても




おばあちゃんになって




ブスになっても




変わらず私を愛してくれますか」




欲張りだ。




でも、私はそうじゃなきゃ嫌なんだ。




「広大」






















「いつか、じじいとババアになっても




俺は絶対、杏が好きだよ」























思わず泣いてしまった。




嬉しかった。




私の全てを、受け入れて貰えた気がした。




「ありがとう」





「当たり前じゃん」




信じてなかった。運命の人なんて。




それでも、今目の前にいるなら




信じる他ないよね。




広大、私の、運命の人になってくれてありがとう。




神様、運命の人に、出会わせてくれてありがとう。









END

灰夜 #小説・2020-12-09
コラボ小説
雪の記念日
12131203
ふゆと、よるのコラボ小説。
小説
1229.

【逃避行.】

ー玲・灰夜コラボ(前編)









いたい。



焼けているように

体中がいたくてあつい。


闇の中で光る携帯に

そっと手を伸ばす。

起き上がるのも

おっくうだ。


幸い、手を伸ばせば

届くところに

携帯があった。

どうやら

起きなくても

いいらしい。



怠惰だと思う。

まあ、許してくれ

だって体中がいたい。


誰に向けたかも

分からない言い訳に

知らず笑みが零れた。






新着メールは2件

一瞬迷って

下の方に指を滑らせる。

指紋が認証されずに

パスコード画面に移った。



乾いた血のせいか

機械はこの指を

俺のものだと

認めないらしい。

チッ

舌打ちが零れる。



"…こわいよ"

普段より少し下がった眉の

先輩の顔が浮かんだ。




大好きな大好きな先輩

夕日が差し込む部室で

困ったように笑う先輩

背中から入る光が

先輩の髪を赤く染めて

すごく綺麗なんだ。

他の誰にも

見せてやりたくない。

すごくすごく好きだ。


でも俺はこんなだから。

ごめんね先輩


俺さ。


もっとずっと



悪いやつなんだ。






返してないメールを

ふと思う。

いつも通り。

普通の青春。



ああ、ああ。

なんて馬鹿らしい。

にこにこしてれば

誰も何も疑わず

知ったところで

どうしようもない。

知って欲しいのに

知らないで欲しい。

知らないでくれて

嬉しいはずなのに

平和なメールに

ひどくむしゃくしゃする。



今日はどうも機嫌が悪い。

まあ原因は

分かっているし

これもいつもの事だ。

あいつは手は出してくるが

満足したら

すぐに出ていく。

それにこんな日々だって

今日限りだし。


最低な親だが

おかげでこの計画も

実行出来るという訳だ。

恨みしかないが

今日ばかりは

笑えるような気がした。




「時間か」

重い体を

ゆっくりと起こす。



今日俺は、

いや、俺達は。

新しい世界に

逃げ出しに行く。











俺が彼女、

岬と出会ったのは

祖母の家だった。

ひと目でわかる

同族の目。

首から覗く青黒い跡。

どうしようもねえ人間は

そこら中に居るらしい。


「どうしようもねえ世界」

ほとんど声に

ならなかった言葉を

それでも拾ったらしい彼女は

初めて笑ったかのように

口角を上げてみせた。



「どうしようもねえ世界」

今度は心の中で呟く。

へったくそな笑い方だし

特別綺麗でもない。

好みのタイプなんてものは

あってないようなものだけど

まあ確実に好みではない。

だってこいつ

先輩と真逆なタイプだし。

それでも俺は

こいつの下っ手くそな笑顔に

無性に手を伸ばしたくなった。




だってきっと

それを望んでる。

俺も、…こいつも。

愛なんて

お綺麗なものじゃない

俺らの逃避行計画は

そうして生まれた。











誰かが言った。
「人は自由である」と。







俺は言った。
「自由なのは心だけだ」








先輩は言った。
「自由は苦しいものだ」








岬は言った。
「自由なんてものがあるなら

私は生まれてなんてこなかった」












どうしようもなかった。

俺は自由に生きたかった。







どうしようもなく




俺たちは自由に




生まれたかった。










雪が降る。

傷に触れた雪が

雫に変わって流れていく。

急がなければ。

遠くに見えるバス

それに乗れば

岬との約束の場所へは

そんなにかからない。




光るあの場所まで

1歩ずつかたく

踏みしめながら歩く。










"__しさきくん。

また明日ね"








闇が広がる

背中の先で






夕日のように暖かな

あの人の声が

聞こえた気がした。




(前編)完



NEXT_灰夜

紫翠 玲 小説・2020-12-30
小説
コラボ小説
逃避行.
こんなでごめんなあ
感想貰えたらうれみ
独り言
君と会えるその日まで
好きな人
story.

ある人とのコラボ小説

タグ見れば分かります。

物語はお相手様が考えてくださいました

では、第一話。

↓↓スクロール






【君と見た夜桜】

No.1  by 夜

























ハルノ レア
春野麗蒼。


私の隣には、誰もいない。


沢山居たんだ。


明るい、楽しかった日々を、

ともに作った友達が。






皆、此処には居ない。

行方不明。
      ルイ
眠ったままの琉依。

三年前、突然の、ある事件。




私たちは離された。


私は独りだ。




ねえ。
ミツハ
光華、

ルイ
琉依、

ミア
美蒼、

モア
桃蒼、

ココネ
心音、

サク
朔。




信じてるから。


必ず、会えるよね。


また、必ず。


私は、まだ咲いたばかりの

夜桜を眺めて、涙した__。





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夜・2020-07-26
君と見た夜桜
小説
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コラボ物語
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〈コラボ小説〉

Sena×沙織




『恋の始まりは』








「バカ女。」



目の前には怖い顔をした貴島さんの姿があった。



逆上ること一時間前、
私は、またカフェ、ひよっこに来ていた。



「いらっしゃい、秋穂さん。」


「こんにちは、貴島さん。
また来ちゃいました 笑」



相変わらずのまぶしい笑顔。
この人なら……



「今日は何にします?」


「メロンソーダ、お願いします。」



五分ほどすると、メロンソーダが出てきた。
緑色のソーダの上にアイスが乗っていて
すごく美味しそうだった。





* * *





私達は世間話を楽しんだ。



「ありがとうございました。」


「また来ますね!」


「はい、ぜひ!」



私はカフェを出た。
そして家へと続く細い路地に入った。



「よー、ねーちゃん。俺達と遊ばねぇー?笑」



タチの悪いナンパ男三人だ。
今すぐコイツらの股を蹴り上げたくて堪らない。



「イマドキナンパって流行らないですよ?」


「あー?ちょっとこっちに来てもらおうか?
なあ、あの倉庫空いてたっけ?」


「ああ、女の子を無理やり襲うところですよね、
はい、空いてます。」


「お前っ…!!」



真っ黒確定……


逃げなきゃ、でも腕を掴まれてるし
どうすればいいの…



「うわぁー引くわー…」


「っ、誰だ!?」


「いやあ?ただの通りすがりの元ヤンですよ。」



貴島さんだ。


助けに来てくれた…!



「なあ、秋穂さん。
俺、ヤンキーの血が騒いでしょうがないんだけど
こいつらやっちゃってもいい?」



そう言いながらも、
貴島さんはポキポキと拳を鳴らして
やる気満々だった。

ヤンキー部分が出てるよ、貴島さん…



「別にいいですよ。」



私はニコニコ笑顔で答えた。



「ちょっと、おねーさん助けてよ!」


「貴方たちを助ける理由なんてありません。」


「ってことで、ボッコボコにしていい?
まあ、ダメって言ってもやるけど 笑」


「ちょ、まてやめてくれ!」


「男なら堂々と勝負しようぜー!?」



貴島さんは思いっきり男達に飛びかかった。
そして、一分ほどで三人全員を倒してしまった。



「つ、強い…」


「ふー、楽勝。」


「ヤンキーだったのは昔の話なんじゃ…?」



私は震える声で尋ねた。



「まあな、今はちょっと更生した。
てか、角曲がる前に
もうちょっと警戒しろよバカ女。」


「ばっ!?馬鹿じゃありません!
ほとんど更生してなくないですか!?」


「うるせーな。はぁ………好きだ。」


「え?今なんて…」


「あ……あ、本音が、あ、っち、違うなんでもない!!」


「好きって言ってましたよね?」


「お、お前のことじゃない!」





* * *





半年後……なんやかんやで
私にはツンデレな彼氏ができた。

貴島 健さん。

あの元ヤン黒縁メガネだ。


そして今、私達は
姉の協力のおかげで同棲ができている。

私も仕事をやめて、
カフェ、ひよっこ で働いている。



「く、苦しいよ健さん。」



今私は苦しいほどに
後ろから抱きしめられている。



「充電だ、充電。」


「はいはい、甘えたい気分なんですよね。」


「違わい!」


「健さん、大好き。」



こうやって突然愛情を示すと…



「なっ、えっ、何言ってんだっ」



意外と言われ慣れていないのか、
めちゃくちゃ照れる。


健さんは私の首に顔を埋めた。
顔の熱が首に伝わる。



「照れるからやめろっつってんだ」


「はいはい、分かってますってば。笑」



私達は今でも仲良くやっています。

































-------------------------------------

下手ですね、分かってますよ、はい。


言い訳させてください。


これが私の実力なんです!!


ね?


これが、私の、実力なんです!!(((二回目


下手すぎて自分でも泣ける(´;ω;`)w



Senaさんのご期待に


応えられましたかね…?


またコラボしたいな、


なんて思っています。


Senaさん、


コラボありがとうございました!

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