#ダイヤの指輪

｢あげようか？｣


思い立って聞いてみた。



｢そういうのが一番嬉しい｣



その言葉があったかくってえ
あんたに俺のつけてる
指輪あげることにした。



シルバーのリング
ずっと身につけてる理由は
願掛けだったんだよ


あんたと逢いたくて
逢いたくて逢いたくて
再会を願いながら


ふらっと入った店で
このリングを買った


風呂と寝る時以外
ずっと身につけてた


あんたとまた逢えますように
毎日のように願って

あんたとまた逢えますように
何年も祈り続けた


もう俺には必要ない
だってえあんたと再会出来たから。

なあ、あんたにあげる。
願掛け効く神リング
今度はあんたが願ってて？


俺と抱き締め合えるように。



俺のお気に入りのピアス
何のことは無い
クリスタルジルコニア

何故だかふたつあって
俺は一個で充分だから

無くしたらもう一個
使えばいいかってえ
思ってたけど


物持ちはいい方なんだい
ずーっとそのまま余りのピアスは
片割れなくして寂しそうだった


でえもさわかったんだ
あんたと分け合うためだったんだあね


｢いる？｣
｢いる｣
｢つける？｣
｢つける｣

じゃああげる。


なあ、
仕事落ち着いて逢えるようになったらさ
隣同士に座るあんたと俺の耳たぶで
揃いのジルコニア、早く光らそうな



俺はその日までずっと
あんたの側で笑ってっからさ。




あんたの誕生日と
クリスマスプレゼント


昨日、探しに出かけたんだ


あんたおしゃれさんだから
アクセサリショップ入っては
1個のピアスを買ってぇさ

三ヶ所目で
やばい、ピアスだらけになる
ってえ気ぃついた


それでなくても作ってた
ピアスもあんのにさ。


店見渡したら
ふと目に入る指輪コーナー


まだ早いかなぁなんて
思ってた指輪……買ってみよっかな


｢指輪のサイズ何号？｣
聞いてみた

普通に答えてくれたけど

あとから聞いたら
すっごい照れてたらしい


なぁ、今はごっこみたいな指輪しか
買ってやれないかもしれないけど

いつかケースに入った、ダイヤの指輪
あんたの左の薬指にはめさせてくれるか？



あんたとずっと一緒にいたいんだ
あんたがいなきゃ駄目だから。

ダイヤのような月が輝く夜、

「月が綺麗ですね。」

君が僕を選びますように、と
そっと、ポケットの中の
ダイヤの指輪に触れた。