はじめる

#低クオリティ注意

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全39作品・

「ラブレター」



私の兄は、片想いをしている。


「ねぇ、もしかしてそれ…」

「っ!」

慌てたように隠した兄の手元からは、
白い便箋と書きかけの文章が見えた。


「やめときなよ、
どうせ燃やされるだけなんだから」

兄の手紙が、
想い人へ届いたことは一度もなかった。


「…直接届かなくても、いいんだ」

優しい目をして、遠くを見つめる兄。


どうして?という疑問ばかりが頭に浮かぶ。

そんな私に気付いてか、
兄は手紙を書き終え封筒に入れると、
少しだけ話をしてくれた。


「彼女にも、好きな人がいるんだ」

「でも、出会って半年も経つのに、
まだ挨拶すらできてなくて」

そんな彼女の不器用なところを、
兄は"可愛い"と言う。


「だからさ、もし僕の手紙が、
切れ端でもいいから、
彼女に見つけてもらえたら…」

「そんな奇跡が起きたら、
彼女を勇気付けられる気がしない?」


つまりは、願掛けということ?

でも、それじゃあ…。

「兄貴の恋は、叶わないじゃんか」


失恋するために手紙を書くなんて、
頭おかしいんじゃないの?

兄は、そんなことを気にしていないような
清々しい顔をして、封筒を空高く投げた。


宛先は彼方。

美しく輝くあの青い星。


兄の手紙を乗せた封筒が、
あともう少しで届きそうなところで、
パチパチと炎に包まれていくのが見える。


「だから、やめときなって言ったのに」

思い通りの結果に不満を溢した私に、
兄は得意げにこう言った。


「ねぇ、僕の出した手紙が燃えること、
彼女たちの星の言葉で何て言うか、知ってる?」




∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴




あ…。 流れ星。


うん。


明日は、早く学校へ行こうかな。


そうしたら、君と二人きりの教室で、

"おはよう"って、きっと、言えるかな…。

koto・2021-11-23
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
伝わるかな
流れ星
46音逆走ショートショート5

「炎天エキストラ」



演技なんて、したことねーし。


「まあまあ、そう言わずにさ」

半ば強引に連れてこられた舞台裏、

演劇部の部長様は、
とんでもないことを言い出した。

「君らには、うちの姫に告白してもらうよ」

なんでも、
姫を慕う兵士の数が足りないんだとか。

切り替わった音楽を合図に、
俺たちは表に放り出された。


『今日も美しいです、姫!』
『私を選んでください、姫!』

え…。

平然と仕事をこなす仲間たちに、
驚きが隠せない。

お前らも演技素人だよな?
台本もねーのに、なんでできんの?


突っ立ったままの俺に、
"お前も行け"と、目線が送られる。

俺は、小さく溜息をつくと、
ひざまずいて姫の手を取った。

見上げた姫は、
淡い色のドレスを身にまとい、
柔らかな笑みを浮かべていた。


ああ、そうか。

きっと、この白いスポットライトは、
彼女の可憐さを引き立たせるためのもので、

なんだかのどかな音楽は、
彼女の人柄の良さを表しているんだろう。


そして俺は、彼女に恋をする兵士。

彼女の女性としての魅力を、
伝えるためのエキストラ。


触れた手に、力がこもる。

顔を上げ、大きく息を吸う。


だけど、ごめん部長。
やっぱり演技は、ポンコツみたいだ。


「好きだ、姫野!」


この夏、
体育館内の体感気温は45℃を記録した。

koto・2021-08-07
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
七曜逆走ショートショート

「針と白」



あ、空から天使が、降りてきた。


なんてな。
雲の隙間から、太陽の光が漏れているだけだ。

ついついポエミーになってしまう、
最近の俺はどうも疲れているらしい。

出社してすぐに、盛大なため息が出る。

机の上には、
乱雑に積まれた山のような資料に、
付箋が一枚添えてあった。

"9:00から会議"

右手が死ぬなあと思いつつ、
パチパチと紙をまとめていく。

ペーパーレス社会、どこ行ったよ。

ふと、窓の外を見ると、
天使の梯子が消えかかっていた。

「あー、あの雲も、ホチキスで留めておけねーかな」


ぶっっww

突然聞こえてきた、
吹き出すような声に、辺りを見渡す。

「あなたの天使が、助けに来ました…。ふふっw」

なんだ、手伝ってくれるのか。
まじで天使だな。

「助かる! ありがと!」

って、そうじゃないだろ。

聞かれてたんだぞ?
あの痛い呟きたちを。


ガランとした早朝のフロアに、
規則正しくリズムを刻むホチキスの音と、
同僚の笑い声が響く。

体温が、上がっていくのがわかる。
きっと、顔だって赤くなってんだ。


ああ、もう!
太陽ちょっと、そこ代われ!

今ものすごく、
雲に隠れてしまいたい気分だ!

koto・2021-07-11
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
七曜逆走ショートショート

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に39作品あります

アプリでもっとみる

「森の魔女さん」



魔女さん、開けて。


とんとんとん

とーんとーん

ととたとと


使い古された森の奥深く、
木漏れ日に透けた扉を叩く。


何をしているの?

そこに何かあるの?


木々の間をすり抜けるように吹く風が、
不思議そうな顔をして通り去っていく。


会いたい人が、いるの。


見えるはずのない光の中の扉、
聞こえるはずのないノック音、

その手は虚しく空を切る。


とんとんとん


それでも、
確かに叩いている。

呼んでいる。
覚えている。


魔女さん、
開けて。


また、あのカフェオレが飲みたいな。
隠し味には、楓の木の蜜を入れよう?

お花もたくさん持ってきたよ。
これでまた、あの頃みたいな花畑を作ろう?


ねぇ、
魔女さん。

あの時の魔法、
使えるようになったよ。



「やだあの子、またあの森に入って行くわ」

「本当に気味が悪いな、こんな天気の良い日に」

「パパ! ママ! お空! きれいね!」



照りつける太陽の下、
いつぞやの風が楽しそうに、七色に輝いた。



キィ

ぱたん

koto・2021-07-17
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
七曜逆走ショートショート

「朧な貴方」



"人は忘れる生き物だ"と、誰かが言った。


貴方は、覚えていますか?


川辺を漂う夏草と火薬の香り

ひと口かじっただけのりんご飴

人波に流されてできた草履の擦り傷


夜空には咲かなかった花火


周りの悲鳴が、うるさかったよね。


ふと、風鈴の音に紛れて、

懐かしい声が聞こえた気がしたけれど、

それが貴方のものだったのか、

はたまた虫の音だったのか、

判別が付かなくなってしまったみたい。


もう、

"人"でも"生き物"でもないのに。


どうして…?



「早く、目を覚ましてくれよ」

koto・2021-08-15
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
七曜逆走ショートショート

「苺飴」



吉と出るか凶と出るか
かわいこぶりっこ苺飴


「最悪・・・。」

ほろり、口をついて出た。

右手には、和柄の小さな巾着が、
左手には、買ったばかりの苺飴がある。

うん、可愛い。知ってる。
狙って買ったんだもの。

でもどうしたものか、この人混みで、
君と手を繋げないなんて。

おまけに、
崩れかけた浴衣の裾も直せないし、って、

ちょっと、そこの風!
私の髪で遊ぶのやめなさい!

言ったそばから、顔の横に残した髪が、
あろうことか飴にくっついた。

はぁ、とため息が出る。

買わなきゃよかったかしら。
ううん、でもここの屋台には噂があるのに…。

「2割増しで可愛く見える、だっけ?」

そうそう、それ!

でも、浴衣も髪もこんなんじゃ、
元も子もないでしょう?

って、あれ?
私さっき、誰かと話してた?!

「最初から全部、声に出てたから。」

いつの間にか巾着は、
私の右手から君の右手に移っていた。

聞かれてたのかと思うと恥ずかしくって、
上がる体温に苺も溶けてしまいそうだけど、

笑わずに受け止めてくれる、
優しい君のことが大好きよ。

本当、君には、


「「敵わないなあ・・・。」」


急に好きとか、可愛いこと言うなよな。

koto・2021-06-19
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
今年も中止なのかな…
季節逆走ショートショート

「時逢」



おかえり、博士。



ゴウン、ゴウンと低く鳴り響く機械音、
少し埃っぽい部屋の空気の懐かしさに、
"帰ってきたんだ"と直感する。

「やあ、久しぶりだね、ミラくん」

重いまぶたを開けるとそこには、
白髪の老人が椅子に座って、
慈しむようにこちらを見ていた。

「は、か、、せ、、、、?」

「いかにも」

嘘だ。
だって博士はまだ、30代でしょう?

「実験は成功だよ」

未だ状況の掴めない私に、
目の前の老人は優しく諭した。

「XX年後の未来へようこそ」

未来…。

そうだ私、何でもいいから
この人の役に立ちたくて、

説明も聞かずに入ったんだ、
そこに横たわる『ブラックボックス』に。

「昔の博士には、もう会えないの?」

「残念だけど、時間は一方通行だからね」

気づけば、私の両目からは
ポロポロと涙が零れていた。


そうか私、この人と一緒に、
歳を重ねたかったんだ。

同じ時間を生きたかったんだ。


好き、だったんだ。


「ねぇ、次は博士が入ってよ」

ブラックボックスを指差して言うと、
博士は驚いた顔をした。

「私、博士なしでも数十年くらい生きられるよ?」

「だから、老後は一緒に暮らしてみない?」

精一杯の告白に、
ふふっと微笑む博士。

「時は経たずとも、頼もしくなるものだね」

もはやプロポーズなのに。
昔以上の子供扱いがむかつく。


「それじゃ、行ってくるよ」

少し腰の曲がった博士の背中を見送る。

いってらっしゃい、博士。
時が来たら、またこの場所で逢おうね。

koto・2021-08-22
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
はじめてのSF
小説初心者には難しすぎました
七曜逆走ショートショート
「時逢」/koto

「算数ノート」



きっかけなんて、些細なことで良かったんだ。


「はいこれ、りっくんのノートでしょ」

名前を呼ばれたあの日から、
気が付けば君を目で追っている。

君はただ、ノートを渡してくれただけ。
それ以上の意味なんてない。
そんなことわかってる。

でも、
跳ねた心臓はごまかせなくて。

ピンと伸びた挙手にも、
窓に映った真剣な横顔にも、
もう見惚れてしまっていて。

誰にも見つからないように、
小さな文字で書いた。

削って削って、細くした鉛筆で、
5mmのマスを黒く埋めた。


また名前
を呼んで
ほしいな


単純な俺を、誰か笑ってくれよ。


「はいこれ、律のノートでしょ」
「てか、まだ方眼なんて使ってんの?」

君のその一言に、
内心ガッツポーズでニヤけてしまう、

「あー、まあ、数学だけな」

こんな、単純な俺を。

koto・2021-06-27
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
名前呼びはずるいと思うんです
小節逆走ショートショート

「塩バニラ」



甘いだけじゃ、モノタリナイ。


「好きです! 付き合ってくださいっ」

誰もいなくなった教室から聞こえてきたのは、
少し気弱なクラスメイト君の、
どこか格好のつかない、震えた声でした。


「今の、ちょっとドキッとしたかも!」

あの日から私は、
ちょくちょく彼の練習を覗くようになった。

悟られないように、
明るく振る舞ってはいるけど、

"ちょっと" じゃなくなったの、
"かも" じゃなくなったの、

いつからだっけなあ。

誰と重ねてるのかわからないけど、
その真っ直ぐな視線、結構やばいんです。

こんなことになるなら、おもしろ半分で、
首、突っ込まなければよかったかな。


「今日でしょ? 頑張ってね!」

"ありがとう"と残し、
廊下を駆けていく足音には迷いがなくて、

込み上げてくる何かを抑えるように、
イヤホンで耳を塞いだ。


『甘いだけじゃ、モノタリナイ♪』

聞こえてきたのは、
しょうもないラブソングだった。

でも、不思議だね。

どんなに興味のない曲にも、
全然共感できない歌詞にも、


涙が、止まらないの。


『甘いだけじゃ、モノタリナイけど♪』

「辛すぎるのも、いただけないわ♪」

koto・2021-07-11
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
過去投稿「狩人の心得」のサイドストーリーだったりします
狩人の心得
七曜逆走ショートショート

「幸せの続きを」



今夜もきっと、会いに来て。


ハイビームの強い光とタイヤの滑る音、
私の意識がはっきりするのは、
いつだってこの場面からです。

知らない街の、知らない道路の真ん中で、
私の足は、凍ったように動きません。

近くには、街灯と自販機が1つずつ。
そこから先は、暗くてよくわかりません。

ふわふわと舞う雪の結晶だけが、
2人の逢瀬を温かく見守ってくれます。

あ、車のドアが開きますよ。

皆さん、どうかお静かに。
私の夢物語の始まりです。


チチチ…


「いいところでしたのに」

彼と過ごす幸せな時間は、
小鳥の鳴く声に遮られてしまいました。


毎日同じ夢を見るのは、
何かの予兆でしょうか。

彼を想うこの気持ちは、
恋と呼べるでしょうか。

もしも、

もしも彼に出会えたなら、
それは運命と呼べるでしょうか。


雪解けの春、
やわらかな日差しの中、

まるで幻でも見ているかのように、
私をじっと見つめるあの眼差しを、

私は今でも、覚えていますよ。





『あ、もしもし? もうすぐ着くから』

koto・2021-06-26
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
過去投稿「雪上のラベンダー」の女の子サイドの話だったりします
どうしても2人を再開させたくて、というただの自己満足です
雪上のラベンダー
小節逆走ショートショート

「三日月屋」



ここは、私の働く『三日月屋』。

その名の通り、
29.5日に一度、三日月の日に開かれる。

最近人気のプランは、
定員二名、完全予約制の『夜空のクルーズ』。

日が沈み始めてから夜になるまでの小一時間を
三日月の上で過ごせるロマンチックなプランだ。
記念日やプロポーズに利用するカップルが多い。

私の仕事は、
ここでレストランのディナーを出したり、
オーケストラの演奏を企画したりすること。


今宵のご予約は、ソメヤ様。
お客様を迎えに、月乗り場まで足を運ぶ。

しかし、予約表の名前を見た時から、
もしかしたらとは思っていたが…。

「え、如月?!」

予感は当たっていたらしい。
彼もびっくりした顔をしている。

「染夜…。 卒業ぶりだね」

私たちは大学の同期で、同じ学部だった。

もう会うことはないだろうと思っていたのに。


「そういえば、相対論の講義やってた教授、
行方不明になったって知ってる?」

「あぁ、未来に行ったって噂でしょ?」

さすがに嘘だよね。
と、内輪ネタで盛り上がる。

この瞬間が、ずっと続けばいいのに。

夕日のオレンジ色に照らされた染夜の笑顔に、
一度蓋をした気持ちが溢れそうになる。

でも、期待したってダメなんだ。
だって、彼がここにいる理由は…。

「実は、さっき彼女から連絡あって」

ほらね。
ちょっと遅れるとか、そういうのでしょ?

「今日、来れなくなったみたいで」

「え…」

「だからこれ、如月にあげるよ」

渡されたのは、予約のペアチケット。

もし、この時私が受け取ったのが
一枚だけだったとしたら、
あなたはどうしていましたか?







「ありがとな、如月」

「いーえ、仕事ですから」

空には星が、地上には灯りが、
キラキラと煌めく。

今宵のご予約は、ソメヤ様。

もしもタイムスリップができるなら、
再会したあの日に戻りたいな、なんて。


「結婚おめでとう、染夜」

大量のバルーンと紙吹雪に紛れ、
期限の切れた二枚のチケットが、
ひらりひらりと夜に溶けて消えた。

koto・2022-01-09
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
三日月の日に投稿したかった
失踪した教授は過去投稿「時逢」の博士です
「時逢」/koto
46音逆走ショートショート4

「にわか雨が降る」



天気予報の、嘘つき。

"本日は、全国的に晴れるでしょう。"


昇降口、
踏み出した地面から、ペトリコールが漂う。

傘を差すと、
ボツボツと重たい音が、絶え間なく聞こえた。


ねぇ、私、ずっと今日を待ってたよ。

『来年は、晴れたら一緒に見ようか』

君と並んで見る満天の星空、
想像するだけで、胸が高鳴った。

短冊に結んだ君との約束は、
ずっと、私の心を晴らし続けた。

でも、それも今日で終わり。


だって、天気予報が嘘をついた。

"夜は、急な雷雨にご注意ください。"


玄関前、
頬を拭った指先から、漂ったのは何だっけ。

傘を閉じると、
透き通るほど綺麗な川が、頭上で輝いていた。


あと数滴でいい。

そこから水を零してよ。

それを、君に会えない理由にしてよ。

ねぇ。


「君の、嘘つき」

koto・2021-07-03
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
にわか雨と同じ、その感情も、一時的なものだったの?
七夕
小節逆走ショートショート
「にわか雨が降る」

「メリー・クリスマス」



「っ、どうして」

今年は、他の人と行くって…。


「遅いから、迎えに来た」

家のドアを開けると、
昨日ケンカをしたはずの彼がいた。


「悪かったよ、
でもやっぱり俺にはお前が特別なんだ」

こんな一言で許してしまう自分は、
相変わらずちょろいなと思う。

でも。


「ケーキ、お前の分買ってきたから」

ぶっきらぼうな彼なりの優しさ。

そんなの、嬉しすぎるよ。

思いがけないプレゼントに、
さっきまでとは別の涙が溢れ出す。


「ほら、泣いてねーでさっさと乗れって」

にやける口元を手袋で押さえながら、
彼の後ろに飛び乗った。

やっぱり、僕にとって君は…。


「そのプレゼント、ガキどもに配りに行くんだろ?」

最高の相棒だよ、トナカイくん。



シャンシャンシャン

シャンシャンシャン



白い雪が柔らかく街を包む聖夜。

一台のソリが空を駆け、
その音を軽やかに響かせたのでした。

koto・2021-12-24
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
クリスマス
イケメンにしようと思ったら
柄悪くなってしまったトナカイくんと
泣き虫設定にしたため
乙女化してしまったサンタさんの話
素敵なクリスマスをお過ごしください
46音逆走ショートショート4

「氷熱」



冷めないうちに、どうぞ。

研修マークを付けた女の店員が、
こちらの空気を察してか、
そんな言葉を残し去っていった。


「…っ、どうして!」

運ばれてきたパスタには手を伸ばそうともせず、
向かいの席の男は声を張り上げる。


「だって、好きになれなかったんだもん」

店内がうるさくて助かった。

こんなクズい会話、誰かに聞かれてたら、
営業妨害で追い出されちゃうね?


「だからね、こっちの人にすることにしたの」

隣の席の男と目を合わせ微笑むと、
視界の端に、絶望に満ちた彼の顔が映った。


あーあ、辛そう。

ごめんね。
今この瞬間、世界で一番好きな人。

どうか、私のウソに気づかないでね。


「今まで、ありがとう」

ありがとう。
私に恋心をくれた人。

"最低な女"だったと言われても構わない。
何なら、その記憶から消してくれてもいいよ。

私の心に灯った熱が残るなら、
他の些細なことはどうだっていい。


だからほら、
この想い冷めないうちに、どうぞ。

「私と別れよ?」

koto・2021-07-31
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
七曜逆走ショートショート
「氷熱」/koto

「ん、で終わったら負けね」




「ねぇ、しりとりしない?」

『いいけど、急にどうした?』

「たまには面白いかと思って…。どう?」

『うん、わかった。じゃあ僕から始めるよ?』

「よろしくお願いします♪」



『スズメ』

「メダカ」

『カラス』



「好きな人、ってどんな人?」

『とぼけないで。わかってるでしょ?』



「ヨーグルト」

『トースト』

「トルコアイス」



『好きな人、そっちこそいないの?』

「ノーコメントで」



『デネブ』

「ふたご座」

『サテライト』



「といえば、月」

『今日も月、めっちゃ綺麗だわ』

「私もそう思う」



『ウインターコスモス』

「スターチス」

『スズラン』


















*Afterword*

最後まで読んでくださりありがとうございます。
花言葉を置いていきます。

ウィンターコスモス
…淡い恋

スターチス
…変わらない心

スズラン
…幸せ

今月の満月は十五夜ですね。
晴れますように。

koto・2021-09-03
ショートショート
練習中
低クオリティ注意
一人しりとりって切ないなとか
考えたら負けなんですきっと
トルコアイスが食べたいよ
46音逆走ショートショート5

他に39作品あります

アプリでもっとみる

その他のポエム

独り言
841450件

想い出の欠片
997件

自己紹介
66167件

ポエム
465681件

好きな人
250590件

390331件

辛い
139325件

トーク募集
52586件

片思い
160565件

恋愛
159678件

片想い
197611件

失恋
90240件

死にたい
71238件

好き
180480件

彼氏
69996件

先生
94695件

病み
63127件

大好き
85695件

タグお借りしました
12015件

日常
5973件

友達
59967件

すべてのタグ