#僕だけの記憶

ほら、また期待をしてしまう。

日常で目にする世界を
ただ、盲目的に信じている。

夕暮れの校舎は
蜂蜜色の糖度に侵食される。

君だけが、あの日の夏の残滓みたいに
僕の中に亡霊として住みついている。

君の長い物語の中に、
僕は少しでも居られたかな。

真夏に置き去りにされたペットボトルみたい
冷や汗の止まらない僕の手を握って君が言った

あの透け切った瓶の中に、
思い描いた風景を詰め込んで、

溢れるほどの悪意は、
貴方を魔女にする。

僕は君の青春を悲劇しない。

大好きな貴方が、

誰かのものになっていく。

言葉は呟くほどに、
だんだんと気持ちに輪郭を与える。

この世界から夏が奪われても、
きっと一番に君を思い出す。

夜中、訳もなく流れてくる涙は
いったい誰の所為にすればいいのだろう？

花は水を与えすぎると枯れるらしい。

君の中途半端な優しさで、僕は枯れる。

想い出の景色も、街も、あの空も。
全部全部、ラムネの中に閉じ込めたい。