【命が輝く瞬間】
「菜乃ちゃん!お母さんから、赤ちゃんがもうちょっとで生まれるらしいよ!今から病院に行ってきなさい!」
急での先生の発言にびっくりした。
「え、先生、ほんまに、?」
「ほんまやって!お父さん、迎えに来るから早く帰る準備しなさい!」
「は、ははあい!!!」
お母さん、大丈夫かな、?
病院に行くまでそんなことしか思ってなかった。
私の家族はお父さん、お母さん、私、6歳の弟健児、3歳の弟光雄の5人家族だ。
そんな私たち家族に命が宿ったのは6ヶ月前、お母さんが私たちにエコーを見してくれたのだ。
「お母さんのお腹の中には赤ちゃんがいるんだよ。」
「え、そうなの!!じゃあ僕もお兄ちゃんになるんだ。やったー!!早く赤ちゃんに会いないなあ!」
「ねえねえ、赤ちゃんは男の子?それとも女の子?」
「女の子だってさ。菜乃、嬉しいね。初めての妹だよ。」
「ほんとうに!めっちゃうれしい!!ぜーったいかわいいよね!!」
毎日毎日赤ちゃんの会話で溢れてた。
お母さんのお腹がどんどん大きくなってきてお腹を触ると、
「あ!今赤ちゃん、蹴ったよ!!」
「ほんとだね。きっとお姉ちゃんに触ってもらって嬉しいんだよ。」
赤ちゃんの成長に心から喜びを感じた。
お母さんも動くのがしんどくなって私もごはんを作ったり洗濯物を干したり、お母さんと赤ちゃんが元気になるようにたくさん手伝いをしてきた。
そのたんびにお母さんは「ありがとう」って言ってくれる。
その言葉が嬉しくて、私をやる気にさせた。
病院に着いたらもう健児も光雄もいた。
お母さんは分娩室で準備をしているらしい。
助産師さんに「赤ちゃんが生まれる瞬間、立ち会いませんか?」って言われた。
私は少し戸惑ったけどお母さんのこと応援したいし元気な赤ちゃんをこの目で見たいから出産を立ち会った。
出産は戦場だ。
お母さんが苦しそうにしている。
お医者さんも助産師さんも真剣だ。
「お母さん、がんばれ、がんばれ、」
お母さんの苦しそうな声が聞こえてくる。
(やめて、お母さんが苦しそう。もう、止めてあげて。)
けどお母さんは諦めない。
お母さん、がんばれ。
お医者さんが「次で生まれますよ!!」と声をかけた。
助産師さんは「次の陣痛が来たら力んで下さい。」と声をかけた。
「陣痛来ましたね!!それじゃ力みますよ!せーっの、んーーーーーーっ!!!!」
お母さん、がんばれっ!!!!!!!
その途端、「おぎゃー!!おぎゃー!!」
あ、赤ちゃんだ。
「おめでとうございます。元気な女の子ですよ。」
ああ、生まれたんだ。
お母さん。お疲れ様。そして、ありがとう。
お母さんはとても疲れたようだったけどとても笑顔だった。
私は生まれたての赤ちゃんをだっこした。
あったかい。そして、軽い。
けど赤ちゃんはしっかりした命がある。
赤ちゃんの顔と泣き声はそんなことを伝えている。
私はあなたを守るよ。ずっとこれからも。
私は自然に涙が出た。
「生まれてきてくれてありがとう。」