千華・2020-04-28
幸せとは
夫婦ってね。
泣き虫な私
散歩なのか
買い物帰りなのか
手をつないで
ゆっくり歩いている
老夫婦を見た
幸せって
こういうことなのかもしれない
そう思ったら
何だか涙が出た
私には
もう叶わないんだなって
幸せでいること
きっとそれが
先に逝ってしまった
あなたへの
恩返し
笑ったり
泣いたり
怒ったり…
貴方とふたりだと
ちっとも
心が静まらない
今となっては
望んでも
戻らない時間
そんな日々が
たまらなく懐かしく
いとおしい
貴方と過ごした年月
喜びも悲しみも
笑顔も涙も
数えきれない
今
思い出は浄化されて
幸せな記憶だけが
胸に残る
ふたりのアルバムには
優しい物語が
静かに眠っている
貴方を見送って
私が後に残ったのは
きっと
何か意味がある
貴方を思い出すひとが
いないと寂しいから
私が生きている限り
貴方を思う心は
消えないから
そのために神様は
私を生かしてくださってる
そう思ったら
まだまだ
そっちには逝けない
この歳になると
向かい合って
互いに見詰めあう相手よりも
隣に立って
同じ方向を向ける人が
欲しくなる
一緒に
同じ景色を見ながら
それでも
手は繋いでいたい
出会ったそのときから
時の砂の上を
走り続けるふたり
命の砂が尽きる日まで
どうか
この手を離さないで
結婚って
相手の全てを
引き受けること
二人の未来に
責任を持つこと
生半可な覚悟じゃ
できないこと
それでも
貴方と
結ばれたいの
あなたと過ごした
長い年月
いろんなことが
あったけれど
楽しかったことや
嬉しかったことしか
覚えていない
強がりなんかじゃなくて
きっと
とても幸せだったから
年月を経て
気づく愛もあるのよ
連れ合いと行った海外旅行は
グアムとハワイ
後は家族で台湾
もう少し
あちこち行きたかったね
仕事を辞めて時間ができたら…
叶わぬ夢だった
どこでもよかったんだよ
貴方と一緒なら
どんな景色も
二人で見れば最高だったんだ
ケンカして
顔も見たくない
声も聞きたくない
そう思っていても
一緒にいれば
いつか
仲直りもできる
また寄り添える
夫婦って
そうやって熟していくの
ふたりでいられるって
それだけで
かけがえのないことなんだよ
あなたとの縁を
何度も何度も
結び直して
切れないように
ほどけないように
絡まって
がんじがらめになって
それでもまた
結び直して
大切に大切に
繋いできたはずなのに
あの日
切れてしまった糸は
もう結べない
ほどけてしまった結び目は
もう直せないの
貴方と出会えてよかった
貴方と過ごせてよかった
これからもずっと
いつも貴方を感じてるよ
ありがとう
誰よりも幸せになる
そう決めて
親の反対を押しきって
結婚したけど
誰よりも…
かどうかは分からないけど
それなりに幸せだった
貴方に
ささやかな幸せに
ありがとう