はじめる

#忍

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全27作品・

❨にんじゃでごじゃる!❩


しかたんシリーズ第4弾...♪*゚
×
まりさん華ちゃんシリーズとコラボ化




ぼく、くまのしかたん



ぼくになまえをつけてくれたのは



そう、おなじみ、



とってもちゃーみんぐな


おんなのこ、あいたん。



きょうは


おともだちのはなたんと


なかよしこよしであそんでる。




もちろんぼくは


あいたんのおひざのなかで


ぎゅうううって


くるしいくらいに


だっこされてる。




くるしいけど




おめめが


とびでそうなくらい



ほんとはすんごく











くるしいけど





でもやっぱり




だいすきなあいたんに


ぎゅう、されるのは


ぼく、すんごく


うれしいなぁ...♪*゚



ぼくはるんるんきぶんで


ちいさなてーぶるで


きっさてんのお客さんごっこをする、


あいたんとはなたんの


はなしにみみをかたむけた。




「ねえあいしゃん」


「なあに、はなたん」



「ないしょのはなち、しましょか」


「ないしょのはなし?」


「あのねぇはなしゃんね…にんじゃしゃんになったのでごじゃるっ」




ええええええー!



はなたん、すごっ



げんだいによみがえる


こにんじゃ、でごじゃる!



ぼくがびっくりぎょうてんしていると



「え、そなのー?」


あれあれ?


あんがい、あいたんは


れいせいだ。



はなたんは


きょろきょろあたりをみまわして


こえをひそめていった。



「あのね、おとしゃんがにんじゃしゃんでね、おかしゃんがおひめしゃまなの。それでね、はなしゃんはね、おとしゃんをたすけるためににんじゃしゃんになったんでちよ」



「すごいねぇ、はなたん!!」


「えへへ」


「でもねぇはなたん」




てれくさそうにほほえむはなたんに



あいたん



なぜかドヤがおでいった。




「うちのしかたんも、にんじゃだよぅー?」



え……??




え?





ええええええええーーー!!!!



いつの間にぼく



にんじゃになったの!?



てぷてぷのぽよよんの


わたわたのふとっちょに



にんじゃって


つとまっちゃう!?!?


だいじょうぶなの??


ぼくでもいける??



ぼくはふあんをかくせない。





はなたんも、これには



あんぐりくちをあけて



「え!?!?うしょでしょ!?しかしゃんも!?」


「うん、そーなの」


「しょんなに、てぷんてぷんのぱんぱんなのに!?」







ぱぱぱぱぱぱ



ぱんぱん!?!?!?




ぼ、ぼく



そんなにやばいっ!?!?



そんなに


てぷてぷしてる!?!?



ぼくはかくーんと


くびをまげて


ぼくのおなかのわたわたを


かくにんする。



もこもこのおなか


ふかふかのおなか



てぷてぷなおなか



ぱんぱんなおなか




ぼくはけっこう


きにいってるんだけど。




「しかしゃんもすごいね!!」



はないきをあらくして


ぼくをなでてくれるはなたん。



はなたんー


ちがうよぅー?



たぶんぼくねー


ただの、しがない、


くまのしかたんだよぅ




だってこんなに



てぷてぷのぽよよんだもん。





「ねえ、はなたん」


「なあに、あいしゃん」


「じゅつのおべんきょうとか、はなたんなにしてる?」


「んと、んーーとね!あ、すいとんのじゅつ!」



「すいとんのじゅつって??」



ふしぎそうなあいたん。



あいたん、あいたん!



ぼくしってる!!



すいとんのじゅつってね


みずのなかに、かくれちゃう


にんじゃのじゅつなんだよっ!




「こむぎこをねぇ」



ん!?


こむぎこ!?



はなたん


なんでこむぎこ!?!?



「おみじゅで、ぬらしゅでしょー」



あ、おみず!!


おみずでてきたけど、



ぬらす!?




おみずで、ぬらす!?



なんでぬらすの!?!?



「おだんごつくるみたいにしたらねぇ」
















!?



なにそれ!!



ぼくはきょうみしんしんだ。



「みょーーーんて、のばしてね」


「あ、あいみょんみたいに!?」


「しょしょ、あいみょーーーーーんてのばしたらね」



あいみょんって


しんがーそんぐらいたーだよ!?



のばしちゃっていいの!?!?




「しょうゆのおみしょ汁のなかにポイポイっていれてねぇ」




しょうゆのおみそしるは


しょうゆじるってゆうんだよぅ


おみそしるは


おみそがはいってるから


おみそしるだよぅ!!



ふたりともぼくのはなし


きいてるぅー??




「しょのおみしょしるをね、やけどしないでのむの!」



「えー!そーなの!?はなたん、すごーーーい!あつあつでしょ??」


「うん!しゅんごくあついから、ふぅふうって50かいは、しゅるかなっ」


「50かい!!すごっ!!あいたんだったらつかれちゃう!」



ふたりはおしゃべりがとまらない。



ぼくはただ


ただ


すいとんのじゅつが


おみずのなかに


かくれるわざなわけでは


なかったことにびっくりだ。



すいとん汁の


早食いの術ことだったんだね!



またひとつ


おべんきょうができたことに


ぼくはうれしくって


おもわず、にこにこしちゃう。





「ねえ、あいしゃん」


「なあに、はなたん」



まだまだふたりのおしゃべりは


とまらない


こんどはどんなおはなしだろう?




「しかしゃんは、どんなしゅぎょう、しゅるのぉ?」


「しかたんはねぇ」



あ!



それ!



ぼ、ぼくもしりたいっ!



あいたん、ぼくは


まいにち


どんなしゅぎょうを


してるの???



一生懸命、みみをかたむける。



「おなかどかーーーんのじゅつ!」






どどどど




どかーーーーーん!?!?





「なにしょれ!!」



ほんとだよ!


なにそれ、なに!?


あいたん、早くおしえて!



「しかたん、おなかぽよぽよでしょ?」


「うん、ぱんぱんしてるぅ」



あいたんは


あたりをみまわして


ないしょのあのね。



はなたんの


みみもとに


くちをちかづける。




「このおなかってね、ばくだんがはいってるんだよ」







ええええええええええーーー!!




こ、こここここここここ



ここここここここわっっっ!!



ぼ、ぼくのおなか



ばくだんがはいってるから



こんなにぱんぱんだったのぉー!?



はつみみだよぅ



こわいよぅ



こわいよぅ




おそれおののく


ぼくのめのまえで


はなたん


おめめが


きらきらになってる。



……なんで?




「なにしょれ!!かっこいい!!」


「でしょぉ?」


「はなしゃんのおなかも、おかしゃんに、ばくだんいれてもらおっと」


こえをはずませて


はなたんはいうけれど











ばくだんは



やめたほうがいいよぅ?



だってだってだって



いつばくはつするか



わかんないのこわいよ!?



そんなことおもっていると


あいたんは、んーでもぉ。


と、つけくわえる。



「はなたんは、まだはんにんまえだからぁ」


「ええー?しょーなのぉ?けっこうがんばってるのにぃ」


「だからねぇ、パグたんくらいがいいとおもうよぉ♪」











パグ!?




パグたん!?!?



いきなり


かわいいわんこになったね!!



ぼく、おともだちになれるかなぁ??




「わかった!じゃぁ、はなしゃんおかしゃんに、ぱぐたんおなかにいれてもらうね!!」



「うん!!いれてもらったらぱぐたんおなかみせてねぇー?」


「うん!やくしょくね!」



ゆびきりげんまん♪


うそついたら


ごまいっぱいたーべてっ♪



ちょっとちがう、ゆびきりげんまんで


おやくそく...♪*゚



はなたんは


ゆうやけこやけのなかを


ばいばーい


またねー



てをふって


かえっていく。



そのうしろすがたをみつめながら


あいたんはぼくをよぶ。




「ねえ、しかたん」



うん??


なあに、あいたん



「はなたんのおなかに、パグたんきたら、しかたんさぁ」


うん!


おともだちになりた……



「たたかおうね!!」



えええええーーーー!?


はじめまして、から


てきどうしーーー!?!?















あいたん



くれぐれも



ぼくのおなかのばくだんの


スイッチは


おさないでね……!?




お・し・ま・い...♪*゚





***


しかたんシリーズ


第4弾でしたー(*´ω`*)



今回は


Mariさんとriyuさんが


やってる華ちゃんシリーズの


華たんをしかたん&あいたんと


共演させてみました(*´ω`*)




俺的には



パグたんと水遁の術が



俺、グッジョブ!!


っしたー笑笑




あと1枚しか


しかたんの写真が


残っていないけど……



新しいネタが思いつきません



期限は明日の13時頃まで……



うーーーーむ



どうしよう( ・᷄ὢ・᷅ )笑笑



何かこういうの



見てみたいなぁ?とか



思ってくれてる人



いませんかぁー!?



参考にさせてもらえたら



嬉しいんですが笑笑


(他力本願笑)



しかたんシリーズ


おもしろかったなぁ...♪*゚




華ちゃん&


おとうさん(riyuさん)&


おかあさん(Mariさん)...♪*゚笑



しかたんとあいたんの世界を


楽しく彩ってくれて



ありがとう...♪*゚




しかたん



じゃなかった



幸介...♪*゚

ひとひら☘☽・2020-05-06
幸介
幸介による小さな物語
しかたんシリーズ
コラボる小説
小説
物語
あなたは知らない私の気持ち
幸せとは
家族
忍者
水遁の術
すいとん
くま
ぬいぐるみ
片想い
好きな人
ポエム
友達
独り言
絵本
童話

昨日池袋に行きました。

息をしないで頑張りました。

人が多過ぎてディスタンスディスタンスディスタンスが測れませんでした。

世界一位として不甲斐なさに泣きました。

駅員さんが声をかけてくれました。

「どうしました?」

「ディ、ディ、ディ、ディ、ディ、ディスタンスが。。ディスタンスが。。取れない。。」

「頑張って。」

「プロなんす。。」

「病院行きますか?」

「ううん。。ワタシは大丈夫なの。。。好き。。」

「!?気をつけて。。」

俺は前を向き歩き出しました。

右へ左へ、忍びの様に。

疲れたから壁に張り付きました。

友達に連絡しました。

「ごめん5時間位遅れる」

「何で?」

「距離が取れない」

「よくわかんねえから止めようぜ」

「。。。。ごめんな。。」

ああ。俺はもう。。

泣きながら、家に帰りました。

今日は雨。

だから何なんだ。

池袋にてディスタンス

ゆーすけ(孤独で寂しいソーシャルディスタンス世界一位)プロフが長過ぎてツマラン俺がウザい・2020-07-01
独り言
呟き
池袋
不甲斐ない
会話
友達
泣きたい
約束
一人
孤独
ポエム
ごめんなさい
ソーシャルディスタンス

忍掟1条、婚姻は里の者同士
加えて長の決めた者同士で行う事
忍掟2条、婚姻を果たした者は子成に励む事
忍掟3条、無断で里を出る者、抜け忍と覚え
全力を持って其の命狩る事と心得よ





桜の花を何故そんな風に見つめる。
それはやはり…
俺の兄弟に恋をしたからなのか。




「玉葉」
俺が妻の名を呼ぶと、彼女は肩を震わせた。
後ろ姿だ。
その表情を窺い知ることは出来ない。


ただ、わかる。
妻は泣いていたのだ…
月夜に散りゆく桜を見ながら。



「立葉…どうしたの」
無理をした弾むような声が心に突き刺さる。



「泣いていたか」
「…うん、桜が散るの綺麗で、切ない」
「…そうだな」


俺はそうは思わない。
それでも話を合わせたのは
合わせなければ
聞かなければならないからだ。



【何故泣いた?】



問えば、どつぼにはまっていく。
知りたくもない真実をまざまざと心
深くへと知らしめられてしまう…
その事はわかっていた。



「そろそろ時間だ、寝屋に行かなくては」
「…うん、わかってる。ねえ立葉」
「なんだ」
「その前にもう少しだけ、桜見ていていい?」
「好きにしろ、俺は…寝屋で待っているからな」
「うん…」



俺はきびすを返して、寝屋へと歩む。
一度も妻を振り返ることはなかった。


振り返れば嫌でも見える。
大切な彼女が、桜を介して
あいつを見つめる姿が。



俺と床を共にするのが
そんなにも苦痛かと、拳を握る。


その後で決まって俺は首を振って
「今は俺の妻だ」と、自分に楔を打つのだ。


俺は、義兄弟の契りを交わした親友と
許嫁の玉葉が恋に落ちている事を知っていて
玉葉の手を離せなかった。

俺が手を離せば
玉葉は俺の親友と共に里を抜ける…


里の掟は絶対。
玉葉が、親友が同胞に狩られる
そう思えば容易くその手は離せなかった。


もう、親友と玉葉が離れてから
十年経つというのに彼女の中から
親友の影は一向に消えない。



こうなれば、感じる度に想う。
あの時の判断は…正しかったのか、と。




寝屋に入ろうと簾をあげた時
ともがらの八葉が音もなく近付いた。



「おい、立葉」
「なんだ」
「辛そうだなあ?」
「何が」


見透かしたような態度の八葉に苛立った。
荒らげた声からまた何かを感じとったようで
八葉は哀れみの目を俺に向けた。



「だから、言ったじゃねえか」
「…何を」
「玉葉を手放す気はないか。って」
「さあ、そんな事誰か聞いたか」
「あいつに渡してやれ、その方がいい」
「あいつって…誰だよ」


「…強情っぱり。こんなの、みんな、辛いだけだろ」
「……わかってる」
「おめーはわかってねえよ。知らねえぞ、その判断がまたお前らを苦しめる事になんだからな」


俺は、八葉を睨みつける。


何がわかると言うのだ。
俺ではない八葉に
俺の想いがわかってたまるか。


わかってる…

手を離せば玉葉は
本物の幸せを手にいれられるのだろう。
それが例え命を縮める事になっても。


でも出来ない。
どうしてもこの手が
この心が言うことを聞かない。


俺は怒りか切なさか
震えながら息を吐き出して
八葉を無視するような格好で寝屋へと入った。



寝屋には
煎餅布団が重ねられている



里に必要な人材を生み出す…


玉葉は…その為だけに
俺に抱かれるのか。



掟のままに婚姻の契りを交わした。
掟のままに玉葉とひとつになった。


掟なんてなければよかった。
そうしたら、友と正々堂々勝負出来た。
玉葉を賭けて笑い合えた。


不戦勝のような今がとても苦しかった。




「……俺はどうすりゃいいんだよっ」


涙が込み上げる。




その時、寝屋の簾が静かに開いた。




「立葉…お待たせ様」
玉葉の声だ。慌てて涙を押し込んで振り返る。


「玉葉、遅い」
俺は笑った。冷静に、平常に。


「ごめん」
妻も笑った。優しく、泣き腫らした目で。



「おいで…」
手を伸ばして床に妻を誘う。

「うん」
妻は手を伸ばして、俺の手をとる。



俺はゆっくりと妻を抱き締めた。


玉葉の香りだ。
玉葉の形だ。
玉葉の温もりだ。
玉葉の…



心はどこにある?



「玉葉、お前が好きだ」
たまらずに伝える。
私もだよと、可愛い声で笑って欲しくて。


「うん」
けれど、返るのは
気のない返事と切なげな眼差しだ。



「玉葉」
「うん」


…すまん。

「玉葉…っ」
「うん」

…俺を恨むか?



聴けない想いだけが募り
歯がゆさをぶつけるように
玉葉をきつく抱いた。


桜の花びらが
簾の隙間からひらひらと舞い込む。
天窓から差し込む月光がやけに冷たく感じた。


さあ


切ない夜の、幕開けだ。

ひとひら☘☽・2019-10-09
riyu
追憶/TruthDragon
小説
切ない
物語
苦しい
片想い
乗り越えたい
両想い
両想いの片想い
花びら
月光
恋の残り香
独り言
ポエム

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誰かの嘆く声がする
負けるな
ほらすぐ行くから
対峙して退治して
闇を照らす我らの血潮
ひとひらの物語
往くも往かぬも君次第
咲き乱れてみせましょう
忍之一字
胸に刻んで
 
       GReeeeN「忍」

HRKHSMT・2018-05-26
GReeeeN
好きな曲の歌詞
好きな曲

竜玉の忍…優しき眼、鬼神の如く
壱の章・隠れ里



「たつー!」

誰ぞが誰ぞを呼んだ。

たつ、と呼んだ。

人里は遠い。

山々の裾が、険しく町とこの里を分離していた。

「たーつー?立葉ー?」
「おーい、立葉あー」



男女、というにはあまりに幼い。
しかし、童子、童女というには行き過ぎた子らは
額に手を翳し、木々の上を注意深く見つめた。


前日までの雨をたくわえ、朝日に照らされた秋の葉は、燃えるような色に滲んでいる。里の命綱とも言える小川のせせらぎが、耳に優しく触れた。



「おかしいねぇ、この辺りだと思ったのに」
「立葉はすぐに消えるからな」

「困ったねぇ」
「許嫁がこんなんじゃ困らあなあ?」


「え?なんで?」
「亭主が放蕩もんじゃあ苦労すんぞ」


男子(おのこ)がからかうように言うと、女子(おなご)は少々青ざめて

「たーつーはー!」

声高らかに、再び立葉たる者を探し始めた。


その頭上高くに、ひとつの人影在り。
彼はしれっと木の芯に身を預け風を感じていた。



一陣の清風が心を研ぎ澄ます。
目を閉じれば、里山の息遣いすら聴こえてくる。



「……つはー、立葉ー……っ」
「おー……い」

澄んだ耳石が愛しい人らの声を聞き分けると、彼、立葉はぼんやりと目を開き、呟いた。




「玉葉…八葉…?」
風に乗って届いたその声に、より耳をすませれば、それはなるほど。玉葉と八葉に違いない。


そこでやっと、立葉は地上から見上げても、目視出来ないであろう樹木の枝の上に、すっくと立ち上がった。


「行けっかな?怪我したら頭領に百叩きに合うなぁ、それは嫌だけど……」



立葉は顎先を撫でると、さも考え込むように独り言をぼつぼつと呟く。しかしこの男子、考えは浅い。



「ま、いっか!死にゃしねえだろ!」
あっけらかんとそう言うと、大きく息を吐き出し、地上へ向かって声を投げかける。


「おーい!玉葉あー、八葉ー!落ちるぞー!」
言うが早いか、立葉は何の躊躇もなく地上目掛けて落ちた。



まるで水中にいるかの如く自由自在に体を捻る。
そして百舌鳥がネズミを捕らえるような格好になったかと思うと、クルクルと体を丸めて回転しながら、なんと地上に降り立った。



常人であるならば体が潰れる程の衝撃にも、立葉は笑みすら零す。


「どうだ、玉葉!かっこよかったろ」
「うん、満点っ」


立葉が玉葉の頭に手を乗せて微笑むと、その様子を見ていた八葉は、不服そうに声を洩らした。


「玉葉、俺の方が高飛びはうまいぞ。なんたっててっぺん杉からだってうまく着地出来らあ」
「そんなの俺だって、出来るさ」
立葉が負けじと告げると、八葉は当然のように応戦する。

「童んとき、あの上でしょんべん漏らしたのは誰だったっけえ?」
「お前だ八葉」
「あー?何をー!?違うよな玉葉、立葉だよな?」



二人に詰め寄られた玉葉は一唸りすると、天真爛漫な笑顔を二人に向け、軍配を言い渡した。



「もらしたのは、やっちゃん!」
「ほら見ろ」
「お、俺がぁ、そんな赤子みてぇな真似するわきゃねえだろ」

バツ悪そうに声色を落とした八葉の肩を立葉は笑顔で叩き、玉葉は彼の腕を取りながら言う。


「高飛びは立葉。やっちゃんは手裏剣の方が上手よ」



もう時期、木の葉が散るこの山にひっそりと在する山里、葉隠れの里。三人はそこの忍だった。



幼き日から兄弟のように過ごしてきた三人は、忍術を習得する為、日々研鑽に勤しんでいる。


切磋琢磨し、歳の頃より洗練された体。
柔らかな心を覆う鋼の器。

彼らに童らしさはない。
むしろ、達観し過ぎたその眼差しは仙人すら彷彿とさせた。


それでも手を取り合うことで寄り添い
和平を切に祈り続けて、命のやりとりを学ぶ。


戦乱の世に生き、人あやめの道具と教えこまれた子供たちはそれでも…


生命の花はひとつたりとも欠けることなく永遠に咲くのだとそう信じていた。



平均寿命……齢十八歳。
それがこの隠れ里で生まれた忍の人生の全てだった。

ひとひら☘☽・2020-11-09
riyu
riyuの物語
連載
小説
独り言
私なりの恋
竜玉の忍



じっとしてるとしずむかも

 ∠ ̄ ̄ヽ
~|/Ⲻ-Ⲻ|
 / y ヽ
  Lつ 0
  と_)_)

無人 another・2024-10-22

竜玉の忍(弐の章 四人の子忍)




「立葉、八葉、睦葉、玉葉、前へ」

道場の上座に頭領はどっかりと胡座をかき、やがて四名の名を呼んだ。

「はっ!」
立葉らは大きく弁ずると、すぐさま頭領の前へ進み出て、片膝をつき頭を下げる。


「お前たちはこれまで厳しい鍛錬に次ぐ鍛錬を重ね、鋼の心体を手に入れた」
「はっ、有り難きお言葉に御座いまする」
「して、ついに実践鍛錬へ入る」
「ま、誠ですか!」

四人は息を飲み、それぞれ隣の者と顔を見合わせる。その眼は煌めきに満ちていた。

厳しい鍛錬で学んだ事がひとつ実を結んだのだ。


この葉隠れの里には日々幾人もの飛脚が、大小様々な依頼を持ってやってくる。

その選別は頭領を含めた忍年寄が行うのだが、その中で末端任務と位置づけられた依頼を達成させる事…それが今回の立葉たちの実践鍛錬となる。

頭領がわかりやすく認(したた)めた巻物を受け取ると、道場の縁側で四人はそれを広げた。


「実践鍛錬、任務此処二有リ。鍋倉山中、潜厶山賊、上松氏二組ミ込マレントセン。頭目頭ノ首ヲ取リ、帰里スベシ」

声を合わせて巻物を読むなり、立葉と八葉は掌同士を打って、武者震う。一方、玉葉と睦葉は浮かない顔だ。

「と、頭目て、イッチャン強い山賊なんでしょう?睦らだけで大丈夫かなあ?」
睦葉は、拳を震わせ今にも泣き出さんばかりに声を絞った。

「何言ってやがんだ、睦葉。こん中じゃおめーが一番忍としての資質は高いって言われてんだろうが。そのおめーがそんな弱気でどうする」

八葉が睦葉の尻を叩こうと鼻を鳴らすも、彼女は相も変わらず、眉を顰めた。

「誰かについてきてもらおうよぅ。ほらここ見て。山賊徒党を組んでるって書いてある。その数、五十を越えるって。計算すると一人十人でも足らないよ…睦らだけじゃ心配。ねえ立葉、立葉の親父殿に頼めない…?」

掌をすり合わせて、睦葉は拝むかの如く立葉に懇願したが、立葉は苦しく笑うだけであった。


立葉の父、轟葉(ごうは)は、葉隠の里では頭領に次ぐ忍であったが、立葉との間に血の繋がりはない。

彼の誠の両親はどちらも戦闘や諜報に長ける夫婦忍であった。竹山氏に仕える為、乳飲み子の立葉を轟葉の妻、茉葉(まつば)に預け、任務へ向かったが、二度と戻る事はなかった。


両親が死して五年がたった頃だった。

立葉を呼び出した轟葉と茉葉は、彼の誠の両親のことをはじめて口にした。竹山氏に反旗を翻す友好国の城攻めに参戦。死力を尽くして戦ったが、その志虚しく討死した、と告げられた。その事実が、まだあどけなさも残る立葉の心に突き刺さる。

話を聞くその時まで、疑うことなく、立葉が誠の両親と思い接してきた轟葉と茉葉。何も不満があったわけでも、他の兄弟との差を感じたことも無い。本当によくしてくれた、と、立葉自身も感じている。それでも彼の心は何故だか頑なに、養父母を拒絶したのだ。

未だ、その蟠りから抜けられ得ぬ立葉は、睦葉に一言、呟く。

「父ちゃん忙しいから駄目だ」
「ええぇ…我が子の危機なのに」
「どうしてもってんなら睦葉の親父に頼め」
「睦の父ちゃんは今任務で甲斐国に行ってるよぅ」

立葉は唇を噛み締めて立ち上がり、不機嫌そうに歩み出す。

「八葉!準備だ!行くぞっ」
「お、おおお、わかった」

様子のおかしな立葉に、たじろぎながら八葉は、睦葉と玉葉に目配せをして、彼の後を追った。

「へーんなの。何あれ?玉ちゃん、睦、何か悪いことでも言った?」

二人の後ろ姿を見つめながら、睦葉は声の張りをなくし玉葉に尋ねる。里外の山へ向かい小さく消えていく立葉の姿を見つめきると、睦葉に向き直った。

「睦のせいじゃないよ、大丈夫」
年の離れた睦葉の頭を優しく撫でてやると、彼女はにこやかに笑う。


「実践鍛錬、頑張ろうね」
「うん!睦、頑張る」

初の実践鍛錬で、山賊頭目の首をとる。
斯様に難度の高い鍛錬は稀だった。
一抹の不安は残るが、頭領がこの4人ならばと与えた任務だ。そう思えば自ずと気は引き締まっていく。

四人の子忍は、心新たに初の任務に向かった。

ひとひら☘☽・2020-11-11
riyu
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竜玉の忍

竜玉の忍(肆の章 毒(弐))



「うわああああ」
その声が皮切りだった。



「な、なんだ!?急に…腕がっ」
「うわああ、こ、こっちは足だ」


一瞬の静寂の後、野太い山賊の悲鳴が次々にあがる。睦葉が攻めはじめたのだ。
瞬時にあちこちに移動して脇差で斬り付けるのだろう、鮮血が飛沫となり宙を舞う。

「クソッ、追うぞ」
「了解」
玉葉は風のように動き出した立葉のすぐ後を追い、最早戦場と化した山賊の隠家へと飛び込む。

「い、いいのか立葉あ!?」
「しゃあねえだろ、睦葉ひとりで行ったって犬死だ!」
「わ、わかった」
一歩出遅れて八葉も、睦葉に加勢をはじめた。


生き物を斬るのははじめてのことではない。


里山の命を戴き、鍛錬を積んできた。


肉を断つ独特の感触は学んだはずであった。
仕合という名の心の鍛錬では、
仲間同士、討ち合いもしてきた。


腹を刺したり、腕を斬り付けられたり、
斯様な事は日常茶飯事だった。



それなのに。


しかし今この時、四人ははじめて生命、
奪うか奪われるかの瀬戸際に立っていた。


この恐ろしさ、思い表すも地獄だ。
己の腕にかかる生命の重さが
四人はただただ、痛かった。



それでも一度刃を
敵に滑り込ませたが最期。


どちらかが殲滅されるまで
戦わなくてはならない。



「うあっ」
「へっ、なんだ、ガキじゃねえか」
八葉が斬りかかった山賊に砂を投げつけられ、
目を潰されれば「やっちゃん、酉!」
玉葉が山賊の方角を教え、
攻撃を避けさせる。


八葉と立葉が背を預け合い踏ん張ると、
睦葉が二人の肩へ飛び乗り、
回転しながら山賊の脳天を刃で割りにいく。


玉葉はその隙に敵を交わしながら、
囚われた娘たちの救援に向かった。


手を取り合い、どれ程の山賊を斬り続けたか。
表に動ける山賊もなくなった頃、
ひとり奥へと駆けていった誰ぞの声が聴こえた。


「はっ、離せ!離せ、離せ離せ離せ!」
その声は、重たい足音と共に子忍に近づく。
三人は腰を落とし、青ざめて目を見張った。

燃える松明の火に照らされ、姿を現したのは
「む、睦葉」
大男にひとつまみにされた、睦葉だった。


大男の腰には
大きな赤ひょうたんが
ぶら下がっている。

頭領の認めた巻物に記されていた、
頭目頭の目印だ。


「やだやだやだ、離せ、離せよっ」
頭目頭は睦葉の首筋に、
いぼだらけの鼻を宛てがい、
すぅーっと大きく息を吸い込んだ。


「感じるぞぉ。おめーおぼこ娘だなぁ。いい匂いだ。今夜はおめーと遊んでやる」
「気持ち悪いこと言うなっ、徒党組まないと何も出来ない弱っちい山猿なんて、いっくら大将と言えど、こっちから願い下げだ!」
「なんだと?弱っちい、山猿だあ?」


眉をひそめ、
僅かに顔を歪めた頭目頭だったが、
やがてはガハガハと鼻から音を漏らして笑う。


「その山猿に鼠っ子みてえに摘まれて、手も足も出せねえとは、軟弱な。おめーら、忍かぁ?どこの里だ?」

頭目頭の目は、
三人を舐めるように見つめた。

その眼光や恐ろしい程に鋭い。
ごくりと飲んだ唾は、
喉へ溜まった。汗が滴る。



「何処の里だってぇ聞いてんだ、答えろ童(わっぱ)!」
地割れんばかりの怒号で、
髪の毛すら揺らめく程に辺りの空気が震った。


言えるはずがない。
里の情報を漏らす事はあってはならぬのだ。


子忍は掟通り、
口を閉じた貝と化した。

その様子に頭目頭は苛立ち、
睦葉を軽々振り回しながら
ゆっくりと三人に近付く。


「よくもまあ、その小せぇ成りで俺の子分共を平らげたもんだ。御丁寧に女子供まで逃がしやがってよぉ。こりゃあ里になぁ?礼参りもしなきゃならんだろう」

途轍もない威圧感で、身は震え上がる。

手の平は汗でぬめり、
今にも刀を滑り落とす所で、
立葉は何度もそれを握り直した。



いよいよ間合いに入ると、
途端に頭目頭は
素早く大きな手を玉葉へと伸ばす。


唐突な動きに
玉葉は後ろ飛びも適わない。

すかさず間に入ったのは立葉だった。


玉葉の代わりに
立葉の頭を掴んだ頭目頭の手には、
青筋すら怒張していた。


「くっ、あ」
「た、立葉っ」

今にも握り潰さんとする頭目頭の握力に、
立葉の苦声が漏れる。


玉葉と八葉は
至近距離から手裏剣を投げるも、
筋肉に埋まるだけで
握力を弱めるには至らない。


毒を塗って来るべきだった。
頭目頭はにやりと笑うと
立葉の頭に更に力を加えた。

ひとひら☘☽・2021-02-10
riyu
竜玉の忍
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瞬く間に暗くなる

 ∠ ̄ ̄ヽ
~|/Ⲻ-Ⲻ|
 / y ヽ
  Lつ 0
  と_)_)

無人 another・2024-11-18



うまくいくまで待つ

 ∠ ̄ ̄ヽ
~|/Ⲻ-Ⲻ|
 / y ヽ
  Lつ 0
  と_)_)

無人 another・2024-07-31



閉塞の場所にとらわれてる

 ∠ ̄ ̄ヽ
~|/Ⲻ-Ⲻ|
 / y ヽ
  Lつ 0
  と_)_)

無人 another・2024-06-13


こらえてこらえて

 ∠ ̄ ̄ヽ
~|/Ⲻ-Ⲻ|
 / y ヽ
  Lつ 0
  と_)_)

無人 another・2024-07-10



じっとしずむ

 ∠ ̄ ̄ヽ
~|/Ⲻ-Ⲻ|
 / y ヽ
  Lつ 0
  と_)_)

無人 another・2024-05-09



ふぅ~なんだかんだで
そうでもない

 ∠ ̄ ̄ヽ
~|/Ⲻ-Ⲻ|
 / y ヽ
  Lつ 0
  と_)_)

無人 another・2024-06-24


いまさら
をかぞえる

 ∠ ̄ ̄ヽ
~|/Ⲻ-Ⲻ|
 / y ヽ
  Lつ 0
  と_)_)

無人 another・2024-05-22

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