はじめる

#憂鬱

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全1338作品・

私の心にも

ひとつでいい

明るく照らしてくれる

灯りがあったらな

歌穂・2024-01-23
一人になると
憂鬱
片思い
からまわる気持ち
真っ暗な心を照らしますように

あ~ダメだ。

身体だるい。重い。

今週の土曜日には年賀状出しに行くみたいだからそろそろ書かないとだけどやる気がおきない。

ただ、書かないと父も面倒なタイプではあるけど母はもっと色々言われそうだから頑張って書かないとな

Lillian 🧸(ひとことみてね)・2023-11-29
憂鬱
倦怠感
辛い

明日は診察の日だけど

“明日はお昼以降まで

仕事あるから一人で行って”

“帰りまでは迎えに行くから”

って言われて昨日の夜から憂鬱。

流石に今からキャンセルできないし…

来週だと次の日の月曜日予定を

入れてしまって連続で行けるとは

思えないから渋々行くしか

選択はないんだけど…本当に無理。

昨日の夜に母に言われて

母は一人で行くのが本当に怖い理由を

理解してくれてない…。

ただ、一人で外出できないのは

だるけたり,甘えてるだけって

きっと思ってる。

慣れてるところや

一人で行けそうなときは

一人でたまに行動してるけど

たまにまだ 

“死にたい”“生きてる意味ない”

って今も思うときもあって

きっかけはある出来事があってからも

あるだろうけど

今は人酔いやただただ

知らないすれ違う人でも

怖くて仕方ないのに

周りに理解してくれる人は

誰一人いなくて辛すぎる…

ただ単にわがままだけなんだろうか。

明日はどのみち私には拒否権ないのは

わかってるし…言ったところで

母との関係をこれ以上悪化するのは

私の身体も心も持たないから

1日くらいは頑張らないとな。

ただ、こうやって一人で渋々行くと

母も主治医もカウンセラーさんも

“あっなんだ。一人で行けるじゃん”  

“今日来れたらなら次も行けるでしょ”

って考えになりそうで怖い

Lillian 🧸(ひとことみてね)・2024-03-09
消えたい
明日…怖い
泣きそう
憂鬱

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に1338作品あります

アプリでもっとみる

楽しいことも全部

辛いことで上書きされて仕舞うなら

幸せなんて知らなくていい

酔生夢死・2024-04-26
幸せ
いらない
日常
うんざり
生きたくない
死にたい
憂鬱
辛い
何も変わらない

憂鬱なブルーに満ちた新学期 

期待の出逢い春の訪れ

アオハル物語の始まり

pink tea🩷🫖・2024-04-01
青春物語の主人公
憂いに満ちた新学期
憂鬱
緊張
不安
花に浮かれて
出逢い
友達
先生
期待
悲しみ楽しみ全てがアオハル
青春

貴方と話せない日は憂鬱でたまらないの

だって私近づきたいし傍にいたいもの

pink tea🩷🫖・2024-05-02
片想い
好きな人
憂鬱
苦しい
辛い
しんどい
疲れた
話したい
隣にいさせて



第一章-番外①「転機」





 四年前の今日のことであった。介護に疲れたとある二十六歳の女性が、車椅子の母親と一緒に自ら大型バスが来る道へ突っ込むという悲しい事件が起こる。母親は元々弱っていたのもあって亡くなったが、娘の方は二週間の昏睡の末、眠りから覚めた。その娘の行方は誰も知らない。


 誰も。


 私以外、誰も。


 あの後住んでいた街にはいられなくなり、私は遠くの県へ引っ越した。そして一人暮らしを始めた。父親はとうの昔に亡くなっている。親戚は会ったことがなく、いないも同然。学生時代から陰な性格だったので友人もいない。無論、恋人も。だから生活を一新しやすかったのかもしれない。


 後遺症でまだ体が動かしにくく、生活には支障がある。何とか支援を受けながら働いている。その不自由さに、母親の後を追おうかと思うが、一度それを試みて多方面に迷惑をかけるということや自分自身もこうして苦労することを思い知ったので今は行動には移さないでいる。


 私は母をころしたのに、まだ現世にいる。


 送る人がいないので、年賀状も書くことはない。今日は大晦日だ。明日は正月で、色んな家庭に年賀状が届く日。私はそういう季節のイベントなどに興味が無い。というかやろうにも虚しくなるだけ。


 たった一人で寒い部屋で布団にくるまって寝る。今はそれだけでいい。それだけが心地いい。


 週に四日の、とある会社での事務仕事。正直体を起こすだけでも精神的肉体的にしんどいような毎日で、電車に乗り通勤している。同僚は、漫画のようなイケメンでもなくただのフツメン。年が近い社長は小太りで、個人的に苦手な顔の人。


 いつものように、パソコンに向かう。今日のノルマを達成できるか不安だ。眼鏡を外して、目のくぼみあたりをマッサージする。



「蓮見(はすみ)さん」



 社長に呼ばれる。何かミスをしただろうか。キーボードをたたく手を止めて社長の後ろを歩く。



「実はね、__」


「引き抜き!?」



 引き抜きなんて、私がされるとは思ってもみなかった。とても嬉しい。だが引き抜き先が〝摩訶不思議株式会社〟という名の怪しい会社だった。面白そうなので、とりあえず行ってみようと思った。しぬまでの暇つぶしに。










(終わり)


















































-登場人物-


●蓮見

読み:はすみ

主人公の女性。下の名前は不明。

眼鏡をかけている。

二十六歳で母親と心中をはかる。自分だけ生き残る。後遺症で苦労しながらも四年後、働いていた会社から摩訶不思議株式会社に引き抜かれる。



































-あとがき-


昨日は久々の浮上で、今日は久々の小説執筆です。こちら一日で書き上げたものです。短めですね。最近よく書いている『こんな夜には星屋がひらく。』略してこん星の番外編です。


初の番外。祝、蓮見さん初登場。蓮見さんが今後どう本編に関わっていくのか。本編より先に番外編でキャラを初出しするっていうね。てかすごいキャラ設定にしちゃったね!


正直、なんとなく執筆してたものが、こん星に繋げられそうだなと思いついて急遽番外ってことにしたんです。最初は全く関係ない大晦日短編小説にしようと書いてました。


実は蓮見さんは今回の番外で作ったキャラではなくて。蓮見さん自体は、現在執筆中(多分一月中に投稿予定)のこん星本編の四話の方に先に登場させてるんです。その四話から名前だけ引っ張ってきて、大晦日短編小説として書いてた心中未遂の話を蓮見さんの設定ってことにしたっていうね。


だから、四話(執筆中/未投稿)→大晦日短編小説を執筆→蓮見さんの名前だけ四話から引っ張ってきて大晦日短編小説内に出す→結果こん星の小説になる、という順。


しっかり今回も女性の後ろ姿の背景写真です(こん星の投稿全部そういう写真)。この人が蓮見さんなんでしょうかね。自分的にはもっとズーンとした人を想像してます。


てか大晦日にすごい話書くよな私。元のそれ単体の小説だとしても、蓮見さんの設定の話だとしても。大晦日にだよ。


でもまあ私らしい大晦日と言えるかもね。来年はなるべく今年よりいい年にしたいね。ここまで見て下さりありがとうございました。もしよろしければこの小説の感想をいただけると嬉しいです。それでは。

筧沙織>アカ身辺整理/無浮上・2023-12-31
『こんな夜には星屋がひらく。』
番外編
小説
小説/from:沙織
蓮見さん初登場!
憂鬱
大晦日
短編小説
創作
独り言
辛い
人生
過去
別れ
想いを刻みながら
タグ使用/from:沙織

クリスマスがテーマの本は
2度と読まないことにしよう
君と想像してしまって辛いから

歌穂・2023-12-02
クリスマス
辛い
憂鬱
苦しい
迷宮

明日はやっと歯医者行けるけど…

小学校の時、グルグル巻きにされてから

だいぶ歯医者にトラウマが凄い

Lillian 🧸(ひとことみてね)・7時間前
独り言
憂鬱



第一章-二話「日常とトラブルの匂い」





 ヒールのかかとがズブズブと呑み込まれていく。今すぐにこの場から歩かないと足首まで泥で汚れてしまう。私の人生はいつもそうだった。足元ばかりで前を向かず、自分に急かされている。


 運転しながら煙草を吸って、窓の外へ吸い殻を撒き散らす、ヘンゼルとグレーテルのクズ版みたいな人間に何かされた人生でもなかった。


 ただあの男に出会わなければ、私の人生は少し暗いだけの平凡な人生のままだっただろうに。だけど少し悪くない、だからずっと友人としての付き合いを続けている。


 私の隣には変人がいる。



「今日は早いね馬瀬(ませ)」



 もう見慣れた、珍しい、縦長の楕円な玄関の戸。ネクタイを結びながら片手でその玄関の戸を支えて私を出迎えるこの男が、変人・藤竹 骨(ふじたけ こつ)。


 よく行動を共にするが、正直部類としては私が苦手のうちに入る人間だ。いや、人間なのかはまだ怪しいけれど。



「藤竹、あんたに合わせてるの。普通私は土日の夜に外出ないって」


「ええ! そうなの」



 寝ぐせがひどい頭を揺らして、藤竹が振り返る。



「そうなの」


「ネクタイどうやって結ぶんだっけ」


「毎日結んでるでしょアホ」


「アホ!?」




 藤竹は半袖の黒いワイシャツとぴっちりした鼠色のズボンに、仕事の時は全身を覆い隠す黒装束を纏う、微かに甘い香りのする男だ。


 その甘い香りの正体は、毎日食べているらしい砂糖がたっぷり染みた焦げ気味のこだわりトースト。服ではなく藤竹の体からその香ばしい匂いがしている。


 今も雑音にまじるようなオーブンの作動音が鳴っている。日が昇って数十分の夜十九時にトーストの匂いがする感覚は変な気分だ。もう私の日常だけれど。



「アホはアホ。ちゃんと自分でやってね。てかお茶漬け食っていい? まだ小腹が空いてて」



 立てかけてある姿見に向かってしかめっ面でネクタイ結びに苦戦している藤竹を横目に、キッチンへ向かった。ネクタイよりもそのシワだらけのワイシャツをどうにかできないものかな。


 確か前に藤竹と買い物をした時にこっそりカゴに入れたお茶漬けの素があったと思う。背伸びをして上の棚を探した。



「いいけど」


「あんたも食う?」


「いや、トーストあるから」



 私は本当に会話が適当だ。藤竹は毎日のルーティーンとしてトーストを食べ続けている。それを知っていて食べるかどうかをきいてみたのだ。



「でも昼飯に食おうかな」


「昼飯が茶漬けって質素だね」


「じゃあやめる!」



 藤竹は人に流されやすい一面がある。悪く言うと相手任せ、良く言うと相手の意見を尊重するということだけれど。



「そういえばこの前さ、いつもみたいにお客に会って星の粉薬とか見せたんだけどな、その人に何も売れなかったんだ! 苦し紛れにいつも通り摩訶不思議の名刺は押しつけて帰ったけど」


「あんたを正しく理解する人が現れたってことじゃん」



 夜に現れる黒装束の男から一見意味不明な薬を買うなんて、おかしいと思っていた。久しぶりに藤竹から商品を買わない人が出てきて少し嬉しい。そんなことを思う私は性格が悪い。



「どういうこったよ!?」


「別に。ほんと、これだから昼夜逆転男は」


「言っておくが」



 いつの間にかネクタイを結び終わった藤竹が私の言葉きっかけにムスッとした顔をした。



「俺の視点からだとそっちが昼夜逆転、でしょ」


「予言の薬盗んだのか!?」



 元々大きな目を飛び出そうなほど見開いて驚く藤竹に笑いそうになる。


 予言の薬というのはおそらく藤竹が開発した、星屋で売っている商品。十中八九名前そのままに、飲むと未来予言ができるという効果があるのだろう。



「なわけあるか。そんなもん飲まなくたって散々同じようなこと言われてんだから分かるって」


「そうか……」



 藤竹は「昔は昼と夜の概念が逆で、朝は夜、夜は朝、と呼ばれていたんだ」なんて説を唱えて自分自身もそれを心から信じ、一般人の私から見れば完全に昼夜が逆転した生活を送っている。


 なので休日の昼間にふらっと彼の家に邪魔すると、ソファーなどで寝ていることがほとんどだ。「一歩譲って朝夜の呼び方はそっちに合わせているだろう」なんてさらに意味不明なことを言っている。


 この前、彼がつとめている会社の蛇のような顔の社員と、この藤竹の家で偶然居合わせたので「摩訶不思議の人達ってみんなこうですか?」ときいてみた。


 そしたら「そんなわけない! こいつだけです。せっかく星屋の末裔なのにその力を会社に使わない、殆ど幽霊社員の変人ですし」と被せ気味に返事をされたことがある。


 藤竹の知り合いだと言うと、名刺だけ渡され帰っていった。藤竹と同じ摩訶不思議株式会社営業課の込山 蛇蓮(こみやま じゃれん)という名の社員だった。


 藤竹は殆ど会社に出勤していない。なのに時々すごい業績を残すため、特別に会社に残らせてもらっているようだ。星屋とやらは藤竹が勝手に副業でやっている商売だ。商品も大半が自分で作っているらしい。力の入れ具合を見るに会社の方が副業だと思えるが、面倒なので口には出さない。



「今から星屋?」


「ううん、今日は休み。出勤しようかなって」


「定時過ぎてるだろうし、今から行っても人いないんじゃないの」


「ほんとだ」


「やっぱりアホ。予定ないじゃん今日」



 不思議な薬を作れるほど頭がいいはずなのに、なぜこういう時は馬鹿になるのだろう。一時期私の前でだけそういうキャラクターを演じていると思っていたが、何度か会った、藤竹と仲のいい込山さんを見るにそういうわけでもないらしかった。


 チン、とオーブンが鳴る。トーストが焼けたようだ。



「一緒にトースト食う?」


「だから、お茶漬け食うんだってば! パン焼くんじゃなくて米炊くの!」


「そうだった」


「まったく……」



___プルルルルル



 その時、机の上にポツンと置いてある藤竹の携帯から電話の着信音が鳴った。藤竹は画面を見てから不思議そうな顔で電話に出る。



「もしもし、あー藤竹ですが。……この前の下駄少年! いやあ、嬉しいな! ところで御用は? ……とりあえずそっちに向かおうか。住所は? ……分かった。待ってて」



 最初はいつものように大口をあけて話していたが、段々と珍しく神妙な顔をする藤竹。



「藤竹? もしかしてさっき言ってた、商品を買わなかったっていう?」


「ああ。ちょっと行ってくる」



 オーブンに入ったままのトーストそっちのけで黒装束に腕を通す。



「待ってよ、トーストは? お茶漬けは?」


「トーストは冷めても美味しい」


「いやいや冷えたらカッチカチだよ。フランスパンみたいに硬くなってるって」


「もう、なに、一緒に来たいの?」



 藤竹が私の肩に、覆うほど大きい手を置いた。しょうがなくみたいな言い方に苛ついた。胃の環境が悪くなった気がする。



「は? なわけ! 私今部屋着だし、他の所にこの格好で行けない」


「行きたいんだね! じゃあ俺のパーカー上から羽織って! 下駄少年の元へレッツゴーだ!」


「ちょっと!!」



 適当なパーカーを被せられ、グイッと男の力で腕を引っ張られた。トーストは留守番。これだから私の人生は平凡じゃなくなっていく。










(終わり)












































































































-登場人物-


●馬瀬

読み:ませ

この2話の主人公「私」。女性。下の名前は不明。年齢も不明。話しぶりからして藤竹と歳が近いのだろうか。

藤竹と家が近く、友人の様子。よく藤竹の家に行ったり、一緒に買い物に行ったりする仲。藤竹のことを「変人」「アホ」と言うことが多い。だがなんだかんだで一緒にいるあたり……。

太陽が出ている時間のことを夜と呼ぶ。


●藤竹 骨

読み:ふじたけ こつ

摩訶不思議株式会社営業課に所属している(が幽霊社員の)男。それとは別に星屋という看板を掲げ、自身で開発した不思議な薬を夜な夜な売っている売人。

推定二十代の、謎が多い男。馬瀬なら何か知っていそう。少々天然というより馬鹿。だが薬を開発するほどの頭脳は持ち合わせている様子。頭の良さと馬鹿って共存するんだね。

昔、昼夜の概念が今とは逆だったと言い、自身も太陽が出ている昼に起きて月が浮かぶ夜に寝る。この説はこの世界ではおかしい、そんな藤竹を周りは変人と呼ぶ。






























































-あとがき-


前回1話と同じように、一人称視点で語る主人公と藤竹の2人だけの会話劇になりました。構図同じすぎて笑う。


今回は藤竹の人物像をちょっと深堀しようかなと思ったけどできんかった。いまんとこ変人としか分からない。


最後の電話はどういうことでしょうね(←白々しい)。「下駄少年」から察するに1話と関係あるっぽいですけど。


1話は3ヶ月も前に書いたものだけど、続きが書いてみたくなった。この2話の続きはまた時間空くかもしれません。


ここまで読んでくれた方へ。もし宜しければこの小説の感想をお願いいたします。読んでいただけてとても嬉しいです。ありがとうございました。

筧沙織>アカ身辺整理/無浮上・2023-12-13
『こんな夜には星屋がひらく。』
小説
創作
休息のひととき
小説/from:沙織
タグ使用/from:沙織
独り言
ポエム
憂鬱
バディ
友人
大丈夫
呟き
クリスマスはきっと
拝啓未熟な僕へ
花束を君に
タグ使用/from:沙織

4月からは社会人
やっとなりたいって思ってた仕事につけるのは嬉しい
でも、不安の方が大きい、、、。
人との関わりを上手くできるだろうか。
その中でも資格を取るのに介護の勉強をしないといけない
それすらもちゃんと取れるのかわかんないや。

yua・2024-03-06
社会人
憂鬱



第一章-三話「加速」





 馬瀬は藤竹の運転する車の助手席に座り、藤竹の使っている柔軟剤と体臭が香る、何サイズも上のパーカーに体をうずめていた。裏起毛が冷え性気味の馬瀬を温めるが、それよりも先程から肝が冷えるので寒いままだった。


 明るくて知らない道を走っている。こんな夜に、こんな遠出をしてしまっていいものかと焦っている。



「ねえ、やっぱり嫌だよこんな夜中にさあ。あんたの家に行くだけのはずだったから親には少し出てくるとしか言ってないし」


「それは申し訳なかったね」



 藤竹は黒装束から出ている手でハンドルを握り、前を見たまま眉の端を下げて微笑した。しかし次の瞬間には一変して真面目な顔を見せた。



「でも一人じゃ嫌だったんだ。馬瀬が一番信頼できるから、ついてきてほしくて」



 馬瀬は藤竹の言葉を受け取り、飲み込む。胸のどこかが揺らいだ。そのいつもとは違う湿った雰囲気の真っ直ぐな横顔に、馬瀬は既視感を感じていた。



「ふん」



 そのまま何も言わない藤竹に急につまらなくなり小さく鼻を鳴らして、ガラス越しの景色に目を移した。スイッチで窓を半分くらいまで下げて夜風を顔に浴びる。ガラス越しでも直でも、景色は変わらないものなんだと思った。ガラスがどこまで景色を通すのか今まで疑問に思ったことは一度もないけれど。



「__込山さんは二番目なの?」



 頭に浮かぶと同時に、気がつけば口に出ていた。


 藤竹が勤める会社で同じ部署所属の込山蛇蓮という男が、藤竹本人が目の前で眠っている時に藤竹宅へ訪ねてきた。その際に馬瀬は優しさで藤竹を起こさずに込山とやり取りをし、名刺を受け取りその日は帰ってもらったのだった。



「えっ?」


「私が一番信頼できるって言うんなら、あの親しそうな込山さんが二番目ってことになる。可哀想。そうだよ、可哀想」



 赤信号で車が止まり、藤竹は一瞬斜め上の虚空を見る。



「込山……あの同期の蛇面のか?」


「ひどいね」



 馬瀬は、藤竹が込山のことを蛇面だと云ったことに対してではなく、込山のことを思い出すまでに間があったことに衝撃を受けていた。二人は仲のいいとばかり思っていたからだ。



「いやだって、そんなに話したことないし!」



 藤竹は子供のように口を尖らせる。



「ふうん。そう」


「あ、あん時はごめんて」



 馬瀬は口から溜息のようなものと一緒に、心のこもっていない言葉が漏れ出た。藤竹はそれが拗ねているように見えたのか、少し面倒くさそうに謝る。



「別に蒸し返して謝らせるつもりじゃないけど? はい青」



 馬瀬は細かい言葉の抑揚で、藤竹が心の底から謝っていないことを理解していた。少し溜まったストレスをこっそり言葉に乗せてぶつけた。信号が青に切り替わったのを見たので知らせる。



「……青信号って緑だよね」


「うん」


「本当は緑なのに名前だけ青なんだよなあ」


「そうね」


「なんでだろうな」


「なんでかねぇ」



     *



 下駄少年、熊川 緑郎(くまがわ ろくろう)は携帯を握りしめ震えていた。以前夜を徘徊している時に偶然出会ったおかしな売人の男。もらった名刺に書かれた番号に電話して呼び出した。そいつがこれからここへやってくる。


 おおごとにしてしまったかもしれないという少しの後悔と、もし厄介なことをすればそこに横たわる父にしたことと同じことをしなければならないという覚悟が震えを膨らませていた。


 あの男を呼んだのは、星の粉薬を欲しいからではない。あの時、男が地面に広げた瓶の中に〝時戻りの石〟というラベルが貼られた瓶があったと思うからだ。



     1



 緑郎は七年前から父と二人暮らしだった。たった一時間前、緑郎はその父親を金属バットでなぐり気絶させた。出血しているが、まだ息はある。父は倒れた時風呂に入ってきたばかりだったからか、床に水の混ざった血が薄く滲んでいる。


 現在中学二年生で成長期に差し掛かり、父親の身長に近づいてきており、筋肉もつき始めたため、簡単ではなかったが実行に移すのは可能であった。


 バットは小学生の頃、周りの同級生の男子が野球少年ばかりだったため、自分もあわせなければと思い父親にねだって買ってもらったものだった。結果、長い間押し入れの奥で埃を被ることになったのだが、今となっては買っておいてよかったと緑郎は思った。


 しかし欲は渦巻く。警察につかまりたくない、と強く願わずにはいられない。


 緑郎は中学二年生だ。つまらない毎日だが、まだやりたいことはあった。焦りの中、走馬灯のように頭に映像が流れる。しかしすべて最近のもので、なんのあてにもならない。と思ったが、すぐあとにあの男のうすら笑みを思い出した。


(沢山の瓶の中で時戻りの石があったはず)


 緑郎は脂汗をかきながら笑う。もしそれに時を戻す力があるのなら、過去に戻ってもっと計画をたてて実行しようと思った。


 藁にもすがる思いで電話をかけた。


 __プルルルルル


(三年前から毎日、朝はコンビニのおにぎり頬張る。休日はそれに加えて昼飯がコンビニ弁当だ。一見綺麗に見えて掃除の行き届いてない部屋、そんな家で暮らすのは不快なので掃除機をかけるが、黙っていると父親はそのことに気づきもしない。フローラルな香りはするのにシワだらけの服。話せる友人はたった一人だけな学校生活。それでも何とか登校できていたのは、美味い飯がたらふく食べられるから。親戚や近所の人からの憐れむような視線、結局は他人事だと思っているくせに蚊帳の外から気持ちだけはこちらに向けている。中途半端な同情なんていらないのに。母さんがなくなったのは親父のせいだ。母さんは親父なんかを気づかって自分の病気を隠していた。だって、僕は母さんがしんでから初めて母さんが抱えていた病気のことを知ったんだから)


 __ルルルッ



「……もしもし」



     *



 出発から何十分か経過した。流れる景色がすべて同じに見える。ラジオのパーソナリティの声が、もう言語として捉えられないほどに輪郭がぼやけて聞こえている。溜息をひとつ、ついた。



「ねえ、いつ着くの」



 そう云いながらも藤竹の気まずそうな顔から、馬瀬は何かを察していた。



「あとー……四十分くらい?」


「嘘でしょ、そんなに遠い場所だったの!? なんて所に付き合わせてくれたんだ」



 思わず立ち上がろうとする。シートベルトが肩を沈めた。だがその前に頭のてっぺんがルーフに激突。歯や首に響く衝撃だった。藤竹は一瞬慌てるが、運転があるので前を向きながら「大丈夫!?」と声をかけた。馬瀬が羽織っているぶかぶかのパーカーが左肩からずり落ちる。肩に戻して、正面のジッパーを上げた。



「大丈夫……」


「よかった。あ、遠い場所だった件、ごめん。俺も乗ってナビ見るまで、こんな遠いとは思わなくて」


「……ちっとは薬の開発以外の場面で頭使ってあげなさいよ」



 頬杖をついて睨みつける。



「ひどいなあ」


「で?」


「ん?」


「今から行く場所にはどんな人がいるの」



 馬瀬は純粋に気になっていた。



「どんな、っつっても普通の少年だよ。下駄履いてる」


「へえ、そう」


「電話で助けてって言われてさ。詳しい話は聞いてないけど大変なことがあったんだよ」



 そんな具体的でない助けで車を出すとは、と馬瀬は心の中で呆れていた。だが藤竹の隣にいる人間としていちいち文句を言っていたらキリがない、そんな緩いようで固いような覚悟があった。



「……まあ、これ以上言ったって何にもならないし諦めるわ。私を巻き込んだことはまだ許してないけど」



 そう云い、ふと自分のズボンのポケットに手を入れてみる。すると左のポケットからスマホが出てきた。馬瀬はこの先四十分の退屈を紛らわせると思い、静かに喜ぶ。 四桁の番号を入力しロックを解除した。通知を見ると、母からのメッセージが大量に入っていてぎょっとした。


<そろそろ帰ってきたら>
<もう三十分くらい経つけど>
<千寿子?>


 母からはいつも「ちず」と呼ばれている。本名で呼ばれた理由はおそらく怒っているか心配しているかのどちらかだ。そっと通知欄を閉じて見ないことにする。


 最近よくやっているパズルゲームアプリを開き、プレイボタンを押す。「酔わない?」と藤竹の声が聞こえたが無視をした。私は車に酔いやすいが、今は車酔いよりも気を紛らわすことが優先だった。










(終わり)



















































-登場人物-


●馬瀬千寿子

読み:ませ ちずこ

主人公「私」。女性。下の名前は今回最後の最後に判明。年齢不明。話しぶりからして藤竹と歳が近いのだろうか。二話の冒頭からして少し下向きな性格だと読み取れる。

藤竹と友人の仲。家が近いのでよく藤竹の家に行ったり、一緒に買い物に行ったりする。藤竹のことを「変人」「アホ」と言うことが多い。だがなんだかんだで一緒にいる。

太陽が出ている時間のことを夜と呼ぶ。


●藤竹骨

読み:ふじたけ こつ

謎が多い男性。推定二十代。

摩訶不思議株式会社営業課に所属している(が幽霊社員の)男。それとは別に星屋という看板を掲げ、自身で開発した不思議な薬を夜な夜な売っている売人。

馬瀬なら何か知っていそう。少々天然というより馬鹿。だが薬を開発するほどの頭脳は持ち合わせている様子。頭の良さと馬鹿って共存するんだということを教えてくれるキャタクター。

昔、昼夜の概念が今とは逆だったと言い、自身も太陽が出ている昼に起きて月が浮かぶ夜に寝る。この説はこの世界ではおかしい、そんな藤竹を周りは変人と呼ぶ。


●熊川緑郎

読み:くまがわ ろくろう

一話で主人公「僕」だった「下駄少年」。中学二年生(成長期)。今回名前が判明。わりと冷静で達観しているけど、家庭環境もあって少し精神的に不安定。サンダル感覚で下駄を履く。

一人だけ友達がいる。一話の時から地の文で話には出ていた。その友人はオカルト好きで「昔は昼と夜が逆だったんだよ」と藤竹のようなことを言う、そこらをフラフラしているような人間らしい(一話参照)。

父親が嫌い。

馬瀬と同じく、太陽が出ている時間のことを夜と呼ぶ。








































-あとがき-


読んでくださりありがとうございました。とても嬉しいです。拙い文章ではありましたが楽しんでいただけていたら幸いです。


前回のあとがきで、次の話の投稿まで時間が空くかもしれないと言っておきながら、こん星の話を書くのが楽しくなっちゃって三日くらいで書き上げました。


こん星ってなんかこんぶみたいだよね(脱線)。他にいい略し方ないものか。夜星?夜ひら?どれもしっくり来ない(笑)。とりあえずこん星のままで。


今気がついた偶然ですが、一話二話今回三話と全て背景写真に後ろ姿の女性がうつっていますね。馬瀬ってことにしときます。


このあとがきの所はコピペなしで毎回書いてます(登場人物欄はコピペするけど毎回情報が加わるため加筆が多い)。疲れます。本編書いてる時よりは頭使わないけれど。


今回、文量のわりにあまり物語の進展なくて申し訳ない。でも伏線を一個張ってる(つもり)だから許していただきたいです……。


馬瀬の下の名前と、下駄少年の名前が判明しましたね。おめでたいです。緑郎くん、ちゃんと苗字に動物入れときましたよ。


まだちゃんとは出してないけど、既に込山が不憫でちょっとジワジワ来てます。書いたの自分なのに笑けてる。家に訪ねたら藤竹寝てるし、同期なのに藤竹には覚えられてないし。


ちなみにこの小説は小説アプリで書いてるのですが、書いてるうちに所々守らないとむちゃくちゃになるような設定増えてきたので、人物や藤竹の薬や世界観などの設定をまとめたり、

一話二話ゼロ話(皿が割れる)をコピペして執筆中いつでも見返して辻褄合わせができるようにするのに時間かかりました。登場人物のプロフィールページ作りました。裏設定とかもあります。


でもそのおかげで一話に一瞬出てきた緑郎の友達の存在を忘れずにすみました。危ない、存在消えるとこだった。藤竹と同じ思想持ってるキャラを忘れるとは。ほんと危なかった。


あと実は緑郎が一話で下駄を履いてたことも最初(二話の冒頭執筆中の時)忘れてました。ざっと見返してからそれに気づいて、藤竹に「下駄少年」って呼ばせました。どこまでも危ない。まだ一話で見逃した設定ないか不安。作者なのに。


最後に。もし宜しければですが、この小説の感想をお願いいたします。感想が来ると作者の私が飛んで喜びます。次回四話ですが、近いうちに書くか、もしくは今回の執筆で燃え尽きて投稿が先になるかもしれませんがお待ちください。ここまで読んでくださりありがとうございました。

筧沙織>アカ身辺整理/無浮上・2023-12-17
『こんな夜には星屋がひらく。』
小説
創作
物語
星の残り香をもとめて。
ゆかりんのタグを使用
タグ使用/from:沙織
小説/from:沙織
独り言
憂鬱
バディ
友人
大丈夫
父親
クリスマスはきっと
大切な人



夜に飛び出して
街の喧騒に揉まれる


時間が流れていくのを
できるだけ気にしないようにして
何気なく過ごす


気持ちを落ち着かせたら
明日の予定を確認する


誰にも聞こえないような
ため息を吐いて
ゆっくり席を立ち上がる

Marigold・2023-12-17
憂鬱

1日1日が同じようで違う。
だから憂鬱なのかな。

ゆむ・2024-04-04
だから
憂鬱
違う
同じ
独り言



第一章-五話「時戻り」





 赤い花が広がった。


 数時間前、金属バットで親父を殴った。親父はまだ生きている。そのことに僕は安心するわけでもなく、救急車を呼んだ込山って男を恨むわけでもなかった。何故かはっきりと残念とは思えなかった。


 下しか見れない。警察官が、硬く丈夫そうな手で僕を外に連れていく。その制服の厚い生地が背中にあたって、現実感が増す。拳銃、暴発しないかななんて考える。


 春夏秋冬、母さんがしんだ時も、通ったいつもの出入口が、とてつもなく嫌に感じた。



    *




「藤竹!」



そう云って赤い光の奥から大きく手を振りながら近づいてくる人影の一人は、摩訶不思議株式会社営業課、込山さんだった。最初に会った時と同じスーツ姿だ。思わず藤竹と私は「えっ」と声を揃えて驚く。



「ねえ、なんで込山さんいるの」



 分かるはずもないのに混乱して藤竹に訊く。



「さ、さあ……俺なんか怖い」と、この寒さからか少しの怖さからか自分の腕を抱いて目を細める藤竹。



 ここは県内、摩訶不思議株式会社の本社もこの県内にあると藤竹から聞いた。単なる偶然だと思う。というか、あちらの込山さん側からすれば、黒装束という怪しい格好をしている藤竹を見つけられない方が変か。



「込山さんはあんたのストーカーとかじゃなく同期さんでしょうが。ただの偶然でしょ」


「同期っていうか俺あんま出勤してないから会った回数少ないし……」



 車内でも同じようなことを言っていた気がする。込山さんはいつも藤竹に心の距離をとられている。そんなことは露知らず込山さんは駆け足のスピードを緩めながら、切れ長な目を細めて笑っている。



「それでもあっちは気にかけてくれてるってことじゃないの。前に家まで来てくれたし」


「藤竹! なんでここに?」



 膝に手をついて少し息を切らしながらも笑顔を崩さず込山さんは云う。走ったことによるものとは別で、疲れているように見えるのは気のせいだろうか。その後ろから眼鏡をかけた同じくスーツ姿の女性が早足でやってきている。



「あー、知り合いに会いに来たってとこかな?」と、藤竹は分かりやすく込山さんから目線を外して誤魔化す。


「へえ……あっ、あの時の! 藤竹のお友達ですよね!」


「ええ……まあ」



 込山さんが私に気づき、〝お友達〟なんて余計なことを云う。実は藤竹の家で込山さんと初めて会った時、本人が寝ているのをいいことに、調子に乗って自分のことを込山さんに『藤竹の友達です』なんて説明をしてしまったのだ。



「ちょ、込山に俺と友達って言ってくれたの!?」


「うっさい!」


「理不尽」



 嬉しそうな顔をする藤竹に、完全な否定はできなかった。



「ふっ」



 いつの間にか込山の隣にいた、眼鏡の女性が静かに笑う。向き合ってくだらない会話をしていた私と藤竹が同時にその女性を見る。



「あ、この人は最近入ってきた人でね。でも年齢的には俺の二個上の」


「蓮見鷹世といいます。どうぞよろしく」



 女性ではあるけれど、中性的な人だった。一見すると自分で切ったかのような長めのショートカット。前髪が右目を隠していて、残りの前髪を左耳にかけている。ずり落ち気味の半月型の眼鏡の奥に、三白眼の目が力強くあった。怖い印象の見た目だが、その落ち着いた声を聞くと不思議と怖いとは思わない。けれど哀しい雰囲気を漂わせていた。



「藤竹骨です! 一応込山と同期です」


「一応って言うな。あっ、馬瀬千寿子と申します。私は、こいつの……えっと」



 なんと言うべきか考えてしまって言葉に詰まる。



「お友達、ですよね」



 耳から垂れ下がった前髪をひっかけ直しながら、微笑んで云われた。年上の、大人の余裕だろうか。一応私も成人済みだがそれでもどこか遠く感じた。



「……まあ、正確には隣にいるだけというか。〝見つけてもらった〟というか。家がお向かいさんってだけで。今も、連れてこられただけですし。その、違いますけど。一応そんな感じです」



 恥ずかしさと、〝思い出してしまう〟つらさを、抑え込もうと早口になる。顔が熱い。



「一応って言うなよーっ!」



 言い返されてしまった。



「ところで、二人はこの夜中に何を? 正直言って隈すごいけど」



 真面目な声になって訊く藤竹。だが深く被った黒装束のフードに隠れてその横顔が見えない。車の中でも感じたようにいつもだけれど、こういう時の藤竹はどこか既視感があって。


 確かに藤竹の言う通り、二人の目の下には隈がくっきりとあった。瞼も半分落ちきっている。どことなく言葉も消え入るようで心配だ。



「あーやっぱ分かる? 残業ってやつだな。時間も忘れてそこらじゅう訪ねてた。それにあんま寝てねえんだ」


「だろうね。睡眠は大事だよ」



 無理はしていない様子だが、明らかに声がかすれている込山さん。藤竹は返答が早く、いつの間にか二人を観察するような目をしていた。



「そうだよな……。しかもこんな寝てない状態で限定品売りまくっちまうし。俺クビかなあ」


「限定品を粗末に売るのは、開発に携わった人間としていただけないけど。クビにはならないと思うよ」



 〝限定品〟それを二人はこの夜中に売っていたようだった。私から見ても駄目ではあると思うが、ボロボロな二人を見て責める気にはなれなかった。というかほぼ初対面だし。藤竹もそれほど怒ってはいないようだ。



「お前優しいな。ほんとごめんな。あーこんままさっきのこと忘れられそう」


「さっき?」と私に問われ、込山さんは顔をさらに暗くして、背後のマンションやパトカーを振り返って見た。



 それにつられ、蓮見さんも目を細め、黙って振り返る。四人のデコボコの影が、薄く長く伸びている。



「限定品である〝時戻りの石〟を、さっき訪問販売で売ってたんですよ。熊川緑郎って中学生の男の子に。まあこれも若干だめだったと思うんだけど」



 静かに込山さんが語り出す。



「家に上がらせてもらって商品説明しててさ。俺蓮見さんの所謂教育係っていうか。だから一緒に行動してたんだけど。時戻りの石買ってもらって、さあ帰ろうって時に蓮見さんが見ちゃって。その……倒れて気を失ってる緑郎くんのお父さんを」


「うわあ」と、藤竹は無意識に声を出しているようだった。


「混乱したけど、緑郎くんに訊いたら『僕がやりました、殴りました』って言うもんだからさ。警察呼んどいた方がいいよねってことになって。蓮見さんに通報は頼んで、俺は緑郎くんが逃げないように腕掴んでたんだけど。何故か緑郎くん逃げようとも隠れようともしないし。暴れたりもしなくて」


「あのパトカー込山たちが呼んだの!?」



 注目するところがおかしい。その緑郎という男の子が父親を殴ってしまった方よりも、パトカーを込山さんと蓮見さんが呼んだことに驚いている。やはり藤竹は時々ずれている。



「ああ。緑郎くんのお父さん幸いにもまだ息があって、さっき救急車で運ばれていったよ。緑郎くんはまだ家ん中。俺たちさっきまで色々警察に訊かれててな。正直言って疲れてる。寝たい。ただでさえ寝不足なのに」


「それはしんどいな。お疲れ。蓮見さんもお疲れ様です」


「いえ」と、どこか遠くを眺めていた蓮見さんが、向き直って藤竹に少し頭を下げた。


「というか、その時戻りの石? ってなんなんです」



 純粋な疑問が口に出ていた。なんだか一人置いてけぼりな私に、藤竹が私に云う。



「ああそれはな」



・・・



 藤竹と摩訶不思議株式会社が共同開発した期間限定販売の商品であることなど改めてざっと、〝時戻りの石〟についての説明を受けた。



「ああ、さっき車の中で言ってたやつがこれか。なんだか難しいな。私には無理。名前まんま時戻りできるものってことだけ頭に入れとく」


「ああ、それでいい。まあ馬瀬は俺の作るもんに興味ないもんな!」


「覚えたって無駄っちゃあ無駄かな」


「おおい、なんてこと云うんだ! 覚えといて損はないぞ? 事前知識ありで誰かが時戻りするのを見てると、他の人とは違って時間が改変されても記憶を失わないんだぜ! しかも記憶があることで行動に関しても改変の影響を受けず、その日の行動がなかったことにはならないで、自分や物がどっかに消えたりせず、立ってる場所も変わらずだ」


「あー……でもだんだん事前知識ってやつを持ってる人が増えると記憶を保持できちゃう人が増えるわけだから、時戻りの石の意味がなくなってきそう。あ、だから期間限定?」


「そうなんだ。ここが難所でね。今の俺の技術じゃこの部分が取り除けなかった。意外と難しかったんだ。思えば今まで作ってきた商品たちは、使用者個人の身体や内面に焦点を当てるようなものが多かった気がする。だが、過去へ意識が飛んで行くタイムリープをするこの時戻りの石は、改変などで周りに大きな影響を及ぼす。こういうのを作るのは苦手分野かな。悪用される可能性も増えちゃうしさ。まあ期間限定だからこそ、この商品は輝くのかもしれないね」



 藤竹は嬉しそうに語る。



「出てくるぞ」と、込山さんがマンションの方向を指差した。



 見ると、警察官に肩を掴まれて俯きながら出てくる少年の姿があった。部屋着のような姿だ。胸が痛む。それは熊川という少年やその父親への同情の気持ちなのかは分からなかった。



「嘘だろ、下駄少年」



 藤竹の一言で分かった。今すぐそこで連行されている熊川緑郎と、藤竹を呼び出した下駄少年は同一人物だと。



「え、何知り合いだった?」


「俺らをここに呼んだ、少年だよ」


「は? え、藤竹と馬瀬さんは緑郎くんに呼び出されたって? ……まじか」



 込山さんは混乱した様子で、髪の毛をわしゃわしゃと掻く。



「……まずいな」



 藤竹が視線を逸らさないまま、身構えた。


 私にはその意味がよく分からなかったが、込山さんも蓮見さんも何かを察したように、じっと少年を見ていた。


 熊川少年が、ズボンのポケットから何かを取り出す。桃色の、石のような塊だ。それを自分の口に運んだ。


 藤竹が叫ぶ。



「くそ、時戻りだ!!」









(終わり)

















































-登場人物-


●馬瀬千寿子

読み:ませ ちずこ

主人公「私」。女性。少し下向きな性格。二話から藤竹に借りた大きいパーカーを羽織っている。藤竹と友人の仲。藤竹のことを「変人」「馬鹿」と言うことが多い。だがなんだかんだで一緒にいる。

太陽が出ている時間のことを夜と呼ぶ。


●藤竹骨

読み:ふじたけ こつ

謎が多い男性。推定二十代?少々天然(馬鹿)。だが薬を開発するほどの頭脳は持ち合わせている。

摩訶不思議株式会社営業課所属(だが幽霊社員)。それとは別に星屋という看板を掲げ、自身で開発した不思議な薬を夜な夜な売っている売人。運転免許取得済。

昔、昼夜の概念が今とは逆だったと言い、自身も太陽が出ている昼に起きて月が浮かぶ夜に寝る。この説はこの世界ではおかしい、そんな藤竹を周りは変人と呼ぶ。


●熊川緑郎

読み:くまがわ ろくろう

一話で主人公「僕」だった「下駄少年」。男性。中学二年生(成長期)。わりと冷静で達観しているけど、少し精神的に不安定。サンダル感覚で下駄を履く。父親が嫌い。

一人だけ友達がいる。その友人はオカルト好きで「昔は昼と夜が逆だったんだよ」と藤竹のようなことを言う、そこらをフラフラしているような人間らしい(一話参照)。

馬瀬と同じく、太陽が出ている時間のことを夜と呼ぶ。


●込山蛇蓮

読み:こみやま じゃれん

摩訶不思議株式会社営業課勤務の男性。年齢不明。藤竹とは会社の同期。だが藤竹にはそんなに仲良いとは思われてない。そのことは込山本人は知らない。

蛇っぽい顔らしい。


●蓮見鷹世

読み:はすみ たかよ

摩訶不思議株式会社営業課所属。女性。番外編「転機」で主人公だった。年齢は番外編冒頭の描写からして少なくとも三十は越えている。

眼鏡をかけている。



































-あとがき-


ここまで読んで下さりありがとうございました!


毎回振り返れるように登場人物まとめてるけど、ちょっと長いからもっと短くしないとな。


この小説が昼夜の概念逆な世界観なのは、ファンタジー感を出したかったからです。普通の私たちが住んでいるような世界の中で藤竹みたいな奴がいては違和感がすごいので。いやどちらにせよ変な人だから違和感すごいか。


ちなみにですが、この次の投稿で、とあるキャラクターの心情のポエム?詩?を書きました。タグからも飛べます。誰の話なのかは秘密です。いずれ分かるようにしてあります。


最後に。もし良ければですが、感想をいただけたら幸いです。六話はまた投稿すると思います。そちらも良ければ見てください。ありがとうございました。

筧沙織>アカ身辺整理/無浮上・2024-01-18
『こんな夜には星屋がひらく。』
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