今日も誰も見てくれない聞いてくれない
話しかけても誰も反応してくれない
これがもう8年以上経つ。
寂しいよ
誰もいないの?
"私と話せる人"
今日も話しかける
それは独り言となるけど
希望はあるって信じてるから
ここは3年生のクラス
なぜか私は目が覚めるとここにいた
私は記憶がなく
自分の名前すらもわからなかった
3ーA組。
それで思い出すことはない
特にここで目覚めた意味はないだろう
私は目覚めた後
ここが学校だとすぐにわかった
まあ誰でもわかるか
どんなに記憶がなくても
そういう知識残ってるものだ
私はそれから生徒と毎日のように
学校を楽しんだ。
時にはいじめを止めようとしたり
時には誰かを慰めたり
時には友達と話したり。
まあいつも"私から"だけど
でもいつか
私と本当に話せる人が現れたら
私は幸せになって成仏できるのかな
そんな希望を持ちながら
今日も話しかける
今は2時間目の後の休み時間だ
みんな誰かと話してる中
一人だけ机とにらめっこしてる人がいた
新田くんだ。
私は新田くんの隣の席の
机の上に勢い良く座り
元気な声で話しかける
○「やっほー!調子はどおー?
ねね聞いてよー!今日犬に吠えられた!
すごく怖かったんだ!って夢の話だけど
私ここから出られないから
犬とか見たことないんだよねー
まあ出られるっちゃ出られるけど
消えるまでの時間が短くなからなー
ってか生きている頃はどーだったんだろ
学校とかにも行ってたのかなー?
もし行ってなかったとしたら
もったいないよねー!
だって
こんなにもいい子がたくさんいるのに!
貴方もそう思わないっ?」
□「…」
新田くんは真面目だ。
頭もいい。
こないだの合計点は確か、478だっけ
本当バケモノ染みている
私は聞こえてないとは
認めたくなくて
誰も見てないのに意地を張り
笑って誤魔化す
「..あー、勉強に集中したい感じ?
ご、ごめんね!気が回らなくて」
すると背後から声が聞こえた
☆「ねーね」
島崎さんの声だ。
今、ねーねって..
もしかして、
私は目をキラキラ輝かせながら
振り向いた。
でも違った。
島崎さんが呼んだのは
仲の良い黒川さんだ
◇「なにー?」
☆「ここ教えてくんない?」
◇「あ、そこ?いいけど
えっとねここは..(説明)」
私はまたしても誰も見てないのに
意地を張った。
○「...も、もー!紛らわしーな!
勘違いなんかしちゃって恥ずかしい!」
笑っていよう。
笑ってたらいつか。
いつかまた誰かと話せるから。
そう自分に言い聞かせて
私は感情を抑えた
-卒業式-
◇「みんな元気でね!!」
☆「うああ(泣
高校生になっても友達だからね!」
◇「当たり前じゃんか!」
またいなくなる。
今回は..いや今回も誰もいなかったな..
○「う、ううん、次は絶対出会える!!
よーし!今のうちにお喋りの練習だ!」
きっと、きっと大丈夫!
-次の年-
今度こそ誰かに。
○「よーし頑張るゾー!
まずは片っ端から話しかける!」
私は順に話しかけていった
案の定誰も反応してくれない
○「あとこの子だけ。
や、やっほー元気してるー?」
▽「?..」
え?
今一瞬動きが固まって..
私は期待を胸に話しかけた
今までとは違い丁寧に
○「あ、あの、聞こえ、ますか?」
▽「…」
○「き、気のせいだったのかな
なんかホッとするけど残念だな、」
でももしかしたらと自分に言い聞かせ
「これからよろしくね」と
私はこの子に着いていくことを決めた
一度着いていくのを約束したら
もうここには戻れない。
それに幽霊寿命が短くなる。
そんなこと知ってた。
でももう一度誰かと
笑いたいから 話したいから。
希望があればそれにすがりたい。
それから私はその子に毎日話しかけた
○「ねーね!私の声聞こえるっ?」
○「あ!これ私知ってるー!」
○「うあーあの子ヒドーい!大丈夫?」
でも何も得られなかった。
やっぱりダメなのかな。
全部意味なかったのかな
私は一生一人ぼっちなのかな。
と段々弱音を吐くようになっていった
▽「準備終わったし学校行くか」
今日も遅刻みたい
○「ちゃんと起きなきゃダメじゃんか」
…
私はもう消えてしまう
最後の希望のこの子もやっぱダメだった
でも私なりに頑張ったよね。
…
「どうしてなのかな
どうして私がこんな。」
"寂しい"
それだけでは表せないほどに
無慈悲に私を蝕んでいく感情
消えていく。
痛いというのはない
ただ、ひたすらに消えていく
爪先から膝へ 膝からお腹へ
そしていつか感情までも。
音「ガチャ」
▽「よしカギかけてっと」
私はもう期待なんかしてない
ただ、最後に
最後にお別れを言いたくて
○「..ねぇ。」
▽「..?」
聞こえたのかな。
なんで今更。
でも消える前に話せる。
私は嬉しかった。
本当に報われたと喜びを感じていた
でも。
続けて私が口を開こうとしたその時
▽「怖っ」
あれ、なんで。
その子は走って私から離れていく
まあ恐怖しかないだろう
急にどこからか
「ねぇ」と声をかけられる
これほど不気味なものはない。
でも私はもう冷静に考えれなかった
どうして逃げるのかわからなかった
「待って。行かないで。」と
願望を聞こえもしないのに
ただひたすらに叫び続けた
せっかく聞こえたはずなのに
どんどん足音は遠ざく。
私は喜びから一気に
絶望に落とされた気分だった。
まだ消えたくない。
そう思い叫んだ
でもそれが届くはずもなく
自動車の音や
風にかき消されていくばかりで
私はその日、2度目の死を遂げた
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「希望に満ちた幽霊」