はじめる

#文スト創作キャラ

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全39作品・

⚠こちらは、文豪ストレイドッグスの夢小説です。

文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

こちらは、【おはようの恋心】の続編ストーリーです。こちらを読んでからの方が、分かりやすいと思います。

今回、ストーリーに、金子みすゞ先生の作品、『折紙あそび』を引用させていただきました。

ご了承ください。










【この空の向こうに】



前編


日曜日。

賢治は、みすゞの部屋の扉をノックした。

「みすゞさん、来ましたよー」

そう賢治が言うと、扉がゆっくりと開く。

「お、おはようございます、賢治さん…」

出てきたみすゞは、まだ寝間着姿だ。

「あれ、今起きたんですか?」

賢治が首を傾げる。

「いえ、その…」

「取り敢えず、入ってもらえますか…?」

みすゞは恥ずかしそうに、賢治を部屋に入れる。

「…あれ、これ」

賢治は、部屋の机の上にあるモノに目がいった。

「折紙、ですか?」

赤、青、黄。様々な色の折紙が、机の上にのっている。

「はい…。実は、賢治さんが来るまでまだ時間があったので、棚を整理してたんです。そしたらこれが出てきまして…」

みすゞは続ける。

「それで、少し熱中してしまって…。寝間着姿で、申し訳ありません。」

みすゞはペコリと頭を下げる。

「いえいえ、大丈夫ですよー!あ、よかったら折紙、僕にも教えてもらえますか?」

ニコリと賢治は微笑む。

「えぇ、勿論です…。昔、母から教えてもらった折り方があるんです。ちょっと待っててください。」

みすゞは、赤い折紙を出し、机の上へ置く。

賢治は、床にしゃがみこみ、みすゞの手元にある赤い折紙をジッと見つめる。

すると、みすゞは小さな声で歌い出した。

それと同時に、手が動く。


あかい、四角な、色紙よ
これで手品をつかいましょ。

私の十のゆびさきで、
まず生まれます、虚無僧が。

みるまに化ります、鯛の尾に
ほらほらぴちぴちはねてます。

鯛もうかべば帆かけ舟
舟は帆かけてどこへゆく。

その帆おろせば二艘船、
世界のはてまで二艘づれ。

またもかわれば風ぐるま、
ふっと吹きましょ、またまわしましょ。

またもかわってお狐さん、
コンコンこんどはなんに化きょ。

そこで化けます、紙きれに、
もとの四角な色紙に。

なんて不思議な紙でしょう、
なんて上手な手品でしょう。

「こんなのです。」

折り目のついた赤い四角い折紙を、賢治に見せる。

「おぉ!とても素敵です!そんなお歌があるんですねー。僕にも教えてください!」

賢治は、目を輝かせ言う。

「はい!まずは…」

みすゞは、折り方を賢治に教えていく。

二人の会話は、途切れることはなかった。


「お、敦さんと鏡花さん、任務終わったみたいです!」

賢治が、携帯に来たメールを確認する。

「では、そろそろ行きましょうか。」

二人は、立ち上がり、部屋から出る。

そして、二人に示された待ち合わせ場所に向かって行った。

「そういえば、プラネタリウム。今は何のお話をやっているんでしょう。」

みすゞが、ふと気になったことを賢治に聞く。

「今は、秋の星座の神話を紹介しているらしいです。楽しみですねー!」

「そうなんですね!楽しみです。…あ、あれは敦さん達では?」

みすゞは、ベンチに腰掛けている二人を指差す。

「お、本当です!おーい、敦さーん!鏡花さーん!」

賢治、手を振りながら二人の方へ走っていった。

「あ、賢治くん、みすゞちゃん!」

「任務お疲れ様ですー!プラネタリウム、楽しみですね。」

にへ、と賢治が微笑む。

鏡花は、うんうん、と首を縦に振っている。

「任務、すぐに終わらせた。凄く楽しみ。」

「ふふ。では、さっそく行きましょうか。」

みすゞがそう言うと、敦と鏡花が、ベンチから立ち上がる。

四人は、プラネタリウムが行われる会場へと、歩き始めた。


「んー、ちょっと並んでるなぁ。もう少しで入れるかな?」

敦が、短い列の先を見ながら呟く。

「まだ、開演まで三十分ほどありますし…鏡花さん、お手洗い済ませておきましょうか。」

みすゞが鏡花に言う。

「了解。二人は、先に席の方行ってて。」

鏡花がそう言うと、敦と賢治は「はーい」と返事をした。


そうして、四人は会場内へ入っていく。

みすゞと鏡花は、お手洗いを済ませに行っていた。


ジャーと、洗面台の蛇口から、水が流れる。

「デート、上手くいきそう。」

「本当ですね。プラネタリウム、楽しみですねー!」

ふふ、とみすゞは笑う。


すると、


「ねぇ、貴女達。」

と、急に、後ろから声がかかった。

二人は、バッと振り向く。

そこにいたのは、スラリとした女性。

「あら、驚かしてごめんなさい。私、ここで星を廻す仕事をしてるのよ。つまり、ここの従業員。怪しい者じゃないわ。」

女性は続ける。

「貴女達、男の子と一緒にいたわよね。…もしかして、デート?」

女性は、ニヤッと笑いながら二人に聞く。

みすゞと鏡花は、一度顔を見合わし、頷く。

「やっぱり!今からの公演でしょ?星を廻すの、今回は私が担当なの。ぜひ楽しんでいってね。」

ニコリと女性は微笑む。

そして、お手洗いから出ていった。

「…何だか、変わった方でしたね。」

みすゞは、呆けた顔をしながら呟く。

「本当に…。あ、そろそろ行こう。二人が待ってる。」

もう少しで、プラネタリウムが始まる。

二人は、ワクワクしながら戻って行った。

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-04-26
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夢小説
─この空の向こうに─
二次創作
文スト夢小説
文スト創作キャラ

⚠こちらは、文豪ストレイドッグスの夢小説です。

文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

今回は、事件系のお話です。
なので、恋愛要素がほとんどありません。
ご了承ください










【月光の肖像】



前編


ガンッッッ

鈍い音が、廃病院に響き渡る。

賢治が、工事用のハンマーを思いきり力を込めて投げたのだ。

それと同時に、みすゞは鼓を一度打つ。

倒れたのは、二体の巨大な鼠。

「みすゞさん、走りますよ!!」

賢治は、みすゞの腕を引っ張る。

みすゞの片手には、赤いショルダーバッグ。

二人は、薄暗い廃病院の廊下を駆け抜けて行った。


ー二時間前ー

「二人には、お化け病院に行ってもらおうと思いまーす。」

社内に、太宰の声が広がる。

太宰の視線の先には、みすゞと賢治。

二人は、首をきょとんと傾げた。

「赤いバッグの忘れ物。取って来てね。以上!」

そう言い、太宰は本を読み始める。

「おいっ、太宰!ちゃんと説明しろ!」

その太宰を見張っていた国木田が、声を荒らげた。

「急な任務ですまないな。二人に頼みたい。」

国木田は、続ける。

「依頼人は、とある政治家の夫人。赤いショルダーバッグの中に、危険な情報が詰まったメモリースティックが入っているとのことだ。」

「愛人と、肝試しスポットとして有名な廃病院に遊びに行っていたらしく、そこでショルダーバッグを落としたらしい。」

「依頼人が言うには、恐ろしいモノが病院に潜んでいたという。警戒して任務にのぞんでくれ。」

国木田は、眼鏡をクイッと上げながら説明をした。

「政治家の夫人の、愛人、ですか…」

みすゞは、少し困ったような顔をする。

「そこには触れるな…。」

国木田が、呆れた表情で呟く。

「まぁまぁ、了解です!さぁ、いざ、相良病院へー」

賢治は活気のある声を出し、片手を上げる。

「賢治さん、どうして病院の名前を知っているんですか?」

みすゞが訊くと

「前に与謝野女医から聞いたんですー!そういうのが好きな方の間では、有名らしいですよ。」

賢治は、何だか楽しげにそう答えた。



「ここが、相良病院ですね。」

ヨコハマ、郊外。

三階建ての、古く、汚れた病院。

元は救急病院だったが、院長が謎の失踪。

もう六年間、野ざらしにされている。

「入り口、入り口…。あ、あそこから入れそうですね。」

賢治が指差したところを見てみると、自動扉らしきモノが見える。

「何だか、恐ろしい雰囲気ですね…。夕刻までには、帰りたいですが…。」

古い時計塔を見てみると、針は十四時をさしている。

ふと、みすゞは思った。

何故、時計塔は生きているのだろうか。


「みすゞさーん。こっちに来てくださーい。」

賢治に呼ばれ、みすゞは考えを中断する。

「はい、何でしょ、う…」

賢治がいる方向を見てみると、さっきまで普通に設置されていた扉が、見事に破壊されている。

「さぁ、さっそく入りましょう!」

賢治は、ニコニコとしている。

「…はい」

みすゞは考えることを諦め、賢治と共に廃病院の中へと入っていった。


「おぉ、見事に荒れてますねー」

賢治は辺りを見渡す。

硝子の破片がそこら中に飛び散っており、火炎瓶や金属バットなども落ちている。

「恐らく、廃病院になってからも、人が出入りしていたみたいですね。」

「あはは、こんなのも落ちてましたよ。」

賢治は、笑いながら、ハンマーをみすゞに見せた。

「本当ですね。どなたが持ってくるんでしょうね…こういうの。まぁ、使えそうですし、借りていきましょうか。」

みすゞがそう言うと、賢治は、はーい、と頷いた。


「さぁ、赤いショルダーバッグを探しましょう。恐らく、入り口近くにあるはずです。依頼人の肝試しは、そう長いものでは無かったでしょうから。ここは、危険地帯です。」

賢治は断言する。

「誰かが、バッグを持ち去っている可能性は?」

みすゞが問うと、賢治は首を横に振った。

「その心配は、ありませんよ。」

ニコリと微笑み、待合席の方を指差す。

「あ」

そこには、赤いショルダーバッグ。

一番端の席に、置いてけぼりになっていた。

「ごめんなさい、中を確認しますね。」

みすゞは、ショルダーバッグを手に取り、中を開ける。

「えと、携帯、お財布、香水…あれ、これは…」

ショルダーバッグの中から、みすゞは、一つのメモリースティックを取り出す。

「国木田さんが言っていたのは、これの事ですね。あれ、何か文字が書いてあります…。これは…何語でしょうか?」

賢治が横から覗き込み、みすゞに訊く。

「恐らく、ラテン語ですね。文字の形を、本で見たことがあります。」

「何か、意味があるんでしょうかー」

二人は目を細め、ジッとスティックを見ようとした。


そのとき


ガシャァァァァン!!


病院の奥から、大きな破壊音が聞こえてきた。


と、同時に、何かが、迫ってくる音がした。

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-05-01
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夢小説
二次創作
─月光の肖像─
文スト夢小説
文スト創作キャラ

⚠こちらは、文豪ストレイドッグスの夢小説です。

文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

今回は、事件系のお話です。
なので、恋愛要素がほとんどありません。
ご了承ください










【月光の肖像】



後編


「私は当病院の院長。その子の父親だよ。」

その言葉を聞いた賢治は、パッと顔を明るくする。

だが、みすゞは急に男性が出てきたのに驚いたのか、賢治の後ろに身を潜めた。

「院長先生ですか!失踪していなかったんだすね。無事で何よりです。」

嬉しそうな賢治とは反対に、みすゞは相良を警戒している。

「弓麻君が、異能力者…ですか。もしかして、あの動物たち…」

「うん、そうだよ。僕の異能。」

弓麻が、相良のもとへ寄っていく。

「たく、バラすのが早いよー父さん。」

弓麻は、ハッ、と吐き捨てるような笑みを浮かべる。

「僕はね、父さんの命を原動力にして、動物たちをデッカくできるんだ。」

あはは、と弓麻は笑う。

「父さんは、僕に逆らえない。だって僕、異能力者だから。」

「この病院は僕のモノ。勝手に入ってこられちゃ、困るんだよねー。」

「父さんだけじゃ物足りないから、たまーに一般人も使ってる。前に肝試しに来てたカップルは、取り逃したけど。」

みすゞは、嫌な予感がした。

「ねぇ、お姉さんたち。あんた達も、僕の原動力になってよ!!」

ニヤリと弓麻は笑ったかと思うと、片手を上げ、大きな声で叫んだ。

「こい、僕の下僕!」

相良の体から、赤い光が出て、弓麻に入っていく。

ピィーーーー、と弓麻が指笛を吹くと、巨大鼠が、こちらへ駆けてきた。

「弓麻君。もう止めましょうこんなこと。なんの得にもなりません。」

賢治が優しく諭すが、そんな言葉、弓麻には届いていないようだった。

「僕は選ばれた存在なんだ。それに、凄く楽しいよ…!」

狂気的な笑みを浮かべ、弓麻が言う。


そのとき、相良がバタリと床に倒れた。

みすゞが、相良の持つもとへ駆け寄る。

「…息をしていません。絶命しています。」

暗い顔でみすゞが言う。

「はぁ、父さんはもう限界、か…。しょーがないや、お姉さんたちが、僕の原動力になってよ。」

弓麻は、呆れた声でため息をつく。

「弓麻君。君は、間違っています。」

賢治は、みすゞを庇いながら、弓麻と巨大鼠から距離をとる。

「鼠。アイツら、殺っちゃえ。」

みすゞは、ふと、巨大鼠の様子がおかしいことに気づいた。

額の赤い光が、点滅しているのだ。

「おい!アイツらを襲えよ!!何で動かないんだ。」

弓麻は焦っているようだ。



次の瞬間、弓麻の頭から血が流れた。



巨大鼠が、弓麻の頭を食いちぎったのだ。

みすゞと賢治は、その光景に気力を奪われる。

弓麻の体は、動かないまま。

だが、大きな笑い声が、地下に響いた。

「僕の頭、無くなっちゃったや。…あ、いいのいるじゃん。コイツにはーいろ!」

弓麻の言葉のすぐ後に、地下に異音が鳴り響く。

地下室の入り口を破壊しながら、大きな蛇がやってきたのだ。

「ははは、カッコイイだろ、僕!」

蛇は、みすゞと賢治を睨みつける。

しかし、蛇は少しも動こうとしない。

「…は?何で動かないんだよ!!」

蛇の中から、弓麻の焦った声が聞こえる。

すると、


『弓麻、もう終わりにしよう。』


と言う院長の声が、同じ蛇の中から聞こえてくる。

巨大な蛇は、自らの尻尾を呑んでいく。

「止めろ。止めろ!止めろ!!」

弓麻の悲痛な叫びが続く。

そうして蛇は、自らを喰らい、命を落としていった。

地下に残ったのは、静寂だけ。


「これは、一体、どうゆう…」

みすゞは呆気にとられる。

「…帰りましょう、みすゞさん。」

賢治は、みすゞの腕を引っ張っていく。


そうして、二人は廃病院を後にした。


「賢治さん、あれ…!」

みすゞは、病院の前に、太宰が立っている事に気づいた。

「あれ、太宰さん?わー、どうしたんですか?」

賢治は、太宰のもとへ駆け寄っていく。

「任務完了したー?ほらほら、スティック、スティック。」

太宰は、賢治の前で、ちょーだいのポーズをした。

「スティックは、みすゞさんが持っていますよー。みすゞさん、スティック、ありますか?」

「はい、少々お待ちください。」

みすゞは、赤いショルダーバッグの中を探る。

「これですね、どうぞ。」

なんの疑いもなく、みすゞは太宰にメモリースティックと、赤いバッグを手渡した。

「…君ねぇ。もし、私が偽物だったらどうするだい?危機感持ちなよ、き、き、か、ん!」

はぁ、とため息をつきながら太宰は言う。

「まぁ、君達に頼んで正解だったよ。じゃあねー」

太宰は立ち去っていく。

「この病院も不思議でしたが、私は太宰さんの方が怖いし、不思議です…。」

みすゞは呟いた。

「みすゞさん、僕お腹空いちゃいました!牛丼食べに行きましょー!!」

「はい、良いですよ。じゃあ、行きましょうか。」


二人は月明かりの下を歩いて行く。



「僕、みすゞさんを守れましたかね。」

賢治がポツリと呟いた。

「守る…ですか?」

みすゞは首をかしげる。

「はい。あの時の…弓麻君が声をかけてくる前に、言おうとした言葉。」

『大丈夫ですよ、もし大変な事になったとしても、僕が…』

「あの時、僕がみすゞさんを守ります。って言いたかったんです。守れましたかね。」

賢治の問いかけに、みすゞは、そっと笑いながら答えた。

「勿論です。賢治さんは、いつも私を守ってくれています。今日だって。そんな賢治さんが、私は…」

続きを言おうとして、みすゞはハッと我にかえる。

「い、いえ…、何でもないです。」

顔を真っ赤に染め、誤魔化す。


「どんな事があっても、みすゞさんを守れる人に、僕はなりたいです。」

ニコリと賢治は微笑む。

「みすゞさんがピンチの時は助けに行きます。いつだって、貴女を守れるようになりたい。」

賢治は、まっすぐみすゞを見つめる。

「…はい、有難う御座います!」

二人は、月明かりの下、顔を上げて歩いた。

優しい、優しい、月影の中を。

-END-

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-05-02
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夢小説
二次創作
─月光の肖像─
文スト夢小説
文スト創作キャラ

これらの作品は
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⚠こちらは、文豪ストレイドッグスの夢小説です。

文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。


今回は、短編です。

みすゞさんと賢治くんしか登場しません。

ご了承ください。










【雨に聞こえる】


ある日みすゞは、買い物に行く準備を寮でしていた。

向かうのは、ヨコハマにあるデパート。

探偵社からは少し遠いが、そちらには大きな本屋があり、そこがみすゞのお気に入りだった。

今日は、好きな作家の最新作が発売される日。

少し気持ちも浮かれていて、お気に入りの日傘を持ち、外に出た。

今日は日差しがジリジリと強く、陽炎がゆれる。

みすゞはのんびりと歩きながら、デパートに向かって行った。


(あ、ありました。)

デパートの本屋で、みすゞは目立つところに置かれていた小説を手に取る。

今回の新作は、ミステリー。

この作家のミステリーは見たことがないため、みすゞはとても楽しみにしていた。

ふふ、とみすゞは微笑みながら、会計へ向かう。

「これ、お願いします。」

みすゞは、レジの近くにいた店員に声をかけた。


(んー、まだ時間はやいですね。)

会計を済ませたものの、まだ休日は始まったばかり。

みすゞは、デパート内にある地図を眺める。

(んー、食べ物は…、昼前ですし。あ、何かお土産買っていきましょうか。)

この前の誕生会のお礼に、と思い、みすゞは地下に向かった。


地下は、別世界。

キラキラしていて、色々な菓子や食品が売っている。

(何だか、場違いな気がしてきました…)

何かちょっとしたお土産を、と思って来たのだが、高そうな服に身を包んだ人がちらほらと見える。

取り敢えず、見るだけ見てみよう、と、みすゞは地下を歩き始めた。

一口サイズの、一つ一つが美しくコーティングされた猪口冷糖

キラキラと煌めき、透き通るような、果実がまるごとコロッとはいったゼリー

真白のクリームの上に、真っ赤な宝石のような果実がのっている洋生菓子

どれも宝石のように輝いて見える。

だが、どれも値段がお高い。

悩んだ末にみすゞは、

社長には豆大福

敦と鏡花にはクッキー

太宰にはプリン

国木田には羊羹

乱歩には金平糖

与謝野にはマカロン

谷崎兄弟にはバームクーヘン

賢治にはマドレーヌ

ちょっとしたものだが、様々な種類の菓子を購入した。

(喜んでくれると、良いなぁ…。)


(少し、荷物が多くなってしまいました…)

みすゞは、菓子の入った紙袋を片手に、もう片方の手には日傘と、本が入った袋を持っている。

本を買うだけのつもりが、両手が塞がってしまった。

(ちょっと自分へのご褒美も、買っちゃったんですよね…。)

苦笑いを浮かべながら、みすゞは持っている紙袋を見る。

店員が紙袋にかぶせた袋で、中は少し見えにくいが、中にはカステラが入っている。

(たまには、良いですよね。)

ふふ、とみすゞは微笑む。

(でも、なんで袋をかぶせたんでしょうか…。変わったサービスですね…)

そんな事を考えながら、みすゞはデパートの外へ出た。


ザーザー

「あら…」

外は、雨。

雨が降っている。

夕立ちだ。

(なるほど、だから店員さんは、袋をかぶせたんですね。)

(まぁ、紙袋の中は大丈夫でしょうが、濡れたまま探偵社に帰るわけにはいけませんし、一度寮に帰りますか。)

よし。

そうしてみすゞは、雨の中、一人で歩き出した。


雨粒が、自分の体にポツポツとあたる。

(雨、だんだん強くなってますねー。)

すれ違う人、すれ違う人に、心配そうな目でジッと見られる。

だが、みすゞは気にせずに歩き続けた。

寮まで、まだ少し距離がある。

みすゞは、いつも通り、ゆっくりと歩く。


「みすゞさん、風邪引いちゃいますよ。」

急に後ろから、声がした。

聞き覚えのある声に、みすゞはバッと後ろを振り向く。

そこには、紺色の傘をさした賢治が立っていた。

「賢治さん…。いつもの事ですよ。私は、傘をさすのが嫌いなんです。」

みすゞは、そっと微笑む。

「でも、今日はいつもより雨が強いです。風邪、引いちゃいます。」

賢治は、心配そうにみすゞを見つめる。

「大丈夫ですよ。そこは気をつけています。それに傘は一つしかないですし。」

「なら、一緒に入ればいいです!」

賢治は、傘を差し出す。

「ダメ、ですか…?」

しょんぼりとした顔で、みすゞを見つめる。

そんな賢治に、みすゞは根負けしてしまった。

「…分かりました。そこまで言われては、仕方ないですね。」

みすゞが言うと、賢治の顔がパッと明るくなる。

「では、一緒に帰りましょう!寮まででしょうか?」

「はい。あ、でも、少し探偵社にも用事があるので…。探偵社までお願いできますか?」

みすゞは、ふふ、と微笑む。

「はいっ!」

そうして二人は、探偵社に戻って行った。



(雨に聞こえるのは、私の心)

(深い深いところの、私の心)

ーENDー

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-04-23
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夢小説
二次創作
─雨に聞こえる─
文スト夢小説
文スト創作キャラ

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文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

こちらは、【おはようの恋心】の続編ストーリーです。こちらを読んでからの方が、分かりやすいと思います。












【この空の向こうに】



後編


プラネタリウム『秋の星』開演。

ドーム内には、まず最初に三つの星が降る。

ペルセウス座を中心に、広がっていく物語。

牧畜の神があわてて、変身に失敗したさいの姿を表す山羊座の話。

不老不死の酒をたたえた水瓶をもつ美少年の姿を表した水瓶座の話。

様々な秋の星が、ドーム内で紹介される。

真っ暗なドームの中で、キラキラと輝く星。

とても美しく、公演終了後は、観客全員が拍手をしていた。


「プラネタリウム、素敵でしたねー!」

賢治が言う。

「凄く綺麗だったよね!また来たいね。」

敦は、うんうんと頷きながら、鏡花の方を向く。

すると鏡花は、少し考える動作をし、三人に向かって「ねぇ」と呟く。

「このまま帰るのも寂しいし、近くの公園に寄ってかない?」

鏡花が提案すると、みすゞはパッと顔を明るくさせる。

「素敵ですね。公園、行きましょう!」

わー、と、みすゞはパチパチと手を叩く。

四人は、さっそく公園へ向かっていった。


公園には数人の子供が遊んでおり、賢治とみすゞは、そこに混じって鬼ごっこをして遊んでいる。

敦と鏡花は、ベンチに座り、お喋りをしていた。

「敦。今日は、ありがとう。付き合ってくれて。」

鏡花はぽそりと言う。

「いやいや、僕の方こそ、誘ってくれて、有難う!すごく楽しかったよー!」

へへ、と敦は笑う。

「でも、デート、って言われた時は、吃驚したよ。」

鏡花は、走っているみすゞと賢治を見る。

「…あの二人が、もっと仲良くなってほしくて。」

「それに今日は、敦とも、もっと仲良くなれた。気がする。」

鏡花が、ふふ、と小さく笑う。

「そっか…。僕も、鏡花ちゃんとは、もっと仲良くなれた気がする!また、デート、しようね。」

敦がそう言うと、少し頬を赤らめ、鏡花はコクリと頷いた。


「わわっ、ちょ、速いです…!手加減してくださいぃ…」

広場では、みすゞが、へとへとになりながら、幼い子供たちを追いかけている。

「お姉ちゃんおそーい!」

「頑張ってください、みすゞさん!」

そんな声が飛び交う。

みんな、笑顔だ。

(あの二人の心配は、いらない、のかな)

鏡花は、ふとそんな事を思う。

「賢治くん、みすゞちゃん!そろそろ帰ろー!」

敦が、二人に向かって叫んだ。

敦と鏡花のもとへ、二人が走って向かう。

「おねえちゃん、おにいちゃん、あそんでくれて、ありがとう!」

にこ、っとみすゞと鏡花に向かって子供たちが笑った。

「いえいえ、こちらこそー!」

「とっても楽しかったですよ!」

賢治とみすゞは交互に言う。


四人は、ゆっくりとした足取りで、寮へと帰っていった。

「あ、今日、たまごの特売日。」

鏡花が、思い出したように敦に言う。

「あ!本当だ…。ごめん、二人とも、先帰っててくれない?」

急ぎ足で二人はスーパーに向かっていき、みすゞと賢治は、二人きりになってしまった。

「お二人とも、速いですねー!!」

おぉ、と賢治が走り去っていく二人を眺める。

みすゞと賢治は、目を合わせ

「帰りましょうか。」

と頷きあった。



「みすゞさん、それでは、また明日。」

寮につき、みすゞは部屋の鍵を開ける。

賢治は、ペコリと頭を下げ、それからまた自分の部屋へと戻って行く。

みすゞは、去っていくその背中を、じっと見て、そして声を出した。


「賢治さん」


賢治が振り返ってみてみると、みすゞは、照れ笑いをしながらを自分を見つめている。

「今日は、有難う御座いました。」

「すごく楽しかったです。」

ペコリと頭を下げながら、みすゞは言う。

すると、賢治がみすゞのもとへ来て、ニコリと微笑んだ。

「僕も、とっても楽しかったです!また、いつか、デート、もう一度行きましょう。」

「はい、勿論です!」

二人は、お互いに笑顔を見せる。

「それじゃあ、おやすみなさい。みすゞさん。」 

みすゞが、はい、と言うと、賢治は自分の部屋へと帰っていった。


みすゞは、ふと空を見上げる。

もうすぐ、日が沈むだろう。



この空の向こうに、きっと、優しい冬が待っている。

ーENDー

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-04-29
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夢小説
二次創作
─この空の向こうに─
文スト夢小説
文スト創作キャラ

⚠こちらは、文豪ストレイドッグスの夢小説です。

文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

こちらは、文豪ストレイドッグスのドラマCDの内容が少々入っています。

でも、聞いていなくても全く問題ありません。

気になる方は、YouTubeで調べてみてください。










【おはようの恋心】



第一章


四人が来たのは、『ラーメン大和』

どうやら、与謝野のお気に入りの店らしい。

四人は、テーブル席に座る。

少し早めの時間帯に来たからか、他の客の姿はない。

「味噌ラーメン四つ頼むよ。」

与謝野は、慣れた様子で注文をすました。

少し時間をおき、ラーメンが運ばれてきた。

いただきます、と四人は手を合わせる。

そして、食べ始めた。

ふいに、そう、突然に鏡花が言った。

「…与謝野先生は、結婚しないの?」

ぎょっとするナオミとみすゞ。

「ちょ、ちょっと鏡花さん!?何を言ってるんですか…!」

「ラーメンを、見てて思った。ラーメンはのびる。時間との戦い。結婚もそうでしょ?だから、与謝野先生が心配になる。」

鏡花は、ラーメンをすすりながら答える。

シーン、と会話が途切れる。

すると与謝野は、ふふ、と吹き出した。

「正面から来るね、鏡花。じゃあ、真剣に答えようか。ただ、全員が食べ終えた後にね。」

重苦しい空気の中、四人はまた、ラーメンを食べ始めた。


「ラーメン、美味しかったですわ。」

ナオミが呟く。

「だろう?よし、じゃあさっきの質問に答えようか。」

与謝野は、三人の顔を見る。

「アンタ達は、男の何処を見る?男の何処を見て、男を好く?」

三人は一度、顔を見合わせる。
与謝野の急な問いかけに、困惑しているのだ。

「あぁ、答えなくて良いよ。妾は手、男の手を見るんだ。」

「手…ですか。」

「そうだ。みすゞ、アンタは男の手をきちんと見たことはあるかい?」

みすゞは少し考える。

「ん…恐らくありませんね。」

「ナオミと鏡花は?」

次は二人の方を見て聞く。

「お兄様のしか知りませんわ。」

「…敦の手は、大きい。」


「うん。アンタ達は、兵士の手を想像できるかい?戦場の、兵士の手。兵士ってのは戦場から帰ってくるたび、寂しい男の手になる。寂しい、淋しい手さ。」

三人は、一度黙り込む。

「妾は男の手は優しい手が良い。妾は、優しい男の手にまだ出会ってない。だから結婚はまだなのさ。」

与謝野は、水をゴクリと飲む。

「どんな手が、優しいの?」

鏡花が、ふと与謝野に聞く。

んー、と少し悩み、ラーメン屋の店主を呼んだ。

「てっちゃん、ちょいと、手を見せておくれ。」

急に呼ばれた店主は、少し戸惑ったが、すぐにこちらの席に来た。

そして、四人の前で手を出す。

「こんな手が、優しい手だろうさ。」

三人は、何故か納得する。

「ん?ん?」

店主は、まだ困惑しているようだ。

「人に幸せを与える手だ。妾は、こんな手の男が良いね。」

そう与謝野は笑う。

すると、店主の奥さんが顔を出す。

「あら晶子ちゃん、うちの旦那があと二十年若けりゃあげたのにね!」

そんな奥さんの言葉に、三人はドッと笑う。

「そういう話さ。」

ラーメンは、幸せの味がした。


「妾はちょっとコンビニ寄ってから帰るよ。」

「私も、スーパーでお野菜を買ってから帰りますわ。」

二人は、みすゞと鏡花に、先に帰ってくれと言う。

「分かりました。お気をつけて。」

「じゃあ、また明日。」

そして、二人は社員寮へと帰っていく。

「みすゞ。これからみすゞの部屋に行っても良い?」

鏡花は、みすゞに聞く。

「良いですけど…、どうしたんですか?」

「…与謝野先生の話。手の話。すごく分かる気がする。今夜、一人で居たくなくて。」

鏡花は、みすゞの服の裾をつまむ。

「分かりました。では、一緒に居ましょう!」

そうして二人は、帰路についた。

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-04-12
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二次創作
─おはようの恋心─
文スト夢小説
文スト創作キャラ

⚠こちらは、文豪ストレイドッグスの夢小説です。

文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

今回は、事件系のお話です。
なので、恋愛要素がほとんどありません。
ご了承ください










【月光の肖像】



中編


奥から、破壊音。

みすゞと賢治の二人は、一度後ろへと下がる。


ズシャァァァァン!


次は、背後から破壊音がする。

入り口の方からだ。

二人が振り向くと、ありえない大きさのトカゲとカラスが。

入り口は、塞がれてしまった。

「え、えぇ…!?」

「お、前からも来ますよ〜」

前を向くと、そこからは、巨大なミミズ。

さっきの音の正体はこのミミズだろう。

「おぉー、都会には、こんなに大きな動物さんがいるんですね!やっぱり、都会って凄い!!」

賢治は呑気に、あはは、と笑っている。

「ちょ、賢治さん!そんな事言ってる場合じゃありませんよ!!戦えますか?」

みすゞは、もー、と言いながら賢治に訊く。

「はい!入り口の敵の数は少し多いので、ミミズを倒してから、他の脱出経路を見つけましょう!」

賢治はそう言いながら、ハンマーを持って、ミミズに向かっていく。

「みすゞさんは、後ろから攻撃を。トカゲとカラスにも、気をつけてください!」

「はい!」

みすゞは異能力を発動し、ミミズに向かって鼓を一回打つ。

それを合図に、賢治は思いきりミミズにハンマーを打ちつけた。

ガコッッ、っと鈍い音がする。

「みすゞさん、逃げますよ!」

二人は、ミミズがやってきた方向に駆け出した。

後方から、カラスが追ってきている。

トカゲは、どうやら諦めたようで、追っては来なかった。

「あ、あれ、地下への階段ですかね?」

ふと、賢治が指を差す。

「先にカラスを倒します!賢治さんは、先に下へ行っていてください!」

みすゞはそう言い、走るのを一旦やめ、追ってきていたカラスの方を向く。

(あれ…あの赤い光…)

カラスの額に、赤い光がふと見えた。

みすゞは、その光に向かって、三打を向かわせる。

彗星は、見事直撃。

バンッ、と音がして、煙と共に、普通の大きさのカラスが落ちてきた。

(これ…)

みすゞは、少し考える。

そして、先に降りていった賢治のもとへ、走り出した。



「賢治さん、敵の額周辺にある赤い光。恐らくそこが敵の弱点です。」

みすゞは、賢治に言う。

「そこを狙って攻撃すると、カラスがもとの大きさに戻りました。ですから、そこを狙うのが一番かと。」

賢治は、うーん、と少し考える素振りをする。

「それは、とてもいい情報ですね。でも、みすゞさん。前、前。」

そう言われ、みすゞは前に視線をもってくる。


そこには、大きな二体の鼠。


「えぇっ…!?」

「赤い光…あれですね!弱点が分かったのなら、倒すのは容易いです!」

賢治は、一体の鼠の額部分の赤い光に向かって、ハンマーを投げた。

「お、りゃぁぁぁ!」

額にハンマーが当たると同時に、鼠はもとの大きさに戻る。

それを確認したみすゞは、もう一体の鼠に向かって、鼓を一回打った。

五つの流星が、鼠の額へと直撃。

その鼠も、もとの大きさに戻り、どこかへ逃げていった。

「よし、みすゞさん、行きましょう!」

賢治は、みすゞの腕を掴み、引っ張る。

二人は、地下を進んでいく。

みすゞは、赤いショルダーバッグをギュッと握りしめた。



「…ここ、いったいどうなってるんですか。」

みすゞは、大きなため息をつく。

二人は、長い廊下を歩いていたのだが、その最中、大量の巨大鼠が襲ってきた。

「何だか、奥に行くにつれ、数が多くなってる気がしますねー」

賢治は、あはは、と笑いながら言う。

「これ、地下に行って大丈夫だったんでしょうか…何だか、地上に戻れるか心配になってきました…。それに、鼠がわんさかいますし。」

みすゞがそう言うと、賢治は、こちらを向き、ニコリと微笑む。

「大丈夫ですよ、もし大変な事になったとしても、僕が…」

賢治が続きを話そうとした、そのとき



「貴方たちは、誰ですか?」


急に後ろから、声がかかった。


二人は、バッと後ろを振り向く。


そこには、七つくらいの少年の姿があった。


「君は…」

みすゞは、ジッと少年を見つめる。

「僕、大丈夫ですか?どうして、こんな危ないところに…」

賢治は、優しい瞳で少年に尋ねる。

みすゞは、少年の姿に少し疑問を感じた。

衣服が、妙に綺麗なのだ。

「あー、僕、病院に閉じ込められていたんですよ。父さんに。」

「閉じ込められていた…?」

賢治は、ポツリと呟く。

「君の名前を、聞いても良いですか?」

ニコリと笑い、みすゞは少年に尋ねた。

「弓麻。相良弓麻。」

「では、弓麻君。君は何故、この病院に閉じ込められでいるんですか?」

賢治が訊くと、弓麻は少し考える。

「あー、それは…」



「それは、息子は異能者だからだよ。」


弓麻と話していた反対方向から、男性の声がする。


「やぁ、こんにちは。」


後ろを振り向くと、そこには白衣を来た男性が立っていた。

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-05-01
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二次創作
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⚠こちらは、文豪ストレイドッグスの夢小説です。

文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

今日は、金子みすゞ先生のお誕生日と言うことで、誕生日パーティーのお話です。

ちょっとしたゲストが登場します。

お楽しみください。










【星空】



4月11日、13時、晴れ。

今日は、みすゞの誕生日だ。

みすゞは、探偵社で仕事をしていた。

「あ、今夜の誕生日パーティ用のドレス。良いレンタルドレスショップを存じておりますの。」


ナオミは、みすゞと鏡花に声をかけた。

二人は顔を見合わせ、そして頷く。

「ふふ、では早速向かいましょう!」

そうして、三人は、レンタルショップへと向かっていった。


「私はこれにしようかしら。」

ナオミが手に取ったのは、ピンクのナース服。

「コスプレ衣装…?」

鏡花は、頭にはてなマークを浮かべる。

「お兄様の反応が楽しみですわ!」

ふふふ、と不敵な笑みを浮かべるナオミ。

「お二人は決まりましたか?」

ナオミが聞くと、二人は頷く。

「では、お会計しちゃいましょう。」

「お会計は、私がやりますわ。」

ナオミがバッグから封筒を出す。

「え、でも…。」

みすゞは、反対しようとする。が、ナオミは

「これは落ちていたお金だから良いんですのよ」

と言う。

「どこに落ちてたの?」

鏡花が聞くと、ナオミはまた、ふふふ、と笑う。

「お兄様のお財布のなーか♡」



15時頃、三人は探偵社へと戻っていく。

今日は、乱歩、国木田、太宰以外は、ほとんどがスーツ姿だ。

「よし、では行くか。」

国木田の一言で、社員全員が立ち上がる。

そして、パーティー会場となるレストランに、向かっていくのだった。


誕生日パーティー第一部が始まる。

無礼講。みな楽しそうだ。

さっそく酒が入った与謝野が、国木田に絡みに行ってたり、乱歩はいつもどおり菓子を食べたりしている。


そうして、結構な時が経つ。

みすゞは風に当たりに、テラスへ出た。

テラスには一人、若い男性がいる。

みすゞは、あまり気にせず、テラス席に座った。

(みなさん、私のために…優しいなぁ。)

みすゞは、誕生日パーティーを、家族としかしたことがない。

(やっぱり、私は、ここに来て良かった。)

ふと、涙が流れてくる。

(嬉しいなぁ…。)

急に涙を流しているみすゞを見た男性は、少し驚いているようだ。

男性は、こちらに近づき、ポスン、と自分の帽子をかぶせる。

「何だか知らねぇが、取り敢えず、かぶっとけ」

みすゞは、帽子を深くかぶる。

「す、すいません…」

二人の間には、無言が続く。

男性はふと、手にしていた酒をラッパ飲みする。

「サルバージェ ロゼ ブリュット。俺はこれを買いに此処へ来た。この酒は猪口冷糖が合う。お前も食うか?」

みすゞは、頷く。

渡された猪口冷糖は、少しほろ苦い。

「私、今日誕生日なんです。」

みすゞは、ポツリと呟く。

「ほー、近いじゃねぇか。俺今月の29日。」

そう言ってから、男性は少し考える。

そして、テラスの噴水を指差した。

「めでてェ姫様に、贈り物だ」

男性が噴水の水に触れると、水は宙に浮き、雫になって、流れ星のように降る。
水の雫は、月光に反射して、キラキラと光った。

「す、凄い…!」

「俺は、魔法使いなのさ」

男性は続ける。

「…世の中には、汚れてねぇ悲しみもあるんだな。例えば、アンタの涙。綺麗だ。」

「え、えぇと…」


みすゞは、少々困惑する。

「美味い酒と、おもしれぇ女。今宵は良い夜だ。」

二人の間に、また無言が続く。

「…貴方のお名前は?」

「ただの酒好きだ。」

二人は、星空を見上げる。

「うし、じゃあなちんちくりん。王子様が、迎えに来たんじゃねぇか?」

男性は、みすゞにかぶせていた帽子を取る。

「な、私と身長そんなに変わらないのに、ちんちくりんは酷いです!」

「な、もう一度言ったら死なす!!」

すると、賢治が、パーティー会場から顔を出す。

「みすゞさーん、第二部、始まりますよー!」

賢治は、活気のある声で、みすゞを呼ぶ。

「は、はい!」

みすゞが振り向くと、もう男性は、消えていた。


第二部は、プレゼント大会だ。

みすゞは皆から、プレゼントを受け取った。

太宰と国木田は、急な任務が入ったそうで、先にレストランを出たようだ。しかし、プレゼントは残されていた。

「みすゞさん。僕からは、これです!」

賢治は、小さな人形のキーホルダーを手渡す。

「これは…なんですか?」

「ココペリ人形というらしいですよー!運気上昇間違い無しの、レインボーカラーです!」

みすゞが聞くと、賢治はニコニコと笑いながら答える。

「わぁ、凄く可愛いですね…!有り難う御座います。」

ペコリと頭を下げる。

「これからも、よろしくお願いします。」

「はいっ、こちらこそ!」

そうして、みすゞの誕生日パーティーは幕を閉じた。


翌朝、太宰が社内でダーツをしている。

「どこから持ってきたんですか…!ここでやらないでくださいよ。」

みすゞが、太宰のもとへ駆け寄り、叱る。

ふと、的を見てみる。

「…あれ、この人」

昨日、テラスで出会った男性だ。

その写真に、太宰が投げたダーツが刺さっている。

「中原中也だよ。暇だから、ダーツの的にしてやろうと思って。」

(中原、中也…)

「みすゞちゃんもやる?」

太宰が聞いてくる。みすゞは少し考えてから

「太宰さんの写真を使わせてくれるなら」

と言った。

「ははっ、言うねぇ…」

二人の間に、ピリッとした空気が生まれた。


「お兄様ー!昨日のナオミ、可愛かったでしょう?」

ナオミが、谷崎に迫っている。


「昨日飲みすぎた…気持ち悪い…。」

与謝野は、二日酔いか、うなされている。


「おい、仕事をしろ!」

国木田の声が、社内に響く。


今日も、探偵社は騒がしい。

ーENDー


金子みすゞ先生、お誕生日、おめでとう御座います。

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-04-11
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二次創作
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【マリンスノーに恋をして】



中編


翌日、探偵社。

みすゞは、入り口の扉を開いた。

「賢治さん、居ますか?」

入口付近には、賢治と谷崎の姿が。

みすゞが来たことに気づいた賢治は、みすゞのもとへ歩み寄る。

「こんにちは、みすゞさん。今から出勤ですかー?」

ニコニコと、いつものような笑顔で挨拶する賢治。

だが、みすゞは、ぷくぅと頬を膨らませた。

そして、そっと賢治の服の袖を引っ張る。

「…賢治さんは、目覚めてしまわれたのですか。」

みすゞが、拗ねた子供のような表情になっている事に気づき、賢治は困惑する。

「?みすゞさん、どうしましたかー?」

そのとき、谷崎が、賢治の腕を引っ張り、探偵社から出ていこうとする。

「ごめん、みすゞちゃん!僕達急いでるんだ。賢治くん、借りてくよ!」

そして、そのまま駆け出して行ってしまった。

「賢治さん、どこ行くんですか!」

みすゞは、珍しく声を張り上げている。

「教会に行ってきますー、結婚式に。みすゞさん、話はまた、あとで聞きますねー。」

そのまま二人は出ていってしまい、探偵社には静寂が訪れる。

「…賢治さんの莫迦」

みすゞが小さく呟くと、トントン、と肩を叩かれた。

後ろを振り向くと、そこには鏡花が。

「みすゞ、どうしたの。そんな怖い顔して。」

優しく、諭りかけるような声色で、みすゞの背中をそっと撫でる。

「…鏡花さん、私、賢治さんの救出に行ってきます。きっと、賢治さんは遊ばれているんです!」

「あら、それは良い考えですわね。」

後ろから、声。

探偵社の入り口に、ナオミが立っていた。

「はい。教会までの地図。頑張って賢治さんを取り戻してくださいね。」

ナオミは、笑顔を浮かべる。

「有難う御座います、ナオミさん!今助けに行きます、賢治さん…!」

みすゞは、走って、教会へと向かっていく。

その姿を見た鏡花は、「みすゞ、怖い。」と呟き、仕事に戻っていった。

ナオミは、ふふふ、と含み笑いを浮かべるのであった。


「永遠の愛を、誓いますか。」

司祭がその言葉を発した瞬間、教会の扉が開かれた。

教会に居る人、全員がみすゞを見て驚いている。

「あ、れ…」

「愛する二人に、何か問題でも?」

司祭は、優しく尋ねる。

と、みすゞは首をふるふると振った。

「い、え!私、金子みすゞは、あなた方の結婚を、祝福しております!それでは、失礼しました…!」

みすゞはそう言うと、静かに扉を閉める。


教会の庭についたみすゞは、一人悶々と考える。

「私、やってしまいました…」

と、

そこに、教会の司祭がやってきた。

あの時いた司祭だ。

みすゞは、司祭の方を見る。

「あの…先程は、本当に申し訳ありませんでした。」

ペコリと頭を下げるみすゞに、司祭は微笑みかけた。

「お嬢さん。貴女も、探偵社の方ですか。」

「はい、探偵社に務めています。金子みすゞ、と申します。先程の無礼、深くお詫び申し上げます…。」

みすゞは、また深く頭を下げる。

「頭を上げてください、金子さん。探偵社員、ということは、あのお二方のお知り合いですね。」

「金子さん。私と、少しお話ししていただけますか。」

みすゞはコクリと頷いた。

司祭は、教会の談話室に、みすゞを案内する。

ことり、と置かれたのは、アップルティー。

「どうぞ、お飲みなさい。」

白髪の司祭は優しく微笑んでいる。

男性だというのに、みすゞはまったく怖くはなかった。

司祭は、一枚の写真を取り出した。

そこには、医療チューブを鼻につけた、少年が写っていた。

少年は、笑顔を浮かべている。

「探偵社員の谷崎さんが、私に残した写真です。」

司祭は、ぽつりぽつりと話し出す。

みすゞは、司祭の優しい瞳をジッと見つめた。

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-05-08
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文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

こちらは、文豪ストレイドッグスのドラマCDの内容が少々入っています。

でも、聞いていなくても全く問題ありません。

気になる方は、YouTubeで調べてみてください。










【おはようの恋心】



終章


「おはようの恋心。敦に読んでもらおう。賢治にも。」

探偵社に到着するなり、鏡花は言った。

だが、みすゞは、うーんと首をひねらせた。

「少女漫画、読んでくれますかね。」

心配そうなみすゞに、鏡花は

「大丈夫、秘策がある。」

とだけ言った。

「お昼に、デートの作戦会議しよう。」

少し微笑む鏡花に、みすゞはこくんと頷いた。

「新しくできた定食屋さんに行きましょう。あそこはワカメおむすびがあるそうです。」

うん、と鏡花が言い、二人は業務を始めた。



それから、与謝野とナオミも出社して、時刻は午前10時。

探偵社の固定電話が、けたたましく鳴り響いた。

与謝野が受話器をとる。

「ん、おぉ国木田かい。」

どうやら、国木田からの電話だったらしい。

『与謝野先生ですか?今から帰ります。…おい!太宰!何処へ行く!!か…、おい!川をダメだ!!川は…』

プツリと、電話が切れる。

「皆様、お帰りになられるのですか?」

ナオミが、受話器をおいた与謝野に訊く、

「まぁ、おそらく。たく、騒がしい奴らだねェ…。」

はぁ、とため息まじりに与謝野は言う。

そうして、また業務に戻っていった。


そして、12時。ランチタイムだ。

「みすゞ、行こ」

はい、とみすゞは返し、二人は定食屋に向かっていった。

「私は、この肉野菜炒め定食をお願いします。おむすびの具はワカメで。」

「私は、サバの味噌煮定食で…。おむすびの具は入れなくて良いです。」

二人は、さっそく注文をする。

店員は、かしこまりました、と厨房へ歩いていく。

「じゃあ、デートの作戦会議、しよう。」

鏡花が、冷たい水をゴクリと喉に通す。

「…鏡花さん。私ずっと気になっていたんです。デートって、何ですか?」

「男女で楽しむお出かけの事。」

鏡花は続ける。

「大丈夫、デートは怖くない。みすゞは賢治と、私は敦と、もっと仲良くなれる。」

少し微笑み鏡花は言う。

「わぁ、素敵ですねー!プラネタリウム、ですよね?とっても行ってみたいです。」

「でも、どうやって誘うんですか?」

みすゞは、首をかしげる。

「それは…、、、、」

鏡花は、みすゞの耳元で、ゴニョゴニョと囁いた。


お昼が終わり、女性陣は仕事に戻る。

そして、16時。

男性陣が探偵社へ帰ってきた。

「ん?アンタら、温泉行く前より疲れた顔してるねェ…」

「もう、温泉は、いい、です…」

谷崎が、やつれた顔で呟く。
隣にいる国木田も、似たように、やつれた顔をしている。

「お掃除、楽しかったですねー!」

賢治は、相変わらずニコニコと笑っている。

そんな中、太宰だけが、自分の机で、怪しい動きをしていた。

(…よし)

それに気づいた鏡花は、小さくガッツポーズをした。

「…太宰さん、漫画、読んでる。」

鏡花にこっそりと言われたみすゞは、太宰の方をチラリと見る。

「えっ…!?…もう泣いてますね。」

どうやら太宰は、おはようの恋心を読破したようだ。

「私の涙腺崩壊中。」

鏡花は、ふむふむ、と頷き、太宰から漫画を回収した。

すると、太宰の言葉に反応した敦と賢治が、こちらにやってきた。

「太宰さん、漫画…読んでるんですか?」

「わー、僕も読んでみたいです!鏡花さんの漫画ですか?」

そう言った二人に、鏡花は漫画を渡した。


「とっても素敵なお話でした!やっぱり、都会って凄いなー!」

「すごく感動したよ…!鏡花ちゃん、貸してくれてありがとう。」

敦と賢治は、交互に言う。

鏡花は、こくりと頷く。

「てことで、デート、行こう。私と、敦と、みすゞと、賢治で。」

じっ、と二人の顔を見ながら、鏡花は言う。

「…えっ!?」

「でぇと…?お出かけですか??」

二人は、鏡花の予想通りの反応をした。

「そう。プラネタリウムに行こうと思う。作中で、二人が行ってたところ。」

どう、と鏡花は二人に聞く。

敦と賢治は、一度顔を見合わせた。

「僕は、良いけど…。賢治くんは?」

「僕も良いですよー。お出かけ、楽しみです!!」

了解、と鏡花は言うと、みすゞに目を向ける。

「みすゞ、確か、今度の日曜日非番だったよね。敦と私は、仕事午前までだから。」

「はい。では、終わったら、寮まで迎えに来てもらえますか?それまで待っていますね。」

みすゞは、そっと微笑む。

「あ、僕も日曜日は非番です!時間まで、お部屋でお話していますか?」

賢治が、みすゞの顔を覗き込む。

「わぁ、本当ですか!では、お部屋で待ってますね。」

何か用意しておきます、とみすゞはパッと笑う。

「敦。任務、できるだけ早く終わらせよう。」

「うん、そうだね。鏡花ちゃん!」

太宰は、そんな光景を見ながら呟いた。

「女の子はみんな、可愛くなる方法に気づくよ。」

それは、作中で少年が言ったセリフだ。

「うん。素敵なセリフ。やっぱり、太宰さんのデスクに漫画を置いて正解。」

鏡花が言うと、太宰はニコリと笑う。


「…男と女は、哀しくてはいけない。そう、哀しくては寂しいものさ。」

太宰は、自分の両手を、じっと見つめた。

ーENDー

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文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

今回も前回と同様、恋愛要素がほとんどありません。
ご了承ください。










【牛丼ららばい】



中編



「…えっ。そうなんですか?」

賢治は、高橋の顔をまじまじと見つめる。

「うん、実はさぁ、掛け持ちで働いてるコンビニの方で、店長にならないか、って言われてさ…」

頭をかきながら、高橋は言う。

「でも、牛丼屋で働き始めてから結構経つから…、なんか辞めます、って言いにくいんだよ。」

「それに、愛着もあるしね。」

賢治は、目をパチクリさせる。
きっと、凄いことなのだろう。

「じゃあ、店長さんに言わないと!」

でも、と高橋は口をもごもごと動かす。

「人間、素直が一番ですよ!はやく行きましょう!」

賢治が、高橋の腕を思いきりひっぱった。

「い、痛い痛い!ちょ、賢ちゃん、痛いから取り敢えず離して!」

行くから、行くから、と小さな悲鳴をあげる。

そして二人は、牛丼屋に向かった。


「なるほど…。そうだったのか。」

高橋は、店長に賢治に言ったことと同じ話をした。

「…すいません。無断欠勤なんかして。」

椅子に座りながら、高橋は頭を下げる。

「高橋くん」

店長の声に、高橋はビクッと肩を震わせる。

何を言われるかと思ったが、店長は優しく微笑む。

「君の道は、勿論君が決めて良い。ただ、僕は、君の作る牛丼が好きだ。」

高橋は、バッと顔を上げる。

「僕も好きです!店長が作る牛丼より、高橋さんが作る牛丼の方が美味しいです!」

賢治も、店長と同じように優しく微笑む。

「え、賢ちゃん、それは傷つくよ…!?」

店長が、ショックを受けたような顔をする。

高橋は、もう一度、下を向いた。
そして、少し時間が経ち、また顔をあげる。

「…俺、牛丼屋、続けます…!」

店長と賢治は、目を合わせる。

「ほ、ほんとかい?高橋くん?」

「はい」

店長の目を、高橋は真剣な眼差しで見つめる。

「良かったです!」

わー、と賢治は、手をパチパチと叩く。

それと同時に、グゥーと大きな音がした。

「…僕お腹空いちゃいました。」

えへへ、と恥ずかしそうに頭をかく。

「食べていきなよ。高橋くん、厨房、入れる?」

店長が言う。

「はい!ちょっと待っててくれよ、賢ちゃん。美味しい牛丼、作るから!」

高橋は、二カッと笑う。

「はい!楽しみに待ってます!」

賢治も嬉しくなり、大きく返事をした。



プルルルルル、と探偵社の電話が鳴る。


「はい、武装探偵社の国木田です。」

「…はい。申し訳ございません。すぐ社員をよこします。」

国木田は、受話器を置いた。

「…みすゞ、悪いがここの牛丼屋に行って、賢治を持って帰ってきてくれ。満腹になって眠ってしまっているようだ。」

国木田は、住所と簡単な地図を書いたメモをみすゞに渡す。

「あ、はい。了解しました。」

みすゞはメモを受け取り、すぐ出る準備をする。

「まったく、どいつもこいつも…」

ボソッと国木田が呟く。

あの後、すぐに太宰がどこかへ消えてしまい、国木田が、太宰の仕事をやっている。

(大変だなぁ…国木田さんも)

そんな事を思いながら、みすゞは探偵社の扉を開けた。



「んと、ここ、ですかね?」

みすゞは、小さな店の前へやってきた。
店の名前や、メニューを見る限り、ここで間違いないだろう。

「あのー、武装探偵社の金子です…。賢治さんを回収しに来ました…」

扉を開いたみすゞは、小さく悲鳴を上げた。

そこには、たくさんの男性。

「あぁ、武装探偵社の。あの、ごめんね。実はあの後すぐ起きちゃって…」

店長が、苦笑いを浮かべる。

「あれ、みすゞさん?みすゞさんも牛丼屋食べに来たんですか?」

カウンター席に、賢治がいる。

どうやら、周りの男性客と話をしていたようだ。

「あ、あ、あの…。賢治さん。早く帰りましょう。」

キョロキョロと周りを見ながら、みすゞは賢治に言う。

「はい!では、皆さん、さようならー!」

賢治は元気に手を振り、牛丼屋の扉を閉める。

「賢治さん、何やってたんですか?今まで。」

みすゞは、ふと賢治に聞く。

「とても、楽しかったです!歩きながら、お話します。」

そして二人は、探偵社に帰っていったのだった。

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二次創作
─牛丼ららばい─
文スト夢小説
文スト創作キャラ

⚠こちらは、文豪ストレイドッグスの夢小説です。

文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

こちらは、文豪ストレイドッグスのドラマCDの内容が少々入っています。

でも、聞いていなくても全く問題ありません。

気になる方は、YouTubeで調べてみてください。










【おはようの恋心】



第ニ章


時計は、二十時を過ぎている。

鏡花からは、湯上がりのいい匂いが漂う。

みすゞも、シャワーを済ませたばかりだ。

「みすゞの寝間着、可愛い。」

鏡花が、ポツリと呟く。

「わぁ、本当ですか?有り難う御座います。新しく買ったんです。」

みすゞは、えへへ、とはにかむ。

「あ、今ほうじ茶いれますね。」

みすゞは、温かなほうじ茶をいれる。

ゴクゴク、二人はゆっくりと飲み始めた。

「…おはようの恋心。あの少年の手は、きっと優しい手。主人公は、きっと幸せ。」

「そうですね。きっと、優しい手です。」

鏡花は、ほうじ茶を飲みながら、みすゞの方をじっと見た。

「賢治の手は、優しい?」

「…きっと、優しいです。優しくて、温かい。」

みすゞは、少し顔を染めながら言う。

「みすゞ、バレバレ。賢治を意識してること。」

「やっぱり、分かりやすいですか、私…。賢治さんが気づいてないのが、不幸中の幸いです。」

みすゞは、冷蔵庫に入れていたシュークリームを出す。

「…デートしよう。」

鏡花が呟く。

「敦と私とみすゞと賢治で。」

パクリと出されたシュークリームを鏡花は食べた。

「プラネタリウム、行きたい。」

「プラネタリウム…ですか?」

「そう」

鏡花は、ほうじ茶を飲み終えたのか、コップを片づける。

「考えといて。デートの事。今日はありがとう。」

「はい、分かりました。あ、コップすいません。」

「大丈夫。あ、そろそろ寝よ。」

みすゞがベッドで、鏡花は布団をしいて眠ることになった。

部屋の明かりが、ぽっと消える。

みすゞがうとうとし始めた頃、鏡花がベッドの中にもぐりこんできた。

「どうしました?鏡花さん。」

みすゞが、そっと訊く。

「犬が吠えてる。犬の声、嫌い。」

「じゃあ、一緒に寝ますか?」

「ん…」

鏡花は、もうスヤスヤと眠っていた。

みすゞは、鏡花の頭を優しく撫でる。

「おやすみなさい、鏡花さん。」

そうして、みすゞもそっと目を閉じ、眠っていった。


翌朝。

鏡花は、朝食の準備をしている。

コーヒーのいい香りがして、みすゞは目を覚した。

「キッチン、借りた。サンドイッチ、作ってみた。」

鏡花の作ったサンドイッチは、とても美味しそうだ。

「わぁ、有り難う御座います!!」

二人は、朝食を食べ始めた。

「んー、美味しいです!鏡花さん、凄いです!」

「いつも敦に作ってるから…。今日はみすゞに。」

みすゞは、たまごサンドをとる。

「これも美味しいですね…!」

もぐもぐと、みすゞは、幸せそうな顔をする。

「…みすゞは、敦と同じような顔をする。」

鏡花は、ポツリと呟く。

「敦さんと同じ顔…ですか?」

みすゞは、頭にはてなマークを浮かべた。


「私のご飯を食べるとき、幸せそうな顔をしてくれる。嬉しそうな顔。」

「頑張って作ったから、だから、凄く嬉しい。」

ふふ、と、鏡花は少し微笑む。

「鏡花さんの作るご飯、とても美味しいです!これを毎日食べれる敦さんは、羨ましいです…」

えへへ、と笑うみすゞ。

「…みすゞの手、見せて。」

唐突に、鏡花が言う。

「手?良いですよ。」

はい、とみすゞは鏡花に手を見せる。

「…みすゞの手は、あったかい、お母さんの手」

鏡花は、ぎゅっ、と、みすゞの手を握る。

「…有り難う御座います!」

今日の夕刻頃には、男性陣が帰ってくるだろう。

みすゞは、仕事頑張ろう、とやる気が出た。

だが、みすゞには、気になっている事がある。






(そういえば、デートって何なんだろう?)

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-04-15
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文スト夢小説
文スト創作キャラ

⚠こちらは、文豪ストレイドッグスの夢小説です。

文スト創作キャラの金子みすゞさんが、宮沢賢治くんに恋愛感情を抱いている描写があります。苦手な方は、お気を付けください。

今回も前回と同様、恋愛要素がほとんどありません。
ご了承ください。










【牛丼ららばい】



後編



「え、異能力訓練ですか?」

ある日、みすゞは、与謝野とソファで話をしていた。

「あァ。アンタにもそろそろ異能を使い慣れてほしいからね。」

みすゞは、ここに来てから二ヶ月ほど経つが、任務はまだしておらず、事務仕事がほとんどだ。

「探偵社とちょっとした縁がある弓道場があってね。誰かにコーチでも頼んで、ここで訓練してくるよーに。」

与謝野は、住所を書いた紙切れをみすゞに渡す。

「誰かって、与謝野さんは…」

そうみすゞが聞くと、与謝野は不敵な笑みを浮かべた。

「妾は、敦の治療をしなくちゃいけなくてね…。悪いけど、他を当たってくれ。」

与謝野は、ふふふ、と笑う。

「わ、分かりました。」

(敦さん、大丈夫かな…)

と思いながら、みすゞは自分の机に一度戻る。

敦は…与謝野の治療
鏡花は任務
太宰は失踪
国木田は仕事に追われている
乱歩も、事件を解決しに外出
谷崎はナオミと買い出し

(ていうことは、一人しかいないですね…)

みすゞは、鉢を手に取り眺めている賢治に声をかける。

「賢治さん、すいません。」

「与謝野さんから、異能力の訓練を言い渡されたのですが、コーチをしていただけませんでしょうか。」

すると、賢治は明るい声で

「コーチですか!良いですよー。」

と笑う。

そして、さっそく二人は、弓道場へ向かっていった。


「んーと、まずは何をするんですか?」

賢治は、みすゞの方を向き、首を傾げる。

「んー取り敢えず…」

みすゞは、異能力を発動する。
ポォっと周りがひかり、鼓が出てきた。

「えーと…、あの的に、まず的確に攻撃を当てるのと…」

「対人戦…ですかね。」

みすゞは、人差し指で弓道用の的を差し、そして、賢治の方へ目線をよこした。

「なるほどー!では僕はまず、みすゞさんの的あて練習を見ていますねー!」

元気な声で言う賢治。

「はい、よろしくお願いします。」

みすゞは、礼儀正しくお辞儀をした。

そして、的に目を移す。

(真ん中に、集中。)

ポンっと、みすゞは、一回打ちをする。

五つの流星が、的に向かって飛んでいく。

ボンッ、と、小さな爆発が起きる。

「おぉ、これは…」

みすゞは、的の方を見つめる。

流星は、全て的に当たっていた。

「案外、早く対人戦にいけそうですね!」

賢治が、おー、と拍手をする。

みすゞは、少し驚きながら

「…ですね。」

と答えた。


「よーし、はりきっちゃいます!」

あの後、様々な角度から的に流星を飛ばし。一応、全て的には当たっている。

そして、今、みすゞと賢治は向かい合っている。

「お手柔らかにお願いします。」

(集中、集中)

ふぅ、と息をはき、賢治をじっと見る。

「あの時計の針が、十二のところにいったら、開始ですよね!」

賢治が言う。みすゞは、コクンと頷いた。

カチ、カチ

カチ、カチ

カチッ


「スタートです!」

秒針が十二のところにいった瞬間、賢治がみすゞにザッと近づく。

それと同時に、みすゞは一回、鼓を打った。

五つの流星が、賢治に向かって飛んでいく。

(…外れたっ!)

ならば、とみすゞは、鼓を三回打つ。

彗星のように輝く光弾は、賢治を追尾する。

「おぉ!」

賢治の背中で、彗星は、大きな爆発をおこす。

煙が、弓道場に広がる。

(賢治さんは…!)

みすゞは、辺りを見回す。

「ここですよ、みすゞさん。」

賢治の声が、後ろからする。

賢治は、みすゞの両手を後ろに回し、どん、と床に体を落とした。



「んー、みすゞさんは、遠距離攻撃では戦力になりますが、僕や敦さんのような、近距離攻撃型の人と戦うときは、かなり不利になりますね。」

少し汚れた弓道場で、賢治は言う。

「それと、みすゞさんの体力を考えると、現時点での長期バトルは難しいでしょう。」

みすゞは、持ってきていたメモ帳に、そのことを書き込む。

「分かりました。改善策を出しておきます。」

「有難う御座いました」

みすゞは、ペコリと頭を下げる。

「いえいえー!」

賢治は、活気のある声で言う。

グゥゥ

そして、賢治の腹も、大きな音を出した。


「ふふ、賢治さん、特訓のお礼に、牛丼、奢りますよ。」

クスクスと笑いながら、みすゞは言う。

「本当ですか!やったぁ!」

さっそく行きましょう!と、賢治はみすゞの腕を引っ張る。

「僕、おすすめのお店があるんです!」

二人は、駆けだしていった。



「ふふ、もう食べられません…」

賢治は、さっそく牛丼を三杯食べ、眠ってしまっている。

「牛丼ららばい。賢治さんにとっては、牛丼は子守唄のようなものなのでしょうか。」

みすゞは、賢治の寝顔を優しく見つめる。

そんな二人を、高橋と店長は、ニコニコしながら見ていた。

ーENDー

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-04-09
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【マリンスノーに恋をして】



前編


「あの、みすゞさん。」

土曜日の午後の探偵社。

みすゞは、ナオミに呼び止められた。

「みすゞさん、確か明日非番の日でしたわよね?ご予定は、何か入っていらっしゃる?」

ナオミのその問いかけに、みすゞは少し考えてから答える。

「お部屋の掃除、洗濯。それと、買い物。残りの時間は、読書でもしようかと考えていました。」

みすゞがそう言うと、ナオミは何だかモジモジして告げた。

「あの…、明日、私とお出かけ、してくださらなくて?」

みすゞは、きょとんとした表情でナオミを見つめる。

「その…少し、相談したい事がありまして。」

なるほど、とみすゞはニコリと微笑む。

「分かりました。では、また日曜日に。」

「有難う御座います。時間はまた連絡いたしますわ。」

二人はコクリと頷き合い、そしてまた仕事に戻っていった。


「実は最近、お兄様と賢治さんが、頻繁に会っているようなのですわ。」

ナオミは、みすゞの顔をジッと見つめる。

日曜日の朝、ドーナツショップ。

二人は、同じタイミングで紅茶を口にした。

「賢治さん…?えと、任務のお話でしょうか?」

みすゞが訊くと、ナオミはふるふると首を振った。

「いいえ。このメモをご覧になってくださらない?」

ナオミは、鞄からキャンパスノートの切れ端を、みすゞに手渡した。

その紙には

『賢治→だいすき』

という文字が、はっきりと書かれている。

「間違いなく、お兄様の筆跡。みすゞさん、どう解釈なされますか?」

ナオミに問われ、みすゞは即答した。

「牛丼のことでしょうか。」

「えっ?」

ナオミは首を傾げる。

「賢治さん、牛丼屋さんに親しい店員さんがいます。その店員のお話をしていたのでは?」

みすゞは、そう言いながら、また紅茶を飲んだ。

「なるほど…。でも、ならば、何故お兄様と賢治さんは、こそこそと、頻繁に会っているのかしら?」

その問いかけにも、みすゞは即答。

「恐らく、牛丼屋さんのお話で盛り上がって、いつも牛丼を食べに行っているのかと。」

「そもそもナオミさんは、何故谷崎さんの行動をそこまで把握しているのでしょうか?」


「盗聴しているからですわ。勿論。」

ナオミは、当たり前、という表情をしている。

みすゞが驚く暇も与えず、ナオミは続ける。

「この写真も、見ていただけます?」

次は、鞄の中から大量の写真を取り出す。

そこには、賢治と谷崎、二人の楽しげな雰囲気の写真が。

「ちなみにこれは…」

「盗撮しましたわ。」

何だか雲行きが怪しくなってきた予感がし、みすゞはナオミに尋ねた。

「ナオミさん、結論を聞かせてください。」

みすゞは、真剣な顔でナオミを見る。

「…お兄様と賢治さんが、恋人同士になった。そう考えて、」

ナオミは一旦言葉を止める。そして

「大笑いしましたわ、一人で。」

と呟いた。

それから、みすゞに言う。

「賢治さん。お兄様には私というものがいるのに、随分と呑気かましていると感じなくて?」

みすゞは、真面目な気持ちでそれに応対する。

「考えすぎでしょう…まさか、賢治さんに限って。」

「恋は唐突。目覚めるのも唐突ですわ!」

ナオミは、みすゞに顔を近づけた。

「え、えぇと…目覚める??」

みすゞは、困惑しきり。

そんなみすゞの事は露知らず、ナオミは宣言した。

「お兄様は、男と男の愛情に目覚めてしまわれたのですわ!!」

「なんて、面白い!」

そして、フフフ、と笑う。

「しかも、賢治さん。ザ・アニキ!」

ナオミは、とても楽しそうだ。

だが、みすゞは、珍しく頬を膨らませていた。

「…ナオミさん。私、賢治さんに聞いてきます。谷崎さんと、お付き合いしているのかどうか。」

「あら、男と男の愛に反対なさるの?」

ナオミは、真剣に尋ねる。

「私は、賢治さんとお話したいだけです。」

みすゞがそう答えると、ナオミはふふふ、とまた笑みを浮かべる。

「きっと、面白いことになりますわ。ぞくぞく致しますこと!!」

みすゞは、今すぐにでも賢治に会いたいと思った。


会話を終え、二人はドーナツショップを出た。

二人が歩き出すと、突然、雨が落ち始める。

「お天気雨、ですね。」

みすゞは空を見上げた。

「あら本当。お兄様、傘持ってなかったんじゃないかしら。私は。探偵社に寄ってから帰りますわ。」

「はい、分かりました。お気をつけて。」

みすゞは、離れていくナオミに向かって小さく手を振る。

すると、くるっ、とナオミがこちらを振り向いた。

「私は、みすゞさんの味方。」

ナオミは、ニコリと微笑み、みすゞに言う。

「有難う御座います。」

二人は、探偵社の近くで別れる。

(目覚める、ですか…)

みすゞのため息は、雨と共に流れていった。

リリリ 文ストLove 一言見てね・2022-05-06
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【あなたの大空】



後編


「それで、ベルデコ、ドラゴン?とはいったい何なのですか?」

みすゞは尋ねる。

「ん、ああ、ダイモンだよ。ダイヤモンドモンスター。クラスで人気なんだ!」

カケルはニパッ、と笑う。

「あのね、カッコイイんだよ。ベルデコドラゴン!」

ユウタは、足をブラブラさせながらシュークリームをパクリと食べた。

「ベルデコドラゴン。あいつは簡単にはGETできない。シークレットレアだから。…あ、ユウタ、口付いてる。」

カケルは、ポケットからティッシュを出し、ユウタの口元を拭った。

「うん。相変わらず美味しい。」

鏡花は、もぐもぐとシュークリームを頬張る。

公園の中にあるベンチ。

みな、くつろいでいる。

「そうだ、カケル君。何かお話があるんですよね?」

みすゞがそう言うと、鏡花も頷く。

「どうしたの。」

カケルは、ホットレモンを一口飲み、ゆっくりと話しだした。


カケルとユウタの母親は、絵を描くのがとても好きらしい。

なんと、この度、ダイモンのイラストレーターに選抜された。

母親は、もう、昼夜をわかたず働かなくて済む。

今は毎日、イラストレーターとして活躍しているそうだ。

父親が残していった借金も、もう少しで完済。

そして、ユウタもこの頃、体調が安定しているようだ。

そうカケルは話した。


「イラストレーター!凄いですねー。」

賢治はパチパチと手を叩く。

「良かった。心配だったから。」

鏡花は、そっと微笑む。

「お話してくれて、有難うございます。」

みすゞも嬉しそうだ。

「でさ」

カケルは、ユウタの方をチラリと見る。

ユウタは、コクリと頷いた。

カケルは、ズボンのポケットから、カードケースを取り出した。

「これ、受け取って欲しいんだ。」

カケルは、みすゞと鏡花にそれぞれ一枚のカードを手渡した。

キラキラしたカードだ。

「はいぱー、べるでこどらごん…?」

みすゞは、目を細めながら文字を読む。

「これ、どうしたの?」

鏡花は首を傾げる。

「母さんが、こっそりくれたんだ。ねぇちゃん達には世話になったから、どうしても渡したくて。」

少し照れながらカケルは言う。

「そっか…カケル、有難う。」

鏡花は優しく笑った。

「ちなみにコレ、ショップ販売価格、三十万円だから。」

にや、とカケルは笑みを浮かべる。

その言葉を聞いた瞬間、みすゞと鏡花の動きが止まった。

「換金OKだけど…どうする?」

みすゞは、鏡花をふと見る。

鏡花は、プルプルと震えていた。

「……大事に、置いとく。」

決心したようにベンチから立ち上がり、鏡花はくるりと後ろを向いた。

「カケル、本当に有難う。お母さんに、あんまり無理したら駄目だよ、って伝えておいて。」

鏡花はまた前を向き、歩き出す。

「鏡花さん、どこ行くんですか?」

みすゞがそう聞くと、鏡花はこちらを振り向き、うっすらと笑顔を浮かべた。

「敦に自慢してくる。」

鏡花は、そう言い、公園から帰っていった。

賢治は鏡花が見えなくなると、振っていた手を下ろし、みすゞを見た。

「みすゞさん?」

みすゞは何か、考え事をしているようだ。

「みすゞさん?」

賢治はもう一度声をかける。

と、同時に、みすゞは顔を上げた。

「カケル君、ユウタ君。私、このカードを譲りたい方がいるのですが…。」

カケルとユウタは、一度目を合わし、みすゞを見る。

「みすゞねぇちゃんの好きにしたらいいよ。」

カケルはパッと笑顔を見せる。

ユウタも、うんうん、と頷いている。

「有難う、ございます。」

みすゞは、二人にペコリと頭を下げた。


「え!いいの?本当にいいの!?」

「すげぇー!!じいちゃん、すげぇよ!ハイパーベルデコドラゴン!!」

「僕、もう天国行ってもいい!!」

舞い上がるほど喜んでいる少年に、祖父は苦笑を浮かべながら言った。

「それは駄目」

みすゞは、そんな二人を笑顔で見守っていた。



「喜んでくれましたか?」

病院から離れたみすゞに声をかけたのは、賢治だ。

「はい。賢治さん、有難うございました。病院の場所、教えてくれて。」

みすゞは、ニコリと微笑む。

「いえいえー!でも、みすゞさん、よく分かりましたね。あの少年が、ダイモン好きってこと。」

二人は、ゆっくりと歩いていく。

「えぇ…カケル君と歳が近かったですし。もしかして、と思って。喜んでくれて良かったです。」

空に向かって微笑んでいるみすゞを見て、賢治も優しい笑顔を浮かべる。

二人は、同じ夕陽に照らされながら、探偵社へと足を進めていくのであった。

-END-

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