笛吹 昂宇🦋・2023-05-11
恋
昂宇のこい
隣に君の存在を感じながらそっと目を閉じる。
会いたい。とても会いたいのだけれど。
どんな顔して君に会えばいいんだろう。
なんて声かければいいのかな。
あなたは地元の友達の前でどんな風に笑うんだろう。
家族とどんな話をするんだろう。
私の知らないあなたを知りたくて仕方がない。
もう嫌だ。嫉妬したいわけじゃないのに。
あなたには、あなたの喋りたい人としゃべって笑っていて欲しいのに。
あなたをその笑顔にできるのは私じゃないのに、ほかの女の子の喋ってるところ見たくない。
「好き」が重たい「痛み」になって私が歪んでいく。
隣から伸びてくる腕に胸が高鳴る。
分からないところを教えてくれるその声に心が安らぐ。
ときめきも落ち着きもあなたは全てをくれるから。
あなたのことになると自分の行動の一つ一つが怖くなる。
話が途切れなくなることに、あなたの目から緊張がなくなっていくことに、あなたの笑顔が増えることに、あなたの耳が赤くなることにどうしても期待してしまうから。
私は本気の失恋を知らない。
いつも受け止められないのが分かるから、そこで諦めてしまう。
しっかり受け止めて泣ける方が私だってきっと楽なのに。
だから、今回の恋だけは中途半端に終わらせたくなくて。
きっと人生で1番の失恋は、何があっても覚えてていられるでしょ?
学校になった途端に喋らなくなる不思議な関係。
学校ではお互いが避けてるみたいで苦しくなる。
あなたは女子と仲がいいし、私以外とは普通に喋るのに。
バイトで喋る度に期待してしまう私が馬鹿みたい。
いつだってどんな時だって考えてるし
夢にだって何度も出てくるのに、
なんで現実のあなたには全然届かないんだろう。
こんなの依存だってわかってる。
分かってても辞められないの。
あなたが私の中からいなくなったとき、自分が壊れてしまいそうだから。
あなたと2人でレジに立つあの瞬間。
お客さんがいなければ誰にも邪魔されない2人だけの空間。
初めはお互い名前くらいしか知らない存在だったのに、今では2人になったらお互いつい話してしまう。
愛おしい時間。尊い時間。
この想いの一方通行に気づいたときから、きっともう全てが決まっていた。
好きなのにこわい。
何をするのも不安で仕方ない。どう見えてるんだろう、自分はこのままで大丈夫かな。
今の嫌われてないかな、って考えてるのもまたきっと無駄なのに。
どうせ好かれてないのに嫌われる心配ばかりしてしまう。
前は見てるだけで、それだけで良かったのに。