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#毎日少しずつ書いていくつもり

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全1作品・





「じゃあ、行こう!かーのじょ」

「あー、声でかいし」

春日井 柊和 カスガイ ヒヨリ

お茶目で可愛い私の彼氏笑

保育園からの幼なじみで

つい最近付き合いだした

こんな風にふざけるお調子者で

病気を患っているようには
全くもって見えないだろう。

彼自身も病気だってことは知らない

__2ヵ月前__
「おはよう」

声をかけても柊和が返事をしない

いつもだったら

「おはよー」

って笑顔で言ってくるのに

なんて考えてる時に柊和の体が傾いた

「えっ、柊和?」

おでこを触るとすごい熱で

近くにいた人に手伝ってもらって

柊和を家まで運んだ。

家まで行くとおばさんが

玄関まで迎えに来てくれていた

「ごめんね、陽夜ちゃん笑」

「全然、私が近くにいたので」

この後1週間柊和は寝込んだままだった

でもその次の週には元気になって

「おはよー」

「心配かけてごめんな」

っていつもの柊和だった。

私は休みの間に病院に行った

と聞いたからおばさんに話を聞きに

家にお邪魔した

なんだか胸騒ぎがして心配だったのだ

私は家に入って目を見張った

おばさんが声を押し殺しながら

机の上で泣いていた

「柊和、ごめんね」

と何度も繰り返しながら

「おばさん」

私が声をかけるとはっとして

「あら、陽夜ちゃん来てたの?」

と、いつものように声をかけて

「変なとこ見られちゃったわね」

と、苦笑いしながら涙を拭っていた

「どうしたの?何かあった?」

私はおばさんに聞いた

「まだ陽夜ちゃんには言わないって
お父さんと話してたんだけどね」

実は柊和の心臓に疾患がある

そう言われた時何言ってんのって思った

この前熱が出た時おかしいと思って

病院に連れていったら

担当医から

ごく稀に見る珍しい心臓病で

そして、今の技術では治せないと

そう告げられたらしい

まさか、柊和すっごい元気じゃん

大好きなバスケだってやれてるし

学校だってみんなみたいに行けてる

認めたくなくて認められなくて

信じるにはしばらくの時間が必要だった

おばさんからは

「柊和にはまだ伝えてないの」

「だから、陽夜ちゃん」

「柊和にはまだ言わないで」

そう言われた。

柊和の病気は

痛みもなく苦しくもなく

ただ少しずつ衰弱していくという

不幸中の幸いのようなものだった

柊和の余命はあと1年

私が柊和と過ごせるのは

"たった1年"

_現在_

今も不安に押し潰されそうに

なりながら柊和と今まで通りの

毎日を過ごしている

柊和はまだ元気なようだ

でも、あと8ヵ月

たった8ヶ月で柊和は死んでしまう

どう足掻いても変えられない

なんで柊和なの、と何度も泣き叫んだ

でも現実は何も変わりはしない

神様は意地悪ばかりだ。

今柊和は私の膝枕でぐっすり夢の中だ笑

このまま時が止まればいいのに

寝言なのか柊和が

「んん、ひよ」

とても可愛くて抱きしめたかった

「んー、なーに柊和」

と返事をすると

どうやら起きていたらしく

にやにやしながら抱きついてきた

そのまま倒れて後ろから柊和が

「俺、陽夜のこと大好き」

「世界で1番愛してるっ」

とぎゅっとしながら言ってきた

涙が出そうなのを必死に堪え

「私も好きだ、ばーか」

これが精一杯だった

そのまま柊和は私の家にお泊まり

幸せな1日を過ごした


__あっという間に季節は巡り

「寒いなー、陽夜」

「んー、すごい寒いね」

「なー、陽夜」

「手貸して」

「手?いいけど」

こんな寒い日に限って私は手袋を忘れた

「寒かっただろ?」

「柊和カイロであっためる笑」

柊和は気づいてたらしい

柊和はどんなことにも気づく

優しい、優しい彼氏だ

その日の2時限目

柊和が倒れたって友達から聞いた

体育をしてたら倒れたと

正直血の気が引いて

あぁ、もうそんなところまでと

あっという間に柊和の身体を

蝕んでいく病魔

体調がずっと良くならないからと

柊和の入院が決まった

当然お見舞いにも行った

柊和はにっこにこで可愛かった笑

最近柊和の病気は心臓の

1部を移植してもらえば治ると分かった

移植相手も死ぬことはないし

生活に支障はでないらしい

でも、柊和の心臓は

もう止まりかけた時計と一緒

そこまで長くないらしい

柊和はいつまで生きられるかな?

いつまで一緒に笑ってられる?

もう会えなくなるの?と不安ばかり

初めて泣きそうになった

でも、柊和の前では泣かない

って決めたんだ。

柊和が心配しちゃうから



ってここまでの話は私の心臓が

まだ動いてた時の話ね

実は私は死んでるの

今は幽霊とかそういう系のやつ

柊和を助けるために私は

自分の命を差し出した

手術は成功したんだけど

私は元々体が弱くて

移植に耐えられなかった

感染症を起こしてあっけなく

命を落とした。

私は柊和に生きて欲しかったから

柊和には勿論内緒で

こんなことしたらきっと猛反対するし

怒られちゃうし生きたくなるから笑

今の日本はそういうことが許されてる

自分の意思表示があればできるの

柊和はちゃんと元気になった

私は心の底から喜んだよ

私の全てを捧げたからね

でも、考えることは柊和も一緒だった

柊和は

「陽夜がいなきゃ駄目なんだ」

そう言って家を飛び出して

帰らぬ人になった。

マンションから飛び降りたんだって



今は天国的な世界で

2人楽しくやってます



これから2人らしい

幸せを築いていこう


Fin

甘瀬 凛・2021-09-21
花束を君に
放射状に伸びる影
叫んでいる声はいつかの僕らだった。
小説
毎日少しずつ書いていくつもり

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アプリ『NOTE15』で作られました。

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