はじめる

#短編小説

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全2284作品・










世界で一番優しい人
















“好きです。付き合ってください。”














僕はわかっていた。

この恋に未来がないことを。

期待したこともあったし、この恋が成就する夢を何度も描いた。

でも僕の片思いが実らないのはわかっていた。

それでも諦めたくなくて、諦めきれなくて。

ずっと君を縛り続けてきた。














弱虫で独りぼっちが怖い僕を見捨てることができない君はずっと苦しみ続けていた。

僕が君を傷つけ続けていた。

でもそれも今日で終わりだ。

僕は今日君にふられる。

君は今日僕から解放される。














君は優しい人だった。

時に残酷なほど優しくて、勘違いしてしまうほど温かい。

人のために泣ける人で、人のために悲しむ人。

僕なんかのために泣いた人。

きっと誰にでもそうだったと、今ならわかる。

でも僕は、嬉しかったんだ。

“離れない”の言葉がたとえ、僕を安心させるために言ったその場しのぎの言葉でも。














“ごめんなさい。”

君は泣きながら言った。

やっぱり僕なんかのために涙を流すんだ。

僕は、笑った。

君に最後くらい大丈夫だと示したくて。

ずっと守ってもらう存在だったから。

最後くらいもう大丈夫と認識されたかった。

だから、笑った。

君はなお、泣き続けた。

僕は笑ってほしいのに。

困った僕を見て君は急に泣き止んだ。

そして君は

“ごめんなさい。”

とまた僕をふった。

でもさっきと違って泣かずにしっかり僕の目を見て。

今この瞬間、僕の片思いが終わった。

“うん。ありがとう。”


















どうか、幸せになってほしい。

君には沢山愛してくれる人がいるから。

僕のことなんて綺麗サッパリ忘れて、笑っていてほしい。

君が誰よりも大切にしたい人に出会って、

君が誰よりも大切にしてくれる人に出会って、

君が運命の人に出会って、

どうか、幸せになってください。

まな・2022-08-07
苦しいくらいに優しい君
短編小説
言ノ葉、ふわりと






#哀の狭間




土曜の昼過ぎだった


「好きです」なんて

子供じみた一件のメッセージ


よくも知らない人だった

辛うじて最近話すようになっただけ


気味悪く思う必要などなかった

所詮ジョークなのだ


少しばかり引っかかってやっても

良さげではないか


嬉しい だとか

思わせぶりな態度をとった


それでも懲りずに

毎日のように恋文は届いた


結局は俺の根負けだった


俺も好きだ なんて

嘘臭かっただろうに


知っての通り

残念なことに俺は屑だった

否、今も屑には変わりないだろう


だから相手の気持ちだの

どうでもよかった


所詮ネットだ


すぐに飽いて

音信不通なんぞ当たり前


それなら相手も屑だろう?

俺だけではあるまい


そんなことを常時考えていた


ただ彼女は一枚上手だった


彼女はどこか抜けていて

たまに飛んだ発想を編み出す


急に顔写真が送られてくることもあった

急に重い過去の話をしだしたこともある

俺が会ったことの無い新種だった


毎日愛を伝えてくるうえ

毎日愛を求めてくる

非常に面白かった


冷静になれば可笑しいだろう


ネット恋愛だ

会ったことも無いのにな


それでも興味が募ったんだ

すきなだけ馬鹿にしてくれ


俺は彼女に堕ちた

なんて綺麗に言ってみようか


いつしか彼女に惹かれていた


勿論、頭の片隅では

ジョークだと分かっているさ


それでも気持ちは抑制できない

残念なことにな


そうなってしまえば

俺は自身の屑が嫌になった


名前も性別も住処だって

偽っていたことを悔やんだ


いい機会だと踏んだ

潔く去る心構えさてしていた


だが彼女は根強かった


そんなことどうだっていい とまで

言い出してしまった


そんな彼女を愛していた


通話もした

会いたいとも言ってくれた


だから、だから頑張った


ひとまず高校受験を乗り越え

バイトをしてお金も貯めた


なんで気付かなかったんだろうな

彼女にはもうその気はなかった


彼女からの連絡は途絶えた


ただお金は溜まり続け

変化のないトーク画面を眺め続けた


ネット恋愛?同性愛?

叶うわけねぇのにな


屑が幸せになる路線なんて

存在しない


ならば命が短くとも

最期貴女と心中したかった


愛している の対義語は

何か知っているか


好きの対義語は嫌い

愛しているはどうか


憎しみだと聞いたことがある


俺は彼女が憎いか

そんなはずなかろう


俺は元々愛していなかったのか

それとも今も


そんなこと考えたって意味が無い


意味の無い望みが

頭の中を巡回する


誰か俺を逝かせてくれ

精神病を患った

俺にトドメを刺してくれ


どうせ彼女と共に

逝くことなんて出来ないんだから


____The END

那樹・2022-09-04
哀の狭間
短編小説
風味

誰か が 決めた

「普通」を 押し付けられて

本来 の 僕 は「普通」じゃない と

言われて 生きてきた

生ける屍 の 僕 に 、キミは


人 に よって 考え方 が 違う様に

普通 にも 私は 、

色々ある と 思ってるの。

だからね 、自分 の 思う 「普通」 を 

相手 に 押し付けて

「 貴方 は 、普通じゃない 」

何て 言うのは 、間違いだ と 
私は、思ってる 。 と 言った。


まるで 全てを諦めている 僕の胸の中を

見透かした 上での 発言の様で、

僕は 、ただ 、ただ 、

吃驚した のと 同時 に 

初めて 、人 に 

 僕
自分 と 言う 存在 を


認めてもらえたようで

肯定されたようで


嬉しかった。

牙狼(小説垢)・2022-09-28
小説
短編
短編小説
解釈自由
枯れていた僕に水を与えてくれたのはキミでした
花束を君に
下手くそだけど
不透明な僕ら
誰か
独り言
普通
枯れていた僕に
感想聞かせてください
メイト🎀
届け
生を吐き出す
おすすめに載ってたら教えて欲しいです

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に2284作品あります

アプリでもっとみる






#月が醜穢ですね








貴女はとっても可哀想



虐待、いじめ、施設暮らし



たくさんの不幸を詰め込んだような


貴女はとっても愛おしい



とっても辛いはずなのに


貴女は万人に笑顔を振りまくの



貴女はとっても素敵な私の彼女



貴女が出逢う誰よりも


貴女の方が何倍もしんどいのに



相談に乗った


愚痴を聞いた


なんでそんなに優しくできるの?



貴女はとっても優しいのね



今日もあの子を笑顔にしてた


私が泣かせちゃったあの子



軽快な足踏みして


帰っていくのが目に見えるわ



貴女はとっても善人ね



新しいお義母さんからの躾で


身につけられた学力



お義母さんからの暴力への対抗で


身についた運動神経



そんな努力家な貴女が


とっても愛らしい



頭も良くて運動神経もいい


面倒みもいいし顔もいい



みんなはなんにも知らないで


貴女のことを羨むの



絶対辛いはずなのに


貴女は笑顔でかわすのね



貴女の対応は


誰よりも大人で素敵だわ



そんな素敵な貴女だから


今日もあの子に呼び出されてたね



貴女は誰からも愛されている



とっても素敵


愛しい


愛しているわ



貴女は私だけを見ていればいいの



私が貴女に尽くすように


貴女には私だけを見ていて欲しいの



とっても簡単なことよ



他の子なんて目に入れずに


私だけを見ていればいいの



言葉だけじゃ足りないわ


身体まですべて私に預けて欲しいの



最近頑張っている料理も


私が毎日作ってあげる



貴女は私の作った料理を


好きなだけ食べてくれればいいの



躾で身についた勉強習慣も


取り除いてあげる



貴女は毎日好きなことをして


充分な睡眠を取ればいいの



好きで入部した訳でもない


揉め事の多いバレー部も


辞めてもいいのよ、私が許すわ



学校も仕事だって


もう行かなくていいのよ



私が貴女のぶんまで


働いて養えるようになるからね



貴女は好きなことをすればいいの



私のそばにいてくくればいいわ


決して手を離さないで


貴女のために私は頑張るから


貴女は慰めてくれればいいの


頑張ったね、お疲れ様って


そう言って隣にいてくれればいいわ



それだけでいいの


簡単でしょう?


辛い思いをして笑わなくていいの


あの子の相談に乗る必要も無いわ


私だけを見ていて欲しいの


簡単でしょう?


愛のカタチを欲しいだけなの



ねぇ、お願い


私にだけにそのお顔を見せて?




「陽愛、今日は月が醜穢だよね。」



右手をポケットに入れたまま


私は貴女の肩を叩く



甘ったるい大好きな声が聞こえて


貴女の満面の笑みが私に向く



右手をそっとポケットから出し


私は自分の胸に手を当てた



緋色の液は体を伝い地面を這う



胸を突いた果物ナイフは


あんまり深くまで刺さらないみたい



ふっくらした貴女の紅色の唇は


血を引き青白くなるのが見える



最期に見る貴女のお顔は


とびっきり愛おしかった



私の体液の付いた刃物を


貴女も胸に差し込むの



とっても素敵なお話でしょう



雲が月を隠すような


誰も見向きもしないような夜


私と貴女は心中する



意識が途絶えようとする中


甘い声が私の耳に届いたの



「死んでも君を愛そう」



そんなの当たり前じゃない


私だけの貴女なんだもの





那樹・2022-09-21
月が醜穢ですね
死んでも君を愛そう
短編小説
風味




短編小説

ハ ナ ビ
生命火のような恋をした




夢を見ました__


生命の火が消えるまで



僕は君を愛する



花火のような恋をする。


高嶺の花でも、モテてもない

普通の女の子に


僕は隣のクラスの、



普通の女の子に、恋をして。



僕はその女の子のことを

ずっと考えてた



休みの日はその子に

お菓子をプレゼントしたり


僕なりにアップローチをした。


あげる度その子は


"ありがとう"って言ってくれる。


そんな君に今日は僕の大好物


ガトーショコラをあげる


ラッピングにはいつも

ドライフラワーを飾りにして。


その日僕はいつも通りの休日に


その子にプレゼントした。



"いつもありがとう"


そう言う君が今日、




話したいことがあるんだ。




私ね、あと7日で死ぬんだ。



そう告げられた、。



僕はどんな顔をすればいいか

分からなかったけど、


そっか。としか言えなかった


君と花火をしたかったけど

誘うの言いにくいな。

なんて思ってたら


あのさ、花火を一緒にしたいな


君が言った。


うん、もちろんだよ。そう言って



そして花火をする日



君は告げる


私ね、君のこと好きだよ。


貴方に出逢えてよかったし


貴方が私の最後だよ。


沢山のお菓子と想い出とこの想いを


私にくれてありがとう。


君さえよかったら


最後の恋を叶えてくれませんか_


どんな明かりより君との


花火がとても光っていた。



微かに君の笑みが魅えた気がした







僕は夢を見ました。





ハナビ
生命火のような恋をした昨年の夏を



元気ですか。宙へ羽ばたいた





僕より先に逝かないでよ



余命のある、大好きな彼女___。



感想待ってます

楪葉.・2022-08-27
生命火の炎が消えるまで
恋をした
花火
短編小説
独り言
フィクション
空を見上げて
宙へ舞う星は君の様で
好きな人
大切な人
キミと初めるストーリー
この想い、制御不能
一生で一度の恋
死を想う世界に生きて
雨降りの舞桜
夜空に浮かぶ宙に舞う桜





短編小説





ねぇ、貴方にはそんな勇気ないから









"だから"笑っていて___。








とても毒のような呪いを込めた言葉









少し背伸びをした言葉を云った。あの子









________________


私は空を見上げて




フェンス越しに君と話をした。




少しの後悔と共に_



私が"死ぬ"って言ったら



貴方は後を追うと思うから。



だから、でも、


あの子にはそんな勇気は無いことは


私が1番知っている。



だけど私は云ったんだ。




貴方にはそんな勇気はないから




"だから"笑っていて___。




_________________


あの子はそう言って



この大空を駆けた。




ねぇ、私には


貴方が居ないと意味が無いのに




唯一の親友





ねぇ、大人になって





貴方より背が伸びて






貴方より歳をとってもさ







私のことは忘れないでいてくれる?





沢山あなたの分まで





思い出を持っていくからさ








感想待ってます

楪葉.・2022-09-03
9月1日
独り言
空を見上げて
想い出
淡い期待
ひとりぼっち
友達
短編小説
秘めた心に隠した本音
哀と愛の狭間
夜空に浮かぶ宙に舞う桜

【クリームソーダ】

空に浮かぶ雲は時間の流れと共に駆け抜けていく。

立ち止まった私だけが過去に置き去りになって酷く泣きたくなった。

いつだってそうだ。

泣き虫な私は感情を表現する方法が乏しい。

嬉しくても悲しくても悔しくても辛くても、体の水分が抜けていくだけ。

それでもいいんだ。

最後に報われるなら。

後悔することなく終われるのなら。

泣いてすっきりしたあとは今をちゃんと見つめればいい。

最後の大会に出られなかった痛みは、仲間が次に繋いでくれた。

私、ちゃんと輝けたよ。

憧れのステージで走馬灯を追いかけた。

気の抜けたソーダのような夏だった。

抜けた炭酸が痛みを曖昧にして、残った甘みが想い出を美化する。

そういえば今年の夏はいつにも増して痛かった気がする。

真っ青なグラデーションと白い雲のせいでクリームソーダが飲みたいと思った。

凪絆・2022-08-14
クリームソーダ
小説
短編小説
青春
失楽園に救世の華を

『蛙化少女』


―好きです付き合ってください―

―ごめんなさい―

―え、なんで俺の事好きなんじゃ―

―気持ち悪くて―

私は好きな人からの好意を気持ち悪いと思ってしまう。

思えば幼い頃からそうだった。

まだ私が5歳ぐらいの時。

近所に住んでいる同い年の男の子とよく遊んでいた。

私はその男の子のことが好きだった。

そんなある日男の子から好きと告白をされた。

私がその時に抱いた感情は嬉しいでもやったでもなかった。

ただただ気味が悪く気持ち悪いとそう思ってしまったのだ。

それ以来私はなるべく好きな人を作らないようにしてきた。

でも人間とは愚かな生き物で…それでも私は好きな人が出来てしまったのだ。

高校生になり私もそれなりの大人になった。

今だに好きな人からの好意を気持ち悪いと思ってしまうので高校では好きな人を作らないようにと心がけた。

つもりだったのに。

隣の席のあいつはいつも私にちょっかいをかけてきた。

特になんの用もないのに話しかけてきた。

私が困っていたら助けてくれた。

気づいたら好きになっていた。

ああ、またやってしまった。

そうは思っても気持ちは大きくなっていくばかりだった。

そんなある日。

あいつから突然『放課後空いてる?』と話しかけられた。

私は特に用はなかったので『空いてるよ』と返した。

『よかった!じゃあ下駄箱付近で待ってて!』

それだけ伝えるとあいつは友達のところに走っていった。

何が何だか分からなかったがとりあえず言われた通り下駄箱付近であいつを待っていた。

『ごめん!おまたせ!』

数分後あいつは走って私のそばに来た。

『それでなんの用でしょう』

私は恐る恐るあいつに尋ねた。

するとあいつは重たい口を開いて

『好きです。俺と付き合ってください!』

と言ってきた。

あ、

ああ、

あああ、

私はまたやってしまった

私はまた人を傷つけてしまう。

そう思っていた。

でも私の気持ちは一向に変わらなかった。

気味が悪いなど気持ち悪いなど思わなかった。

その事に私は涙してしまった。

泣いている私を見てあいつは驚きあたふたしていた。

私は涙をぐっとこらえ笑ってあいつに伝えた。

『私も…私も好き』

そう言うとあいつはぶわっと顔を赤くし照れながら『よろしくな』そう言った。

私はこの時きっと本当の恋をしたんだと思う。

今までの恋はきっと恋に恋をしていたんだと

その人のことが好きな私が好きだったんだなと

そう思った。

あわ・2022-09-11
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蛙化現象
『蛙化少女』
短編小説

【秘密】


あの子のお葬式があった。厚い雲が、太陽の光を遮っていた。

「あんなに、いい子だったのに」

担任がハンカチで目元を抑えながら話す。いつものジャージとは違う、真っ黒なスーツに身を包みながら。

ぽつりぽつりと、先生はあの子の思い出を語った。
蒸し暑い空気が私達を包み込む。先生の声だけが、静寂の中響いている。

いつもは明るい声でハキハキ喋る先生。笑顔が絶えない優しい先生。そんな人も、今日は言葉を詰まらせ、顔を悲しみで歪ませながら話している。

「いつも明るく元気で、勉学に一生懸命で、それで、それでいて、皆のことを考えられて・・・!」

ついにこらえきれなくなった涙が、先生の目から溢れた。

それに応じるように、周りからも音が聞こえ始める。悲しさで満ち溢れた音。
あの子の名前を口に出す人、ただただ涙をこぼす人、大きな声であの子の死を嘆く人。

先生は一人で話し続ける。一人で悲しみに酔っている。


皆悲しみに酔っている。


私だけが、ずっと前を見据えていた。

「・・・とても悲しいです、〇〇ちゃんのいない教室は。だけど、だけど、あの子はきっと皆の笑顔を見たいはずです。だって、誰かの笑顔のために頑張れる子だったから。どうか、安らかにお休み下さい。」


二年五組一同。


そう締め括り、先生の弔辞が終わった。
拍手が起きたわけでもない。のに、称賛のような何かが辺りに漂った。

お通夜ももうすぐ終わる。あの子とのお別れの時間がくる。

皆の泣き声がいっそう強まった気がした。

空はまだ曇っている。どこかで蝉が鳴いている。

「・・・俺が、アイツのことをもっと分かってやれてたら」

隣でそんな声がした。横を向くと、あの子の彼氏がそこにいた。

「そうしたら、こんなことには」

俺がアイツともっと喋っていれば、俺がもっと一緒の時間を過ごしていれば。

俯きながら、そんなことばかりずっと呟く。私より高いはずの背がとても小さく見える。涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃだった。

「・・・使いなよ、ハンカチ」

ハッとしたようにそいつはこっちを向いた。私が差し出したハンカチを、なにか珍しいもののように見つめている。

「・・・ありがとう」

そう言ってハンカチをそっと取った。目を擦るようにしながら涙を拭く。
薄いピンクのハンカチが、コイツには不釣り合いだと思った。

あの子の方が似合っていた。

「落ち着いた?」

「あぁ。・・・ごめんな、ハンカチこんなにして」

「別にいいよ。次会った時にでも返して」

前を見てそう答える。コイツはクラス内ではそれなりにモテるほうだった、らしい。あの子から聞いただけだから定かではないけれど。でもそんなことを言うあの子も男女問わず人気があったし、好意を持つやつは少なからずいただろう。

それで、あの子とコイツはお似合いカップルだのなんだの言われていた。どっちもモテるから、なんて理由で。

「●●はすごいな」

「え?」

不意に吐かれた言葉に驚く。それが私に向けられた言葉だと理解するのに、少し時間がかかった。

「●●はさ、アイツがいなくなって寂しくないのか?」


お通夜始まってから、一回も泣いてないだろ。


それがさも珍しいことのように、泣くことが当たり前のように、この男は言い放った。

なんて非道いことを言うんだろう。私が寂しくない?馬鹿を言わないでほしい。

あの子のいないこの場所に、もう価値なんてないのに。

「・・・あの子はさ、いつも笑顔だったし、周りの人も笑顔なのが好きだったじゃん」

思ってもいないことを口から出す。

いつも笑顔だったなんて、嘘。

私はあの子の涙を知っている。

「だから、皆泣いてるんだから、私くらいは笑って見送りたいんだよ」

そう言いながら口角を上げる。嘘くさい笑みを顔に貼り付ける。
それが良かったのか、コイツには私が涙を我慢しているように見えたらしい。

「そうか・・・そうだよな。お前だって寂しいし、我慢してるよな。・・・アイツだって望んでないよな、皆が、俺が泣いているのは」

独り言のようにそう呟く。何かを考えている様子の瞳と焦点があう。

ソレはまるで哀れなものを見るように、慈愛を込めて私を見つめてきた。

「なあ、難しいかもしれないけどさ。時間があったら、アイツの話一緒にしないか?料理が得意だったとか、可愛いものが好きだったとか、そんなのでいいからさ」

悲しみしか浮かべていなかった顔が、少しだけ笑みを見せた。

「・・・そうだね、難しいかもだけど」

哀れなやつだなと、思った。

あの子の彼氏だからって、あの子に一番近かったわけではない。だから、コイツじゃあの子の代わりにならないし、あの子との思い出を語る相手にはならない。


私はあの子との日々を誰かにあげたりしない。


だいたい、お前はあの子のことを全然知らない。あの子は料理が得意じゃなかった。特にお菓子作りなんか、焦がしたり、生地がちゃんと混ざっていなかったりしてた。でも一所懸命に作ってる姿が可愛くて、「下手くそだなぁ」なんて笑ったりして。私しか知らない大事な時間だった。

お前が見ていた料理上手のあの子は、頑張って練習した後のあの子なんだ。本当のあの子じゃない。

あの子の本当を知っているのは私だ。私だけだ。

あの子の短所も涙も何もかも、私だけが見られる特権だった。

きっとあの子もそう思っていた。だから私とあんな約束をしたんだ。

確かあの日は雨が降っていた。電気を消した薄暗い教室。雨の音だけが響いていたそこで、あの子は言った。



『一緒に自殺しよう』



あのときのあの子の綺麗な顔は今でも覚えている。

あぁなんて、あまりに汚くて、許されない、特別すぎる約束なんだろう!

もちろん私は頷いた。首を横に振る選択肢は最初からなかった。

それからは色々試した。二人で自殺するのは上手くいかなかったから、先にあの子だけ自殺を図った。結果がこの日だ。

あの子はきっと喜んでいる。計画が成功したから。そんな素晴らしい日に、どうして泣いてなんていられようか。


次は私の番。


ふと、遺影のあの子と目が合う。花のように笑みをあふれさせた顔。この場所には不釣り合いだと思った。

君は、もっと綺麗なところで笑うべきだよ。

それで、その笑顔を一番近くで見るのは私がいい。

誰にも聞こえやしないその独り言を、口の中で咀嚼した。

いつの間にか雲は去り、太陽の光が控えめに差し込んでいる。


私はポケットの中の、あの子とはんぶんこした薬を握りしめた。


大事な秘密を守るように。



















『・・・それでは、続いてのニュースです。豊後中学校二年五組全員の死亡が確認されました。全員が異なる場所で同じ死因をしており、警察は事件性を視野に入れながら捜査しています。・・・』

無月・2022-07-25
小説
雲隠の月
好きな人
地の文ま〜〜〜じむずかったです
短編小説

「まだ死んでいない」

というだけの生を謳歌していると

僕の細胞が金切り声を上げて非難する。

人類の発展に寄与しなさい。

できないなら幸福になりなさい。

耳から垂れる血が地面に落下するまでの空白

僕はようやく言葉の正体を知った。

柊晴・2022-09-02
散文
小説
短編小説
融点




短編小説





夢の中でその子と再開した


覚めてしまうその前に



もう会えない人の事。



別にその人が亡くなったとか


そんなんじゃなくて、



卒業して、自分たちの道へ



歩むそんな高校生の頃の好きな人



今は何してるのかとか



何処にいるのとか


わかんないし、



あぁ、これが恋でこれが別れ




運命の人は



1度別れても再開するらしい




僕の中ではこの恋自体が



運命だと思ってた。


その気持ちを伝えないな。


そんな僕は…

楪葉.・2022-09-24
恋物語
ひとりぼっち
運命の人
短編小説
夜空に浮かぶ宙に舞う桜

空飛ぶメリーゴーランド

あるところに、ふたりの愛し合っている天使がおりました。その国では、人間と、天使が共存して暮らしている国です。しかし、人間の国の王様が、美しい天使を剥製にして、城の壁に飾る文化を作り、大勢の天使達が、人間の手によって剥製にされてしまいました。
そんな中、隠れるように、ふたりの恋人同士の天使が、宝石でできた、ひまわりの花畑で、誰にも見つからないように、密かに落ち合っていました。
天使の国の花畑は、宝石でできており、とても美しいのです。
「綺麗だ……。君は、この世界のどんな美しいものよりもいちばん光り輝いているよ」
彼は、宝石でできた、一輪のひまわりの花を彼女に手渡して、言いました。彼女は、ただ、頬を赤らめて、嬉しそうに、その花をしっかりと胸に抱いて、頬笑んでいました。
そんな幸せな時間も、長くは続きませんでした。
王様の手先が、ふたりの美しい天使の噂を聞きつけて、その宝石のひまわり畑に、ふたりを捕まえにやってきたのです。
彼に恋をしていた、他の女の天使が、彼女と彼の中を妬んで、王様に密告したのです。
ふたりは、手を繋いで逃げました。追ってが迫ってくるひまわり畑の中を、ただひたすら捕まらないように、走って。飛んで。
飛んで。
地上からも、空からも追ってが迫っています。
もう、捕まってしまう。
そんな時、彼は胸ポケットから、大事なそれを取り出して、願いの言葉を唱えました。
大事なそれとは、どんな願いでも叶えてくれる、空飛ぶメリーゴーランドのかけらで作られた、小さな羽のついた、綺麗な綺麗なメリーゴーランドの形をした、小さな空飛ぶオルゴールでした。
「ぼくと彼女がたとえ離れたとしても、あの太陽と月のように、何度だって、ぼくと彼女は愛し合う。どうか、ぼくの願いを叶えて……」
小さな、空を飛ぶオルゴールは、弱々しく、今にも壊れそうなほど、儚い音色を奏でながら、空を飛びました。幸いにも、宝石でできたひまわりの光が太陽に、きらきらと反射して、そのオルゴールの飛ぶ姿は、人間達には見えなかったそうです。
ついに、ふたりは追ってに捕まって、剥製にされてしまいました。
「……このオルゴールは、わたしが生まれたときにわたしのそばに置いてあったみたい」
天使の少女は言いました。
このオルゴールに込められた思いが形になって、少女はこの世界に生まれてきました。
それは。
誰にも見えないたくさんの夢や音色が夜空を羽ばたいていく、そんな夜の出来事でした。

にじりぼん・2022-08-29
オリジナル小説
短編小説
創作小説
小説
メリーゴーランド
ファンタジー






『君の死骸に花束を』






「ねぇ、私って笑うと気持ち悪い?」



 目の前に座る彼氏にそう言った。

 自分を好いてくれる人にそんなこと聞くなんて愚問かもしれない、そう思った矢先。



「そうだね」

と即答されてしまった。




 じゃあ、なんで付き合ってんだよ!

 と言い返したくなるのを堪えていると、彼氏は続けて「理解はできるけど共感はしないよ」と言った。




 一瞬、その言葉の意味を飲み込めなくて、時間経過で私の頭に入ってきた。


「私の彼氏なら理解もしなくていいよ!」





「あのなー。俺がお前を好きになった理由を理解するなって、困ったことを言う彼女さんですね」



 私は一度、呼吸をし直した。

 なんだそのセリフは。両手に鞭かと思ったら、口の中に飴を隠してましたみたいな。





 私はチラッと彼氏の様子を窺うと、すぐそばにいる人物は少しだけ拗ねた顔で頬杖をつきながら、こちらをじっと見据えている。


 その瞳は私というよりも、今の私を通して過去の私を見つめていた気がした。





「言っとくけど。自分のスマホを見つめながらニヤニヤしてる奴が近くにいたら、誰でも気になるから」

 怒っている訳でもなく、ただ私に語りかけるようにそう言う。





「でも、気持ち悪いって思う人もいるよ?」



「俺にとっての恋愛は自分の気持ちが最優先じゃなくて、好きな人が何に喜んで、何が楽しいかを見てるんだよ。

他の人の恋愛なんて興味ないけど、少なくとも俺がお前に惚れたときはそうだったんだよ」




 彼氏の手が私の髪に触れて、揺れる毛先が指に絡む。
 散髪をしてから一年が経ち、すっかり胸元に届くくらいまで伸びていた。




 自分の中で熱が溜まっていくのを感じる。



 彼氏の頬には紅色が灯る。その表情を見ると、君に初めて話しかけられたときの表情と似ている気がした。














 そこに君が居て、少しだけ嬉しかったんだ。

灰宮 凪・2022-09-05
あれ、小説の書き方を忘れました。
今皆さんが見ているものは何でしょうか。
信じるも信じるもあなた次第ですよ。
感想くれる人にはアメちゃんあげるよ。
短編小説
灰と游ぶ。
独り言
創作
小説
恋愛
好きな人
ひとりぼっち


短編小説 (恋愛)





今日は君の誕生日

君のファーストキスをもらう日。



大好きな僕の彼女


いつも優しくて明るくて

僕の天使みたいな存在


でもだめだよ

本当に向こうの世界に行ったら


君、言ったよね

誕生日にキスしてって


僕は照れたけど

うんって約束したよね


これじゃ、会うことすらできないよ

僕は棚に置いてある

溢れる涙に滲んだ君の写真に呟く


どれだけ泣いても

どれだけ会いたくても


それは僕の願い事にすぎず

現実を歩かされる


でも僕は約束を守る男だから

君が大好きだから



僕は涙に濡れた唇で

写真にそっと、キスをした

宇遠・2022-09-28
短編小説
死んでしまった君に
約束
ファーストキス
大好き
恋人
写真にそっと
大好きな君へ
✐✿

兵器にならねば生き抜けないのだ。

進め、進め。

光り輝く暴風を起こせ。

美しいものは人を傷つけられるから美しい。

踏みつけたなら一瞥もくれてはならない。

残虐でない振りなんて意味がない。

柊晴・2022-09-02
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