#空に

取消屋の僕はいらないものでした



誰の記憶も消すことのできない僕は失敗作



一緒に育ったはずの子は



いつの間にやら、もう手も届かない



空に叫んでみたって返事はなくて



僕だけ独り言の世界へ



いらない僕は邪魔な奴でした



誰かの「居なくなって」でした



大切な人の幸せには



僕の存在が邪魔でした



死ぬように生きた先には



何も残っていなくて



ただ『０点 』と書かれた僕一人



誰かの溜息と視線と



耐えられないと投げだしたのは



『失敗作の取消屋』



人間になれたらと



普通になれたらと



そんなこと願ったって聴いてもくれなくて



もう出来るのは



『消えたい』だけでした










人間の私はいらないものでした



人より伝えるのが下手くそな私は失敗作



一緒に育ったはずの子は



いつの間にやら、もう手も届かない



海に呟いたって返事はなくて



私だけ独り言の世界へ



いらない私は邪魔な奴でした



みんなの「居なくなって」でした



大切な人の幸せには



私の存在が邪魔でした



死ぬように生きた先には



何も残っていなくて



ただ『０点』と書かれた私一人



誰かの笑顔と陰口と



耐えられないと投げだしたのは



『失敗作の人間』



誰かになれたらと



普通になれたらと



そんなこと願ったって聴いてもくれなくて



もう出来るのは



『死にたい』だけでした










そんな時、僕は出会いました



私は出会いました



その子は人間でした



その子は人間ではありませんでした



僕らはどこか似ていました



私達はどこか同じでした










その子は消したい記憶がありました



僕はそれを消すことが出来ませんでした



その子は「死にたい」と言いました



僕は「消えたい」と言いました



僕は居なくなってほしくないと思いました



だから、と



話を聴きました



その子は少しずつ話しました










生きたかったも



もう死にたいも



辛いも



苦しいも



悲しいも



寂しいも



虚しいも



疲れたも



もう無理も



怖いも



生きたくないも



幸せになりたいも



居場所がほしいも



全部全部吐き出しました



僕はそれをただ聴いていました










最後にその子は言いました



「私も生きたい」



その子は泣いていました



でも笑っていました



そして泡になって消えてしまいました



僕も一緒に泣きました



ずっとずっと泣きました



初めて誰かのために泣きました










取消屋の僕はいらないものでした



失敗作の僕はまだ『０点』のままでした



でも今はただ



君のために生まれてきたのだと思うのです

君が生きてる間に

もっと《自分の想い》を伝えたかった

私から離れていかないように
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
ちゃんと誰から見ても

《相思相愛》でいたかった

あと1ミリの勇気を私にください










空を飛ぶ勇気を

"いってきます"って言ったら

君は


"いってらっしゃい"って言ってくれますか？

空に 雲に 響くように
世界は歌い続ける

願いを 物語を 折れないように


何度でも
それでも世界は美しい、と



それが私達の想いと実感

最後に君と過ごせたなら…
一緒にいて欲しかった…
私のことだけ見てほしかった…
大事な人だったのに…
どうして…空に旅立ったの？
ねぇ、必ず治る病気だよ。って言ったよね。なのに…どうして…
教えてよ…

僕は今日も…何もないただの一日を過ごしてしまった…。

僕はなんの意味があるんだろうか？


僕はどうしたらいいのだろう…。

僕は空に溶けたいよ。