#君の隣

「隣にいて欲しい」
「絶対離さない」
「愛してる」

そう素直に伝えられていたら
今でも君は隣で笑っていたかな

君との帰り道に終わりがなければなって

ゴールなんていらない

そうすればきっとずっと君と居れるから

恋も愛も僕の手の中に在るのに

君だけが僕の中の何処にも居ない

絳響に悠揚として薄暮に見とれ

暮色から入相に変わる一時の候

水溜まりに映る月を見ている様

苦花を咲かせないでくれ

僕は苦しい水分になんて

少しもなりたくないんだ

7ー2

もしかして

あのハトを捕まえて

食べようとしているの

あまりにもキミが

静かだったので

たずねてみたら

キミは怒って

ボクのほおをつねって

ハトなんか食べるはず

ないでしょと

大声で叫びます

キミが叫んだので

ハトは驚いて

遠くへ飛んで行きました

あなたのことが　　心配なの……


声を　　聴かせて

姿を　　現して


あなたを　　見失ってから

どれほど　　後悔したでしょう


今度は　もう　　その　手を　　放さない

気持ち　再び　　立て直して　　待ってるから


帰って来て……　　わたしのもとへ

7ー4

ハトを捕まえないなら

何で外を見ているの

ボクがたずねると

学校の周りには

たくさん家があるよね

キミは近くの

家の屋根を

指さして言います

そうだねと

ボクが答えたら

こんなにも家があったら

この学校の隣に

住んでいる生徒が

いるかも知れないよ

キミが言うとおり

そんな生徒が

いるかも知れません

叶わなかった約束は呪いのよう

狂ってしまうよ たとえ君でも

あの日　　あなたから　手渡された　　言葉の　花束

大切に　　心に　刻み込んでおきたくて

胸の　ぺージ　　　栞の　代わりに

紅い　花びらを　　挟んでおいたの

今でも　　自分を　見失いそうに　なったとき

心の　奥の　　その　ぺージ　　開いてみるのよ


あなたの　言葉で　　何度も　立ち上がれた

あなたの　笑顔　　想い出せば　　それだけで

いつも　　嬉しさ　込み上げ　　優しくなれる


あなたと　出逢えたのは　　幸せな　奇跡

あなたに　贈りたいのは　　温かな　希望

7ー3

でもハトだって

ニワトリと同じ鳥だから

食べるとおいしいかも

知れないよ

ボクがそう言ったら

キミは少し考えて

食べられるかは

分からないけど

目薬にはなるかも

知れないね

キミが言ったことは

なんだか本当の気がします

7ー6

それを聞いて

キミの家が

学校の隣でなくて

良かったと思いました

でも学校が隣で

良くないことは

ないだろうか

キミにたずねると

そんなのあるはずないよ

自信満々に答えます

7ー7

たしかにキミの

言うように

良くないことは

なさそうです

だけどボクは

たったひとつだけ

思いついたので

キミに言いました

学校から近いので

毎日先生が

家庭訪問に

来るかも知れないよ

病院に
お見舞いに行った



休日は裏口から入る




人と人が行き来する
狭い通路を通って




病室まで
エレベーターで登る



ここまで来ると
静かで寂しい



それに特別な
病院の匂いがする



迷路のような
病室の廊下を歩きながら




もうあの日には
再び戻らないと思った

7ー5

なんかズルいよね

キミは失礼なことを

言ったので

別にズルくはないと

思うんだけど

ボクがそう言ったら

キミはため息をついて

学校が隣なら

朝遅くまで

寝ていられるよ

そして忘れ物をしても

すぐに取りに帰れるよ

おやつが欲しかったら

休み時間に

おうちに帰れば

良いんだよ