#走馬燈

いつかはかならず
あなたに会える｡

どんなに遅くとも､
死の直前になって
走馬燈が走りだす頃には｡



人生最期の走馬燈､それは
この世とあの世が混ざりはじめて
いるということなのだから､
あなたの姿ははっきりとわかる｡

そのときは絶対冷たくされないし､
言葉を交わす必要もない｡
最期のお迎えはあなたがきてね💕

今夜の夜勤現場終わってね､
職場の先輩のクルマで
家の近くまで送ってもらって
帰ってきたのよ｡


現場から家の近くの公園まで
先輩と雑談でもしながら
寝静まった夜中の道を眺めて｡


現場から家の近くの公園まで
わずか１５kmくらいの距離にでも
かつて勤務していた現場があった場所ばかりが､
たてつづけに現れて｡
驚くべきことに､たぶん２０ヶ所くらい｡


都内で現場仕事をするようになって､数年｡
東京２３区内なら､もはやだいたいの場所は
行ったことがある状態になってしまっていて､
われながら驚く｡


こんな人生､
わたしは送ってきたんだね｡


次々と現れる
過去に勤務していた工事現場『だった場所』が
次々と流れさってゆくさまは､
さながら走馬燈のようだった｡

少女は宙を舞った

勢いよく、車道に飛び出し

車に跳ねられた

宙を舞いながら、少女は

走馬燈を視た

沢山の記憶

沢山の感情

憎しみ、怒り、苛立ち、殺意

全てが暗くて、黒かった

少女は思った

ゆっくり宙を舞いながら

「こんな終わり方も悪くない」

と

少女の意識はゆっくりと

暗闇の中に吸い込まれていった

もしもいまあたしに死が訪れたとしたら
走馬燈に出てくるのは
きっと貴女のことばかり


あんなに苦しかった日々のことは
なにひとつ思い出すことなく
走馬燈のぜんぶが
愛する貴女のことばかり


ねぇ､ありがとう！
ほんとうに､ほんとうにありがとうね💕
思い遺すことなんて何もない
貴女が連れ去ってくれたから


あんなに苦しかったあの世界は
ほら､あんなにも下のほうに､あんなにも小さく

♡♡
あなたを好きになりすぎてしまって



あたしはずっと夢のなか



あなたの元に辿り着くまで走り続ける



あたしの人生は走馬燈のようで



そっか､この世は夢だったんだね！
♡♡

夜になり、目を閉じると走馬燈のように
あの日を思い出す。
やっぱ、私と貴方は出会わない方が
良かったのかな??
辛いなぁ…

所詮全ては走馬燈

想い出はもう
解放してあげなくちゃ