#辿る

過去の記憶を辿ると

いつも行き着くのは

愛しい貴方の姿なの

あなたは誰かと笑えていますか？

君は今どこで過ごしていますか？

あなたはあなたでいられていますか？

君は君らしくいられていますか？

私はあなたを辿っていました

行き止まりの毎日に

迷い込んだまま前に進めずに

俺も君のこと想っていました

今夜もあの頃のままの二人

一緒にいた時間が

何度も頭の中で繰り返される

No.130

間違いを正すその心は あぁ


朽ち果てた草や木に


水を注ぐよう　だけれど


意味もなくそれを「善」と感じて


闇雲に向かう先それを


「支配」と呼ぶ。



「明日は晴れる」


「きっと雨が降る」


などと当たり前に


すごした日々がこんなに


遠くになってしまうなんて



――――今――――



止まぬ霧雨


見えぬ光が世界を赤く


染め上げてしまうのか


薄い記憶をたどっていけば


この血液は覚えているのか



争いの―タネ―を

人が辿ってきた道を

私が足跡を踏むように辿るのは駄目だと思うんだ

縛られた糸を解いて
辿り着いた先は
｢君｣だった

長い時の中で
何度目かの逢瀬を
果たした俺たちは



あの湖で結ばれた



熱く燃えるような
愛しい時間を
二人で過ごしただろう



「手…繋いで 」
「口づけて」
「名を、呼んで 」



言われるがままに
貴女の言うことを聴いて
貴女の瞳を見つめていた

全て変わったあの日から
今になっても変わらぬ道
ここに戻る時はいつもの

楽しかった日々へ

溢れたインクが辿る跡に

僕らの過去は浮かび上がらず

只々、塗り潰されていく姿のみ

目に焼き付いていった

あなたに逢いたくて

あなたの跡を辿る

私の知らないあなたが過ごした時間の
軌跡を辿る度

邪魔しちゃいけない
壊しちゃいけない


そう思って胸が苦しくて仕方ない

辿る、辿る。