#隣にいて欲しいのは

日直の仕事で

教室に残っていた

一番後ろの席で日誌を

書いていたら


黒板前に

男女二人が入ってきて

告白が始まった



ちょっと、

私の存在に気付いてる？

私、いるんですけど…

女の子の方は見てないね

いっぱい、いっぱいだね

男の子も照れてしまって

同じく分かってない

チョコを受け取るので

精一杯だ…



女の子が教室から去って

男の子がボー然としてる


あっ、蒼兄ぃじゃないか…

目が合って

驚かれて

ちょっとムッとされて

去っていった




私の方が先にここにいましたよっ

それは忘れないでっ



なんか…ごめんね、蒼兄ぃ

最後に

君の第二ボタンが

ほしいと思う

図々しいかな


でも、無理だろうな

狙ってる人は多そうだもん

呼び出しかけたら

来てくれるかな



君は来る！って

そんな気もするんだけど




そんな勇気もないか

最後まで

中途半端な私だった

二度目のバレンタインが来た


この年の事は

反省しないといけない

例の如く

私は君にあげもしない

チョコを買っていた

そして、学校に持参した

同じクラスの男子から

チョコあるか？って聞かれて

言葉に詰まった

あるんなら

ちょーだいって懇願された




何故、渡してしまったのか

自分でも、謎のまんまだ

部活動中に肘を擦りむいた

傷口に砂がくっついていたから

水道で洗っていた

そこに

サッカー部が
休憩でやってきて

怪我のこと心配してくれた

と、いうか

大したことないとか

唾つけとけとか

そのくらいで
保健室行くなとか

散々、からかわれて去っていった



君は最後まで残ってて

「大丈夫…？」って

聞いてくれたね

私が「唾つけて戻るよ」って

言ったら

大笑いした

久しぶりに正面から見た

笑顔だった




こんな風に話したかったんだ

お返しのホワイトデー

それは、それは大きな箱の

クッキーの詰め合わせ

お母さんが
用意してくれたものだな…

こんなの入れるカバンもないよ


君に見られる

みんなに見られる




これは私への罰なんだ

心のない贈り物は

心ある人を傷つける





頼まれたても

懇願されても

断り続ける勇気

この時、それを教わった

清水寺の駐車場で

君とすれ違った

私は目が合ったと思ってる



三つある湧水のどれを選んだ？

お土産はもう買った？

自由行動は誰と行くの？

聞きたい事がありすぎて

結局、黙ったままだった





話しかけてほしい

心から思った

三送会の準備が始まった

君が何をするのか

楽しみだ

サッカー部は

毎年、ダンスだもんね

去年はキャーキャー言われてた

三年にも、ニ年にもね

ちょっと照れてるのが

ウケるのかね…







君の人気は謎なんだ

Ｋさんは半年もしないで

また転校した

いなくなった後は

寂しくてたまらなかった



放課後

土手に一人座っていると

君と蒼兄ぃが隣に座ってきた

私たちが話していたのを

何回か見ていたんだって

私の寂しさを

分かってくれたんだ

ありがとうね




彼女とどんな話をしていたのか

少し聞いてもらった

それから、

私は本を読むようになったんだ




私は

物思いにふける

思春期に突入していった

転校生のＫさんの事は

話しておかないとね



彼女は大人びた人だった

休み時間は本を開いて

黒髪のショートボブ

静かで落ち着いた人だった

近寄り難い感じはあったな



ビックバンやブラックホールなど

宇宙ことにめちゃ詳しくて

私はずっと話していたいと

思える人だった

オカルト面にも長けていて

カッパドキアや古文明にもね

私の興味を

惹きつけてやまない人




とても、魅力的な人だった

修学旅行が近づいてる

嫌な予感しかしないけど



告白合戦は必須だ

うちのキャプテンは陸上部の彼へ

ピッチャーは野球部のファーストへ

告白する予定だ

我々は万全の

サポート体制をとるのみ

この二人と告白が

カブらないといいのだが



問題は

あのイケてる女子グループの

動向なんだ

ファーストの彼は

人気ありそうだしな





カブったら大変だからね

我がチームの

大事なピッチャーのため

一肌脱ぐ事に決めた


野球部に声を掛ける

夜、遊びに来いと誘ってみる


私とセンターの子で

哲学の道を探し歩いた


おーい！

野球部どこだぁー

ファーストのHくん

どこにいるんだぁー

その流れからの今がある…


俺は人を好きになれるのか

あの子を越える子が

現れないんだ




周りの奴らに呆れられ

俺は寂しい高校生生活を

送っている




隣にいて欲しいのは

今でも、あの子だけなんだ

友だちに付き合って

デパートのバレンタイン会場にきた

この雰囲気はすごいよ

なんか、

ウキウキした気持ちになるね

恋するってルンルンなんだ



渡すつもりはないのに

つい買ってしまった





希望のないチョコが

私の机にある

うきうき、ソワソワする

バレンタインが終わった

チョコはカバンに

忍ばせてたけど

渡せなかった

渡すつもりもなかったのだが



君は彼女から

受け取ったのだろうか…

聞きたいけど

今さら聞けないよね




勇気のない私は

そんな資格もないか

あなたと初めて会ったとき

運命の出会いだと思ったよ


カッコよくて

サッカーが上手くって

最初から人気者だった

彼女がいないのが

不思議なくらい


たくさん誘われてるよね？

なんでOKしないのか謎なんだ

好きな子いるのかなぁなんて

観察してるけど　

そんな気配はないし…





だから、あたしは

想像したんだ

あなたの過去には

こんな出来事が

あったんじゃないかって…



そうして

全てを受け入れたあたしに

感動して

今度はあたしを見てくれる



どう？

あたしの考えたストーリーは

本当に感動してくれた？




だったらさ、あたしと

運命の出会いを

スタートしてみようよ


ねっっ！







おしまい