同じ夕焼けを・2024-09-01
お子様ランチな恋
飛び箱
14ー4
キミはいつものように
特訓するよ
怒りながら言います
跳び箱がないから
どうしようもないよ
ボクはワザと
残念そうに言います
キミは腕を組んで
考えています
その様子を
イスに座って
腕を組んで
足を組んで
眺めていたら
キミは怒って
誰のために
考えているの
いつものように
怒鳴ったので
ボクはあわてて
頬を手で押さえたら
キミはすかさず
ボクの耳をひっぱります
14ー8
もう今日は
やめようよ
キミを気遣ったけど
こんな大変な
思いをして
やめられないよ
キミは玄関の外を
振り返ります
キミの目の先には
お酒のケースが
置いてあります
酒屋さんのお手伝いを
していたの
キミに聞いたら
中身がなくても
とても重いんだよ
コワイ声で言います
14ー1
跳び箱はとても危険です
先生も言っています
失敗したら
大ケガするから
気をつけなさい
だからボクは
危なくないように
跳び箱めがけて走ったら
踏み切り板の手前で
止まります
これなら危なくありません
14ー11
なんで跳ばないの
キミは怒っています
踏み切り板が
ないからだよと
ボクは言います
この高さで
必要ないでしょ
キミのイライラが
爆発しそうなので
ボクは黙って
うなずきます
14ー10
公園に行って
お酒のケースを置いたら
練習開始です
跳んでみてと
キミは言います
この高さなら
跳べそうな気がします
助走をつけて
跳ぼうとして
気がついたので
ケースの前で
止まります
14ー9
もしかして
ボクは試しにきくと
あれが跳び箱だよ
予想どおりの
答えがかえってきます
お酒のケースだよ
本当のことを言ったら
そんな生意気は
跳べてから言いなさい
そう言って
ボクの頬をつねります
14ー3
放課後キミは
ボクの席にきて
なんで跳ばないの
いつものように
怒っています
ボクは危ないから
跳ばなかった
先生も危ないと
言っていたよ
そう答えます
14ー7
日曜日キミは
ヘトヘトになって
家にきます
お水を頂戴
キミはボクに
すがります
ボクはコップに
水を注いで
持って行くと
キミは一気に
飲み干して
ハーッと息を
吐き出します
14ー5
もう諦めようよ
キミに泣きついたら
もしかしたら
良い方法を見つけたかも
目を輝かせます
絶対に失敗だよ
ボクは抵抗せずに
いられません
今度の日曜日
キミの家に行くから
覚悟しておきなさい
イスに座って
腕と足を組んで
コワイ声で言いつけます
14ー6
日曜日は家出する
予定だから
なんとしても
逃げようとします
家出する度胸があって
なんで跳び箱が
跳べないの
キミはため息をつきます
ボクもため息をつきます
キミは立ち上がって
ボクの頬をつねりながら
ため息つくぐらいなら
挑戦しなさいよ
雷より大きな声で
怒鳴りつけます
14ー2
その様子を見て
キミは怒っています
でも跳び箱は
体育の時間が終わったら
片付けてしまうので
いつものように
特訓が出来ません
もう跳び箱は
あきらめるしか
ありません