#fiction

顔も、声も、君の連絡先も、


端末に残ってるものなど無いのに


今も僕の心を蝕んでいる。

私のことを好きになるはずないのに。




それでも、「好き」を止められないでいる。

そんな拙い恋をしたつもりはない。




本気で貴方を愛していた、

それだけの事。

祭、酔い

火花の下へ

夜終い

仕出した君の

瞳に映え

もし、自分の近くに

本当に信頼できて、

助けてくれる人がいたら

ウソっぱちの「大丈夫」も必要ない。

最初から、僕たちの関係に


愛言葉なんてあったかい。

僕の憂鬱なんて気にしないほどに


この夜空が美しくて、


僕は目を逸らした。

誰かにとっては


「何気ない昨日」でも


僕にとっては


「必死に生きた昨日」なんです。

貴方を好きなまま、死んでいく。





それが「恋愛」。

嘲笑ってくれよ。



夢の中の君で満足してたこの僕を。

私にとっては


君しか見えていないのに、


君にとっては


大きな花畑の一輪でしかなくて。

いつもよりも月の位置が低い。




少しは君に近付けた気がした。

端末からも記憶からも

君の面影を消したはずなのに。








色違いの歯ブラシ

櫛に絡んだ長い髪の毛

同じ絵柄の食器が二つ




それらを見るだけで、

君の存在を感じずにはいられないから。

周りから「お誕生日おめでとう」と

言われるのは嬉しいはずなのに、

心のどこかで

「あぁ、また一年、死ねなかったんだ」

と思ってしまう自分がいる。

僕は昼間だって、

君のことを見つめてあげる。