同じ夕焼けを・2025-08-06
お子様ランチな恋
夏休みにやりたいこと
7ー4
ハトと人は仲良しなんだよ
昔はハトの足に
手紙を結びつけて
家族に手紙を
送っていたんだよ
ボクがそう言ったら
なんかそれ
聞いたことがあるんだよ
たしか電子バトとか
言うんだよね
ハトはいつの間にか
ロボットになっていました
7ー2
クリームパンが
グラウンドに
落ちてなんか
いないんだよ
そう言ったらキミは
そんなことは
分かっているんだよ
クリームパンマンは
出番が少ないから
アンパンマンを待つ方が
よっぽどマシだよと
言い返されました
この前とは
話が逆に思うのは
気のせいではないけれど
キミにそれを言っても
また新しいパンが登場して
ますます話が
こんがらがりそうで
やめておきました
7ー1
この頃キミは
窓の外を眺めることが
多くなりました
そして今日もまた
窓の外を眺めています
キミの見ている先は
プールでした
放課後なのに
誰かが泳いでいます
でも泳ぐのが苦手で
少し泳いでは
足をついて
肩を上下させながら
息を弾ませています
7ー4
やめてよと
抵抗したら
こんなことは
滅多にないから
チャンスなんだよ
ワタシも仲間に
入れてもらうんだよ
そう言って
プールへと
歩いて行きます
キミは一度言ったら
聞かないので
ボクは黙って
ついて行きます
7ー1
今日は待ちに待った
花火大会の日です
楽しみで夕べ
眠れなかったのか
夏かぜをひいてしまいました
残念ながら今年は
花火を見られません
部屋にこもって
遠くでなる花火の音を
聞いていたら
余計に行きたくなったので
耳をふさいで
部屋の灯りを消して
静かに寝ていました
7ー3
あの人だって
泳ぎたくないんだよ
ひとりでプールに
居残らされて
かわいそうなんだ
ズルいなんて
言ったらダメなんだよ
キミに抗議をしたら
そう思うなら
アンタも一緒に
練習をすれば良いよ
ふたりで励ましあうと
良いんだよ
キミは名案と思ったようで
ボクの背中を押して
プールに行かせようとします
7ー1
おやつのビスケットを
一枚手にして
小さく砕いて
公園のハトに
おすそ分けします
ポッポッと鳴きながら
ハトはビスケットを
つまんでいます
その姿を見て
ビスケットを
分けてあげて
良いことをしたなと
思いました
7ー4
それはズルなんだよ
そんなこと先生に
相談したら
先生は相談を受けたから
ワタシが良い点を
取れるように
ズルをしないと
いけないんだよ
それはウイロと言って
犯罪なんだよ
お巡りさんにつかまって
牢屋に入れられて
毎日給食を
食べさせられるんだよ
キミの言うことは
いろいろ間違いがあって
何から直せば良いか
分かりません
7ー6
だから砂漠によく似た
学校のグラウンドで
針を見つけることが
できたとしたら
きっとテストで
100点とれるかも
知れないんだよ
キミは意気込んでいたけど
こんな高いところから
グラウンドを見ていても
針が見つかるとは
思えません
7ー7
どうせできないから
ボクと一緒に
ハトにエサやりすると
良いんだよ
ボクがそう言ったら
ハトも大事にしたら
ツルみたいに
恩返しをしてくれて
夏休みの宿題を
代わりにしてくれたら
良いのにな
キミは頭の後ろに
手を組んで
夏空を見上げています
7ー6
逆にボクは
何を研究するの
キミにたずねたら
そんなのコンビニの
全ての種類の
アイスを食べて
順位をつけるんだよ
アンタと違って
忙しいんだよ
そう言っているけど
多分おこづかいが
足りなかったから
自由研究はできなかったと
先生に言い訳する姿が
予想できます
7ー1
夏休みのある日
キミはボクを連れて
公園に行きます
キミは手に
ドッジボールを
持っています
そして公園についたら
夏の特訓をするよ
そう宣言して
ふんわりと
ボクをめがけて
ボールを投げます
不意をつかれたので
ボクは手を出すことも
できないまま
ボールはボクの胸に当たり
地面ではずみます
キミは夏の太陽も
逃げていくほどに
ギラギラした目で
ボクを見ています
7ー7
こんなところで
探していても
見つからないから
外に出て探した方が良いよ
ボクはそう言いました
キミはボクの方を見て
グラウンドを指さし
言いました
こんな暑い日に
外で針を探したら
屋上に釣り上げられて
ミリンで味つけされて
アジの干物にされて
給食に出されるんだよ
7ー2
そこへキミがやってきて
何をしているの
ボクに声をかけます
お腹をすかせたハトに
おやつのビスケットを
分けてあげているんだよ
ボクが答えたら
アンタはいつも
アンパンマンみたいな
ことをしているよね
お腹をすかせて
泣いている人に
アンパンを
食べさせているから
同じなのかもしれません
でもアンパンではなくて
ビスケットだから
ビスケットパンマンだよ
キミはわざわざ
ビスケットの後ろに
パンをつけました
7ー7
この人は泳げないので
しごいてください
とんでもないことを
キミは先生に言います
先生はボクを見て
確かキミは
体育が全部
苦手だったね
せっかくここに来たから
ひとつもんでやろう
先生は指をポキポキ鳴らし
微笑んで言います
ワタシも一緒に
もんでやるんだよ
キミは楽しそうに
先生のマネをします