同じ夕焼けを・2025-06-15
お子様ランチな恋
恋愛とは
7ー1
学校の帰り道
キミはまだ
具合が悪そうです
いつも賑やかなのに
給食の時間の後は
ずっと俯いて何かを
考えています
声をかけるべきか
迷っていたけれど
キミが元気がないのは
淋しいので
思い切って話かけました
7ー2
どんなに考えても
明日の給食は
明日にしか
食べられないよ
キミはいつも
疾風のように
給食を食べ終えるけど
今日は光より早く
食べ終えたのに
休んでいるコが
いないから
何もおかわりができずに
もう明日の給食のことが
気になっていると
ボクは思ったのでした
7ー4
でも何を考えていたの
ボクがたずねたら
ワタシがプリンを
好きなことを
アンタは知っているよね
キミがそう言ったので
ボクはうなずきます
好きなモノだから
食べている時は
スゴく幸せなんだけど
食べ終わって
空になったカップを見たら
スゴく淋しくなるんだよ
好きなモノを食べて
淋しくなるのは
とてもツラいんだよ
キミは自分の気持ちを
ボクに打ち明けました
7ー1
またキミの
お腹が鳴っています
5時間目からずっと
キミのお腹は
鳴っています
はじめは笑っていた先生も
静かにしてくれないかと
お願いしていました
いっそ授業が
音楽や体育だったら
気にならなかったけど
国語だったので
教科書を読んでいるコが
気が散ると
先生に言ったから
キミに教科書を
読むように言って
キミはずっと教科書を
読んでいたのです
7ー6
いっそのこと
プリンの日は
プリンだけ
ドンブリいっぱいに
出してくれたら
良いんだよ
さすがのワタシも
ドンブリ一杯の
プリンを食べたら
満足するんだよ
キミの言うとおり
ボクもお盆ぐらい
大きなビスケットを
おやつに食べたら
きっと大満足だと思います
7ー1
今日は社会見学です
30分ほどバスに乗って
隣町へと出かけます
山には登らないけれど
みんなで同じ目的地を
目指すことは
遠足と同じです
そして普段は
見ることができない
市場や工場
消防署とか
大人の人が
働いている場所を
見られるのです
だから楽しいはずなのに
隣の席のキミは
楽しそうではありません
7ー6
大人なんて
オヤツは食べないけど
お酒を飲んでいるんだよ
お酒を飲むと
イヤなことを
忘れられるんだよ
だからワタシが
テストで0点取った日に
ワタシもお酒を飲んで
忘れたいと言ったら
そんなことより
勉強をしなさいと
怒られたんだよ
子どもはお酒は
飲めないから
せめてオヤツで
イヤなことは
忘れたいんだよ
キミは不満を口にします
7ー3
今日は遠足じゃないから
オヤツはもってないよ
ボクがそう言ったら
そんなのは
分かっているんだよ
分からないのは
なんで社会見学は
オヤツを持ってきたら
いけなんだよ
これじゃ移動教室と
同じなんだよ
どうやらキミは
社会見学には
オヤツを持って
来られないのが
不満なようです
7ー5
ボクもおやつの
ビスケットが
あと一枚になったら
なんだかこころが
ザワザワとして
最後の一枚を
少しずつかじりながら
食べていたら
行儀が悪いと
ママに叱られるので
キミの気持ちは
分かる気がします
7ー7
ボクは6月に
記念日がないか考えたら
一つ見つけました
6月10日は
時の記念日だよ
そう言ったらキミは
目を輝かせて
そんな大事な日は
お休みにするんだよ
早速校長先生に
言いにいくんだよ
そう言って校長室に
かけて行きました
キミは校長先生に
時間は大事なので
お休みの日を
作った方が良いんだよと
お願いしました
キミの話を聞いた
校長先生は
キミの頭を撫でて
時間をお休みにしたら
ずっと朝のままだよ
そしたらお昼が
来なくなって
給食の時間も
来なくなるんだよと
キミに説明したら
キミはあわてて言ました
時間を休みにできても
ワタシのお腹は
休めないんだよ
7ー3
なんで明日の給食を
今考えないと
いけないんだよ
明日は体育がないから
給食だけが楽しみなのに
今考えてしまったら
明日の希望が
なくなってしまうんだよ
キミは元気を
取り戻したので
ボクは安心しました
7ー7
それに社会見学では
パチンコ屋さんにも
行って欲しいんだよ
キミがそう言ったので
パチンコ屋さんは
お仕事とは関係ないよ
大人が遊ぶ場所だよ
ボクはパチンコ屋さんの
説明をしたら
キミは大きく息を吐いて
愚痴をこぼします
アンタは何にも
分かっていないよね
パチンコ屋さんは
仕事の待ち合わせで
時間がある時に
立ち寄ったりするから
立派な仕事なんだよ
学校でも自習時間は
パチンコ屋さんに行っても
良いことにして欲しいよ
7ー6
30日で終わりなだけで
それも珍しいことでは
ありません
何にも変わったことは
ないんだけど
キミに言ったら
そうなんだよ
6月のカレンダーは
何にもないんだよ
なぜかキミは
残念そうに言います
キミが残念がる理由が
分からないので
何もないのは
良いことなんだよ
そう言ってみたら
キミはボクの
頬をつねって
アンタは6月に
祝日がないのが
悔しくないの
キミは悔しそうに
叫んでいるけれど
ぼくは悔しくないので
別に何も思わないよ
そう答えたら
キミは諦められなくて
6月は夏休みも
冬休みも春休みも
関係ないのだから
1日ぐらい祝日が
あったって良いんだよ
校長先生は
難しい話ばかり
していないで
ちゃんと考えて
欲しいんだよ
キミはそう言ったけど
祝日は何かがないと
作れないんだよ
そう答えたら
6月は何もないの
キミは問いかえします
7ー4
でも一番最後に
一番好きなものが
残っているのも
うれしいはずです
だからキミに
そう言ってみたら
そのとおりだよ
最初にプリンを
食べてしまったら
最後の楽しみが
なくなって
なんだか給食を
食べた気分に
ならないんだよ
キミは不満そうに
答えました
7ー3
でも今日の給食が
気になるでしょ
頬をさすりながら
キミに言ったら
そんなのは
1ヶ月分覚えているよ
自信満々に答えます
それはスゴいけど
その記憶力を
どうして漢字を覚えるのに
使わないの
キミにたずねました
ワタシは給食から
漢字を覚えているんだよ
6年になったら
きっとスパゲティも
漢字で書けるんだよ
キミはそんなことを
言っているけど
スパゲティを漢字では
書かないと思います