#ないものねだり

「空を飛びたい」人は言う

「飛び疲れたよ」鳥は鳴く

絶望と失望と諦めで出来た人生

「羨ましい」なら交換しよう

空も海も程遠いから

憧れてしまうのでしょう

近過ぎてもダメ

無関心も嫌

ちょうど良い距離感

曇りガラスを　指でなぞり
偽物の笑顔を　作ってみる

いつからか　笑い方だけ上手になり
本当の笑顔を　忘れてしまった

自分に嘘をつくことが　大人だというのなら
いつも素直で正直な 子どものままでよかった

頑固でわがままが　子どもだというのなら
何でも受け入れれる　大人になりたかった

あぁ結局は
矛盾の上に転がる　ないものねだり
隣の芝生が　お花畑に見えるだけ

それでもやっぱり
自分を犠牲にしてまで水は　やれないな



『隣の芝生はお花畑』

アメフラシは神さまに祈りました
来る日も来る日も祈り続けました

“僕を明るいお日様にしてください”

雨で濡れている
あの子を あの人を
乾かしてあげたいの

神さまは言いました
“ほんとうに いいのかい？”
僕は迷うことなく
“はい”とこたえました

願いは届き
アメフラシはお日様になることができました

“笑顔になって”願いを込めて
照らし続けた

でもね
アメフラシはアメフラシ
結局は雨を呼んでしまう

出来損ないのお日様は
必要なかったの
雨にもお日様にもなれない
アメフラシ

アメフラシに残されたことは
雨で濡れた
あの子やあの人の心に
いつか花が咲きますように
祈るだけ 祈り続けるだけ

知られないように蓋を閉め

込めた愛はないものねだり

鳥が空を飛ぶのは

羽を持つただの宿命

いざ想いをぶつける入り際

やりすぎたかなと思い引き際

浮いたり沈んだりと輪を描く

押し奏でた音色は

何重にも重なり続く

刻んだ傷跡を愛でるの

空に向けてお帰りと

1年越しの二人の会話

笑顔で出迎えるの

自由な空に憧れ翼をつけた僕は、

何も無い空に飽きて

広大な海に沈んだ。


美しい海に憧れ鰭をつけた僕は、

冷淡な海に嫌気がして、

温かい陸にあがった。


繋がり求めて足をつけた僕は、

人の愚昧さを知り、また空を見た。

海風が私達を包み込む

君の手が一瞬触れた

甘しょっぱい気持ちで

海を眺めては

いつになったら貴方と
交われるのかな

ねぇお願い
ふたりだけの世界に
連れて行ってよ
今はもう、変わってしまった
君の亡骸を
きつく抱きしめるからさ