#正確な忘れ形見

肌寒い季節に

嫌々とマフラー巻いて

いつもの登校坂を

駆け上がる

あの夏は人生の中で

いちばん辛くて

いちばん幸せで

とても忙しかった

なんだか忙しかったよ

心も身体もぼろぼろで

でもね一番充実してた

何度転んでも立ち上がりたかった

それでもいいよって肯定して欲しかった

なのに死ぬなよって重い言葉だけが

心に刺さったまま残ってる

中途半端に抜いた棘

まだ傷跡が乾いてないの

擦り傷を無視した

刺傷を大丈夫で交した

痛みも涙も夜の星に託した


昼間は地獄だ

そんな地獄も飼い慣らしたかった

そんな自分も愛して痛かった

夢から覚めた瞬間

忘れかけた鼓動が

激しく動き出した

生き苦しい夜を

夜更かしだと怒られて

毎晩声抑えて泣いてる私が

馬鹿みたいで

なんで生まれてきたんだろう

たった今ミサンガが切れた

あのときの願い事叶ったかな

多分私の気にしすぎで

誰からも見られてない事実

楽しい想い出も

辛かった想い出も

忘れたら意味ないの

伝えたい想いは沢山あるはずなんだ

ただ上手く言葉になってくれないだけで

放課後、誰もいない教室で

勇気を持って告白したのに

半笑いで返された苦い初恋


"愛想笑いしかしないから

オレ、オマエコワイ"


優しく笑いかけてくれたはずなのに

それに応えてたつもりだったのに

ああ火花も散りゆくのに

私はいつまで囚われてるの

死を否定して救った気でいる貴方の

気まぐれな慰めなんかに心は動かない