#気付かない

ホントの気持ちを隠して、

今日も笑って過ごしてる

誰も知らない

ホントは泣きたい
　　　　　　　　💧

『お前』って言うんじゃなくて

ちゃんと『名前』で呼んで欲しくてさ＿

笑顔の仮面って便利だよな

泣きたい時も苦しい時も

ずっと笑顔でいれば

何も気付かれないんだから

結局は自分で気づかないと

何も変わらないんだよね

君へ。
僕が死んでも
気付かない程の愛を誰かにあげてね＿

愛しい君の言葉の

矛盾に気付かぬまま

笑っていたかった

目に見えぬ寿命

尊さに気付かぬまま

後悔ばかりを繰り返すの

『君にとって、生きる意味って何？』





そんなことを言ってた君は





泣きそうな顔をしていたね





今でもよく覚えてる





君が言った"またね"を





僕は信じてしまった





ホントに、君はそれでよかったの？





何度も、何度も心の中で問いかけた





もう一生





その答えを知ることは無いのにね＿＿



























【心に雨】
























"生きる意味"それは、



その日の道徳の時間の議題だった




授業はかなり盛り上がっていた




男子のふざけた答えに




女子の現実的な答えが重なって




結局最後は"お金が全て"なんて




議題とは全く関係ない答えが出た



そんな授業だった























ﾜﾀﾙ
『さっきの授業、渉はどう思った？』




「どうって、…んー……」





どうと聞かれても困る



"生きる意味"なんて考えたことなどない




『分かんないのかよー』




そう言って窓の外を眺める君



風になびく彼女の髪が



綺麗だと思った




『今日の放課後、暇？』




「部活がなければ暇」




『てことは、暇じゃないじゃん』




「大会前だしなぁ…」




『がんば』





君はそう言うと教室から出ていこうとした




「また保健室？」




『そ、先生に言っといて』




「おう、了解」





彼女は、よく授業を抜けて保健室へ行く




精神的に不安定らしい




らしい、と言うのも




本人から聞いたわけじゃない




噂でその辺の女子が言ってるのを聞いた




アイツも色々あるんだろうな




チャイムの音と共に



教室に流れ込む生徒を見ながらそう思った
























それからすぐだった




彼女が不登校になったのは























冬休みに入る少し前



彼女の姿を久しぶりに見た



何気に3ヶ月ぶりくらいだった



カウンセラールームの前に



保健の先生と一緒に立っていた




「久しぶり」




そう声をかけると




『あ、渉…』




と少し驚いていた




保健の先生が



カウンセラールームの鍵を取りに



職員室へ行った間、



俺と彼女は2人で廊下にもたれかかっていた




そしてどちらからということも無く



お互いが最近の近況を話した





"なんで学校来ないの？"




その言葉は飲み込んだ



聞いて、この時間が途切れるのが嫌だった









『渉はさ、学校楽し？』




少し苦い顔をして、彼女が言った



「別になんとも思ってない」




ホントに、なんとも思ってなかった



友達は少なくても、勉強が出来なくても



何も思えない俺は空っぽだった




『相変わらずだなぁ』




「どーも」




『いや、褒めてないからな』




そう言って笑う彼女は



少しやつれていた




「そういうお前は？」



『楽しいわけないじゃん』



「だろうな」



『分かってて聞くなよ』



「確認だよ」



『なんの確認だよ』



「なんとなく…？」



『なんだよそれ』




2人が笑った時間は尊いものだった



今まで2人で笑いあったどの時間よりも



今、この瞬間が1番儚いものに感じられた




『君にとって、生きる意味って何？』




聞いた事のあるその質問を



君は空を見つめて言った



君の瞳には涙が浮かんでいた



夕陽に照らされる君の瞳の色は



暖かくも寂しいオレンジ色をしていた




「生きる意味かぁ……」




『分かんないよな、全然』




少し鼻声になった君は



目に溜めていた湖の水を



少しずつ吐き出していくように



ゆっくりと、息を吸い込んだ





『やっぱ、今日は帰るわ』




「え、なんで？」




『なんか、そんな気分？』




「気分か…そっか」




『まぁ、また来るよ、多分』




「ちゃんと待ってるから来いよ」




『分かった、……じゃ、またね』




「おう、またな」




そう言って鍵を取ってきた先生を説得して



彼女は、帰って行った




最後に、1度だけ振り返って



ニッと笑った彼女の目に




まだ涙が残っていた事を




俺は、気付けなかった











END

俺がどれだけ辛くたって

無理して笑っていれば

誰も嘘だなんて気付かなくて


本当はずっと泣きたかったのに

それくらい、辛かったのに＿＿

私の心の奥底に隠された

『助けて』は

自分でも見えないところまで

深く沈みこんで

自分も周りも気付かないまま

心が蝕まれていく

確かに愛しているはずなんだ。

こんなにも、愛しているんだ。

嘘じゃないんだ。愛しているんだ。

光ばかりに目をとられ

内側に潜んだ暗い過去に

気付かぬまま時が流れたの

わかっているのに泣ける夜がくる

「もう少し頑張ってみよう」


何で　何でよ

もう十分頑張ってるでしょ

いいから休ませてよ　疲れたんだよ

皆そう言う　テンプレの様に



その言葉の辛さに　責任に

気づかないまま。

私が泣いて涙の水溜まりをつくっても

いずれ乾いてなくなってしまうから

だから皆私が泣いたことに気付かない