桜餅(名前替えたよ)詳細はひと言にて・2020-07-16
渡り鳥
次は
貴方の元へ
ひと夏の愛を一緒に
翼がなくても
飛んでいくよ。
一羽の渡り鳥には
忘れられない恋が
ありました
どんなに
忘れようとしても
あの優しい人間のことが
忘れられません
そんなある雨の日
昔、訪れた地へ
戻ってきた渡り鳥は
雨に濡れて
倒れている人間を
見つけるのです
それは
恋い焦がれていた
あの優しい人間でした
どうすることも
出来ない渡り鳥は
少しでも
雨をしのげるようにと
倒れた人間の上を
何度も、何度も
旋回しました
やがて
翼はボロボロになり
とうとう地上へ
落ちてしまいました
優しい人間を覆うように
翼を広げたまま…
"あなたが無事なら
それでいいのです"
その想いは
キラキラと上空へ
舞い上がりました
目を覚ました人間は
自分の上に覆い被さる
優しいぬくもりに
気付くのです
そこには
一人の人間の女性
いつか助けた渡り鳥と
同じ場所に
傷跡のある女性
目を開けない
その女性に
こうつぶやくのです
"ありがとう"
強く、強く
抱きしめながら
一粒、涙を溢したのです
海を超えて
沢山の鳥たちが
次の
年まで
しばし、お別れ
渡り鳥は
夢を見ていました
大空を飛び回る中で
愛しい人が
笑顔で手を差し伸べる夢
目を覚ました渡り鳥は
優しいぬくもりに
包まれていることに
気付きます
好きで、好きで
たまらなく
好きだった
優しい人
目の前でその人は
こう言うのです
『どんな姿でも
愛しいと思えることが
大事なのです』
渡り鳥は
その時やっと
気付くのです
叶わぬ恋であろうと
想いの強さは
この先も
変わらないのだと
渡り鳥は
自由も、翼も
帰る場所も
失くしてしまったけれど
人間の姿に変わったことで
愛しい人の傍に
寄り添い
抱きしめることが
出来る喜びを
手に入れたのです
誰かを想う
強い気持ちは
時に奇跡を起こし
誰かを想う
純粋な気持ちは
心に響くのです
少しでも曇りがあれば
それは次第に
心の中を
覆いつくし
光は見えなくなってくるのです
信じてみませんか?
あなたの目の前にいる
愛しい人を
もっと、もっと
愛してみませんか?
想いの限り…
海を超えて
やってきた
無数の鳥が
大空に
一羽の渡り鳥が
各地を飛び回った先で
群れを離れ
その場所に
住み着くことを
決めました
だけどそれは
自由のない
独りぼっちの日々
やがて渡り鳥は
恋をしました
怪我をしていることに
唯一、気付いてくれた
一人の優しい人間でした
怪我が治るまで
傍に居てくれて
一緒に居ると楽しくて…
渡り鳥は
人間になりたいと
神様に乞い
叶わぬ恋に泣き
苦しい恋に耐え
心はいつしか
ボロボロになっていったのです
そしてついには
渡り鳥は決意するのです
群れに帰ろう…
心が壊れてしまう前に
この地を飛び立とう
そうして
大空へ飛び立った渡り鳥
ただ一人の人間の幸せを願い
その姿はまるで
天使のように
優しく
渡り鳥の涙は
キラキラと
地上へ星を降らせたのです
出張ばかりのあなたは
本当にワタリドリみたい
疲れた羽を癒してあげると
また行ってしまうの
最後はわたしの元へ
戻ってきてね
列を作って
ふわふわと
新しい土地へと
旅だって
みるみるうちに
此処までたどり着いた
未来から未来へ
渡り鳥の様に
いくのさ
此処から先は
想像も出来ないものが
待っていそうな気配
楽しみでもあるんだ
もしも、君が望むなら
君が1人がいいっていうのなら
僕は君の止まり木になろう
君が世界の反対側に
行ってしまったって
ずっとここで応援してるよ
ずっとずっとね
でも、絶対に最後には
僕の元に帰ってきてね
僕だって1人は寂しいんだから
渡り鳥は決まった時期にはやってきて
また去って行く
美しい渡り鳥
様々な表情を見せ
華麗に鳴く
渡り鳥みたいになるには
どのような歩みが必要だろうか
私もあの渡り鳥のように旅立ち戻りたい
帰る家がある限り
空を見上げて、
地に足着けて。
また旅立つの。
どんなところへ
行こうとも。
あなたという
温かな『目印』を
見失わない。
さらに南へ。
嗚呼、風が
しなやかに
温度を変えて。
あなたの居場所
へ導いて……
誰もいない
誰の手も届かない
そんな世界があるなら俺は_
鳥たちは
さながら電車乗らんとする
人間たちのようだった