STK・1日前
私の中の住人が言う
ほしいものがあってさ、
でも、
福引を回しても当たらないし、
鈴をならしても、
集まってこないし、
ポイントを貯めたからって、
もらえるものじゃない。
どんなのって?
あなたの隣のリザーブ券(笑)
たまには、意識しておくれ。
トゥルルルルルルルル…
「はい。もしもし。
あら、珍しいじゃない。
電話だなんて。
いつもはLINE電話なのに。」
『よく気付いてくれたわね。
さすがね。
個人的な話をするのに、
タダって訳にもいかないじゃない。』
「何言ってるの?
変なところで律儀ね。
まぁ、
そう言うところが好きなんだけど。
それより、どうしたの?急用?」
『ううん。
全然、急用じゃないわ。
ただね、
話を聞いてもらいたかったの。』
「そう。
私でよければ、
いくらでも聞くわよ。」
『あら嬉しい。
でも、
電話しておいてなんだけど、
用事とかはないかしら。
話し出したら、
当分、
あなたをお引き留めしちゃうわ。
時間がなければ、
次の機会でもいいし。』
「あら、
そんなに話したいことがあるのね。
じゃあ、もしお邪魔でなかったら、
これから そちらに伺うわ。」
『えっ!?悪いわよ。
…ホントに、いいのかしら?』
「当たり前でしょ。
こう言うときの腹心の友よ。
でも、こんな時間に、
電話が鳴るなんて
思ってもいなかったから、
メイクは、落としちゃってるの。
素っぴんだけど、笑わないでね。」
『笑ったりなんてしないわよ。
あなた素っぴんもキレイじゃない。』
「まぁ!
あなたじゃなくて、
男性に言ってもらいたい台詞ね。」
『何よ、もう!
そんな言い方ないでしょ。
人が せっかく褒めてるのに。』
「あはは。冗談よ。
ありがとう。嬉しいわ。
じゃあ、
10分後ぐらいに、
そちらに伺うわね。」
『えぇ。ありがとう。待ってるわ。』
ピンポーン!ピンポーン!
『はーい、どうぞ上がってぇ。』
「お邪魔します。って、あなた、
相手も確かめずに、
どうぞ。なんて、不用心ね。」
『えっ?
だって、あなたが来るに
決まってるじゃない?
さっき電話したばかりだもの。』
「もう。
そういうことを
言ってるんじゃないわ。
犯罪に巻き込まれるときは
一瞬だって言いたいのよ!
こっちは。」
『大袈裟ねぇ。』
「用心するに
越したことないでしょ!!」
『わぁ!すごい剣幕。
そうね。
次からは
気を付けるようにするわ。
それより、
立ち話もなんだから
座ってちょうだい。
今、お茶をお出しするわ。』
「いいのよ、そんな。
気なんて使わないで。
お構い無く。」
『そういう訳にはいかないわ。
これから あなたに、
お耳汚しになる話をするのよ。
だからせめて、耳以外は、
美味しいやら、美味しそうって、
いいことを感じてもらいたいの。』
「おかしな人ね(笑)」
『あら、あなたも、
人の事は言えなくってよ。
私との付き合いが長いんですもの。
同類よ(笑)』
「あはは(笑)そうね、
自分を棚上げするところだったわ。
ところで、
聞いてもらいたい話って何かしら。」
『そうそう。
忘れちゃうところだったわ。
あのね、
私が振られた時の話ってしたかしら。
まぁ、
胸を張ってするような
話でもないんだけど。
なんだかね、
これまで生きてきて、
好きになったことを
後悔とまでは言わないけれど、
汚点みたいに感じちゃう人に
恋をしちゃってね。
いい大人だから、
私に見る目がなかっただけ
だとも思うんだけど。」
『うん。それで?』
「好きってスイッチが入ると、
ゆっくりとはいえ、
おのずと告白へと、
電気信号が流れていくものじゃない?
いつ告白するのか、
どんな風に伝えるのか、
までは定かでないにしても。」
『えぇ、誰しも、
そうじゃないかしら。』
「でしょ。
だから私は、
好きになった人と
接点を持ちたくて、
当たり障りのない、
音楽を聴きますか。
と、質問したの。」
『うん。』
「ちゃんと答えてくれたわ。
私に
そんなことを聞かれるなんて、
思ってもいなかったみたいで、
ビックリはしていたけど。
丁寧な返事だったわ。
それに気を良くして、
隙あらば、話しかけたりして。
人の目も気にせずに。」
『やるじゃない。
それで、それで?』
「でね、ある時ふと、
人の視線を感じたの。
私に話しかけたりなんて、
してこない人たちの視線。
何かを
確かめるような素振りだったわ。
それで私、ピンと来たの。
あの人、
私とのことを
話しているんじゃないかって。」
『男の人に限らずだけど、
第三者に、
嬉しいからかもしれないけど、
自慢するみたいに、
触れ回る人っているわよね。』
「そうなの。
それから後に連絡先を渡して、
コンタクトを
取ろうとしたこともあって。
もしよかったら、連絡ください。
って言葉も添えて。」
『まぁ、大胆ね。
あなた、
そんなことが
出来る人だったかしら?』
「あはは(笑)
今思うと、
自分でもビックリだわ。
あんな勇気、
どこに隠れてたのかしら。」
『それから連絡は来たの?』
「えぇ、来たわよ。
2日ぐらい空いて、
朝早くに。
急に、どうしたんですか?って。」
『何それ。
普通、
連絡先を渡されたんだから、
分かるでしょ。』
「そうなの。
だから
なんて答えたらいいのか、
パニックになっちゃったわよ。
朝早いのもあって、
頭が働かないし。
長々と、
説明文みたいなメールを
しちゃった記憶だけが残ってるわ。」
『それで、
相手からの返信には、
なんて書いてあったの?』
「それって、
俺に
好意があるってことですか。って。」
『何、その確認。』
「でしょ。
でね、このタイミングで、
言うつもりなんて無かったのに、
そうです。
ご迷惑でなければですが。って、
私も言っちゃったの。」
『うわぁ、なんだか私、
その人、
策士に思えてきちゃったわ。』
「その後の返信で、
私は
見事に玉砕しちゃったんだけど、
それからが地獄だったわ。
好意がないなら、
避けるなり、
なんなりするじゃない、普通。
でも その人は、
私の様子を窺ってたのよ。
俺のことが好きなんでしょ?
みたいな感じで。
好きの気持ちがまだある私に、
焼きもちを
妬かせるようなことをしてみたり。
意味が分からないわ。」
『何、その男!
男の風上にもおけないわね。』
「あはは(笑)
私より怒ってくれるのね。」
『当たり前でしょ!
私の大事な人に
何してくれてるの!って、
怒鳴りつけたい気分よ。』
「ありがとう。
そんな風に言ってくれて。
お陰で胸が、スッとしたわ。」
『そお?
私で お役に立てたなら、
光栄だわ。
それにしても、許せない男。
そんな男が世の中にいるのね。
信じられないわ。』
「ねぇ。だから、
私の汚点のような人なの。
好きになったことが、恥ずかしいわ。」
『そんなことないわよ。
好きになる人を選べたら、
誰も苦労しないわ。
あなたのせいじゃなくてよ。』
「うぅぅ…
ホントにありがとう。
そんなこと言われたら、
私、泣いちゃうじゃない。」
『あはは(笑)
いいのよ、思う存分、泣きなさい。
そして、きれいさっぱり忘れましょ、
そんな男。』
「うん…。
ありがとう。そうするわ。
あっ、ごめんなさい。
私の話ばっかりで、
お茶が冷めちゃったわね。
入れ直すわ。」
『そんな、いいわよ。
話を聞くために来たのよ。
でも、ありがとう。』
こうして、
一人の男の人を通じて、
二人の仲は、
さらに深まったのでした。
めでたし、めでたし。
「本日も、第一装備体制に入れ。」
言われなくても、やってる。
私は、
第一装備体制を維持していた。
嘘を携帯し、
作り笑いを装着し、
一般的な、
当たり障りのない
返答をも身に付けた。
酸素を取り込むように、
「イエス」と言えた。
だが、当たり前のように、
そこに、私らしさはない。
無事に
何事もなく一日を終える、
という任務を遂行するため、
ひたすらに
日常に溶け込むことに専念する。
もはや、カメレオンばりだ。
面白いかと聞かれれば、
面白いわけはない。
だが、
仕事だと思っているため、
そう苦痛ではない。
面白さは、他に求めればいい。
誰か、いるのね。
この向こうに。
反応はないけれど、
流れていく景色が、
あるんでしょ。
ささやかなものだけど、
とても嬉しいもの。
言えるわけないわよね。
誰にも見つけられたくない、
大切なものだから。
それなら、
人差し指を口唇に当てて、
ナイショって言いましょ。
オレンジ色の月が、
神様に噛られて三日月になった日、
『キミがキレイなのは、
今に始まったことじゃない。』
と、声が聞こえてきた。
「誰?何?どこから?」
キョロキョロしている私に、
『ここよ。』と優しく微笑む、
男性とも女性ともつかない、
性別不問のヒト型の人物が
そこにいた。
「神様?」
『いいえ、違うわ。
あの方は そう易々とは、
姿をお見せにならない。
やだ、瞳が落ちちゃうわよ。
鳩が豆鉄砲を
食らったような顔をして。
…ちょっと、私を探らないで。
どちらかしら。と迷ってるんでしょ。
顔に書いてあるわよ。
でも、
どちらかでしかないなんて、
私のいる場所では、あり得ないから。
誰にだって、
なんにだってなるの。
それが普通だ。』
最後の言葉だけ、
それまでとは打って変わって、
低い声で、そう言った。
何が起きているのか、
思考が追い付かない。
『常識の枠を
取り外すことは出来ないか。
心で感じでほしいんだが。
形に捕らわれないために、
心は、
ひらがなで書いておいて。』
声が、
高い低いを
行ったり来たりしている。
「ひらがな…えっ?
変幻自在…ん?
あれ?ダメだ、全然頭が働かない。」
私の様子を見かねて、
『それなら、
古代からの妖かしと言えば、
アナログで信じやすいのか。
遥か彼方の未来人と言えば、
デジタルで恐ろしいか。』
「ダメだ。全く言葉が入ってこない。」
『これでもダメなの。
うふふ。
心の声が、
だだ漏れになってるわよ。
私の正体を
突き止めようとするからだ。』
また声が変わっている。
一旦、整理しよう。
この人は誰?
何の目的で現れたの?
最初に聞いた言葉はなんだった?
新手のナンパ…とか?
よし!逃げよう。
意味の分からないものと
関わっていてもダメダメ。
逃げるが勝ちよ。
「そうはさせるか。
ナンパだと?
私を愚弄するつもりか。
何年待ったと思っている。
この時を
今か今かと待ちわびていたというに。」
えっ?
私の心の声、聞かれてる?
冷静さを装い、
『えっ?何の話?』
と、私は言った。
「知らぬのか。
その魂に刻んでおいたはずだが。
全てが整えば、迎えにいくと…。
ん?失敬。」
そういうと、
胸の辺りに手を当てられた。
「魂を入れる箱に不備があったか。
肝心なときに開かないと来た。
厳重にし過ぎたか。
開けば、
説明がなされるという
仕組みだったの。」
『きゃー変態!
何するのよ!
説明?何のよ!?』
私が取り乱していることなど
お構い無しで、
「これから世界を破滅させる。
全てをリセットし、
私のイブに選ばれたのだ。」
冷静に、おかしなことを言う。
『はい?
………えーーーっ!?
いやいやいやいやいや、
意味が分からない!
あり得ない!』
「不服か。
おかしいな。
私のイブに成りたいものは、
他に五万と居るというに。」
『はい?五万?
そんな数字、関係ないから。
もしかしてナルシスト?って、
そんなの知らないけど、
私じゃないと思う。
私には、
その大役は相応しくないので、
他を当たってください。』
「素晴らしい。
これが謙虚という姿勢か。
お見事だ。」
突然 手を叩いて、拍手した。
『ダメだ。
新手の詐偽だ。
心を持っていこうとする。
財産目当てより、たちが悪い。』
「ほうほう。
やはり、
あなたでないとダメですね。
この世界を やり直すためには。」
『だ・か・ら、
私じゃない人だって!
人違い、勘違いだって!
何回も言ってるよね!?』
「だまらっしゃい!!
あの方の采配に
間違いなどあるとお思いか!!!」
大気の空気を揺らすように、
大きな声が響いた。
私は思わず、両耳を塞いだ。
「もう!
急に大きな声、出さないでよ!!
何考えてんの!?」
『オホン、これは失敬。
あのお方を
酷評なさるように聞こえたの。
だが私の声を聞いて、
まさか立ったままでいられるとは。』
「えっ?何?
耳が
ウワァンウワァンいってて、
よく聞こえない。」
『やはり、
あなたでないと
ダメだと言ったのです。』
よく見てみると、
目は嘘をついていないようにも感じる。
が、私の想像を遥かに越えた人
であることには違いない。
私は心を決め、
ちゃんと話を聞こうと正座をした。
『なんだその格好は?』
「私の生まれた国では、
ちゃんと話を聞くとき、
その意思表示として、
このような座り方をします。」
『ほう。
では、
変なやつだという疑いは、
晴れたと思ってよいか。』
「いえ、申し訳ありませんが、
まだ俄に信じがたいです。
でも、私がイエスと言えば、
世界が破滅することだけは
分かりました。
その上で、
私は、
世界を破滅させることに
反対です。
この世界、
私たちのいる地球には、
自然と、生きとし生けるもの、
妖怪たち、あの世の方、
八百万の神様、
それ以外にも、
私の知らない方々が
居るかもしれません。
破壊するということは、
それら全てを失うということ。
失ってからでは、
二度と取り戻せないものがあります。
それに、
こんな大事なことを、
二人だけで決めるという事にも
合点がいきません。
この地球(ほし)にいる、
全ての存在から判断を仰ぐべきです。」
『そんなことをしていては、
この地球(ほし)は持たぬぞ。
今や問題は山積みと聞く。
それは如何する。
ゆるりと破滅へと向かう姿を
眺めているつもりか。
リセットした方が、再生は速いぞ。』
「それでも、
この地球(ほし)は、
先ほど上げた、
全ての方のものです。」
『意思は固そうだな。
ならば、
あなたが選ばれた理由だけ
聞いてほしい。』
「はい。」
『あなたはこれまでに、
何々してあげると
クチにしなかった。
恩を着せることも、
見下すこともしなかった。
それが、あなたをキレイだと、
判断した結果だ。』
「そんなことはありません。
私を、買いかぶり過ぎです。
私は、そこら辺にいる、
ただの人間です。」
『この期に及んでも、
まだ、そんなことを言うのか。
信じられないわ。
まぁ、
これ以上言っても無駄だな。
今回は、
あなたに免じて
退散することとしよう。
だが、次はない。』
「承知いたしました。」
残念そうに肩を落とし、
得たいの知れないヒト型の人物は、
姿を消していった。
『あの方に、
この事を、どう説明したものか。
私のことも、
夢か、幻だとでも、思うだろうな。』
おやおや。
ずいぶんと
落ち込んでおいでですね。
想像もされなかったのですか、
もしもの場合を。
あっ、
これは これは失礼致しました。
申し遅れました。
私、ここの門番、案内人、
まぁ、
その様なところでございます。
なぜ このような格好かは、
お気になさらないでください。
ステッキを持っていますが、
何に使うわけでもありません。
あなたに殴りかかろうだなんて、
全くもって、
思っておりません。
ですから、心の中で、
ステッキ(素敵)だなぐらいに
思っておいてくださいませ。
あれま、
この冗談は
お気に召しませんでしたか。
そんなことはさておき、
まさかの坂は、
人生には付きものです。
頼んでもない、
要らないオプションです。
けれども たまに、
逆に作用する、
まさかの坂もございます。
ごくごく稀ですので、
生きているうちに、
お目にかかれるかどうか。
このような話をするのは、
3回目ですね。
まぁ、
何度聞いても嫌な話ですから、
こうなるまいと、
肝に銘じておきましょう。
それでは、私は この辺で、
お暇することと致しましょう。
ステッキ(素敵)な人生を。
ははは。
そこの方、
こちらで何をしておいでですか。
交通証は、お持ちですか。
「そんなもの、
ここには必要ないでしょう。」
いやはや、驚きました。
鎌をかけたつもりが、
お見通しでしたか。
でしたら、
通りすがりではないと
言うことですね。
ここに来られた理由は、1つ。
あの扉を、開けに来られましたか。
あなたで、何人目でしょうね、
私がここに配属されてから。
私としましては、
最も開けてほしくない扉なのですが、
みなさん、チカラの限りを使って、
こじ開けようとなさいます。
あちらの世界への扉を。
鍵も古くなってしまい、
錆び付いているにも関わらず。
私の制止も聞かず、
「決めたことだから」と、
みなさん一様に、
判をついたような回答をなされます。
そのお言葉に、
なんと返したらよいものかと、
考えあぐねてしまいます。
決めたからには、
一度は試してみようとの、
心づもりなのかも知れません。
ですが、
一度試されますと、
たった一度をも
使いきってしまいます。
言うなれば、
永遠の一回とでも申しましょうか。
あちらの世界へ行かれますと、
承知だとは思いますが、
戻ってくることは出来ません。
これまでも、誰一人として。
ですので、
どうしても開けてほしくない私は、
いろいろな形で説得を試みますが、
そのお心は変わらず、
私の説得だけでは、
扉が開かないようにとする重りにさえ、
なり得ません。
私は、多くの方を見送ってばかりです。
「多くのって、
俺たち以外に
誰もいないじゃないですか。」
ははは、左様です。
今は、二人きりですね。
私が無理を言って、
一人ずつしか通さないでくれと、
お願いしたのです。
耳が遠くなってしまい、
一度に多くの方と
話すことは出来ません。
一人の方との話さえ、
まともに聞けているかどうか。
ですが、お顔を見れば、
感情の機微を
感じとることは可能です。
細部に至るまで、
手の限りを尽くして、
観察いたします。
付け入る隙が少しでも、
有りはしないかと。
最後に ひとつ、よろしいですか。
引き返すなら、今です。
あなたが
お決めになったことを違えても、
誰も、
あなたを責める資格はありません。
あなたの人生ですから。
あなた以外の人は、
彩りに過ぎないのですよ。
あなたは夢を、
夢のまま、
終わらせるつもり?
そんなの、
もったいないわ。
そんな残念なこと、
ゆめゆめ思わないで。
今までの疲労が蓄積して、
息も上がり、
心は お疲れのようですが、
まだまだ、
物語は終わりませんよ。
疲れるだけの展開じゃあ、
シャクじゃありませんか。
何のために生きているのかと。
ですが、
よくぞ ここまで、
耐えてこられました。
拍手喝采ものです。
ですから、ここからは、
今までの分を取り戻しましょう。
騒ぐもよし。
はっちゃけるもよし。
少しなら、羽目を外してもよし。
数日なんかじゃ終わらない、
宴を楽しみましょう。
気の持ちようで。
朝が来たから、行くわね。
うふふ。
そんな寂しい顔はしないで。
後ろ髪を引かれちゃうわ。
大丈夫。
私が帰ってくるのは、
あなたのところよ、夜。
夜に名前を尋ねたとて、
答えてくれるはずがなかろう。
夜は見張りに専念している。
全ての音を聞き逃すまいと。
涙の音が聞こえてこなきゃ、
それで御の字さ。
別に、気にしなくていいよ。
嫌なら、嫌って言えばいいし、
ダメなら、ダメって言えばいいの。
ちゃんと伝えられるのも、
信頼関係のうちよ。
どうしたものかと、
困り果てていたんだ。
動かしたくても、
心が傷だらけで、
少し体を動かすだけで、
あちこち痛くてね。
電気が走るみたいな感じなんだ。
でも、キミが来てくれて、
本当に助かったよ。
話を聞いてくれて、
僕より怒ってくれて、
優しい笑顔で
そばにいてくれて。
大きく
広げすぎてしまった悲しみを、
小さくなるまで
折り畳んでくれて、
ありがとう。
ちょっと。
それは、大人の読み物よ。
あなたには、まだ早いわ。
人には順序ってものがあるの。
ひとつ飛ばしじゃ、
知り得ないことも有るのよ。
すまないが、
神々はどこか?
呼ばれて、
すぐに飛んできたんだが、
このような、
明るい日の下になってしまうとは。
神々は、
怒っておいでだろうか。