はじめる

#童話

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全234作品・

理想に落ちた王子様

魔法が解けた私の足に

不似合いなガラスの靴を履かせるの

八谷 灯・2023-08-27
ねえ、王子さま
ひとりぼっち
嫉妬
独り言
辛い
ポエム
好きな人
大好きな君へ
魔法
童話
フィクション
シンデレラ
呟き
苦しい
あなた
ガラスの靴
意味不
妄想←

君に贈る世界一美しい薔薇の花

花言葉はこれよりも大きな愛は無い

夜桜 俺 垢変・2024-10-21
僕らが主人公の物語
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好きな人
恋愛
つなごう
世界一美しい薔薇の花
童話
ポエム
独り言
好き
愛してる
叶わない恋
花言葉
失恋
辛い
苦しい

【赤ずきんだって愛されたい】




「ねぇ、どうして私の肌は白雪のように白くないの?」

「ねぇ、どうして私の顔は美女のように整ってないの?」

「ねぇ、どうして私の声は人魚のように美しくないの?」

「ねぇ、どうして私の目は月のように輝いていないの?」






「ねぇ、どうしたら私は……愛して貰えるの?」


ポロッ

水面に映る嫌いな自分の姿が揺らいだ

ザっ……




『どうして泣いてるの?』


「グスッ……私なんて、醜いから誰にも愛されないの…… 」


『愛されたいの?』


「だって……いつも幸せになるのは私以外の誰かで、
必ず私を置いて居なくなってしまうの、
私以外の子はみんな嫁いで愛されて行ったわ……!」


『なら、僕が愛してあげるよ』


「グスッ……へ、?」


ニコッ


『僕ならきっと幸せにするよ?』


「……愛してくれる?」


『君こそ、僕の愛から逃げない?
僕ちょっと重たいけど』


「で、でも!私、綺麗じゃない……から」


『僕だって、ずるくて悪くてみんなの嫌われ者さ』


「ずるいの、?」


『今だって、君の泣いてるところに取り入ろうとしてる』


「あなたも、愛されたいの?」


『狼はひとりぼっちだからね、
君みたいな赤いフードの似合う子に愛して欲しいんだ』


「……ふふっ、変なの」


『悪い狼に捕まるつもりは無い?』


「私に飼われたいの?」


『いい子にするよ?』


「……愛してくれる?」


『君を1人にしないよ』

チュッ

〈僕の赤ずきん〉
〈私の狼さん〉



『捕まえた』






【狼だって愛されたい】

深唯弥・2025-04-12
赤ずきんだって愛されたい
狼だって愛されたい
多分彼女
愛されたい
童話

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に234作品あります

アプリでもっとみる

ウサギとカメも…

アリとキリギリスも…

練ることに合意した。

色が変わった。

そして

平和に

暮らした。

伊田よしのり・2024-09-12
ポエム
童話
ウサギとカメ
アリとキリギリス
ねるねるねるね
合意
練ること

【シンデレラは魔法を解く】






「どうして、ガラスの靴を割ったのさ!王子がもう君を見つける手立てがほぼ無いに等しいになったじゃないか!」

「ごめんなさい、でも私がお城に暮らすなんて似合わないわ」

「あんなに夢見てたのにか!?」

「舞踏会に行ってわかったの、私には場違いだって……」

「じゃ、じゃあせめて、この家を出るくらい王子に頼めばできたんじゃないか!?それほどまでに、王子は君に惚れてたはずだ!」

「ええ、誰かを想うことはあっても、誰かに想われた事はなかった、とても幸せな事だったわ」

「じゃあなんで!?」

「想い慕う方ができたの」

「……王子よりもか?」

「ええ」

「……」

「私ね、王宮での暮らしよりも、自然に囲まれて毎日その人とのんびり暮らしたいと思うの」

「……そうか、ならその男に今から会いに行くか」

「その必要は無いわ」

「……?」

「好きよ、“魔法使いさん”」

「なっ……!」

「私、ずっと舞踏会へ行って王子と踊ることが夢だったわ
でも、あの日あなたに会って……一目惚れだったわ……」

「……僕がなんであの日、君の前に現れたかわかる?」

「哀れんだからじゃないの?」

「ずっと、君に幸せになって欲しかった……
君がまだ、お父上と暮らしている時、僕は君の家の裏の森で暮らしてた
初めて君を見た時に、心を奪われたよ
でも、君はまだ少し幼かったから僕は諦めてたんだ
それでも諦めきれなくて、偶に君が庭にいる時に盗み見てた
そんなことを続けてたら、ある日から君があいつらにこき使われるようになっていた
僕は、どうにかしたかったけど、他の人間にバレる訳にはいかないからどうにもできなかった……
そうしたら、君はいつの日か王子を夢見るようになっていた……
当然だ、何も出来なかったんだから…
それでも僕は、君にせめて幸せになって欲しかった
だから、あの日、君に魔法をかけたんだ、もう会えないことを覚悟して……」

「……ふふっ」

「?」

「嬉しい、私たち想いあっていたのね」

「……///」

「私、もっと早くあなたと出会いたかったわ
そうしたら、もっと早く一緒になれていたかもしれない」

「……もう遅い?」

「ふふっ、いいえ」

「後悔しない?」

「あなたとなら、きっと素敵な毎日が送れるわ」

「なら、僕と一緒に僕の森で暮らそう
きっと不自由にはさせない」

「ええ、喜んで」





《君に僕との祝福を》

深唯弥・2025-05-04
多分彼女
愛されたい
ポエム
シンデレラ
童話

Come on girls
Get on the floor
fromis get set ready show
Fun 心がするする
Fun 汗がたらたら
Fun 頭はぐるぐる
私どうしちゃったんだろう
パンッと弾けちゃいそうよ
ポンッて打ち上げた花火
Fun 私たちだけの宇宙
We just wanna have some fun

ぐるぐる巡ってく月火水木金土日
暇で退屈で今日と変わらない明日
楽しいことはないかな
ここをちょっと抜け出してみようかな
Run the world
想像の中の私はアリアナグランデ
誰かが見たら変に思うだろうけど
願っていれば全て叶うの
It's not a dream baby
童話の中のワンシーンのように
Baby what's your fantasy
ためらってる時間はないわ
You and me
We just wanna have some fun
Fun 心がするする
Fnu 汗がたらたら
Fun 頭はぐるぐる
私どうしちゃったんだろう
パンッと弾けちゃいそうだよ
ポンッて打ち上げた花火
Fun 私たちだけの宇宙
We just wanna have some fun

FUN!/fromis_9

뿌니・2022-07-16
歌詞
恋愛
fromis_9
童話
想像
アリアナグランデ
花火
宇宙

【木こりの花嫁】





少女は泉を覗き込み、ため息をついた

そして全てを諦めた

「せめて来世くらい、愛されますように……」



ボチャンッ


『貴女が失くしたのは……』









「あなたが落としたのは、この金の斧ですか?それとも銀の斧ですか?」

「いいえ、ただの鉄の斧です」

「……知っています、あなたは一体あと何回このやり取りをすれば気が済むのですか?今日で1ヶ月ですよ?」

「1年くらいやってもいいよ?」

「それじゃあ、他の人が来なくなるでしょう?」

「僕は君に会えるならなんだっていいけど」

「……」

「ねぇ、女神さん」

「私はそんな立派なものじゃありませんよ」

「じゃあ、お嬢さん?あなたはいつからここにいるんだい?」

「さあ?もう覚えていませんね」

「なら、どうしてここにいるんだい?」

「欲しいものがあったんですよ」

「じゃあまだ手に入らないの?」

「ええ、まあそういうことですね、殆ど諦めてますけど」

「だったら、ここにいる必要はないんじゃない?」

「そうですね」

「ならどうしてまだここにいるの?」

「別に行くところもないので」

「なら、僕と一緒に行かないかい?」

「遠慮しておきます」

「早いね」

「今までもそういう方がいらっしゃったので」

「ついて行こうとは思はなかったの?」

「皆さん、私が好きなのではなく、女神が好きなんですよ」

「僕は、君がただの村娘でいてくれた方が嬉しいけどね」

「変わってますね」

「その方がもっと早く出会えたかもしれないじゃないか」

「さぁ」

「君も、僕のこと嫌いじゃないでしょ?」

「自惚れないでください」

「君は、初めて会った時より僕が来た時泉から出てくるのが早くなった、それから斧を返した後意外とすぐに帰らずに僕から話し掛けられるのを待つようになった、それから……」

「……もういいです!」

「君は素直じゃないんだね」

「そうですか」

「君が来ないなら、僕はこれから先ずっと毎日ここに通わなくちゃだ」

「勝手にどうぞ」

「来るなとは言わないんだね?」

「……」

「僕と来る?」

「……いいえ」

「僕は君が好きだよ?」

「私は“女神“では無いので」

「女神じゃなくて君が好きなんだけど」

「何が違うんですか?」

「そのままの意味?」

「私が女神じゃなかったら?」

「好きだよ?」

「私がこの姿じゃなかったら?」

「見たいな」

「……」

「……」

「私は、綺麗な肌じゃないし、上背もない、髪だって、顔だって……」

「うん、見たい」

「何言って、」

「見たいよ」

「……」




女神と謳われていた少女は泉からゆっくりと上がった

姿は変わり、元のただの貧相な村娘へと戻っていった

ただ、顔を上げることが出来なかった


「……」

「人間だったんだ」

「……一応」

「泉からでたらただの人間?」

「……そうですよ」

「寿命も?」

「……一応?」

「なら、一緒に生きれるね」

「……は?」




彼女は顔を上げてしまった
気づいた時にはもう遅い
彼女は半ば絶望した



(また、拒まれる……)





「やっとこっち向いた」

ふぃっ

「あ、逸らすな」

「こんな汚い顔みたってしょうがないでしょう」

「僕は君ならなんでもいい」

「……そうですか」

(きっと、明日はもう来ないな……)

「本気だよ?」

「そうなんですね」

「僕、君には苦労させないと思うよ?これでも実家次ぐし」

「私には関係ありませんので」

「君だって僕の家に嫁ぐんだよ?」

「勝手に決めないでください」

「何が不満なの?」

「バカにするのも大概にしてください!もういいですよ!あなたもどうせ、明日にはもう来なくなるんですから、早く帰ってください!」

「うん?だって君が僕のうちに来るんなら僕はここにもう用はないから来ないよ?」

「だから!私を見てもなんとも思わないんですか!?」

「なんともって?」

「醜いでしょう!?粗末でしょう!?」

「別に?服なんて新しいのを買ってあげるよ?」

「顔ですよ!顔はどうにもならないでしょう!?」

「僕が気にしないからいいんだよ」

「なっ!」

「他の奴らがなんと言おうと、僕は君しか嫁にしないし、君以外のやつなら僕は家を出ていくけど?」

「笑いものになりますよ」

「笑わせてやればいい」

「私の顔を見てどう思ったんですか?」

「君ならなんでもいいけど、君が恥ずかしがってる顔は好きだな」

「……」

「その顔」

「……変わってるって言われませんか?」

「僕の変わり者は有名だよ」

「……そうですか」

「おいでよ、僕の家に」

「……なんでそこまでして私を連れていくんです?」

「運命だから?」

「何を根拠に?」

「本能?」

「私は真剣です!」

「僕だって真剣さ、君を見た時から僕の本能が運命だと確信した、だから僕は君と生きると決めた」

「後悔しますよ」

「しないね、僕の直感は当たるから」

「……」

「……」

「……裏切りませんか?」

「?、当然」

「本当に?」

「君を今まで口説いたやつは知らないけど、僕は女神じゃない君も好きだよ?」

「……それじゃあ足りません……」

「愛してる?」

「……」

「可愛いね?」

「……!」

「愛して欲しかったんだ?」

「別に……」

「はいはい」

「……」

「誓うよ、生涯君以外を愛さない、娶る気もない」

「……裏切ったら?」

「君の好きな罰を与えていいよ?」

「……“女神”にそんなこと言うなんて怖いもの知らずですね?」

「女神じゃなくて、“君”に言ってるから」

「……」

「何したいの?」

「……私とこの泉に沈んで貰います」

「そんなことでいいんだ?」

「裏切るんですか?」

「裏切らなくても、そんなことくらい君にお願いされればするけど」

「……やっぱり変わってますね」

「これでもう君がここにいる必要はなくなったね?」

「……まあ」

「心配しなくても、どんなときも君だけを守るよ」

「守られなくても、死ぬことなんて怖くありません」

「ダメだよ死んだら、僕と生きるんだから」

「そうですね……」

「おいで」

「……」

「ほーら」




ぎゅっ




「もっとしっかりくっつかなきゃ、意味ないよ?」

「あなたが逃げるかもしれなかったので」

「まだ信じてない」

「えぇ、まぁ、それなりに捻くれてるので」

「こっち向いて」

「はい?」


チュッ



「なっ……!」

「初めて?」

「……」

「ならこれから一生僕だけだからね?」

「こんな物好き他にいませんよ」

「なら良かった、今日からは僕だけの女神だね?」

「こんな小汚い娘、女神だなんてなりえませんよ」

「僕がする、君だけを愛して毎日君だけを見るよ」

「期待しないでおきますね」

「はいはい」







それ以降、泉に女神は現れなくなりました
その代わり、すぐ側の国のとある貴族の変わり者の長男が何処からか少女を連れ帰り、大きな祝宴を挙げたそうです







『あなたの失くしものは見つかりましたか?』

深唯弥・2025-04-18
多分彼女
愛されたい
童話
きこりの泉
木こりの花嫁

童話において、ないものねだりをした人物はたいてい、悲惨な末路を迎えるのだ。

しかし、ねるねるねるねを作ることだって、一種のないものねだりではないだろうか。

そのことについて質問されても、あの魔女は、ノーコメントを貫いている。

伊田よしのり・2024-06-09
ないものねだり
魔女
童話
ねるねるねるね
ノーコメント

シンデレラに魔法をかけたのは、実は、ねるねるねるねの、あの魔女だったのだ。

だから、12時を過ぎても、ガラスのねるねるねるねの色は、変わらないのだ。

伊田よしのり・2024-06-09
童話
魔女
シンデレラ
ねるねるねるね
魔法

ガラスの靴を履いて

毒林檎を頬ばり

永遠の眠りに

溶けましょうか

ねこ・2024-06-12
灰被りの幸せ
白い林檎姫
鋳薔薇のお呪い
泡姫の願い事
童話
シンデレラ
白雪姫
眠り姫
オーロラ姫
人魚姫
アリエル
プリンセス
恋人の日
君を想う
恋愛とは
独り言
わたしのおきにいり

私の何倍も小さな白い兎を
無我夢中で追いかけた

全て真逆のこの世界
ここでは
嘘つきも歓迎される

だけど失敗は許されない

塗り間違えられた薔薇たちは
女王様に撥ねられる

らむね・2024-07-22
童話
女王様の赤い薔薇
不思議の国のアリス
偽物と嘘つき
首を撥ねられぬ様に

童話の世界では

正直者が練った

ねるねるねるねは

最終的には

正しい色に変わると

相場が決まっている。

しかし

現実の世界では…

伊田よしのり・2024-08-07
ポエム
童話
正直者
ねるねるねるね

ねるねるねるねに恋をした僕は、魔女に頼んで、ねるねるねるねを人間にしてもらった。そうして僕とねるねるねるねは結婚し、しばらくは幸せに暮らしていた。しかし、僕は魔女との約束を破り、ねるねるねるねはねるねるねるねに戻ってしまった。そして、魔女はもう二度と、現れなかった。

伊田よしのり・2024-10-13
ポエム
寓話
魔女
ねるねるねるね
童話
ネルネ姫

【王女様の鏡】




「鏡よ鏡、この世でいちばん美しいのは誰?」

「あなたです」

「……」

……

「ねぇ、一番綺麗なのはだあれ?」

「あなたです」

……

「一番可愛いのはだあれ?」

「あなたです」

……

「一番美しいのは?」

「あなたです」

「……、本当のことを言って」

「あなたです」

「そんなわけないじゃない!私よりも美しくて綺麗で可愛い子なんて、そこらじゅうにいるじゃない!」

「それでも、あなたなのです」

「何を根拠に……」

「私にとっては、いつ何時も、あなたが1番美しいのです」

「じゃあ、今までのは……」

「全て本当のことを仰ったまでです」

「……」

「どうします?このまま続けますか?“王女様”」

「“加賀美”の意地悪……」

「いつも聞いてきたのは君じゃないか」

「意味知ってたら聞かなかったもん……」

「まだ“白雪姫”が羨ましい?」

「……もういい……」

「それはよかった」

「アホ……」

「どうとでも、“王女様”」

「“加賀美”なんて割ってやる……」

「はいはい」






《加賀美だけの王女様》

深唯弥・2025-05-03
好きな人
多分彼女
愛されたい
白雪姫
魔法の鏡
童話

【人魚の逢い引き】




コンッ

窓に貝殻を投げる

「あっ、今日も来てくれたのね!」

バシャバシャッ

「ふふっ、今日もあなたが元気みたいで私も嬉しいわ」

海辺に位置するこの国の、いちばん大きな建物の裏側の崖に面して飛び出ている部屋に、人魚はやってくる

彼女は綺麗な服を着ているが、その存在は隠されている

なぜなら、目も見えず足も不自由であった
だから、この隠された決して表からは見ることの出来ないましてや海から回らないと見えないこの部屋に、半ば半分閉じ込められていた

そこにある時人魚が訪れた、正確には見つけてしまった
その人魚は同族からのいじめを受けていた
バシャバシャと激しく音を立て
その中に、聞いたこともないような鳴き声がしたのを耳にした
“ギューっ”
だが娘には姿が見えていない
が、使用人以外訪れることのなかったこの部屋に来た姿も分からぬ来客に、娘は恐ろしさ半分興味半分、話しかけてしまった

「ねぇ、どうしたの?」

幸か不幸か、いじめをしていた人魚は娘の声を聞き逃げ出した
いじめられていた人魚は、声のするほうを振り返る

そこには目の部分を隠した自分と似た様な上半身をした生物がいた
窓から見えるは上半身までだったので、人魚は仲間だと思ってしまった

だからなぜ海に居ないのか、分からなかった
だが、目を隠しているのを見て悟った

(上手く泳げないんだ)

「ねぇ、そこにいるんでしょ?」

バシャバシャッ

人魚はここにいることを証明した

「お魚さん、?じゃないの?亀さん?」

“ギューっ”

人魚は鳴いた

「アザラシさん、?それともアシカさん?」

“ギューっ!”

なぜ伝わらないのか人魚には分からなかった

「お返事してくれるから、もしかして人魚さん?」

バシャバシャッ

人魚は話せない代わりにヒレを打ち付けて返事をした

「どうして言葉がわかるの?」

この人魚は特別であった
昔いじめられて、傷だらけで陸に置き去りにされた時、たまたま熟年の漁師に助けられ、秘密裏に治療を受けた時に理解したのだった
漁師は最後、船で沖まで行き人魚を帰した
なぜ、助けられたのか今でも分からない
だが、海ではぐれ者の人魚にとって初めて優しさに触れたのが、人間だった
だから、今回も娘の話を聞いてしまったのだ
だが、人魚は話せはしなかった

「ねぇ、人魚さん?私とお友達になって下さらない?」

バシャバシャッ

「私ね、外に出られないの、だから、あなたに会えてとっても嬉しい!」

(僕と同じだ……)

人魚はほかの人魚と違い、美しいヒレを持っていなかった
真っ黒だったのだ
漆黒の魚や人魚など他にいなかった
だから、海に自分の居場所などなかった

「ねぇ、明日も逢いに来てくれる?」

バシャバシャッ

人魚は喜んだ
求められたことなど今まで無かったから

そうして人魚は約2ヶ月間ほぼ毎日通い続けた
娘は大層喜んだ
人魚も嬉しかった
ある日、娘は話した

「私ね、目が見えないの、だからあなたを見ることが出来なくてとても寂しいの」

(見ないで……、きっと君も僕を嫌いになってしまうから)

「きっとあなたは、とても綺麗な人魚なんでしょうね」

(そんなはずない、僕を見たら君もきっと僕が嫌になる)

“ギュー……”

「見えないことが当たり前で、それが原因でここにいるけど、今まで、あまり見えるようになりたいと思ったことは無いの……

きっと見ても、愛されていないことがよりわかってしまうから……

でも、あなたに出会って初めて見えないことを悔やんだの……!あなたがどんな姿だろうと私、怖くもなんともないわ!きっと、私に接する誰よりも優しいから……こんなに楽しい毎日は初めてなの!」

そう言って彼女はとても嬉しそうに微笑んだ

(あぁ、君になら見せてもいいかもしれない……)

そうして人魚は覚悟を決めた

“ギューっ!!”
バシャバシャッバシャバシャッ

「人魚さん?」

“ギューっ!ギューっ”

「どうしたの?」

(せめて夜なら僕のすべても見えないかもしれない)
そう思い、人魚は1度海へ帰った
そして夜、いつものように窓へ貝を投げた
1度では娘は出てこなかったので何度か投げた
すると4回目に、娘は驚いた様子で窓を開けた

「人魚さん……?どうしたの?」

“ギューっ!”

開いた窓を確認し、人魚は1度潜り助走をつけた
そして窓に向かって思いっきり、飛んだ

バシャッ

「え?、きゃぁっ!」

バシンッ

見事に人魚は娘の部屋へ侵入することに成功した
ただ、その勢いで娘を車椅子ごと押し倒して馬乗りのような体制になってしまった

“ギューっ!”

「人魚さん!?」

驚いている娘を他所に人魚は彼女の額に自分の額を重ねた
するとどうだろう、人魚の瞳が娘へ渡った
人魚は、今夜娘へ瞳を贈り自分の姿を見せたらそのまま命を経とうとしていた
きっと今夜が最後になるから

娘は驚く
「……えっ!」
自分の目に違和感を覚える
ゆっくりと目隠しを外す
するとどうだろう、目の前には漆黒の人魚があった
目を閉じた状態で……

「人魚……さん……?」

“ギュー……”

人魚は嬉しい反面悲しかった
姿を見られてしまったから、でも、瞳を贈れた
それだけで十分報われた
だからもう、海へ帰ろうとしていた
しかし、

「なんて綺麗なの……!!」
娘は感動していた、人魚のあまりの美しさに
醜いはずだった漆黒は、夜の月に照らされた海にとても輝いて映った

“ギュー……?”

「今日こんなにも、感動したことは無いわ!私、生きてて良かった!あなたに会えて、とても幸福だわ……!」

(あぁ、どうして君は、そうなんだ

僕はもう、死ぬ気できたのに……

これじゃあ、願ってしまうじゃないか……

愛して欲しいと……)


「ねぇ、人魚さん……瞳はどうなってしまうの……?」

“ギュー?”

「あなたがくれたのでしょう?でも、それじゃあなたが見えなくなってしまう、そんなの嫌だわ!私は今日あなたを見られたことだけで幸せよ!これから先、今日のことを思えば私見えなくたって生きていけるわ!」

(なら、1つだけ)

人魚は手探りで、娘の額に手を伸ばした
そして自分のそれを合わせた

すると、今度は一つだけ瞳が人魚に戻った

「……!」
ふにゃり
娘は柔らかく微笑んだ
「人魚さんの瞳は綺麗ね……」

(あぁ、まただ、君はまた僕を鈍らせる)

「ねぇ、人魚さん」

(なぁに?)

「私も海へ連れてって」

……!
(いいの?)

「私、あなたと共にありたい……!ここでこのまま生きるなら、あなたと共に、海へ行きたいわ!」

“ギューっ!”
人魚は歓喜した、涙がこぼれるほどに
(僕も、君と一緒にいたい)

そうして一人と一匹は互いに抱きしめた
「あなたはとても寂しがり屋なのね、人魚さん」
“ギュー!ギューっ!”
「ふふっ」
(君となら、僕はもうひとりじゃない、もう寂しくない)

そうして、人魚は車椅子から娘を引き上げ、自らと共に海へ飛び降りた


「ごめんね……」


バチャンっ


“ギュー?”


人魚には意味がわからなかった
だから、娘を抱き抱えたまま海を泳いでいた
そして気づいたのだ、娘が動かないことに

(どうしたの、?)

そして、今やっと気づいたのだった
娘がただの人間だったことに

(あぁ、あぁ!!!)

人魚は嘆いた、絶望した
どうして今気づいたのだろう
最初から、娘も死ぬつもりだったのだ
そのつもりで、海へ来たいと行ったのだ

(一緒にいるって言ったのに……)

生まれて初めて、自分を綺麗だと言った、自分にあえて幸福だと言った、そんな娘も、自分と同様諦めていたのだ
愛されることを、だから惹かれあってしまったのだ

(また、ひとりぼっちだ……)

そうして人魚は娘を抱きしめたまま、泳ぎ続けた
深い深い、魚も人魚の気配もない海の底へ

人魚は何も口にせず、ただ娘と共に眠り続けた
永遠とも言える長い時間を

瞳を分け合った一人と一匹は二人で1つだった

そして、泡となる

深唯弥・2025-04-20
多分彼女
愛されたい
童話
人魚姫
人魚の逢い引き

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