#覗いていただき感謝いたします

『まだこの恋は胸の中に』
水気なく、炎が活きる冬にこしらえ
仕舞い、置かれた恋花火
乾燥の地にはよく燃える

『貴方のことが好きだから』
熱を帯び、促進の風吹く春に温め
撫でて、愛られ恋花火
温暖な地では炎は強く

『意外な一面があるんだね』
湿度高く、仕舞えど梅雨に浸されて
じわり、濡れてく恋花火
熱帯の地には熱は陰り

『そんな人だったなんて』
紫線差し、晒せば表面は焼き焦がれ
湿気て、触れずの恋花火
酷暑の地ですら火は燻る


丸いガラクタはもう爆ぜず

解けない鎖に縛られる事もなく

溶けない肢体を慮る必要もなく

解れるように熱を奪われ

甘く優雅に蕩けていたい

そこから見上げれば星が見える

今なら空を飛べる気がして
冷たい温光を撫でてみたいと
手を伸ばすものの

いつもそこで我に帰り
私は一人泣いて夢を見る

気付かれずに好きを振り撒き
まずは貴方以外を手懐ける

清く当たって砕けるくらいなら
私に正義は必要ない

真っ直ぐ伝える皆の姿は美しく
卑怯な私には痛く眩しい

その炎は心を燻らせますが
時には刃を研がせてくれます

磨き上げたものはきっと美しく
魅了に足る出来となりますが

決して、表出させませんよう

私の明日は変わりません
たおやかに、したたかに

私を欺き続けましょう

傷を残したと思われないように

貴方が先に前を向けますように

紺青の針が身体を突き刺し
嬉々として熱を奪う苦難

甘美に滾る私の好奇は
沈みゆく緋色の日の元へ

うねり流れる無量の水は

紅へと運ぶ導き手か

蒼へと沈める捕食者か

走れば自壊
歩けば融解
止まれば崩壊

せめて、冷やせますよう

せめて私の前では笑ってください
貴方が目の前で苦しんでいたら

この手は我を忘れてしまい
貴方に恩を着せてしまう

ですが私が求める恩の形は
既に貴方の隣に居るのです

冷えた雨粒が私を差し貫く度に
内在する熱だけを感じられるの

私は一人

わたしは　ひとり

日を帯び染まる私の恋
熱いと言えば聞こえは良いけど

貴方も彼らも彼女らも
うだり、のぼせ、蕩けた思考で

読まずに『はい』と言い言わせ
茹でた隙間を縫っただけ

忘れないで
夏には虫もよく集る

『今の距離が丁度いいの』
そう言い聞かせて恐怖から逃げる

縦に振られれば100
横に振られれば0
震える私は天秤を傾けず

好意で止めた私の姿は
賭けから降りた臆病者

貴方が日向に出るならば
私は日傘をさして並びましょう

貴方が日陰に居るならば
私は隣で侍りましょう

けれども貴方が水に沈みたいなら
私がその手を引き上げましょう

歯触りの良い言葉でさえ
使い古されれば腐敗する

得意げに綴る手は錆びてゆき
枯れ果てた惰性は表出される

心地よい薄氷の時間でしたが
私の熱を伝えます
触れて溶かすのは怖いけど
触れずに溶けるのはもっと怖いの