#過去

透き通った水面に鏡合わせになって

見えなくなった君を思い出すから

過去を眺めて言葉を仕舞ったの

私の憶那が光り続けて眠ってくれない。

もう戻ってこないのに、馬鹿だな…

この古傷の痛みを

ノストフォビアという言葉で

終えることができたなら

傷ついた時間にどれだけ痛みを伴っても

とんなに時間が経っても手放せないよな

時の流れの早さも切ない想いを

遠い過去に連れて行けないから

泣きたいくらいに君が愛おしく

戻れない過去はあっても

戻りたい過去はないのね

　　　　　　　　　　　ｲﾏ 　　　　
過去にも戻りたくないし現在だって居辛い

ちょっとだけ未来を見学に行ってみようか

想像する。


僕は、想像をする

特定の何かを捉えることなく

頭の中で、記憶を探る

探す。


何も捉えていない想像上の視界は

白くぼやけている


雪がチラチラと舞うのを

敢えて、ピントを合わせず

あるがままを映す様だ


掃除もされず誰も触れず

世界から切り離されていた

誰かの大切な部屋に踏み入り

その白いカーテンをめくる

埃が舞う

光が舞う

湿った香りとくすむ色の様


ゆったりと動く心臓

息に合わせて張る左側の肺

髪の重みさえ、感じる


時の流れに逆らうように

僕は記憶へ飛び込む


あった。


転がる何かを掴んだ僕は

途端に視界が鮮明になる感覚に

興奮を覚える


心臓が力む

肺が気配を消す

髪が軽くなる


聞こえていた秒針の音

見えていた白い世界

静かに置いていた、この手


どうでもよかったあの日の欠片を

特別なもののように包む僕は

白くくすんだ想像手前の世界を、忘れる。



『一歩手前の蜃気楼』

限られた想い出だけで生きるには

もう心が追いつかなくなったよ

　　　　　　　　　ｲﾏ　　　　　　　　　　　　　
過去には縛られ現在には避けられてるのなら

せめて未来くらいは味方でいてくれませんか

私の中にある心の本来の姿は

隠したままで枯れそうだったけれど

君が居てくれたおかげでありのままの花を

一緒に咲かすことが出来て笑い合えたの

貴方の笑顔をもう一度だけ。

君との他愛もない日々が好きだった

将来が怖いけど

過去に戻っていたいけど

貴方とまた新しく思い出を作りたいから

今日も今を生きる。

歳と共に皆が成長していく中

私だけが過去を呪って、縋って生きて

言い訳ばかり並べて泣いている

だからそんな自分も、置いていく世界も

大嫌い