⿻・2024-05-06
Ⅵ時、珈琲店にて夢想を
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白羽の綴り
風に吹かれ夜明けを詠う
満月が照らした一輪の花影
御伽の国に誘う二人の物語
"ただいま"と言える場所が
待っている君だけに逢いに
ひと月の特別な今日
これからも幸せな時間を
胸に手を当て貴女へ贈る
"大好き"と"ありがとう"
ぼんやりと眺めた天幕の下
夙夜夢寐の想いは潸然と滴る
伸ばした指先が貴女を乞うの
日の出を二人で見よう
海を眺め二人で笑おう
ゆっくりでいいんだよ
"紡ぐ言葉は希望の欠片"
空に飾る明日への光
記念日に贈る願い事
見知らぬ居場所へ誘われ
酔いも全てが御伽噺のよう
酩酊の夢の中快楽に溺れた
"また次の記念日で"
明くる日が私達を迎えに来る
千夜一夜の夢の如く
幾度も紡いだ想念と輪廻
不朽の誓いを楽園に刻む
青墨の羅
頻波雲を数えて
酔生夢死に目を瞑る
夜の帳が降りる頃
風が虚しく肌を撫でる
手を伸ばせば届くはずだった
君の温もりさえも掴めなくて
不言色の白白明け
冴ゆる夜を泥む光芒は
幽世を知らぬまま
交わらない双影に天蓋を剥ぐ
誰が詠んだか定かならぬ祈詞
朽ちてゆく織糸の末端でさえ
己を失い終わりのない明日へ
蝕まれた久遠の楔
砕けた記憶が綻びを隠す
それでも貴女の優しさに
触れられた気がしたんだ
朝焼けに怯えながら涙を堪える
飲み込む言葉も噛み砕く願いも
全て生きる選択肢だったのだから