窓の外では
冷たい風が吹いているらしい。
秋の名残の落ち葉を巻き上げて
風が小さくとぐろを巻いていた。
雨混じりのあられまで降っている。
寒そうだなあ。
でも家の中はぬくぬく暖かい。
床暖房に、エアコン、炬燵
それから目の前には
ホットココア
寒い冬、体が暖かいと
心まで温かくなって
自然と笑顔になれる。
だけど
いっちばん温かいのは
私の背中にぴったりくっついて
テレビゲームに
勤しむ彼がいること。
「幸せだなぁ…」
上を向くと彼の顔が目の前に見える。
ゲームに真剣な彼。
私の言葉には無反応。
ちょっと、寂しい。
「ねー、光ちゃん」
「んー?」
「キース」
「んー、待って、もうちょっと」
彼は激しく親指を動かしてる。
何やら戦いのゲームみたい。
私にはさっぱりわからない。
オンラインだ。
私と一緒にいるのに
他の誰かと遊んでる。
便利な時代。
遠くの人とも繋がれる。
気の合う仲間が世界中に出来ちゃう。
でも、それってどうなの?
近くにいるのに、遠くにいるみたい。
近くにいるのに、ほら
寂しくて、心の中は窓の外より
きっと、寒い。
部屋の中は暖かいはずなのに
心が寒いと床暖房も冷えて感じた。
無言になった私の顔は
きっと膨れっ面。
よかった、彼が
ゲームに夢中で。
こんなのカッコ悪くって。
「なー、みぃ、見て見て、敵すっげえ集まってPCが処理できねえんだけど」
笑いながら私に同意を求める彼。
「うん…」
うまく返事が出来ない。
彼は私を覗き込む。
「あれ?拗ねてる?」
「…拗ねてない」
「拗ねっ子みぃだ」
「……拗ねて、ないよ」
「うそつけー、下膨れになってる」
「……ひどっ」
彼は小さなため息をついて笑い、
ことん。
ゲームのコントローラーを
床に投げ出した。
そして私の頭の上に
無精になった髭顎を乗せて
ぎゅっときつく私を抱き締める。
幸せが零れた。
「みぃ」
「…うん」
「ゲームよりみぃが好きだよ」
「…ゲーム楽しそうだったよ」
「楽しいけど…」
彼は私の脇をぐっと持ち上げて
私に彼の方を向くよう促した。
その導きのまま
私は彼に向き直る。
彼と視線がぶつかると
彼は目を細めて笑った。
「ゲームはさ」
そう囁きながら
彼の唇が近づく。
「こんなこと、出来ねえじゃん」
そして唇が重なる。
ずっとこうしたかった。
嬉しい。
笑顔で出来るキス
それはどんなに
幸せなことだろう。
互いの唾液を飲み干す程に
深いキスを終え、
彼は吐息混じりに私を呼んだ。
「みぃ」
「ん…?」
「キスだけで、いいの?」
「……任せる」
恥ずかしくって
あなたが欲しいなんて言えない。
その代わりに
私は彼に熱い視線を送った。
投げ出されたコントローラー
ゲームがストップされたテレビ画面
静かに、テレビを消して
「任せる、なら、覚悟しとけよ」
そう言った彼はやっぱり
目を細めて、優しく笑った。
ひとひら☘☽・2020-01-03 #幸介 #幸介による小さな物語 #誰かの実話かもしれない物語 #優しい #優しい笑顔 #物語 #冬の日 #寒い #風 #小説 #あなたが欲しい #ゲーム #オンライン #テレビゲーム #同棲 #拗ねる #不機嫌 #彼女 #彼氏 #プレゼント #ドキドキ #ときめき #独り言 #新年の挨拶 #消灯 #キス #ディープキス #楽しい #ありがとう #ポエム
