#カモメ

もし君が海鳥なら…
僕はただ眺めてる傍観者
あの地平線の先に
行ってしまうの？

一体どれほどの傷を抱えているのでしょう

四肢は千切れ、目は充血しています

苦しいのです きっと 痛いのです

気付かないうちに声帯はやぶれてしまい

助けの声も出せません



僕は、傍観しているだけでした。

僕は、救いの声すら出せませんでした。

僕は、あの子より先に、泣きました。

僕は、あの子に感化されました。

春になると
カモメが街にやって来る
ビルの屋上で愛を叫ぶ
やがて巣を作り始める
今年もビルの屋上に
１羽のカモメが鳴いています

おはようございます
みなさんお元気ですか
小石

海の匂いが漂う神戸港

カモメが2羽飛んでいる下で

2人は溶け合うことなく歩いている

傍から見れば恋人のように

見えるかもしれないが

脆く頑強な壁がそこにはあった

男はとことん不器用であったが

この距離感をわきまえてきた

今日という日、そして

2人がともにすごしてきた季節に

思いを馳せる

やれることはやったんだ

その思いと裏腹に男の覚悟は決まらない

遠くの汽笛が男を急かす

女のまつ毛は揺れていた

無音の波が2人を襲った

夕焼けは未熟な2人の影を落とし

東では弓張月が顔を出していた

カモメが1羽闇の中へ消え

1羽がどこからともなく現れ

2羽となってオレンジ色の空へ飛んでいった

28時、日が上り始める頃

制服に着替えた

スカートを履いて

パーカーの上からブレザーを羽織った

ヘッドホンを首に掛け

ローファーを履いて外に出た

向かう先は人気のない浜辺

そうやっていつか自由になれることを妄想している

海とヨット、そしてカモメ

紫の砂浜を
カモメが
空見上げ鳴いている

雲行きは霞んで
潮騒に阻まれようとも

いつか憧れの翼で
自由に羽ばたこうとして

あの空の 向こうにいきたくて

手を 伸ばしたの

もちろん 届かなくて

私の手は 空を切った

そしたらさ カモメがね

空を切るように 飛んでたんだ

かも知れぬ
もずの早贄
めじろ押し