千華・2022-04-23
キミとボク
空色のポスト
🆙
キミが
どこかで
笑っているなら
それだけで
いいんだ
この空が
キミの心に
つながっている
今日は青空
キミの心も
きっと笑顔だね
ようやく
紫陽花の似合う季節に
なってきたね
そう言って笑うキミは
紫陽花色のワンピース
梅雨空に咲く
あでやかな花のよう
笑顔のしずく
振り撒きながら
この世のすべてを敵にまわしても
ボクはキミを守りたい
回りのすべての人を裏切っても
ボクはキミを愛したい
歪んでいる 壊れている
でもそれがボクだから
キミへの愛だけが
真実なんだ
いつもキミだけを見つめていた
まぶしくて鮮やかで
ボクには手の届かないキミだから
ただ見つめるだけしかできないけど
せめてひと夏
ボクが枯れてしまうまで
この恋を許してくれないか
心の片隅に
忘れられたボク
キミはいつか
思い出してくれるかな
永遠に報われない
一方通行の気持ちは
いつまでも
キミに向かい続ける
キミに笑ってほしいんだ
―雨はまだやまないけれど。
キミに贈ろう…
優しい言葉の花束を…
キミに届けよう…
温かいハートの花束を…
ボクにできる…
せいいっぱいの贈り物…
息をするのも
辛かった
真っ暗な海に
放り出されたようで
何も見えない
聞こえない
もがきながら
手を伸ばした先に
たったひとつの
小さな灯り
そしてボクの耳元で
キミの声が聞こえたんだ
「 ――― 」
ボクを導く最後の標が
キミだったんだよ
今夜は少し
冷えるね
そんな時は
傍においで
ふたり
体を寄せ合えば
気持ちも
温かくなる
ひけらかすわけじゃないけど―
と、キミは言った。
私、一度死んだことがあるの。
え?
だからね、今ここにいる私は幽霊なの。
ああ、そう。
だからキミはそんなに儚くて
今にも消えてしまいそうなんだね。
満開の桜の下で
キミはボクに笑いかける。
透き通った妖艶な笑顔で
ボクを異世界に連れ去ろうとする。
実はね―
ボクの体は、今も
この樹の下に埋まっているんだよ。
どんなにたくさんの花に
埋もれていても
ボクにはどの花がキミなのか
すぐに分かるんだ
静かな雨音
濡れた草の匂い
こんな午後は
無性に
キミに会いたくなる
もう何処にも
いないのに
キミの隣に
ボクの席はないんだと
思い知らされた
あの日から
ボクの隣にはいつも
孤独という名の
友人が座っている
キミだけを見ていたい
ボクだけを見ていてほしい
そんなワガママな恋は
狂おしいほどに熱い
夏だから
軽やかに
スカートの裾を
ひるがえし
鮮やかな笑顔で
ボクの目を
眩ませる
キミは
早春の空に舞う
天女さ