#ネイチャー

誰もいない早春の森に

透きとおった風がふく

やわらかな陽がそそぐ水辺から

ちいさな命の息吹がきこえてくる

ひとひらひとひら

音もなく舞い散る桜花

終わりはいつも儚くて

燃えるような茜色の空に

鳥たちの影が舞う

時おり声を交わしながら

黄昏に消えていった

大地の祈り

あまねく人が

笑ってすごせますように

　　　　　　　　　　　東
　　　　　　　　　に　風
　　　　　　　主　ほ　吹　菅
　　　　　　　な　ひ　か　原
　　　　　　　し　を　ば　道
　　　　　　　と　こ　　　真
　　　　　　　て　せ
　　　　　　　春　よ
　　　　　　　を　梅
　　　　　　　忘　の
　　　　　　　る　花
　　　　　　　な

春と冬がせめぎあい

火花をちらす

自然は双面神のように

恵みと災いの顔をつかいわける

気高くかおる藤の花

そこはかとない

わびしさを感じるのは

深い青紫色のせいばかりじゃない

それはあの時の

心象風景がよみがえるから

うららかな春風にのって

僕らはいま旅立つ

雨模様と晴れ模様が

忙しくいれかわる大空

まるで不安な心が

揺らめいてるかのように

艶やかなアマリリスの花

笑顔を浮かべた

アルラウネの唇を想わせる色は

夏にこそ似つかわしい

凍てつく空間は動く気配もなく

静まり返る水面には漣すらない

絶対的静寂が支配する冬の記憶

落ちゆく日は寂しいね

あまりに綺麗すぎて

目が痛くなるんだ

そろそろお別れだよ

夏の日

風立ちてゆれる秋桜

どんなに吹きさらされようと

優美な容姿は乱れることなく

ただしなやかなに舞う

冬のかわいた空気が張りつめた空

しし座流星群が流れる星の海に

今宵も幸多かれとねがう

パステルで描いたような彩り

朝露のきらめきとともに

聴こえてくる命の息吹