⚠このお話はボーイズラブとなっています。苦手な方はスクロールしないことをおすすめします。
_ネックレスは君からの愛の鎖_
『これで風雅は俺のもの』
『絶対外すなよ』
僕には恋人がいる。
名前は一樹。僕はいっくんって呼んでる。
いっくんはかっこよくて優しくて、僕の自慢の彼氏だ。
そして、今日は僕の誕生日。
いっくんからプレゼントないかなって
ちょっと期待してる今日この頃。
『風雅』
と、いっくんから名前を呼ばれた。
「なに??いっくん」
『なにじゃねーよ。せっかく俺ん家来たのに、なんか上の空じゃん』
そう、今日はいっくんの家に遊びに来ている。
来るのが初めてって訳じゃないから、緊張してる訳じゃないんだけど
誕生日に好きな人の家って
慣れない...
と、悶々と考えていると
『ふーうーが』
いっくんに顔を覗き込まれる。
「うわっ」
びっくりした...!!
『え、うわって酷くね??』
いっくんはちょっと傷ついたような顔をした。
「ご、ごめん。びっくりして...」
不意打ちで顔覗き込まれるとドキッとするよ...
『ん、まーいいけど』
そうふっと笑った。
...それすらもかっこいいと思う僕は重症だろうか。
いや、いっくんがかっこいいのが悪いんだ。
僕は何も悪くない。
『てかそれよりも』
と、いっくんは僕の方を見て、何かをずいっと差し出した。
「え、なに??」
細長い箱だ。丁寧にラッピングされて、水色のリボンがかかっている。
これは...もしかして...
期待を込めていっくんを見る。
『...誕生日だろ。プレゼント』
やっぱり!!
「わぁ!!ありがとう!!開けていい??」
喜びで思わず声が大きくなる。
『...ん、いいよ』
リボンを外し、包装紙を剥がして箱を開けて
出てきたのは...
「これ、ネックレス...??」
ネックレスだった。
銀色のチャームの先に、銀色と黒色のマーブル模様の細長い四角い飾りが付いているネックレスだ。
『風雅に似合うと思って』
「...」
『...風雅??』
何も答えない僕を心配してか、いっくんが僕の名前を呼ぶ。
『ごめん、やっぱ気に入らなかったか??』
「...いい」
『え??』
「めちゃくちゃかっこいい!!ありがとう!!大事にする!!」
嬉しくていっくんに興奮気味にお礼を言って、満面の笑みでいっくんを見る。
『そっか。良かった』
「めちゃくちゃかっこいいねぇ、これ...」
しげしげとネックレスを眺めていると
『ネックレスを相手にあげる意味、知ってる??』
いっくんから聞かれた。
「知らない」
いっくんを見て答える。
『ネックレスをあげる意味は』
そう言いながらいっくんは顔を近づけてくる。
なに??なに!?
息がかかるほど耳元でいっくんはボソッと言った。
『相手を独占したい』
相手を...独占...
理解するまでに数秒。
理解して顔がだんだんと熱くなっていくのが分かる。
「うぇ...え??独占って...え??」
しどろもどろになって言葉を発する。
今僕の顔はきっと茹でダコみたいなのだろう。
そんな僕を見ていっくんはニヤニヤしている。
ドSが発動しているようだ...
『だから』
僕を見ながらいっくんは言う。
『これで風雅は俺のもの』
『絶対外すなよ』
その言葉でさらに熱くなっていく顔。
これ以上は...ダメだ。耐えられない。
「いっくん...ズルいよ...」
なんとか絞り出した言葉に、いっくんはふはっと吹き出した。
『何がだよ』
そう笑う顔も、やっぱり好きだなぁと思う。
「でも」
どうしても言いたいことがあって口を開いた。
『ん??』
いっくんは不思議そうに僕を見ている。
うぅ...めちゃくちゃ恥ずかしいかも...でも...
言いたい
「ネックレスなくても、僕いっくんのものだよ」
目を見つめながら言うと
いっくんはびっくりしたように目を見開いて
『あー』
と、言いながら頭をガシガシかき始めた。
『おっ前はほんとに...』
何やらぶつくさ呟いている。
「え...何...??」
『あのさ』
いっくんは顔を上げて僕を見ている。
『それ、無意識で言ってる??天然??』
「へ??」
無意識??天然??とは
どういうことだろうか。
訳が分からずぽかんとしていると、いっくんは痺れを切らしたように
『あーもう』
そう言ってぎゅっと抱き締めてきた。
「わ、え??いっくん!?どしたの!?」
キツく抱き締められて、いっくんの香りに包まれて、脳内パニックだ。
『いや、ほんとに』
「え??何??」
いっくんが何かを言いかけている。
『可愛すぎ』
「可愛い...くはないよ!?」
突然の可愛い発言にさらにパニックだ。
『ちょっとしばらくこうさせて』
「あ...うん」
いっくんの香りと温もりは、やっぱり落ち着くなぁ...
抱きしめられながら、そんなことを思った。
しばらくして
『風雅』
「ん??」
いっくんに名前を呼ばれて、抱きしめられてた腕が緩まる。
顔と顔が向かい合わせになった。
『大好きだよ』
その言葉にびっくりだけど、胸がキュってなるくらい嬉しくて
「僕も大好き」
笑ってそう返すと、いっくんも笑ってくれて
『誕生日おめでとう、風雅』
最高の誕生日だよ。ありがとう