本紹介
『愛する源氏物語』 俵万智
源氏物語を「作中でキャラクターが詠む詩」という切り口から、現代の詩の名人・俵万智が解説してくれる本。
…なのだが。
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古典に興味なくても、ポエムが好きな人!!
ポエム同士のやり取りが好きな人!!
ぜひ読んで!!!!
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恋のポエムの比喩や遠回しな表現を、
相手に誤解されてしまったり。
はたまたポエムの意味に
気づかないフリをしてみたり。
普段からポエムで交流する私達だからこそ共感できたり、そんな技があるの!?平安人やばすぎ!!!と尊敬したりできる。
読みながら楽しくて仕方がない本だ。
ここの住人の方々以上に、この本を身近に楽しめる人はいないと思っている。
しかも、キャラが良い。
もともと私は、源氏物語?ハーレムもので女達がドロドロしてるんでしょ?くらいの認識だった。
しかしこれを読んで、女性キャラクターのバリエーション豊かな賢さ、美しさ、いじらしさを知り、驚いた。
和歌の上手いキャラ(儚げ美人)と下手なキャラ(おもしろ可愛い)がいるって知ってた?
恋に大胆な姫君と、逃げて逃げて逃げまくる自尊心低めお姉さんは?
女性キャラの“良さ”がよく分かるのも、俵万智が同じ女目線で読み解いてくれるから。
俵万智のキレッキレな分析(というか最早ツッコミ)に、なんちゃって短歌・漢詩を製造したり、なにかと消極的な自分は、我が身を振り返って冷や汗をかいた。
気になるキャラ、お気に入りの登場人物の部分だけをつまみ食い的に読むのでもきっと楽しめると思う!
ぜひ読んでみて!
以下は既読者向け感想。
末摘花(すえつむはな)には、同じ返信苦手民として気の毒に思ってしまう。普通のメール・ラインでさえ嫌いなのに、技巧を凝らして魅力的にアピールしなければならないなんて、酷すぎる。さらに返信のスピードも求められるなんて、平安時代は私には生きていけない。末摘花はよく頑張ってる。
……が、どうしてもオチが良い。
つまみ食い読みを勧めるならダントツでこの子のエピソードだな。
近江の君(おうみのきみ)は、下手は下手でも楽しい下手さだ。わかる!習った技、使いたいよね!なんとなくそれっぽくできたら嬉しいし、こちらに合わせた返歌が返ってきて「なかなかやるな😏」って誰目線?みたいな感想もっちゃうの、わかるなー!
空蝉(うつせみ)は、印象的だった。好きだ。自分に重ねた…訳ではないと思うけど、たぶん。
朧月夜(おぼろづきよ)のドラマチックさは、これぞ源氏物語!という感じがする。俵万智の1番好きなキャラだからか、解説も筆がのっている気がする。
女三の宮(おんなさんのみや)は、源氏を引き留めるシーンが好き。病気の紫の上のもとに帰りたい源氏を、ストレートな表現の和歌で引き留める女三の宮。それが率直すぎて、帰るに帰れなくなる光源氏。それまでの女三の宮の欠点・幼さが反転して強力な武器になることに、
ぐっとくる。その前後は私的にはいまいちだが、ここだけで「女三の宮…イイ…!」となる。
薫vs匂宮、俵万智は匂宮派のようだけど、私なら薫だなあ。浮舟への態度は両者とも最低だけど。少なくとも大君への態度は、(俵万智にはコテンパンに言われてたけども)私は悪くなかったと思うよ。
以上!