#並木道

この並木道を歩くのも、

今日で最後となった。


友と笑いあって歩いた時も

君と照れながら歩いた時も

1人でゆっくり歩いた時も

全ての時にこの木々がいた。

全ての時に、この木々が見守ってくれていた。


卒業を迎えたら

この道を歩くことは無くなるけれど

思い出の中にずっと残り続ける。

一緒に卒業する仲間達と同じように。

寒くても寒くても

君は隣に居ないから

一人で歩く並木道

「きれいでしょ」
あなたの喜ぶ顔を見てたら
わざわざ来たかいが
あったと思う

車道の両側を
ふさぐように
高いイチョウの木が
どこまでも並んでいる

何年か前に見つけた
この並木道
少し右側に傾いた太陽が
まるで
僕たちを歓迎するように
イチョウの葉を
色鮮やかに映している

１度あなたを連れて
ここに来たかった
来年もそして再来年も
２人で観に来ようね。

通いなれた並木道の先で
「これが最後ね」と別れた
色づいた綺麗なツボミが
旅立つ季節の訪れを知らせた
「さよなら」が苦手な僕たちは
いつものように「またね」と手を振る
いたずらな笑顔が好きでした
もう一度だけ見せて
ねぇどうして？涙が溢れる？
忘れないよ ずっと
出会えて良かったあなたに
「また逢う日まで」
僕らは選んだ道を歩いてく

真っ赤な葉っぱ

独特な匂い

いつもの並木道が

赤く染る

あなたと並んで歩いた並木道。

あなたがいない並木道は、

いつもと全く違う世界で、

何もかもが違ったんだ。

1人で歩く並木道は、

まるで私1人しかいないような

孤独を感じさせる並木道。

そんな道を歩いていると、

いつの間にか瞳から

1粒の涙が流れた。

この涙は、

あなたに恋をしていた印。

冷たい雨に打たれ
桜は葉を揺らす

凍えそうな花びらは
しとしと涙を流し

並木通りは薄紅色に染まる

傘を差したふたりは
悔しさを滲ませ

寂しさの余り
肩を寄せ合い

敷き詰められた絨毯の上を
忸怩たる想いで歩く

散りゆく欠片を
避けながら

路上の花筏を
せめて踏まないように

届かぬ想いのリボン

彼らの期待が縁で結ばれますように

"寒くなってきたね"って言って

手をつないで雪が降る中

いつもの並木道をあなたと歩く

喉かで抜けるような青空に
桜は彩られ

豪勢に咲き乱れる

残骸のように

並木道を埋め尽くす前に
目に焼きつけていたい

儚くも刹那に散りゆくから

枯葉舞う季節の中

銀杏並木の絨毯が

とても綺麗で

そして 儚くて

静かな風が　頬を撫でてく
黄葉の道　ひとり歩いた
あの日の声が　胸に響く
「君たちは未来を変えるんじゃよ」

壊れかけたラジオのように
不器用な愛しか持てないけど
あの笑顔を守りたくて
秘密の扉を　今も開ける

今でもイチョウは大好きですよ
色づく季節に　君を思う
何も言わずそばにいた　あの頃のように
笑ってくれたら　それでいいんだ

黄昏の中で　心はまだ
あの並木道に　立っているんだよ

古い研究所　窓辺の光
埃を被った　写真の中に
消えない絆が　ちゃんとあるんだ
いつも君たちが　教えてくれた

過ぎゆく時間の彼方で
忘れちゃいけないものがある
涙じゃなく　微笑みだけ
置いていこう　未来の君に

今でもイチョウは大好きですよ
子供の声が　空に響く
探偵たちは　明日を駆ける
ちょっと不安げな　背中越しでも
信じてるんだ　君たちなら
どんな謎さえも　解き明かすから

過去も失敗も　宝物なんだ
誰かの優しさで　僕はここにいる

今でもイチョウは大好きですよ
秋の匂いが　胸を焦がす
遠い記憶に　手を伸ばして
また会えるような　そんな気がして
イチョウの葉舞う　この場所から
そっと君たちを　見守ってるよ

ふたりで歩いていた道も

ひとりだとこんなに違うんだね

まるで別の道みたい

あなたの存在が

景色までも変えてしまうほど

大きなものだなんて

shun