【長い夢】
何も考えたくなくて
1人になりたくて
家に帰って誰とも話さずにベッドに飛び込んだ
私を包む温もりだけが味方をして
慰めてくれる気がした
長い長い夢を見た
ある時は鳥になり
さえずることで人々の心を豊かにした
「綺麗な声ね」
そう褒めてくれる人がいることが純粋に嬉しかった
「うるさい、黙れよ」
十人十色、やはり誰もから愛されることは無理みたいね
長い長い夢を見た
ある時は花になり
美しさで人を虜にした
「いい匂いで素敵な色」
魅力が伝わっていることが純粋に嬉しかった
「こんな所に生えるな、邪魔」
踏み潰されて息が苦しい、やはり貶す人はいるみたいね
長い長い夢を見た
ある時は犬になり
無邪気さで人に甘えた
「可愛いわね、うちに来ない?」
私を必要としてくれる人がいたことが純粋に嬉しかった
「こんな"モノ"を連れて帰ってくるな」
要らない子扱いされるのは慣れてるみたいね
長い長い夢を見た
気がしただけだった
その夢は私がなりたいものを魅せてくれると同時に
なりたいものの希望を壊した
幸福と共に不幸は共存し、
いつも幸福の陰に身を潜めながら
自分の出番を待っているかのように弱いところを突き刺していく
それに耐えられない私はきっと本当の幸せを味わったことはないのだろう
はっと目を覚ますとそこはベットの下だった
温もりを求めて元いた場所に戻る
私を包む温もりだけが私を支える
幸せはなくとも、私は今日も生きていく
不幸が姿を表す未来に目を背けて