小さな頃の
君の遊び場
小川では
子ボラや小さいハゼ
カニが生息していて
あの子たちも
たもを片手に魚を追いかけたり
大きな石をひっくり返したら
わさわさ出てくるカニを捕まえたり
海からあがってきた貝殻を拾ったり
とてもよく、楽しんだあとは
大きな川に向かった
大きな川では少し前に
君が仕掛けを垂らしておいてくれて
それをあげてみたら……
恐怖の、手長海老
うじゃうじゃあ~
リアルバルタン星人じゃないか
気持ち悪い……
検索してわかってはいたけど
実物もっと気持ち悪い
「うわぁ!すっげー」
って息子は喜んで手を伸ばす
「だろだろ、あ、そこ持つと手とれる」
って君は息子に得意気に教えていて
娘は一緒にとれたスジエビに夢中
私はほんの少しだけ
離れた位置でその様子を
にこやかに……
出来るだけ
にこやかに見ていたけれど
君がそんな私に気付いて
「先輩先輩そんな遠くにいないで
ほら俺のところ来てくださいよー」
って気遣ってくれたつもりなんだろうけど
私は手長海老のフォルムに
拒絶反応で
「いやあ……私はここでいいよ」
って言ったら
「あれ
もしかして先輩?」
って何か気付いたようで
ニヤニヤしてる
くそっ
あんぽんたんなくせに
こういうところは
異常に鋭いんだから。
そのあとに
海で釣りをしてメバルや
カレイを釣って
渡りガニをとって帰宅
じっちとばっぱに君
「じっちーすんげえとれたよ
明日のおかず!!」
って言いながら手渡した獲物の中に
恐怖の手長海老がしっかり入ってて
「え、あれ食べるの?」
ってこっそり聞いたら
「じっちの大好物っ」
ってホクホク顔で笑う君
じっちが喜んでくれるなら
いっぱいとれてよかったけど
私は絶対、食べない……からね!
なんであいつは
手だけすっごく長いんだっ
それさえなきゃ
普通のエビちゃんと
何もかわらないのにっ
2017/08/04