⿻リクエスト企画
前回に引き続き
神崎 唯緒さんからのリクエスト
恋愛短編小説ですっ
早速どうぞっ( '-' )✨
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前編
 ̄ ̄ ̄
どれくらいの時間が経ったんだろう
白い光が眩しくて俺は目を覚ました
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恋愛短編小説
リクエスト : 神崎 唯緒サン
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作者 : 紅李夜 律霞
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『空の想い人』後編
琉「い、たっ…」
気付くと俺は
真っ白いカーテンに
真っ白いベッド
一面白で統一された部屋のベッドに
寝かされていた
琉「ここ、病、院…?」
突然の状況に
理解出来ずにいると
近くから
スー、スーと
明らかに俺とは違う
静かな寝息が聞こえてきた
琉「!?」
バッと視線を横にやると
そこには少しやつれた顔の唯緒が
俺の居るベッドに
突っ伏して寝ている
ほんと、正直ビビった
なんで唯緒が、とか
そう言えば
俺は倒れたのか…とか
最初こそ結構混乱して
中々思い出せなかったけど
目も冴えてきて
冷静になって来た頃には
何となくだけど
理解出来た
琉「…つーか、」
俺は目を細めて、チラッと
隣に伏せて寝ていた
唯緒に視線をやる
唯緒「スー、スー…」
ほんと、可愛いし…
何だよマジで
あー、言いたくねぇ
口が裂けても言ってやんねぇわ
こっちばっかりとか
ムカつく…
けど、顔やつれてるし
俺が起きるまで
ずっと隣に居てくれたんだろうか
そう思ったら
ますます嬉しかったのと同時に
申し訳なさが込み上げてくる
悶々と頭を抱えている内に
「んん…」と言う声がして
唯緒が起きてしまった
唯緒「琉…?」
琉「あ…わりぃ、起こしたか?」
俺がそう聞くと
唯緒「…琉、大丈夫なの…?」
唯緒は俺の問に答えもせず
半泣きになって
弱々しく聞いてきた
その時に、本当に
心配掛けたんだなって
すぐ分かった
俺、ほんと情けないな
琉「あぁ、大丈夫だから
泣くなよ…」
俺の事なんかで心配して
泣かせたくないし…
唯緒「…うん」
それと同時に
ガラッと病室の扉が
開く音がした
入ってきたのは
白衣を着た男の人だった
多分、医者なんだろう
それを見て唯緒は出て行った
医者が俺の居るベッドの
横の椅子に座るなり
深刻そうな表情をした
まぁ、何となく察したし
覚悟もした
医者「琉くん、私はあまり事実を
包み隠したりするのは
好きじゃないから、率直に言うが
君の病状は凄く深刻だ…」
まぁ、知ってた
だから特別驚きもしなかったし
それに、医者があんな顔したら
嫌でも察するわ…
琉「あの…俺、なんて言う
病気なんですかね」
医者「…君は、ステージ3の
肺癌(はいがん)だ」
肺癌…ステージ3、、
あー、これは…
医者「それに、ここまで来たら
手術も簡単じゃない…
かなりのリスクを背負う。
だが、受けなかったら
余命は後半年だ」
あー…、はは…
まぁ、だよな…
と言うか
この医者、めっちゃ
ストレートに言うじゃん…
まぁ、そっちの方が助かるし
好きだから良いけどさ
医者「…君はどうしたい?
手術を受けるか
それとも受けないか」
受けて失敗したら
もう二度と、唯緒と話せなくなる
それに、何か直感だけど
どっち道助かるような気は
しなかった
だったら__
琉「…いえ、手術は
受けません。
残り少ない余生を、共に
大切に生きたい人がいるんです」
後悔は、ない
こっちの方が
きっと満足して過ごせる
医者「…そうか。
それが君の答えなんだね」
琉「はい」
唯緒…
ごめんな
怒ってもいいから
恨んでもいいから
悲しい顔しないで欲しい
なんて
我儘すぎるかな
医者「分かった…お母様には
本人の意志を尊重するように
伝えておくから、今日は
ゆっくりしておきなさい」
琉「はい、ありがとうございます」
けど
もう決めた事だから
肺癌の事も、余命の事も
話すつもりは無い…し、
言えなかった
俺はどんな時でも
唯緒が大切だから
どうか、こんな俺を許してね
それからは毎日
雨の日も風の日も
唯緒がお見舞いに来てくれた
けど、雨の日に来てくれた時
唯緒は風邪を引いた
お見舞いの為に
風邪を引かせてしまう事が
酷く辛かった
だから俺は
唯緒にこう言った
琉「俺に会うのは
晴れの日だけにする事」
唯緒「え、どうして…?」
いや、まぁ…ごもっともなんだけどさ
そう思いながらも
琉「いいからっ、分かった?」
唯緒「えぇ…?んー、うん…」
なんか、素直になれなかった
プライド…的なやつだ
その日からは
晴れの日に必ず
唯緒が来るという事が
半ば日課になっていた
余命を打ち明けることも無く
丁度半年が過ぎようとした頃
俺の容態は一気に悪化した
雨が打ち付ける様な
風の強い嵐の夜だった
過呼吸になって
肺がズキズキ痛む
息をする度に
痛くて
痛くて
吐き気も収まらなかったし
自分でも
びっくりするぐらい
吐いた
沢山吐いたせいか
少し容態が落ち着いた時
勢い良く
病室の扉が開いた
唯緒だった
何で?
どうして唯緒がここに…?
そんな疑問を口にする前に
俺の手を掴んで
唯緒が話し始める
唯緒「私、夢を見たの
琉が…琉が苦しそうに
闇に吸い込まれていくの…」
琉「…こんな嵐の夜に
走ってきたのか?」
唯緒「怖かったから…っ。
居ても立っても
いられなかったの…」
唯緒の顔が涙で
ぐしゃぐしゃになっていた
あぁ…また泣かせてしまった
こんな顔させるつもり
なかったのに…
琉「…めん、ごめんな…」
唯緒「謝んないでよ、ばか…」
琉「うん…それでも、ごめん」
唯緒「…ねぇ、私知ってるんだよ
琉が長く生きられないって…」
俺から唯緒に、余命の事を
話したことは無い
でも
唯緒は昔から
勘とか良かったから
もう随分前から
何となく、察してたのかもしれない
やっぱり、敵わねぇな…
琉「そっ、か…なぁ、唯緒。
もうすぐ唯緒は入学の時期だろ?
だから、入学式の日に晴れたら
今度は俺が会いに行くわ」
唯緒「琉が…?でも、身体が…」
琉「いや、決めた。
絶対会いに行くから、
約束な!」
唯緒「うん、ありがとう…っ
約束っ!」
笑った…
笑ってくれた
それだけで
すげぇ嬉しかった
だから
入学式の日は、絶対
会いに行って一番に
俺が唯緒を笑わしてやるんだ__
その翌日
もう二度と
私が琉に会える事はなかった
その日は土砂降りの雨だった
雨の中、行く宛てもなく
走って、走って
びしょ濡れになって
思いっ切り、泣いた
土砂降りの雨が
今の私と重なった
泣き止んだ後も
私は生きる意味を失ったように
朦朧としながら家に帰る
色を失った灰色の世界が
ただ、日に日に過ぎて行き
気付くと入学式の当日だった
いや、そんな事さえ
忘れてたんだと思う
今日も虚ろに朝の支度をする
真新しい綺麗な制服も
霞んで見えた
玄関のドアノブに手をかけて
ゆっくりと押し開ける
すると
眩しいぐらいの朝日が
私の顔に差しこんできた
目を細めながらも
顔を見上げると
そこには
雲ひとつ無い晴天の空が
私を暖かく出迎えていた
思わず目を見開く
それから直ぐに思い出した
「入学式の日に晴れたら
今度は俺が会いに行く。」
「約束な!」___
琉が会いに来てくれた
そんな気がしたから
そうだと思ったから
唯緒「ちゃんと、覚えてたんだ…」
嬉しかった
嬉しくて涙が止まらなかった
唯緒「琉…ありがとうっ…」
やっと
言えた気がした
一番伝えたかった事
何よりも大切な事
唯緒「琉、行って来ます」
私はこの日から
前を向くことが出来た
あの日から止まって
進まなくなった刻が
晴天を連れて
会いに来てくれた琉と共に
動き出した様な
そんな気がしたから__
END_
【終わりに】
という事で、神崎 唯緒さん
リクエストありがとうございました
初めての恋愛もので
未熟な所もあったと思いますが
満足頂けたら幸いですっ( '-' )✨
後、後編だけ長くなってしまい
申し訳ないです…((
こんなに長引くとは思わず…((殴
短編小説の難しさを
知ってしまった(´・ω・`)
ではではー
また次の小説で( '-' )ノ))フリフリ