#愛してやまない僕達のストーリー

廊下を歩いてたとき、ふと見えた幼なじみのアイツ。

…泣いてる。

いろんな人に囲まれて、背中を擦られて、泣いてる。

俺は駆け足で教室に入って、顔を覗き込んだ。

『なぁ、なんで泣いてんの？』

…返事はない。だったら…

『しゃーねーな。俺が笑わせてやるよ』

いつもお前を笑わせるのは、俺の役目だった。
…だけど…

『なんで笑わねーんだよ…？』

いつもの、笑ってくれる変顔をしたのに。

っていうか、なんでこっち見ねーんだよ。
なんで、なんで…

その時、ふと聞こえたこと。
真奈のしゃくりあげながら言った言葉。

「なんで、なんでいなくなっちゃったの…っ
ねぇ、浬…っ」

その言葉に、クラスのみんなも顔を押さえたり、何かを堪えるような顔をする。



…あぁ、そうだ、俺…

『昨日、事故に遭ったんだったな…』

全部全部思い出した。
俺が真奈を庇って、轢かれた、こと。
今日、死んだこと。

でも…

『なぁ、真奈。泣くなよ。
俺は、後悔なんかしてねーよ。
…聞こえねーよな。でも、』

俺は、真奈が、好きだったから。
後悔なんか、してないから。

『だから、笑ってろよ…』

言い終えた途端、身体が光った。
…あぁ、そろそろ消えるんだな…


最後に真奈の頭を撫でた。

『またな…』