#戻らない時間

いつも、あの日々を

巻き戻したいと願ってしまった

笑ったり
泣いたり
怒ったり…

貴方とふたりだと
ちっとも
心が静まらない

今となっては
望んでも
戻らない時間

そんな日々が
たまらなく懐かしく
いとおしい

大きな背中は温かくて
お日様の匂いがした

傍にいるだけで
安心できた

遠くて懐かしい日々
どこへ行ってしまったの？

あの頃の私
永遠を夢見ていた

明日はきっと
今日より輝くと
信じていた

若くて
青くて
無鉄砲で

優しさも
強さも
関係なかった

今はもう
手の届かない私

ゴールデンウィークというと
連れ合いが元気だった頃はいつも
近場の公園でデイキャンプでした。

ダッチオーブンで
ローストビーフや牛タン塩釜
チキンの香草焼きなど

青空の下で食べる食事は
本当に美味しくて✨

ダッチオーブンの料理は
連れ合いの担当だったので
私はレシピを知りません。

火加減も難しいし
何よりもう外へは行かなくなったので
ダッチオーブンも使うことがなくなりました。

懐かしい５月の思い出
またいつか、行きたいなあ。

遠い思い出の中

こんな時間も

確かにあったよね

スマホの写真
整理してたら
ふいに
懐かしい貴方の笑顔が
飛び込んできて

…声を失った

過ぎた時間は
今はもう
この小さなスマホの
中にしかないんだ

貴方が逝って
二度目の夏が過ぎていく

夏の終わりは
いつも寂しい

愛を謳う

恋を語る

全てはもう遥か昔の
思い出になってしまった

確かにあったあなたとの日々

始まりも終わりも
今は遠い記憶の彼方

想い出の欠片
下手に引っ張り出せば
怪我をするから

そっと瓶に詰めて
蓋をして
二度と開けないつもりだったのに

時折思い出したように
瓶の中で煌めく輝きが切なくて
夢のように美しくて

掌にこぼしてみたら
キラキラは儚く消えて
ただ私の指先に傷をつけたんだ

あの日
あなたと見た
懐かしい景色を
今日は
ひとりで
眺めているの

心に降り積もった
思い出の欠片が
知らないうちに
溶け出して
私の頬を
流れていくの

もう戻らない
ふたりの時間は
蜃気楼のように儚く
空の向こうに
消えていくの

大昔
ネットを始めた頃
そこには
本名の私とは違う
もうひとりの私がいて
それが楽しかった

職場での顔
近所のおばさんの顔
妻として
母としての顔
どれとも違う
ネットの中だけの私

自由で
わがままで
独りよがりで
熱くて
涙もろくて
オタクな万年妄想乙女

確かにそこにいた
あれが本当の私
懐かしくて
今は遠い
あの頃の私








＊

手を繋げば
心も繋げると思ってた

ずっと離さずに
繋いでいられると思ってた

遠いあの日の二人

あなたと二人

走る車の中から見た

夜明けの芦原橋は

まるで上田正樹の唄のよう


…悲しい色やね。

思い出すのは

貴方と過ごした

時間ばかり

切り取られた空に

映るのは

切り取られた過去

苦い思い出