#星の幻想

星の海に生まれ星の海に還る

その旅路の途中で

燃え尽きたとしても

愛に殉ずるなら

悔いなんてあるわけはない

主役なき満天の空

優しい光がない空は虚しい

冬の狩人も寂しがってるはずさ

月明かりのように柔らかな光

その優し気な月長石の輝きは

夢幻の世界へといざなうセレネの涙

億千の星が集う銀河

億千の銀河が集う宇宙

命の数だけ愛が生まれる

夜空に流れるひとすじの軌跡

オリオンを悼む

アルテミスの瞳から溢れおちた

愛のしずく

冬のかわいた空気が張りつめた空

しし座流星群が流れる星の海に

今宵も幸多かれとねがう

衰亡を兆す現代のバベルの塔

そのゆく末を愁うかのように

今宵もまた嘆きの月がのぼる

どんな花よりも美しく

どんな星よりも明るく輝く

暁の星になろう

そう呟きながら

彼は堕ちてゆく

夜空の星はまるで僕らみたいだね

遠いようで近く近いようで遠い

瞬きあって心を交わす様子を見てると

なんだか切なくなってくるよ

星の海に木霊する天使の交響詩

儚げにゆらめく極光のベールは

夢幻世界で遊ぶふたりへの祝福

満天の空で愛を語るふたり

もはやその瞳には

流れ星さえも映らない

無数にきらめく地上の星

ウルフムーンが

優しい光を投げかける

彼らがいつまでも

幸せでありますように

星祭りの夜が待ちきれなくて

銀河の畔で見つめ合うふたり

離れていても心はひとつ

月の女神セレネの祈り

その瞳を涙をたたえた彼女は

いったい何を想うのだろう