あの日、僕は走馬灯を見た。
時間が止まって
過去の映像が流れ出す。
第三者からの目線で映画の一部始終を
見ているみたいだった。
周囲の音が消え、現実だけがゆっくりと襲ってくる。
急に思考が停止して、
自分で抵抗する事も出来なくて。
気付くと僕の周囲には人が集まってきていた。
慌てた表情で僕に話し掛けてくる。
何が起こったのか直ぐには理解できなかった。
だから、笑ってみせた。
「僕は大丈夫だよ」
皆どうしたの?そんなに見つめて。
暫くして、急激な痛みが襲ってきた。
手の震えが止まらない。
居心地が悪い。
此処を離れなきゃ。
ごめん、少し休んでくるよ。
生きているなら
いつか、終わりがくる。
時間をかけて苦しむかもしれない。
もしかしたら一瞬かもしれない。
いつ死ぬかなんて僕等には分からない。
もし、寿命が分かっていたら
君は何を思う?
死と隣合わせのこの世界で、
何がしたい?
考えてみてよ。
死ぬ時の感情を。
君が抱いてきた感情は
死にたいじゃなくて、『 生きていたくない 』
が本音?
僕達にはこの世界が生きづらいみたいだ。
ソレでも死ぬ時まで
生きてみるよ。
自分で命を落とす恐怖には勝てないから。
運命に託したい。
ねぇ、君はどうするの?
人の為に生きるのもいいけど、
自分の為に生きてもいいんじゃないか。
もし何かあったら此処に来てよ。
ソレでも、キミが生きていたくないと思った時は
僕は君を抱きしめて離さない。
一人で抱え込んで完結して、
死にたい、なんて言わせない。
生きる希望を僕が見つけるから。
死にたがりの君にこんな言葉を言うのは
何よりも残酷なこと。
ソレでも僕は言い続ける。
『 生きて。』