『殺め人の住む屋敷』NO.6
ー罪じゃなくなるその日までー
裏庭
とても綺麗だった
手入れされた花壇
綺麗に咲く花
まるで、先生みたいに輝いていた
どうしよう
先生の事を考えるだけで
心がチクチク痛む
何だか、泣きたい気分だ
くーさんは、そんな私を見て
やっぱり優しく笑ってくれた
本当に、優しい人だ
「あ、そうだ!
なーちゃんにこれ、上げる!」
俯き気味だった私の手を
くーさんは優しく握る
「手開いて?」
何だろ、くーさんめっちゃニヤけてる
何をくれるのだろうと思っていたら
くーさんが恋人繋ぎをして来た
「じゃじゃじゃーん!私の愛ですっ」
そう言って笑うくーさんは
いたずらっ子そのものだった
「あ、愛…受け取りましたっ」
「めっちゃ戸惑ってるけど、もしかして
キモイとか思ったな!?」
いやいやいやいやいやいやいやいや
そら固まるでしょう
と言いたいのを我慢して
「そんな事ないですよ!」
そう言った
本当に、明るい人だな
くーさんと話してると
先生の事を忘れて
心から笑う事が出来た
本当に、感謝でしかないな
「あ、そう言えばくーさん
オーナーの何処に惚れてるんですか?」
ふと、気になった事を聞いてみた
くーさんは一瞬にして顔を真っ赤にして
モジモジしながら言った
「優しい所…とか、受け止めてくれる所
面白い所、少し変わってる所…あと…」
好きな所を言っているくーさんは
乙女そのものだった
「…全て分かってくれる所、かな」
全て、分かってくれる
そう言った時のくーさんは
少し切なそうだった
そして、我に返ったように
言ってきた
「他に質問ある?」
私は、もう1つ気になってる事を
聞く事にした
「オーナーが好きって事
絃さんや神さんややーさんは
知ってるんですか?」
くーさんは一瞬フリーズしてから
こう言った
「あいつらが知ってたら
この世の終わりやん」
確かに、と思ったのは
内緒にしておこう
「…そ、そうなんですね」
「うん、死んでも言わない」
キリッとした顔でくーさんは言った
相当言いたくないんだな
そう察した
「よしっ、あいつらにご飯作ろかっ」
「ですねっ」
今日のご飯は
ハンバーグらしい
丸めて、空気を抜いて
作ってる間はあっという間で
凄く、楽しかった
「…神、汰絃、やーくん、
ごーはーんー」
二階の部屋から
ドタドタ降りてくる三人
待ってました、と言うように
ご飯を飲み込んでいく
「ちょ、喉詰まりますよ?」
一番早く食べている絃さんにそう言うと
「だいじょ…グォッ…」
と言って、案の定詰まらせた
「ほーら言わんこっちゃない
馬鹿なんか絃は」
むせ込む絃さんに水を渡して
背中を摩っているくーさん
The、お母さんって感じだ
「…夢菜、絃みたいにはなんなよ」
神さんがぼそっと耳打ちして来て
少し笑ってしまった
一番早く食べていた絃さんが
むせ終わった頃には
みんな食べ終わっていた
一人静かに食べる絃さんを見て
やーさんは呟いた
「…馬鹿だな」
「ですね」
すんごい顔でこちらを睨む絃さん
「…この本面白いですね!!」
「だ、だろ!!」
やーさんが持っていた本を
二人で読むふりをして
絃さんから怒れる事を防いだ
あっぶな
「…ねぇくー!!
あいつら馬鹿馬鹿言ってくる!!」
くーさんに泣きつく絃さんに
トドメを刺すように言った
「本当に馬鹿なんだから仕方ないね」
「くーまで…!」
それから、一時間
絃さんは部屋の隅で
ずっとブツブツ言うようになって
見かねたくーさんが
アイスを差し出すと
キラキラした目でアイスを頬張った
犬系なのかもしれない
普通に可愛い、と思ってしまった
「可愛いですね、絃さん」
「え、今更?」
「え、遅くね」
「気付かなかったのか…」
みんな口を揃えてそう言った
「可愛くねーし…!!」
一人否定するくーさんを見て
少し笑ってしまった
暖かい、この屋敷は
私の一生の、居場所なのかもしれない
______アトガキ
時間が無い+垢変わった
って事で
少し短くなってしまいました((
えー…絃さんは
背ちっさめの可愛い人イメージしてます
えと、はい( '-' )
垢変わっても
普通に仲良くして下さい((