渓奈・2021-06-05
義母
認知症
お義母さんのことを書けば
悪口みたいになってしまうし
かといって良いように飾るのも
本意ではなくて
ずっと口をつぐんでいたけど
認知症って怖い
そしてやっぱり可哀想
一人だけ悪夢の中にいるような
現実を生きている
実家に行くことになってると言って
山のように荷造りしたり
靴下やお金を誰かに盗られたと言って
泣きべそをかきながら探したり
怒り爆発したり
説明してあげてもわからない
はっきりしない頭で
毎日毎日同じことを繰り返す
癌が全身に転移しているが
体が痛い理由もわからない
注射の意味もわからず
ただ痛いだけで恐怖でしかない
もう癌の治療もしないことになった
今は心不全の治療だけしている
「ここんとこ痛い」
「○がなくなってしまった」
「私なんてなんも悪いことしてない」
「あんたが○したから」
「父さんと母さんが死んでしまったから」
ネガティブな言葉ばかり言われるので
家族も疲れてスッと避けるようになる
同居して一年経った
始めはちやほやされていたけど
今はそれぞれ自分のことに忙しい
お義母さんだけ
何にもできない
何にもすることがない
お役立ち感がないから
不安になり
ネガティブ思考になるんだろう
何にも役にたたなくても
今までずっと頑張って来たんだから
のんびりしていてくれていいんだけども
ぐうたらできない性分が
逆に本人を苦しめている
自分の人生の終わり方を
意思を持って決められない辛さ
誰にでも起こり得ること
✻
今日はお義母さんが荒れて大変だった。
様子がおかしい時、記録の為に録音をとっている。
今日一日で7本、合計1時間40分の記録。
「おかあさーん!おかあさーん!」と呼ぶので
びっくりして飛んでいくと額を抑えて泣いている。
「仏壇の写真がこっちを見て来たんだ」と言う。
旦那と弟の写真だ。
「写真、むこうにむけましょうか?
こっち見て怖かったの?」と聞くと
「あんたおかしいよ」と言われた。
「こっち見てすごかったんだ」と言う。
いい写真ならいいじゃないか。
頭抱えて泣いてるから心配したのにー。
おかあさーん!と自分の母親を呼んだらしい。
母親の写真は無いけどそのむこうにいるそうだ。
どうやらお邪魔だったようだ。
風呂の支度をするのに着替えを探して
引き出しをバンバン音立てて開閉している。
後で聴き直したら耳がおかしくなった。
たくさん買ってあげたパンツ。
みんなどこかにしまってしまう。
一緒に探したが10分探してようやく一枚見つけた。
言い表わすとしたら大変だったの一言。
でも、それ以上説明できない。
音源を聞くと一発でわかる。
録音を取っていることは旦那には話していない。
いい気分はしないだろうから。
知っているのは長女だけ。
いつも真剣に聴いてくれる。
今日も1時間40分を全部聴いてくれた。
それだけで嬉しい。
それだけで救われる。
義母と二人だけの昼間。
何が起こっているのか知ってほしい。
お義母さんをお風呂に入れる
夕方、お義母さんは入浴に必要なものをバックに詰めて荷造りしている。
タオルが5枚パンツが3枚も入っている。
私が余分なものを抜いてタンスに戻すと不満そう。
脱衣所で私は半袖短パンになる。
お義母さん、服の着脱は自分でできる。
洗濯機の上に荷物を並べているお義母さんを待つ。
乗らなかった荷物をバックごと浴室内に持ってくる。
濡れますよー。と脱衣所に戻させる。
湯船に入る前に体を洗ってしまう。
寒くないようにシャワーをかけながら。
そうしないと湯船で体を擦るので。
タオルを2枚石鹸つけて、お義母さんにも一枚もたせる。
お義母さんは前、私は後ろを洗う。
背中、おしり、足、足の指(水虫)と洗っていく。
シャワーで流してお義母さんは湯船に入る。
いつもここでお義母さんは
「はぁ、良かった、良かった」と言う。
手が空くと体を擦るので、ゴミを掬う網をもたせる。
タオルはお湯の中で体を洗うのでさり気なく没収。
お義母さんが温まっている間、風呂掃除して待つ。
最後に洗髪。
お義母さん、耳に指を突っ込んで防御態勢。
痒いところないですかー。熱くないですかー。
ウンウン。
聞こえてるんかな。
浴室から出る前にタオルで体を拭く。
拭かないと寒い様子。
お義母さん脱衣所でバスタオルを使わない。
そのまま服を着ようとする。
待て待て。
服を着るのは自分で。
頭を拭いてドライヤーをかけブラシで整えてあげておしまい。
夕飯の支度の途中で40分かかる。
義母はもの取られ妄想がある。
日曜に旦那と靴下をたくさん買ってきた。
次の日、就寝前に
「これ…どこにしまったらいいだろう」
と持って来た。
旦那は言っている意味がわからなかったようで
「せっかく買ってきたんだからちゃんと履いてよ」と。
「しまう所?引き出しいっぱいあるじゃん!」
おそらくお義母さんはどの引き出しにしまっても
無くなってしまうので(←自分で移動している)無くならない場所を相談しに来たんだろう。
何なら預かって欲しかったのかも。
わかりやすいように一番よく使う引き出しに入れて
上からタオルをかけてあげた。
次の日お風呂に入る前にないないと騒ぐので見に行くと、シーツが無いと言っている。
お義母さんはシーツを山ほど持っていて
うちに来たときに何枚か私にくれた。
シーツの色違いが無いと探しているが確か以前もらった気が…。
知らんぷりしてお風呂に入れた。
その時にはもう靴下は無かった。
シーツを探しているうちに移動したんだろう。
くれておいて忘れるので、私もいただいたものは隠して、一切目に触れないようにしている。
ノリでくれるので印象に残らないのだろう。
なるべくもらわないようにしているのだが。
定位置にしまうと"女"に盗られてしまうので凝った場所に隠す。と、自分もわからなくなり盗られたと思い、また凝った場所を探す。そして「私こんな所に入れてない」と言う。
寝る時は布団の中に塗り絵のセットを入れたカバンを入れて、布団の下にパンツと靴下をしまっている。枕元に懐中電灯、リモコン、携帯、水筒、干支の置物を並べる。
転倒しそうで怖いけど、どうにもならない。
お義母さんおいて
どっか出かけたい…
( ´・ω・`)
「ここんとこが痛くて痛くて…。
どうしてこんなんなっちゃったんだろう。」
「アレがないんだけど…。
誰か持ってったんだね。」
かまっていると
心が黒済んでくる
助けてなんて
もうずっと前から叫んでる
助けて 助けて
誰か助けて
でも
濁った一日一日を
無言で飲み干すだけ
もう出来ないって思ってからが本番
限界を超えてしまったら
そこから「頑張る」
私の本当の「頑張る」は
きっとこれから
私の笑顔で
安心する人がいるなんて
幸せじゃないか
まだできる
そんなふうにしているうちに
限界がまた先に延びたりして
そうして今日も
お義母さんが失敗したトイレを
掃除する
義母の件ではたくさんの方にご心配いただきありがとうございました。
報告です。
今日の昼前に施設から連絡が来て「血圧が下がっている」と。
旦那が面会に行きましたが疲れた様に寝ていて、起こしても少し話して、またすぐに寝てしまったそうです。
そろそろ危ないので来週末は私と子どもで面会に行こうと言っていた矢先。夕方、また連絡が来て「呼吸が弱くなっている」と。
急いで駆けつけたらもう、亡くなっていました。
午後のおやつを食べて、痛み止めを飲み、効いてきたところでそのまま眠るように亡くなったようです。
娘と一緒に身体を拭かせてもらいました。
お義母さんの目に小さく涙が溜まっていました。
大好きな父さんと母さんに会えたのでしょうか。
背中は汗をかいていました。
どう見ても眠っているようにしか見えなくて。
よく見たら布団も上下しているように見えて。
そんなはずないんですけど。
旦那は気丈でした。
あっという間のお別れになってしまったけど、色々と手続きをしています。
時々ぼんやりしています。
何と声をかけたらいいかわからなくて、ただ傷つけないように気をつけています。
旦那はうちから一番近い葬儀場を選びました。
もっと立派できれいなところもあったのに。
お義兄さんちの近くにするのかと思ってました。
長男をたてている家族に見えていたので。
旦那は「連れて帰る」と表現しました。
一番近くを選んだのはそういう意味でしょう。
お義母さんは自分のものなのでしょうか。
しばらく忙しくなりそうです。
✻
お義母さんが私の見ていないところで
娘に小遣いをあげる。
「3万5千円持ってきたけど
5千円だけ受け取っておいたよ。」
お義母さんはよくお金を配るが
断ると雰囲気が悪くなるので
もらっておいて別によけてある。
お小遣いをあげたことを忘れて
明日お金がないと騒ぐに決まっているので
寝ている間に返そうと
居間に置いてあるお義母さんの財布に
手を伸ばそうとしたその時…
絶妙なタイミングで
お義母さんの部屋の扉が開いた。
オ!キ!テ!キ!タ!
あっっっぶねぇぇぇぇ!
ギリギリセーフでした。
お財布を覗いているところを目撃して
お金を増やそうとしているなんて
思わないよね。
✻
お義母さん
土日に長男宅に一泊。
お義兄さんが帰ってから
「ご飯食べられた?」と聞いたら
「食べられた」とニイッと歯を見せた。
入れ歯入れてる!
痛いって言って絶対使わなかったのに。
口に入れたら
「あぁぁ、ほら、こんなんなっちゃう…」と
カパァと口から出してたのに。
あっさり使ってる。
爆笑してしまった。
「お義母さんたら!あんなに嫌がってたのに!
あはははは!」
「…まだ、ちょっこし、この辺痛いんだけどね…」
「大丈夫です。」かぶせ気味。
長男には逆らえないんだなぁ。
旦那ものけぞってた。
「お義母さん、明日デイですよ。」
「ああ、そうかい。(行くか)どうかわからんけどね。」
代わりに私が行きたいわ。
週に2回も友達に会って、お喋りして、ランチして、お風呂にも入れる。
毎日でも行きたいわ。
先日、お義母さんの兄弟にお願いして
実家に預けてきた。
故郷には知り合いもいて懐かしい風景に
お義母さんも嬉しいだろう。
リフレッシュしてくれたらいいなぁ、と。
その間に私ものびのびして
髪を切って、新しい楽譜を手に入れ
子どもとDVDを借りたりしていた。
5日後、戻ってきたら大変なことになっていた。
歯茎が腫れて、物が食べられていないという。
認知も進んでぼんやりしている。
なんでなんで?
それから連日病院通い。
どんどん大きな病院を紹介され、街中の大学病院までいかなくてはならなくなった。
今日は朝家を出てから帰宅まで7時間半。
また来週も行かなくては。
いくつか候補はあるがまだ原因ははっきりしない。
お義母さん可哀想に。
採血も検査も続くと負担だ。
それでも私を「可哀想」と言う。自分の世話が大変だと。
毎食柔らかいものを用意していたが、
抗生剤が効いたのか少し痛みが取れたよう。
入れ歯がなくても食べられるものが増えてきた。
いろんなものが食べたいのだろう。
おかげで体力も回復して元気になってきた。
でも、しばらく通院することになりそうだ。
お手紙
皆様お元気でしょうか。
久しぶりにnoteを開きました。
少し近況を報告します。
私は相変わらず義母と格闘しています。
話していることが全く伝わらなくなり
本人も話しながらわからなくなっています。
「あれが無い」
「あんたがやったんでしょ」
「ちゃんとしてください」
と言われますが
何が無いのか本人もわかっていないのに
探してあげることもできずただ責められます。
「私はサンドバッグにはならない」と決めてから
言い返すようになったので喧嘩も多いです。
生まれ故郷にある義母の弟宅に行きたがるので
旦那「連れて行くけど、前回みたいに帰らない!って
ゴンボ掘らないでくれ。
向こうにずっと住むことはできないよ。」
義母は腹を立てて「一人で行く」と家出を敢行。
玄関はチェーンがかかっているので一人で出られず
靴を持って窓から抜け出しました。
私が「じゃぁ、少し外を散歩しましょうか。」
と玄関で待っているにもかかわらず
「違うでしょ!」とわざわざ窓から出ました。
徘徊の様子を観察すると
住宅街の道路の真ん中を歩き
大きな道路も信号のないところで横断しようとします。
迷子以前に
薄暗い時間なら10分もあれば事故に遭うでしょう。
旦那に車で回収してもらって
大暴れするのをそのまま里帰りに出発しました。
お義母さんがいないうちに
ケアマネジャーさんに虐待にならないか相談しながら
窓にもチェーンをつけました。
今お義母さんは旦那と弟宅に行っていますが
旦那もようやく今後のことを考えてくれるようです。
鍵がかかっているってわかったら
お義母さん、怒り狂うだろうなぁ…。
家から出さなければ安心というわけではなく
余計に荒ぶるでしょう。
旦那がいないときは
徘徊に付き合ったらタクシーに迎えに来てもらうしかありません。
義母は今日帰ってきます。
大暴れしてひどい状態で帰ってくるでしょう。
晩ごはんには何か好きな物を作っておこうかな。
いつも心配してくださっている皆さん
ありがとうございます。
また近況お知らせします。
結構来るところまで来ています。
✻
一緒にいたら
嫌な自分になっていく
負けるな
引っ張られちゃいけない
義母を気晴らしに買い物に連れて行った旦那。
帰宅後、
私が義母を風呂に入れて、あがってくると
「タラコもらった?
今、母さんの冷蔵庫見てみたけどないんだよね。
車にもないんだ。」
「タラコ?もらってないよ。」
レシートには記載があり間違いなく購入している。
部屋中探したが見つからない。
途中で落としたか?
「まぁ…何日かしたらすごいニオイするだろうから
そしたらわかるさ。」と言いつつ
粘って探した旦那が、ついに発見。
クローゼットの中の
平積みの空ファイルの下にありました。
タラコは無事でした。
よく無事だったなー。
旦那よく見つけたなー。
✻
#
義母に
娘がコインチョコをあげた。
義母はお金だと思ったらしく
ティッシュに包んで
大事にポケットに入れていたようで…
すっかり溶けていました。
✻