#苦境

どんな苦境であっても

決して忘れてはいけないこと

ウチの社長まったく信用ならないとなると
あたしは天涯孤独だという事実だけが残る



何かに失敗して
失意のうちに実家に帰るとか
物語にはよくあるだろうけど
あたしには帰れる実家すらもない



あたしが“宗教孤児”だと知って
逃げ場のなさに付け込んできたのなら
なおさら社長のことは信用できない



それでいて
日々の生活があるから
今後もしばらくは
いまの会社いまの社長のもとで働くしかない



労働力を提供して賃金を貰う､
ただのビジネスだけに徹して
甘言を弄されてもすべて無視して
社長とお別れできる機会を待つ｡



復讐劇に興じられるほど
わたしは人間界に熱くない
ひどく腹黒い人物と知ったからには
一切の対話を諦めて
ただ黙って立ち去る機会を待つ｡

齢３１にしてまるで
１０代の少女のような答えになった


『信頼できるオトナなんていない』
『信用できるオトコなんていない』

この世は弱肉強食だというのなら
あたしが社長を食い物にするべきなのだ



とりあえず女性の警備員は珍しいから
とりあえず退職してほしくはないだろう



自分でいうのもアレだけど
クライアントの解体業者から
『今度もミミィちゃんでおねがい💖』って
直接ご指名が入るくらいなんだぜ！？



それでいまや､
会社の管制(各人の配置を決める役員)を介さず､
あちらとの口約束だけで､
毎日同じ解体現場に出勤できる身分になった｡
これって､かなり重要なことだ｡



いまの会社を退職するなら
得意先の解体業者に事情を説明してから移籍して
『移籍先の会社に､あたしのクライアントを持っていく』くらいのことは､
してもいいよね？？するべきだよね？？！？

正義も善意もあるべき姿も

普通という言葉も

全て私達人間が勝手に決めていること


これら全ては本当に真実で
正しさの在り方だと
間違いではないと言える？

時に人は間違いでさえも正しいと言うのに

目に見えないものは全て個人の感情で
決められている

なのに、普通の在り方を求めるなんて
浅はかであり無知である者が言うことよ

少なくとも苦境に立たされ
深く苦しい夜を知っている人なら


「普通を知れと言うのではなく
己の人生を行きよ」と言葉にする