#語り部

その子はヒーローが嫌いだった

その子は王子様を鼻で笑っていた

輝かしい英雄も、恐ろしい悪党も

その子にとって人は物語だったからだ

もう一度だけあなたに会いたい。



莉奈。



守れなくてごめん。



もう一度だけ会いたい。

忘れられない過去があって




忘れちゃいけない過去がある

やあ、おはよう

気持ちの良い朝だね

もっとも君達はそうは思わないんだろうね

学校に行きたくない

職場に行きたくない

もう死にたい

消えたい

色々な悩みを抱えてるんだろう

悩むことは人間だけに与えられた知性の証だよ

僕にとっては磨けば光る原石だね

僕が一生持つことない悩みを君達は持ってる

馬鹿にすることは許さないよ

どんな悩みでも否定せず大切にしなさい

安心すると良い

これからは僕が君達の悩みの素晴らしさを教えてあげるよ

そんなこと出来るのか？って

君達が僕を信じるなら出来るよ

僕は君達人間の言霊から生み出された云わば妖のようなものだからね

君達が僕という“灰色の魔女”を信じるなら

僕は無限の力を発揮するんだ

まぁ、君達人間が魔女という不確かな存在を信じているおかげで今もある程度の力は出せるんだけどね

どうなるかは君達次第さ

さぁ、僕についてくるかい？

それとも、自分で何とかしてみるかい？

どちらの選択を選んでも僕は構わないよ

僕は僕で勝手にやるからね

基本的に魔女は勝手に生きるものさ

どうやら時間がきたようだね

名残惜しいかい？

大丈夫さ、また逢えるよ

君達が望むなら

さて、今日はここまでだね

では、客人達よ

また逢える日までご機嫌よう