※これは、自分語りになります。私の過去の話です。気分が悪くなられたら、すぐに見るのをやめてください。長文失礼します。
私が小学6年生の時、とても仲が良かった友達・Mちゃん、Tちゃん、Nちゃんがいました。
Mちゃんは保育園からの幼なじみ。
Tちゃんは5年生までずっとクラスが一緒で仲が良かった。
Nちゃんは一緒にバスケを習っていた。
今思えば、あれは友達と呼べる関係だったのか、よく分かりません。
私は、知らぬ間に人の顔色を伺って、毎日を過ごしていました。
ある日、Tちゃんが言いました。
「最近、Nちゃんうざくない?」
私は曖昧に笑って流しました。
その頃の私は、とても怖かったんです。
誰かとぶつかること。
誰かと喧嘩すること。
喧嘩をすると、人が変わったように、いろいろなことを言われるから。
私は、お得意の愛想笑いを返しました。
数週間後、Mちゃんが言いました。
「なんか最近Nちゃんムカつくんだよね。」
驚きました。
それと同時に、怖くなりました。
……ああ、これは、私に同意を求めるのではないか、と。
私は、Nちゃんのことが嫌いだったわけではなかった。
逆に、少しだけ、素を出せる相手だったんです。
「「雫も、そう思わない?」」
怖い。
2人と違う意見だったら、何か言われる。
私は、とっさに答えました。
「…うん、私も、そう思う。」
答えた瞬間、自分が嫌いになった。
そして、『間違えた』と思った。
そして何日か経ったある日。
MちゃんとTちゃんがNちゃんに言った。
これまでの不満を、すべて。
Nちゃんを罵る言葉が、学校に響いた。
雨が降り、雷が鳴っていた放課後の事だった。
Nちゃんは涙を流して、謝罪を繰り返していた。
Nちゃんの涙を見たのは、それが最初で最後だった。
私は、ただ見ていることしか出来なかった。
大切な友達が傷つけられているのを見ていた。
でも、私は、それよりも。
ここで庇ったら、MちゃんやTちゃんに、自分も何か言われるのではないか、と怖かった。
私は、大切な友達よりも、自分を守ることを優先してしまったんです。
それから、MちゃんとTちゃんがNちゃんを無視することが多くなりました。
後悔しても、もう遅い。
そして、私が最も恐れることが起きてしまった。
Nちゃんのお母さんから、私の母に連絡が来たのです。
私はそのとき、家にはいなくて。
母は、正直言い返してやろうかとも考えたそうです。
MちゃんやTちゃんとは違って、私は何も言っていないのだから。
それなのに、私のところだけに連絡が来るのはおかしい、と。
多分、Nちゃんのお母さんは、私の母の連絡先しか知らなかったのでしょう。
バスケをしていたときは、親同士もそれなりに仲がよかったから。
でも、母は、私の立場が悪くならないように、謝罪をしたそうです。
私は、それを聞いた瞬間、泣き叫びました。
なんで、と。
私が悪いだけ。親は関係ない。
私になら、どんなに罵声を浴びせても構わないから。
親だけは巻き込まないでよ、と。
心の中で叫んだのを今でも覚えています。
それに、母は、「私は何も言っていない」と言いましたが、直接的に何も言っていなくても、見ていただけなら同じなんです。
MちゃんとTちゃんがしたことと、同じ。
しばらく経ったあと、私は、様子がおかしい私たちに気づいた担任の先生に呼び出され、すべてを話しました。
すると、担任の先生はこう言いました。
「雫さんは我慢しすぎです。ですが、Nさんとうまくやっていけるのは、雫さんしかいません。卒業も近いのに、こんな終わり方をするのは嫌でしょう?勇気を出して、Nさんに話しかけてください。」
その言葉に背中を押されたような気がしました。
私はそれから、Nちゃんとすれ違う時や目が合った時は、必ず声をかけるようにしました。
ですが、「ごめんね」とは言えませんでした。
もともと謝るのは本当に苦手だった。
弱い自分を認めたくなかった。
Nちゃんは、最初は戸惑っていたけれど、少しずつ笑って返事をしてくれるようになりました。
でも、前のような日常は戻ってこなかった。
Nちゃんは別のグループに行った。
前のように一緒に帰ったり、遊びに行ったりすることはなくなりました。
MちゃんとTちゃんは、相変わらず無視を続けていました。
そして、迎えた卒業式。
Nちゃんの親が、私の母に謝ってきたそうです。
・・・笑いながら。
「言い過ぎてごめんなさい」って。
それも、私がそばにいない時に。
ああ、もう、ダメだって思いました。
私がいることで、誰かに迷惑がかかる。
私があの時にした『同意』は、確実にMちゃんとTちゃんに火をつけた。
私があの時、ちゃんと反抗していれば。
Nちゃんが傷つくことも、涙を流すこともなかった。
親に迷惑がかかることもなかったんです。
私がいなければ、
歯車は上手く回っていた。
中学校の入学式。
そこに、Nちゃんはいませんでした。
後から聞いた話では、Nちゃんのお母さんが別の中学校に入学させたそうです。
もう、会わないんだろうな。
そう思っていました。
なのに。
吹奏楽部に入り、最初の舞台。
各校で集まり、演奏会をしました。
そこに、Nちゃんがいた。
Nちゃんも吹奏楽部に入っていたんです。
Nちゃんのそばには、新しい友達が立っていた。
Nちゃんは笑っていた。
ああ、良かった。
今は、ちゃんと笑えてるんだな。
自分勝手だけど、そう思いました。
Nちゃんの笑顔を失わせたのは、自分なのに。
Nちゃんは私に気づくと、近寄ってきました。
「久しぶり、雫!元気だった?」
彼女は、明るくそう言ったんです。
自分を傷つけた相手に、ためらいもなく。
私は、なんて答えたらいいのかわからなかった。
それでも、彼女は笑って、私と話してくれた。
私は、彼女に許されないことをした。
なのに、彼女は明るく笑ってた。
ちゃんと、本当の笑顔で。
Nちゃんと別れたあと、私は泣きました。
あの出来事があり、中学校に入学したとき。
私は、もう『本当の笑顔』では笑うことができなくなっていた。
つらかったし、苦しかった。
でも、Nちゃんは、それ以上に苦しかったんだ。
辛かったんだ。
傷ついたんだ。
Nちゃんと、別々の道を歩むようになってからは、もうそれが当たり前になっていた。
あの子が笑えているのなら、私は笑えなくていい。
悲劇のヒロインぶっているつもりはありません。
ただ、
自分を守った自分が、
笑えるようになったあの子を見て安心した自分が、
見て見ぬふりをしてしまった自分が、
大っ嫌いなだけ。
今でもそれは変わりません。
もう、笑えない。
あの子を傷つけた罪。
その罰が、自分の笑顔を奪うことだっただけ。
それだけの話です。
ただ、この罪と罰も、私の自己満足。
でも、こうでもしないと、
私はもう、息ができない。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
気分を害されてしまった方、本当に申し訳ありません。
みなさんに、私の分まで、
笑っていただけますように。