蓮華草・2023-02-01
金襴紫蘇
朝も昼も夜も
春も夏も秋も冬も
月が
見張っているようで
ここではない
どこかへ行きたいのに
どこでもない
ここにいる
涙を拭う度
全て壊れてしまってもいいと
いつも思うんだ
孤独を味わっているのは
孤独ではなかったから
立ち止まっているのは
立ち止まる必要がなかったから
逢いたいと思えるのは
逢えなくなったから
口が裂けても言葉にできない
そんな重い一言を
あなたはいとも簡単に
囁やける
大丈夫
その言葉を
否定する心と肯定する心が
混在する夜
雪が恋しい
冬が愛しい
そんな私は
春にはあなたを
愛さない
仕組みを理解しているならば
私をそっとしておいて
雪の降る音は
私にだけ赦された
恋しがってもいい合図
逢いたかった
そう駆け寄れるほど
子供ではなかった
それだけのこと
踏みしめる雪が
幾度も啼く
息も上がり
顎も上がり
今にも昇り詰めそうな心へ鞭打ち
こそばゆく響く
踏みしめる雪の啼き声に
包み込まれるまで
産まれたばかりの
雪を啼かせる
逆さまの街へ戻りたい
昼が夜で 夜が昼のようだった
あの逆さまの街が恋しい
たとえ
嫌いが好きで
さようならが愛していますと
なりはしなくても
間違わないで
あなたが見たのは
隙間からの姿なの
やじろべえに騙されて
進んだ先は
最の果て